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ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
一番近いもの 1
2010-07-11-Sun  CATEGORY: 一番近いもの
日曜日の朝、ベッドの中で寝がえりを打とうとすれば、すぐ隣に温かな肉体がある。
セミダブル幅のベッドでも成人した男が二人も並んで寝れば当然窮屈で…。
しかも、夏だ。鬱陶しい。
学生時代から住み続けたアパートは、古くもなかったが、新しいとも言えなかった。
まぁ、ちょっと大きな物音を立てれば隣に響いてしまうようなもの。
1階に4戸、2階に4戸ある中の、2階の真ん中だったからそれ相応に気は使ってきたつもり…だが、本当のところ、両隣は空室だったからそれほど神経質な暮らしもしていなかった。
砺波海斗(となみ かいと)はとても重い身体に鞭をうって、ナイトテーブルの上にある腕時計に手を伸ばした。
就職祝いにと祖父が買ってくれたものはそれなりに値の張る物で、たぶん自分が身につけている装飾品の中では一番高価なものだと思う。
それに愛着があったから、なんとなく、いつも傍に置いていた。
「はぁ…、8時…」
休日にこんなに早く起きたことはまずない。
しかも、隣に寝ている男、倉敷大希(くらしき だいき)の相手をした次ぐ日なら尚更。

「勘弁してよ…」
海斗が起きたには原因がある。
隣の部屋で物音がしたのだ。
一人や二人の人数ではない話し声や、何やら物が動く物音に、入居者が現れたのだ…と簡単に判断できた。

このアパートは2Kという作りで、玄関を入ってすぐに4畳のキッチン(台所という言葉のほうがしっくりくる)があり、反対側にトイレと浴室があった。
奥にフローリングの6畳間が並んで2部屋。
一部屋は今寝ているところで寝室として使われている。
そしてこちらの部屋に小さな押入れが一つあるだけで、他には収納スペースはなかったから、全てが部屋の中に溢れかえっていた。
一応、隣の部屋がリビング扱いで、人が来る…という点では多少綺麗になっているかもしれない。(正確には見られたくないものは全て寝室に押し込まれ、整理がつかず散らかっていると言っていい)

もうひと眠り…と思うのに、今まで聞こえることのなかった話し声などが嫌に耳について、とても眠るどころではなかった。
こんな中で、よく大希は寝ていられるものだ…と少し感心してしまう。
大希とは、別に恋人でもなんでもなかった。
きまぐれに電話が来て、お互いの都合がつけば逢う。そう、身体だけの関係。
行きつけのバーで出会った。
年が同じだったことから話が弾み、そのままホテルへと直行した。
一度だけの関係とお互い割り切っていたのが、会話からも身体を通しても感じた。
天の悪戯か、1カ月もしないうちに再会して、出会ってしまえば後腐れの無さに二人とも溺れていった。
『好きなのか?』と問われればはっきりと『違う』と答えられる。
身体の中にたまる『欲』をかきだしてくれることにありがたみを感じるだけで、大希がバーで他の男に声をかけられてもかけても何も感じない。
お互い25歳になるところの、世間に言わせればまだ『若造』の自分たちなのに、『性』に関してだけはやたらとあけすけだった。
若さゆえか、『やりたい』思いは強い。
逢う回数が増えれば、ホテル代も馬鹿にならない、と互いの自宅まで上がり込むようになった。
まぁ、そのころには、危険はないと判断していたのだけど…。(というか、友人になっていた)

そうこうするうちに、違う物音に気付いた。反対側からも聞こえてくるのだ。
玄関ドアの前をバタバタと行き来する足音。
話す声が増えて、一層外が、両隣がにぎやかになる。
…まさか、いっぺんに二部屋埋まったの…?

激しい溜め息をついてしまえば、大希が小さく「クソッ」と悪態をつく。
どうやら起きていたらしい。
「なんだよ、こんな朝っぱらからー」
そしていきなり、海斗の身体を引き寄せ、その髪をぐしゃぐしゃとかき回した。
「ちょっ…!!なにす…んっ…!!」
「うるさくて眠れないっ」
「俺のせいじゃないだろっ」
夜、散々じゃれあっても、朝から身体を寄せたことはなく、海斗は突然のことに瞠目していた。
もちろん、巻き毛のかかった髪がさらにからまるような気がしての抗議もあったのだが…。
「海斗の声が聞こえたら、少しは静かに作業してくれるようになるかな」
まだ寝ぼけたような大希の黒い瞳が苛立ちの中で光った気がした。
…声って、声って…声って…????
「…っ!!!」
意味を理解するのは簡単だ。
「あほっ!!いきなり隣人に何聞かせる気だよっ?!」
「じゃあ我慢して」
逃げる隙を作らせてもらえず、圧し掛かってきた大希に唇を塞がれる。
いままで隣人なんていなかったから、そんなに声を押さえることなんてなかったけど…。
何より、怒りの矛先を向けられた自分が可哀想な気がしてくる。
海斗よりも一回り以上大きな大希に抑え込まれたら、まったく歯が立たなく、唇を奪われたまま揉み扱かれた股間が素早く反応した。

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新作始まりました~。どうなるのか私も分かりません。汗っ
お付き合いくださればありがたいです。
アンケ貼った分は、締め切り後にSSで上げたいです。
定期更新、いけるかどうか分かりませんけどがんばって書きますっ!!
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一番近いもの 2
2010-07-11-Sun  CATEGORY: 一番近いもの
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。

「こういう反応の良いとこ、俺、好き」
「ばかっ!やめろってっ!!朝から何考えて…、っつぅっ!!」
カリッと音がしたのではないかと思うくらい、胸の先を噛まれた。ジンとした痛みが胸に広がる。
一糸まとわぬ裸の身体は大希にとって触れたい放題だった。
「痛いところは舐めて治してあげないとな」
「やめ…っ!!…ぁあぁ……」
大希に何度も身体を許すのにはもちろん理由がある。
たぶん、海斗がこれまで抱かれてきた中で、一番追い上げるのが巧く、そして満足させてくれた。
感じさせ方や、焦らし方の際どさ、渇望する身体を充分なほど潤してくれる。
だがそれは、欲求不満だと感じている時だから余計に染みることのような気もしていた。
それが、散々『欲』を吐き出したこんな朝でも反応してしまえば、もう大希のテクに堕ちている自分を知る。
「だ、いき…ぃ」
片方の乳首を舌先で転がし、時折吸いつき、「チュパッ」という音を立てて離される。
もう一方は親指と人差し指で挟まれたりつねられたり捏ねられたり押されたり…と好き勝手に弄ばれていた。
同時に脇腹や太腿の内側を撫でまわす掌がある。
しっかりと勃ってしまった中心に触れてほしくて、自然と両足が開き、膝が立つ。
大希の身体が入り込んで、両脚を大きく広げさせられるのに、肝心な部分は放ったらかしのままだ。
「その気になってきた?俺はいつもどおりやりたいけど、海斗がご近所様から白い目で見られるのは可哀想だからな」
この間もひっきりなしに物音は響いてくる。
それは当然、啼き声を上げれば気付かれる可能性が高いことを表してもいた。
すこしだけ、背筋に冷たいものを感じるが、熱くなった身体はすでに解放の時を待ち侘びている。

ここまで昂らせておいて、今更やめるとでも?!
唾液に濡れた方の乳首をピンと指先で弾かれる。
「っ…っ!!」
「どうする?」
「どうする…って?」
「このまま抱いちゃっていい?あとは海斗の自己責任ってことで」
口角をあげた男を、悪魔かと思った。
所詮、こんな男だ。
自分の欲求をはらす為だけの、相手の生活も何も関係ない世界。
もちろん、縋っていた自分もいるわけで…、一概に責められたものではないけど…。
海斗が「やめる」と言い出さない状況まで追い込んでからの発言に、この男の狡賢さを垣間見た気がした。
瞳に影を乗せた海斗を感じるなり、フッと大希の表情が緩んだ。
「ごめん、ちょっと言い過ぎた。朝のおまえ、妙に清々しくて、夜とは別人みたいにみえたからさ。夜はもっとしっとりしているっていうか、艶があるっていうか…。同一人物かどうか確かめてみたい気になった」
要するに『厭らしい人間』といいたいのだろう。
「大希はこのままやめられるの?」
「無理」
問うてみれば即答で返ってくる。
本音は海斗も同じだったが、これまで平気で喘ぎ続けていた嬌声をいきなり控え目にできる自信もない。
いきなり大希の掌が海斗の中心を撫で上げる。
「ああんっ!!」
思っているそばから高い声が漏れた。
「ちょっ、なに、クる、この声…」
いつもとシチュエーションが違うからなのだろうか。
大希の声にも興奮が纏っているのが感じられた。

股間をいじっていた手がずれて、やわやわと後孔を撫で上げた。
「あ、あぁ…ぁ…」
我慢をした喉奥からあえかな吐息がこぼれ出る。
「ここ、まだゆるいよね。少し弄ったらすぐ挿れられそう」
ドクンっと内壁が動く。
期待している体に言い訳なんかできない。

つぷっと指先が潜り込む。
いくら使い慣れた…とはいっても、昨夜のうちに綺麗に処理されていた部分は湿り気も滑りもなくて、ささやかな痛みを運んでくる。
「ぅっつ…っ!!」
「ちょっとまって」
噛みしめる唇に、大希が慣れた仕草でナイトテーブルの上に投げ出されたままのローションのボトルを手に取った。
『ちょっとまって』は大希自身に言い聞かせるものじゃないのか?!と急いている様子に悪態をつきたい。
今の季節では…、また温まった身体には、冷たいローションが心地いいくらいに感じる。
撫でつけられる指の動きは素早くて、ここまでになれるにはどれだけの数をこなしてきたのかとへんな妄想が頭を過った。
もうすでに知っていることだ…。

指の動きだけで先走りがぽとりと腹の上にこぼれた。
ピンと張り詰めた雄は海斗の腹についている。
片足を大きく抱え上げられ、猛々しいものが蕾に押し当てられて、珍しく余裕を失ったような大希が荒い息を吐いた。
ズチュッと淫猥な水音がして、体内に潜ってくる硬いものを感じる。
「あぁぁぁぁっっ!!」
「海斗、俺、出て行けなくなっちゃうよ…」
今更だ、バカヤロー、と心で不満を述べつつ、身体はもう与えられる快楽の海に堕ちて行くところだった。

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すいません、早速間違えてupしてしまいました…。
散々お待たせしたので、まぁ1話くらいいいかな…。
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一番近いもの 3
2010-07-12-Mon  CATEGORY: 一番近いもの
朝から3回も絶頂を味わえば動く気力も無くす。
声を控え目にしてみたつもりだが、本当のところどうだったのか、意識も飛びかけた頭は判断なんてできなかった。
ただ何度か大希に呼吸できずに苛まれる唇を塞がれた。
彼としては、叫びあげる海斗を抑えたかったのだろう。

昼過ぎに大希は帰っていった。
小さなアパートへの引っ越しだからなのか、両隣とも昼には激しい物音がとまった。
自由…に過ごしてきたわけではないが、これまで隣近所に気を使う必要がなかった生活が一転したような気分だ。
些細なものおとですら響くのは、長年住んでいた自分が良く知っている。
しかも二部屋同時に埋まるなんて…。
なんとなく、『自由』を奪われたような感覚もあった。

汚れた身体は大希が拭っていってくれた。
後処理まできちんとしてくれるアイツには頭がさがる。
ただの性欲処理だけであれば、やり逃げでいいはずなのに…。(自分だったらそこまでしてやれるかとも思ったりする)
とはいえ、朝まで…朝から交わったことは稀で、正直体への負担は大きかった。
ベッドから抜け出せないまま、夕刻を迎えた。
だるくて何もする気が起こらず、夕食もどうしようかと考えてしまう。

…カップラーメンでいっかぁ…

買い置きの食材を思い浮かべながら、一番ラクな方へと思考が向いた。
その時、「ピンポーン」と呼び鈴が鳴った。
この部屋の呼び鈴を鳴らす人は宅配便の人間くらいだ。
慌ててスエットを着込み玄関先に向かって、確認もせずドアを開ければ、見慣れない男性が3人立っていた。
2人は学生っぽい。
海斗よりもずっと若者に見える。共に体格は良く、ひとひねりで海斗などのされてしまいそうだ。
二人が揃えばなおさらだろう。
もう一人は30代の社会人のようだ。
世間になれているような風格がどことなく漂うのと、見た目からしっかりした立ち振舞いがある。
「え?」
「初めまして。隣に越してきました花巻(はなまき)と申します」
年のいった男がニコリと笑いながら『挨拶』というタオルを手渡してきた。
髭は綺麗に剃り落とされ、撫でつけられた髪といい清潔感に溢れている。
ポロシャツの下には、鍛えられたような筋肉が見え隠れした。
「同じく、反対隣に引っ越してきました有馬(ありま)と…」
「鳥羽(とば)です。有馬と同居しますので」
学生らしいふたりはルームシェアのようだ。
ふたりとも頑丈そうだが、有馬のほうが鳥羽よりも少しだけ大きいように見える。
たぶん、190センチは越えているのだろう。
せんべいの入ったコンビニのビニール袋を渡された。
昨今、アパートでの暮らしに、近所なんて知らない連中が多い中、随分律儀なお隣さんだな…とちょっと思う。
「わざわざすみません。砺波です。こちらこそ、よろしく」
「大学生?」
鳥羽と名乗った男が、海斗が挨拶をするなり首を傾げた。
髪を短く刈り上げ、スポーツマンらしい男だ。
きりっとした目元が不思議そうに海斗を見ていた。
親しげな口のきき方に、隣の有馬がこつんと肘をたたく。
「ま、まさかっ。ちゃんと働いていますからっ。これでも25になっているんです」
ムキになっているからなのか、言わなくていいようなことまで口からすべっていく。
「あ、すみません。なんだかすっげー、可愛げがあったから」
「健太…」
とがめるような口調で、有馬が鳥羽の腕をつねった。

か、可愛げ…?!!!!…と、年下に言われたくないっ!!

不貞腐れる海斗の心境を読んだのか、有馬は「お忙しいところ失礼しました」とぐいっと鳥羽を引っ張った。
花巻も「どうぞよろしく」と言い置いて足を動かした。
笑顔が似合う…仕事のできそうな社会人に見えた。

いきなり現れた3人の『ご近所様』
玄関ドアを閉めてから、海斗はふと自分の姿に視線を下ろした。
休日なのだからスエットでも何の問題もないのだが、初対面の相手にこれは少し失礼だっただろうか…。
どこまでもぐーたらな生活を送っていると思われたのではないだろうか。
ところで、朝から繰り広げた欲望の生活を、もしかして聞かれていたのではないか…???
その顔を確かめたくてこの『引っ越しのご挨拶』?!
突然カッと熱くなる身体がある。
そう、羞恥…。

このあと、どうやって顔をあわせたらいいんだよ…。
恨むべきは大希ではないと分かりながらも、やっぱりどこかに何かをぶつけたい。
もらったせんべいは酒の肴になった。
朝から翻弄された『休日』があっという間に終わっていく。

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一番近いもの 4
2010-07-13-Tue  CATEGORY: 一番近いもの
「かいちゃん、なんだかちょーお疲れっぽいんだけど」
関連企業から依頼されるプログラムの確認作業に、5つ年上の松島愁(まつしま しゅう)がこつんと海斗の後頭部を叩いた。
すでに『主任』という役職を手にしている男は、仕事をする手も早く、周りからの信用も厚い。
短めの髪のためか、目鼻立ちのとおった顔が良く見え、すっきりとした印象が全体にあった。
海斗が色白で丸顔だったし、癖っ毛の髪が肩につきそうなくらいまで伸びていたから余計に女っぽく見られたし、凛々しく見える彼に憧れる部分も持ち合わせていた。

月曜日の朝から、ついた溜め息は何度あっただろう。
10時を前に、目の前に缶コーヒーが置かれる。
溜め息の原因は仕事内容でもなく、突然湧いたご近所様だった。
昨日、あのあと顔を合わせることもなかったし、海斗が心配することは到底聞ける内容でもない。
どれくらいの音量で、喘ぎ声が聞こえてしまうものなのか…も定かではない。
が、今後、自分の部屋での性行為は控えたい…と思わされる出来事に違いはない。
引っ越し初日から、とんでもない印象を持たれたのではないか、と、海斗にとって悩みの種になっていた。

オフィスに籠ることが多い中、そしてにらめっこはパソコンばかり。
たまに息抜きでもするかのように、こうやって『言葉』がかけられる。
特に松島から茶々をいれられることは多かった。
きっちりと着こなされたスーツにビシッと締められたネクタイ。
人に逢うことのない事務所の中でも崩れることのない姿に、『仕事をしているのだ』という意識は強く持てた。
「月曜日っからそんなに暗い顔をされちゃったらやる気なくすし~。もっと明るくいこうよ」
「松島さん、いっつも元気ですよね。そのパワー、分けてほしいくらいです」
「分けてやるよ、いつだって。…今夜、どう?」
奥二重の瞳から色気のあるムードが発される。
声をかけられることが多い理由の一つは、これだ…。
この男も海斗の性癖を知っていた。
行きつけのバーで偶然出会ってしまった時には言葉も出なかったが、お互い話を広められては困る状況に弱みを握ったのか握られたのか…。
ただ、大希のようにすんなりといかないものがこの男にはあった。
『しつこい』…。
そう、しつこいのだ。
海斗に想いを寄せてくれる部分があるのが分かるから納得はするのだが、恋愛感情をもたない海斗にしてみれば、やるだけやって終わりにしてくれるほうがラクである。
『上司』という立場もあり、誘いに負けて数度抱かれはしたが、厭らしく攻めてくるやりかたは好みではなかった。
それに、回数を重ねるごとに、SMちっくなものが登場するようになった。

昨日、珍しく朝からサカった海斗は、パワーをもらうより奪われるほうだ…と身の危険を感じた。
迂闊なことは言うものではない…。

ひそっとした声が耳元にまとわりつく。
「土曜日、だめって言われちゃったからね。どこの男に宥めてもらっていたのかと思うと少し悔しいな」
「べつに、そんな人、いないし…」
「お疲れの理由ってその彼じゃないの?」
「そんなんじゃ…」
好意を寄せてくれている人間を前に、身体だけの仲の良い友達…と言うのも憚れて誤魔化せば、あげあしをとるかのように突っ込まれてきた。
「それなら、今日、大丈夫だよね。…このプログラム、あとは見てあげるよ。残業しなくても済むように」
「え?あ、いえ…、でも…」
「僕のデスクの上に、ハンコを押すだけの書類が束になっているから、押しておいて」
「で、でも…」
先程渡されたばかりの缶コーヒーを持たされる。
「業務命令。全部終わったら次の指示出すから」
ほとんど力づくで立ち上がらされた海斗の椅子を奪うように松島が腰かけた。
素早い動きで松島は海斗のやりかけていたプログラムにざっと目を通していた。
「ほとんどできあがりじゃない。僕もラクな仕事ができそうだ」
『上司』を相手にはっきりと断れないのは気の弱さなのだろうか。
パワーハラスメントと言われればそれまでだが、松島の人の良さは色々なところで見ていたから特別嫌う部分もなかった。
昨日の大希との件がなければ、ただ欲求をはらすだけ、と開き直ることもできるくらいだ。
割り切れる付き合いができる海斗だから、松島も強引に約束をとりつけてくるのかもしれない。
なにより、『性』に対して欲が強いのを松島には知られてしまっている。
口を閉ざした大希の逢瀬を今更言えるはずもなく、身体が辛いかも…と内心で溜め息をついた。
問題は次から次へと出てくるものだ…。
あきらめて立ち去ろうとした海斗の背中に、松島が恐ろしい言葉を投げた。
「あ、明日有給にしてあげるから」

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有給ってことは明日はまたRに入っちゃうな~…。
って何人の男が絡んでくるんだろう、この話…。
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一番近いもの 5
2010-07-14-Wed  CATEGORY: 一番近いもの
R18 飛び越えてR20くらいつけたいです。
性描写があります。閲覧にはご注意ください。


ある程度は想像がついていた。でもこんなのはひどすぎる…。
「ん…、ね、…もぅ、だめです…」
連れ込まれたシティホテルのツインルーム、ベッドの上では海斗の吐息が漏れ続けていた。
仰向けにされ、右手首と右足首、左手首と左足首が包帯で結ばれている。
こうやって服従を表すポーズをとらせることが松島の趣味のようだ。
そして一番縛られたくない場所…。
海斗のそり立つ中心をビビッドなピンク色のリングが2つ、根元とくびれの部分に取り付けられている。
ほど良く解された孔の中には、やはりピンク色のローターが入り込んでいて、細いコードが尻尾のように出ていた。
前立腺を刺激するだけのローターの動きは脅威に近い。
ピクピクと股間は弾けるように何もしなくても動くのに、最後の時を与えてもらえない。
イきたくて仕方がなかった…。
射精出来ずに、でも溢れてくる透明な体液が陰部も腹も汚していて、時折それを指先で掬っては海斗の頬になすりつけられた。
大希には少しくらい我慢させられても、すぐに気持ち良い時間をくれる。
それに慣れているだけに、松島の執拗な攻めは”苦痛”だった。
想像はついていたけど、まさかここまでされるとは思ってもいなかった。
ちょっとしたSMごっこはこれまでにもあったがさすがにこれだけのことは初めてだ。
土曜日に松島の誘いを断り大希と会っていたことなど、誤魔化し切れる内容でもなく、それに対する恨みのようなものが存在している。そして嘘をついたこと…。
初めてこの男を『怖い』と思った日でもある。

なによりも松島は、この状態をながめているだけなのだ…。
この体勢にされてどれくらいの時間がたっているのだろう。
「あぁ…も…」
孔から出る紐を松島が引っ張った。同時にきゅうっと孔が締まる。
「美味しそうだね。よくはまっている。本当はもっと咥えていたいんでしょ」
「も、はずして…」
全てを…。
耐えさせられる時間が長過ぎて、目には涙が浮かんでいた。
それを拭うことさえ叶わない。

せめて手さえ自由になれば、勝手にリングも外して、自慰をしているのだろう。
「『お願い』の言葉使いがなっていないよ」
労わりのあるような声音だが、告げられることは非情だった。
あまりの辛さに松島の望むとおりになってしまってもいいとすら思えてくる。
言わされた『言葉』は過去にも何度かある。

「お、ねがいします…。はずして、ください…」
「何をはずして?」
まず最初に望むものはただ一つだ。
「り、んぐ…」
「はずすだけでいいんだね?」
まだ何かを言わせたい雰囲気に羞恥心が体中を駆け抜けて行った。
手も触れられずにイったことは一度もない。
後ろだけでイける知識はあっても体験したことはなく、未知の世界に戦慄いた。
思わず黙ってしまえば松島に促される。
「『あなたのをいれてください』って言えばいいんだよ」
大希に対しても「いれて…」と強請ることくらいはあるが、この男に声を聞かせるのはなぜこんなにも羞恥にかられるのだろう。
すべてを曝け出す体勢で、ただ眺められるだけの身体に欲を強請るようで、心の中に言いようのない惨めさが浮かんだ。

「……あなた、の、いれて…くださ…」
「これ、いれっぱなしでいいね」
掠れる声にかぶさるようにゆるくコードを引かれ、更に追い打ちをかけられる。
…そんなの…っ!!
返す間を持たせてもらえなかった。
松島も痴態をながめるだけで我慢していたのだとわかる張り詰めたものが蕾に押し当てられる。
「いやぁ…っ!!」
抵抗も叶わず狭い入り口を割って入ってきた松島の肉棒に、孔の中にあった固形物はさらに奥へと押し込まれ、腸壁が悲鳴を上げる。
「あ、この振動、気持ちいい…」
ローターから伝わる振動に、松島の勃つものがさらに大きくなったようだ。
数度抜き差しをしてから、松島はリングを外してくれた。
激しい動きがなくても、耐えさせられた身体は充分、絶頂を迎える準備ができていた。
「あぁぁぁっ!!イ…くぅ…っ」
擦られた股間の中を、凄まじい勢いで体液が掛け昇っていく。
そして白濁が飛び出した…。

手足を一度解かれても、また手首だけは頭の下から抜けないように重ねられて括られた。
取り出されたローターは胸の上に転がっている。
今日の松島の攻めは本当にしつこかった。翌日を『休暇』にするだけのことはある。
なにより、この男に逆らえば職を失うような恐ろしさが渦巻いていた。
快楽に溺れる身体を否定できないのだから、より悪いのかもしれない。
完全に付け入られている。
定時で仕事を終わりにして、ホテルに入ってから何時間が経過したのだろう。
思考は混濁し、真夜中、海斗は執拗なストロークを繰り返され、とうとう気を失った。
意識を飛ばすなど、海斗にとって初めての出来事だった。

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長くなっちゃったかなぁ…
でも一話で終わらせたかったのでかなり詰めました。
久々の「愛なし(?)えちしーん」です。(いや、かたほうにはあったかも?!)

そして『ヤギ牧場』の締め切りも間もなくです。
どうでもいい方はまぁどうでもいいんですけど…。
(読み手いなくても一話くらい書いてみたい…)
余談ですがちろーっと別宅に私的な意見が貼ってあります。読みたい方だけどうぞ。
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