SS企画
あちこちのお話の登場人物がくっついています。というか、ほとんどパロディに近いです。
バー『想―sou―』を中心に繰り広げられる物語。
(策略~ 及び 淋しい~ と ちょうどいい~ を読了の上お進みいただくのがよいかと…。)
《想―sou― 一夜物語》(2010.6.10~2010.6.28)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 番外編
《ヤギ牧場》
前夜祭 集合時間 お迎えのバス 到着 お子様 移動中 おさわり アイス ランチタイム 休憩中 目覚め 帰りのバス お別れ
《ヤギ牧場―続編―》 【PTA総会】と【お絵かき教室】(数字)
1 (1) 2 (2) 3 (3) 親子1 親子2 親子3
《夏休み企画 チチ牧場》
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
《たまには…こんなのも…》編
昼寝 挿入物 ペット ピンポン トラ模様
あんな時
パンツ1 パンツ2 ボディ
《2010年秋企画 秋の遠足》
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 おまけ おやつ ハロウィン
《2010年度 クリスマス企画》
吐息前編 中編 後編
芸術
《2010年SS》
大掃除
《ミニSS》 入園編1 入園編2
《2011年バレンタインSS》
1 2 3 4 5
《2011年冬企画 冬の遠足》
1 2 3 4 5 6 7 8 9
《2011年 春の遠足》
春の遠足
《2011年 七夕祭り》
2011年七夕
《2011年 夏の遠足》
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 絵日記
《2011年秋》
秋PTA総会
《2011年 冬の遠足 ラスベガス》
1 2 3 4 5 6 7 8
《2011年 冬の遠足 ラスベガス番外》久志&日野 地雷注意
1 2 3
《2012年 ホワイトデー企画》
ホワイトデー ホワイトデーレシピ゜
《2012年 GW企画》
2012GW 2012GW夜 2012GW旅
相関図
お料理教室
父の日のおつまみ ぱじゃまとエプロン 保育園許可証 保育園保険
《2012年 七夕祭り》
2012年七夕
《2012年 夏の遠足》
1 2 3 4 5 ♪6 7
《2012年夏休み》安住邸 安住邸part2
夏の屋上 夏の屋上2 筋肉パラダイス
2012秋美琴
2012秋遠足
2012秋収穫
2012お鍋の会 1 2 3 4 5 6 その後
《2012年 冬の遠足》
1 2 3 4 5 6 7
2012年年の瀬
2013年雪の日
2013年偶然久志&神戸
2013年那智の看病 2013年成の看病 2013年一葉の看病 2013年英人の看病 2013年燕の看病 2013年次の看病
気遣い(2013.3.6)
執事喫茶(2013.3.8)
イチゴ狩り(2013.3.14) イチゴパフェ(2013.3.14) お花見(2013.4.7) 美琴の料理(2013.4.12)
2013GW(2013.4.19)
新作パフェ(2013.4.24)
2013GW砂漠(2013.4.26) 2013死海(2013.4.29) 2013青(2013.4.30) 2013石鹸(2013.5.1) 2013きゅうり(2013.6.27) 2013お昼ごはん(2013.7.6) 2013夏宝箱(2013.8.5) 2013夏宝箱2(2013.8.6)
2013夏野菜(2013.8.22)
職業バトン(2013.10.2) 同級生小学生(2013.11.13)
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ぽちっとしていただけると嬉しいです。
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バー『想―sou―』を中心に繰り広げられる物語。
(策略~ 及び 淋しい~ と ちょうどいい~ を読了の上お進みいただくのがよいかと…。)
《想―sou― 一夜物語》(2010.6.10~2010.6.28)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 番外編
《ヤギ牧場》
前夜祭 集合時間 お迎えのバス 到着 お子様 移動中 おさわり アイス ランチタイム 休憩中 目覚め 帰りのバス お別れ
《ヤギ牧場―続編―》 【PTA総会】と【お絵かき教室】(数字)
1 (1) 2 (2) 3 (3) 親子1 親子2 親子3
《夏休み企画 チチ牧場》
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
《たまには…こんなのも…》編
昼寝 挿入物 ペット ピンポン トラ模様
あんな時
パンツ1 パンツ2 ボディ
《2010年秋企画 秋の遠足》
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 おまけ おやつ ハロウィン
《2010年度 クリスマス企画》
吐息前編 中編 後編
芸術
《2010年SS》
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《ミニSS》 入園編1 入園編2
《2011年バレンタインSS》
1 2 3 4 5
《2011年冬企画 冬の遠足》
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《2011年 春の遠足》
春の遠足
《2011年 七夕祭り》
2011年七夕
《2011年 夏の遠足》
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《2011年秋》
秋PTA総会
《2011年 冬の遠足 ラスベガス》
1 2 3 4 5 6 7 8
《2011年 冬の遠足 ラスベガス番外》久志&日野 地雷注意
1 2 3
《2012年 ホワイトデー企画》
ホワイトデー ホワイトデーレシピ゜
《2012年 GW企画》
2012GW 2012GW夜 2012GW旅
相関図
お料理教室
父の日のおつまみ ぱじゃまとエプロン 保育園許可証 保育園保険
《2012年 七夕祭り》
2012年七夕
《2012年 夏の遠足》
1 2 3 4 5 ♪6 7
《2012年夏休み》安住邸 安住邸part2
夏の屋上 夏の屋上2 筋肉パラダイス
2012秋美琴
2012秋遠足
2012秋収穫
2012お鍋の会 1 2 3 4 5 6 その後
《2012年 冬の遠足》
1 2 3 4 5 6 7
2012年年の瀬
2013年雪の日
2013年偶然久志&神戸
2013年那智の看病 2013年成の看病 2013年一葉の看病 2013年英人の看病 2013年燕の看病 2013年次の看病
気遣い(2013.3.6)
執事喫茶(2013.3.8)
イチゴ狩り(2013.3.14) イチゴパフェ(2013.3.14) お花見(2013.4.7) 美琴の料理(2013.4.12)
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新作パフェ(2013.4.24)
2013GW砂漠(2013.4.26) 2013死海(2013.4.29) 2013青(2013.4.30) 2013石鹸(2013.5.1) 2013きゅうり(2013.6.27) 2013お昼ごはん(2013.7.6) 2013夏宝箱(2013.8.5) 2013夏宝箱2(2013.8.6)
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『ちょうどいい~』がかけなくて、こんなものが上がっています。(しかも続きはいつか分からない状況…冷汗)
今回、あちこちのお話がくっついています。
本編とは全く繋がりのない番外という形で書きたいので、つながりを読みたくないという方は足を踏み入れない方がいいと思います。
リクエストはS様です。
『一葉と英人をお友達にしてっ!!』と頂いて、何故か今頃…。それも一葉も書き終わっていないこんなとき。
気まぐれでupしていること、お許しください。
那智に紹介してもらったバーは一葉の中でもお気に入りとなっていた。
一人で訪れれば、さりげなく会話を引き出してくれるし、連れが一緒なら必要以上のことを言わないバーテンダー。
大人っぽい雰囲気を纏わせるバーテンダーに、画廊で接客をするようになった一葉もどこか見習いたいところはあった。
そのタイミングのうまさ、というのか、さりげなさにいつも感心させられる。
絵など全く興味がなかった一葉だったが、画廊という場所に勤めたせいか、壁に飾られる絵にどことなく惹きこまれた。
それも一葉を虜にする原因の一つなのだろう。
『榛名英人』という画家は篠原も知っていた。
『手に入れたいけど、なかなかね…』と以前呟いていたのを思い出す。
ということは、この店にはどれくらいの価値が眠っているのだろう…と庶民的な考えが頭を巡っていた。
もちろん、見て回ることを誰も咎めない。
那智と待ち合わせをしたのは夕刻…というより、夜の時間だ。
似たような職についていたから、多少の時間の変動は覚悟の上だった。
約束の時間、バーのカウンターに座った一葉の元に、「ごめん、少し待って」と断りのメールが入れば、忙しいのだな…と判断がつく。
酒に弱いと分かるから、ジュースのような飲み物を頼んだ一葉に、時間があるのだと分かるからか色々と話相手になってくれるところがある。
彼は決してプライベートには触れようとしなかった。
が、隣にいる少し派手目の男は違った。
今日も洗いざらしの髪を軽く梳いただけで、身丈に合う、桜色のシャツを、一見だらしなさそうに上からひとつふたつみっつとボタンを外している状態で気崩し、当たり前のようにカウンターの中にいた。
だけど何度か訪れて、ここで仕事をしている人間ではないのだとすでに知っている。
バーテンダーが愛する相手であって、その仕事を少しでも担いたいのだとは男からも伝わった。
「ねぇねぇ、いつになったらカレシ連れて来てくれるの?」
「長流、そういうこと、聞くもんじゃないから」
バーテンダーに咎められて『長流(たける)』と呼ばれた男はぷぅと頬を膨らませて中のカウンターを出てきた。
「今日はお客になるよ。そこにいるといつも小言言われてさ。『お客さん』と楽しい会話も楽しめない」
「余計なことを言うって分かっているから制しているんだろうがっ。長流の”常識”は一般市民、特に、こんな可愛い子には”毒”なんだよっ」
「"毒”?!そこまで言う?!」
「指導、とか、伝授、とか絶対に余計なお世話!! こっちにいろって」
一葉の隣に座った『たける』に対して、文句ブーブーなバーテンダーが声を荒げる。
客に対しての失礼な言動を控えたい気持ちが何よりも伝わってきたが、同時に”嫉妬”という言葉もそれとなく感じた。
一葉に寄り添うように座った態度が気を荒げるのだろう。
カラン…と来客を示すウェルカムベルがドアから響いてきた。
那智?と振り返った一葉に、那智とは全く異なる色香を漂わせる男が入ってくる。
那智も相当な美女(じゃない、美男)だったが、それをはるかに上回ると思った。
那智が可愛い系と揶揄されるなら、この男は美人系なのだろう。
髪の生え際から足の爪の先まで洗練されたような、全てを磨かれたといっていい人間…。
こんな人間はテレビの世界でだって見たことがないと一葉は内心で思う。
「英人君じゃない。どうしたの、こんな時間に」
隣に座った『たける』が瞬時に首を巡らせた。
『ヒデト』と呼ばれた男は声をかけられて、同時に安堵の息を吐いた。
悩みがあるのはその姿ですぐに分かる。
物ありげな状態に足を踏み入れてしまったようで、一葉の方が縮まった。
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→2
今回、あちこちのお話がくっついています。
本編とは全く繋がりのない番外という形で書きたいので、つながりを読みたくないという方は足を踏み入れない方がいいと思います。
リクエストはS様です。
『一葉と英人をお友達にしてっ!!』と頂いて、何故か今頃…。それも一葉も書き終わっていないこんなとき。
気まぐれでupしていること、お許しください。
那智に紹介してもらったバーは一葉の中でもお気に入りとなっていた。
一人で訪れれば、さりげなく会話を引き出してくれるし、連れが一緒なら必要以上のことを言わないバーテンダー。
大人っぽい雰囲気を纏わせるバーテンダーに、画廊で接客をするようになった一葉もどこか見習いたいところはあった。
そのタイミングのうまさ、というのか、さりげなさにいつも感心させられる。
絵など全く興味がなかった一葉だったが、画廊という場所に勤めたせいか、壁に飾られる絵にどことなく惹きこまれた。
それも一葉を虜にする原因の一つなのだろう。
『榛名英人』という画家は篠原も知っていた。
『手に入れたいけど、なかなかね…』と以前呟いていたのを思い出す。
ということは、この店にはどれくらいの価値が眠っているのだろう…と庶民的な考えが頭を巡っていた。
もちろん、見て回ることを誰も咎めない。
那智と待ち合わせをしたのは夕刻…というより、夜の時間だ。
似たような職についていたから、多少の時間の変動は覚悟の上だった。
約束の時間、バーのカウンターに座った一葉の元に、「ごめん、少し待って」と断りのメールが入れば、忙しいのだな…と判断がつく。
酒に弱いと分かるから、ジュースのような飲み物を頼んだ一葉に、時間があるのだと分かるからか色々と話相手になってくれるところがある。
彼は決してプライベートには触れようとしなかった。
が、隣にいる少し派手目の男は違った。
今日も洗いざらしの髪を軽く梳いただけで、身丈に合う、桜色のシャツを、一見だらしなさそうに上からひとつふたつみっつとボタンを外している状態で気崩し、当たり前のようにカウンターの中にいた。
だけど何度か訪れて、ここで仕事をしている人間ではないのだとすでに知っている。
バーテンダーが愛する相手であって、その仕事を少しでも担いたいのだとは男からも伝わった。
「ねぇねぇ、いつになったらカレシ連れて来てくれるの?」
「長流、そういうこと、聞くもんじゃないから」
バーテンダーに咎められて『長流(たける)』と呼ばれた男はぷぅと頬を膨らませて中のカウンターを出てきた。
「今日はお客になるよ。そこにいるといつも小言言われてさ。『お客さん』と楽しい会話も楽しめない」
「余計なことを言うって分かっているから制しているんだろうがっ。長流の”常識”は一般市民、特に、こんな可愛い子には”毒”なんだよっ」
「"毒”?!そこまで言う?!」
「指導、とか、伝授、とか絶対に余計なお世話!! こっちにいろって」
一葉の隣に座った『たける』に対して、文句ブーブーなバーテンダーが声を荒げる。
客に対しての失礼な言動を控えたい気持ちが何よりも伝わってきたが、同時に”嫉妬”という言葉もそれとなく感じた。
一葉に寄り添うように座った態度が気を荒げるのだろう。
カラン…と来客を示すウェルカムベルがドアから響いてきた。
那智?と振り返った一葉に、那智とは全く異なる色香を漂わせる男が入ってくる。
那智も相当な美女(じゃない、美男)だったが、それをはるかに上回ると思った。
那智が可愛い系と揶揄されるなら、この男は美人系なのだろう。
髪の生え際から足の爪の先まで洗練されたような、全てを磨かれたといっていい人間…。
こんな人間はテレビの世界でだって見たことがないと一葉は内心で思う。
「英人君じゃない。どうしたの、こんな時間に」
隣に座った『たける』が瞬時に首を巡らせた。
『ヒデト』と呼ばれた男は声をかけられて、同時に安堵の息を吐いた。
悩みがあるのはその姿ですぐに分かる。
物ありげな状態に足を踏み入れてしまったようで、一葉の方が縮まった。
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→2
『ヒデト』と呼ばれた人間が流れるような仕草で『たける』の隣に座る。
「ウォッカッっ!!」
「馬鹿言ってんな。そんなもの、飲ませられるか」
注文するものの、あっさりとバーテンダーに却下されて、与えられたのは一葉が飲んでいるものと同じものだった。
プンプンと怒る仕草すら可愛いと思ってしまう…。
完全にむくれていた『ヒデト』はそれを一気飲みして、また『ウォッカッっ!!』とカウンターの上を叩いた。
酒に強そうなところがなんとなく羨ましい一葉である。
「ねぇ、英人君、何があったの?千城に何か言われたなら僕から言ってあげるよ」
一葉に寄り添うように座っていた『たける』が心配げにヒデトの背を撫でた。
その瞬間、我に返ったように、表情が少し落ち着いた。
「神戸さんに言ってもらうようなことじゃないんだけどぉ。仕事だって分かっているから仕方ないのは分かるんだけどさぁ。最近、千城、野崎さんにすごいご執心で…」
「「はぁぁぁぁぁ????」」
ヒデトの台詞に飛び出したのは疑問の声で。それも驚愕。
カウンターの中と、一葉の隣からすさまじいほどの驚嘆する声が上がれば、一葉だってびっくりな組み合わせなのだと認識できた。
「あのね、英人君。千城と野崎さんて…、僕と英人君がアレコレ絡むようなくらいの『ビックリ大賞』だよ」
「そのたとえもどうだよ…」
ぽつり呟かれるバーテンダーの声もひとにらみで『たける』は閉ざした。
一葉はようやく、ここにある人物関係を知る。
隣に座る派手な『たける』を中心に広がっていくらしい世界。
部下とか友人とか、恋人とか。
何もないことに心痛を抱く『ヒデト』を宥めようとしているのが良く伝わった。
それは、可愛がりたい部下、そして友人だからなのだろう。
「何やらかしたかはしらないけど、千城が帰ってくるまで飲もうね。あ、そう、この子もね、お友達待ってて……、ねぇ、君いくつ?」
話相手がいないと分かるから声をかけてくれるのだろうか。
不意にかけられた質問に喉がからからで声が出なかった。
もちろん、未成年ではないと分かるから酒類も出してもらっているのだが…。
「に、じゅう、ろくですけど…」
途切れた答えに、パチッとバーテンダーと『ヒデト』の目が見開いたのが分かった。
正直に答えるべきではなかったのだろうか…。
不安が一葉を襲う。
ぱちくりと瞼を上下させていたのは『たける』で、彼の人懐っこさを喜ばしいと感じたのか、異物を見るような目に脅えたのか…。
「3人して同じ年だったの?」
くるりと顔を巡らせて、再び問われた質問には一葉が固まった。
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また週末休みですかね…。
出来上がり次第何かあげたいんですけど。
1← →3
「ウォッカッっ!!」
「馬鹿言ってんな。そんなもの、飲ませられるか」
注文するものの、あっさりとバーテンダーに却下されて、与えられたのは一葉が飲んでいるものと同じものだった。
プンプンと怒る仕草すら可愛いと思ってしまう…。
完全にむくれていた『ヒデト』はそれを一気飲みして、また『ウォッカッっ!!』とカウンターの上を叩いた。
酒に強そうなところがなんとなく羨ましい一葉である。
「ねぇ、英人君、何があったの?千城に何か言われたなら僕から言ってあげるよ」
一葉に寄り添うように座っていた『たける』が心配げにヒデトの背を撫でた。
その瞬間、我に返ったように、表情が少し落ち着いた。
「神戸さんに言ってもらうようなことじゃないんだけどぉ。仕事だって分かっているから仕方ないのは分かるんだけどさぁ。最近、千城、野崎さんにすごいご執心で…」
「「はぁぁぁぁぁ????」」
ヒデトの台詞に飛び出したのは疑問の声で。それも驚愕。
カウンターの中と、一葉の隣からすさまじいほどの驚嘆する声が上がれば、一葉だってびっくりな組み合わせなのだと認識できた。
「あのね、英人君。千城と野崎さんて…、僕と英人君がアレコレ絡むようなくらいの『ビックリ大賞』だよ」
「そのたとえもどうだよ…」
ぽつり呟かれるバーテンダーの声もひとにらみで『たける』は閉ざした。
一葉はようやく、ここにある人物関係を知る。
隣に座る派手な『たける』を中心に広がっていくらしい世界。
部下とか友人とか、恋人とか。
何もないことに心痛を抱く『ヒデト』を宥めようとしているのが良く伝わった。
それは、可愛がりたい部下、そして友人だからなのだろう。
「何やらかしたかはしらないけど、千城が帰ってくるまで飲もうね。あ、そう、この子もね、お友達待ってて……、ねぇ、君いくつ?」
話相手がいないと分かるから声をかけてくれるのだろうか。
不意にかけられた質問に喉がからからで声が出なかった。
もちろん、未成年ではないと分かるから酒類も出してもらっているのだが…。
「に、じゅう、ろくですけど…」
途切れた答えに、パチッとバーテンダーと『ヒデト』の目が見開いたのが分かった。
正直に答えるべきではなかったのだろうか…。
不安が一葉を襲う。
ぱちくりと瞼を上下させていたのは『たける』で、彼の人懐っこさを喜ばしいと感じたのか、異物を見るような目に脅えたのか…。
「3人して同じ年だったの?」
くるりと顔を巡らせて、再び問われた質問には一葉が固まった。
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また週末休みですかね…。
出来上がり次第何かあげたいんですけど。
1← →3
『たける』の言葉を聞けば”3人”というのが『たける』以外の人間を表すのを物語っている。
どうしたってバーテンダーには風格があったし、『ヒデト』にもそれなりの美貌というか培われた何かが感じられる。
『可愛い』とか『幼い』と散々言われてきた一葉にとって、『同じ年』と言われたことは驚き以外のなにものでもない。
「う…っそ、冗談…」
真っ先に口を開いたのはバーテンダーだった。
一葉だって、この男と同じ年とは到底思えない。
老けていると言ってしまえば失礼に当たるが、世の、あれこれを踏んできたとわかる風貌には一葉とは大きく異なる部分が見えた。
「絶対に年下だと思ってた…」
客に対しての言葉とは思えない口調は、親しみすら込められている気がする。
いままでとは完全に違った言い回しも、嫌味など感じられず、正直な意見であって、告げられても一葉も特に怒ることもなかった。
近付けた…という感じだろうか。
『客』としての壁がどこかはがれた気分でもある。
「ショウはどこか達観し過ぎなんだよ。あー、なんか嫌になっちゃったなぁ。こんな若い子に囲まれて嬉しいのは嬉しいけど…」
「長流っ!!」
「はい、失礼しました。やましい気持ちなんかどこにもないってばぁ。…ねぇ、君、何て言う名前?せっかくここにいるんだからお友達になろうよ。こういうのも『縁』だよ」
一見、ぎくしゃくしそうな場を、『たける』が慣れたように会話を進めていく。
まとめるのがうまいと言っていいんだろうな。
他人行儀なものをすべて取り払い、寄ってくる雰囲気は素直にうれしい。
中條にもどこか似ている…と一葉は内心で思った。
逆らえない何かがある。
促されるまま、口を開いて、改めて自己紹介をするのも変な感じだった。
何よりも一葉を驚かせたのは、この店に飾られている、そう、あの価値の高そうな絵の作家が、この『ヒデト』だと紹介されたことだった。
めまいを起こしそうなほどぐらぐらとしてくる。
名前だけは聞いたことがあったし、それとなく絵も鑑賞させてもらっていたけど、まさか自分と同じ年の書き手とは…。
「すっご…っ」
紹介されて呆然としながら、自分も画廊に勤めていて、少しばかりの知識があると口にしてしまえば食いついてきたのは『たける』で、名刺まで渡された。
「篠原さん?!あー、知ってる知ってる。今度ご挨拶に伺わせてもらうよ。一葉ちゃん、そこにいるんだぁ。なんだか不思議な縁だよね~」
『神戸長流』と印刷された名刺をしみじみと眺めながら、『不思議な縁』がまだ続くのだと、この後、嫌と言うほど知った。
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粗大ゴミがお出掛けしました~。
お昼には戻ってくるんだろうな。…ってことで超速攻で書いています。
明日?!はい、たぶんないかと…。
2← →4
どうしたってバーテンダーには風格があったし、『ヒデト』にもそれなりの美貌というか培われた何かが感じられる。
『可愛い』とか『幼い』と散々言われてきた一葉にとって、『同じ年』と言われたことは驚き以外のなにものでもない。
「う…っそ、冗談…」
真っ先に口を開いたのはバーテンダーだった。
一葉だって、この男と同じ年とは到底思えない。
老けていると言ってしまえば失礼に当たるが、世の、あれこれを踏んできたとわかる風貌には一葉とは大きく異なる部分が見えた。
「絶対に年下だと思ってた…」
客に対しての言葉とは思えない口調は、親しみすら込められている気がする。
いままでとは完全に違った言い回しも、嫌味など感じられず、正直な意見であって、告げられても一葉も特に怒ることもなかった。
近付けた…という感じだろうか。
『客』としての壁がどこかはがれた気分でもある。
「ショウはどこか達観し過ぎなんだよ。あー、なんか嫌になっちゃったなぁ。こんな若い子に囲まれて嬉しいのは嬉しいけど…」
「長流っ!!」
「はい、失礼しました。やましい気持ちなんかどこにもないってばぁ。…ねぇ、君、何て言う名前?せっかくここにいるんだからお友達になろうよ。こういうのも『縁』だよ」
一見、ぎくしゃくしそうな場を、『たける』が慣れたように会話を進めていく。
まとめるのがうまいと言っていいんだろうな。
他人行儀なものをすべて取り払い、寄ってくる雰囲気は素直にうれしい。
中條にもどこか似ている…と一葉は内心で思った。
逆らえない何かがある。
促されるまま、口を開いて、改めて自己紹介をするのも変な感じだった。
何よりも一葉を驚かせたのは、この店に飾られている、そう、あの価値の高そうな絵の作家が、この『ヒデト』だと紹介されたことだった。
めまいを起こしそうなほどぐらぐらとしてくる。
名前だけは聞いたことがあったし、それとなく絵も鑑賞させてもらっていたけど、まさか自分と同じ年の書き手とは…。
「すっご…っ」
紹介されて呆然としながら、自分も画廊に勤めていて、少しばかりの知識があると口にしてしまえば食いついてきたのは『たける』で、名刺まで渡された。
「篠原さん?!あー、知ってる知ってる。今度ご挨拶に伺わせてもらうよ。一葉ちゃん、そこにいるんだぁ。なんだか不思議な縁だよね~」
『神戸長流』と印刷された名刺をしみじみと眺めながら、『不思議な縁』がまだ続くのだと、この後、嫌と言うほど知った。
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お昼には戻ってくるんだろうな。…ってことで超速攻で書いています。
明日?!はい、たぶんないかと…。
2← →4
那智を待つ間の時間、さっきまで『客』だった一葉の存在は、一転して和やかなムードの中に放り込まれた。
一葉の私生活が見えれば見えるほど、神戸が言葉巧みに話題を振ってくるし、バーテンダーと神戸のやりとりも笑えるものがある。
「でさぁ、さっき英人君が言ってた『千城』っていうのがある会社の社長をしているんだけど、『野崎さん』って言う人はその秘書なのね。まぁいつも付いて回っている二人だから疑いたくなる気持ちも分からなくはないけどさぁ。ありえないよ」
神戸が一葉にも話の流れを説明してくれながら、英人をなだめている。
バーテンダーの態度を見ても、何を基準に疑いなど持つのかと疑問のようだ。
英人も理解はしているらしく、一過性の苛立ちなのだといった感じだった。
たぶん、どこかで吐き出したい程度のものなのだろう。
少し上を向いて小さく吐息を漏らした。
「ご執心、っていうのは確かに間違えてるけど、野崎さんに恋人が出来ちゃったことで、千城ってばそれをネタにからかいたいらしいんだよね。おかげで勤務時間は長くなっているし、なんだか毎日楽しそうに出勤していくし、」
「「えぇぇぇぇっっ???!!!」」
再び神戸とバーテンダーから驚愕の声が上がれば、英人が話した内容は相当な意外性があったらしい。
英人の悩みなどよりも最重要視された話題である。
「はぁっ?!野崎さんに恋人っ?!」
「千城さんと野崎さんの組み合わせとか言っている時じゃないだろ」
バーテンダーは完全に仕事を放り投げて話に喰いついてきた。
それほどまでのビックリで驚きな話ともなれば、一葉だって頭の中で激しく想像を膨らませる。
社長と秘書という関係は、一葉にはピンとくるものではなかったが、秘書という職業にはどこか硬いイメージが沸いた。
「相手、誰?!っていうか、野崎さん、どこにそんな時間があったの?!散々千城に振りまわされていてっ!!」
「あれだよ、あの、日野が前に働いていたとこの人。オーナーの仕事の手伝いに行ってて…」
目を見開く神戸に対して、英人の方がキョトンとしていた。
さすがにここまでの反応とは思っていなかったようだ。
「まさかオーナー?!あの人なら野崎さん、釣り上げることも簡単そうだけどさ」
「たけ…、それも聞かせられない…」
神戸の直接的な物言いにはさすがにバーテンダーも口を閉ざしていた。
凄まじく頭を巡らせるのだが、一葉の思考はすでにいっぱいいっぱいで、話についていくことは困難と言って良かった。
知らない人間の話を聞いているだけなのだから当然なのだが、たぶん、一葉の常識の範囲を越えているのだろう。
「違うよ、新しく入った人。この前動物園で一緒にヤギにエサもあげてさぁ」
「あのバーテンっ?!ヤギ?!エサ?!野崎さんも一緒にっ?!」
「…ごめん、俺、もう想像できない…」
「ショウっ!!お店閉めようっ!!もう一回ちゃんと顔を見に行くっ!!」
「アホかっ」
社長と秘書とその恋人がヤギにエサやりなのか~と、妙にほのぼのとした光景が浮かんだ。
英人の容姿をあてはめても、安住と一緒にいる自分たちを隣に置いたところで何も不思議なことはないような気がしなくもない。
あぁ、そう、那智と高柳が一緒に来ても…である。
何故そんなに驚かれることなのか…、もしかして『野崎さん』とやらは、とても年をとったハゲたオヤジなのだろうか…。
「ねぇ、千城、今日ここに来るの?野崎さんも引っ張ろうよ。仕事なんかさっさと終わりにしろって僕から言うから」
神戸が言い終わるか終わらないかのうちに携帯電話を取り出した。
あまりにも素早い行動に、『26歳』は固まる。
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一葉、ごめんね。すっかり放りだされちゃったね…。
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一葉の私生活が見えれば見えるほど、神戸が言葉巧みに話題を振ってくるし、バーテンダーと神戸のやりとりも笑えるものがある。
「でさぁ、さっき英人君が言ってた『千城』っていうのがある会社の社長をしているんだけど、『野崎さん』って言う人はその秘書なのね。まぁいつも付いて回っている二人だから疑いたくなる気持ちも分からなくはないけどさぁ。ありえないよ」
神戸が一葉にも話の流れを説明してくれながら、英人をなだめている。
バーテンダーの態度を見ても、何を基準に疑いなど持つのかと疑問のようだ。
英人も理解はしているらしく、一過性の苛立ちなのだといった感じだった。
たぶん、どこかで吐き出したい程度のものなのだろう。
少し上を向いて小さく吐息を漏らした。
「ご執心、っていうのは確かに間違えてるけど、野崎さんに恋人が出来ちゃったことで、千城ってばそれをネタにからかいたいらしいんだよね。おかげで勤務時間は長くなっているし、なんだか毎日楽しそうに出勤していくし、」
「「えぇぇぇぇっっ???!!!」」
再び神戸とバーテンダーから驚愕の声が上がれば、英人が話した内容は相当な意外性があったらしい。
英人の悩みなどよりも最重要視された話題である。
「はぁっ?!野崎さんに恋人っ?!」
「千城さんと野崎さんの組み合わせとか言っている時じゃないだろ」
バーテンダーは完全に仕事を放り投げて話に喰いついてきた。
それほどまでのビックリで驚きな話ともなれば、一葉だって頭の中で激しく想像を膨らませる。
社長と秘書という関係は、一葉にはピンとくるものではなかったが、秘書という職業にはどこか硬いイメージが沸いた。
「相手、誰?!っていうか、野崎さん、どこにそんな時間があったの?!散々千城に振りまわされていてっ!!」
「あれだよ、あの、日野が前に働いていたとこの人。オーナーの仕事の手伝いに行ってて…」
目を見開く神戸に対して、英人の方がキョトンとしていた。
さすがにここまでの反応とは思っていなかったようだ。
「まさかオーナー?!あの人なら野崎さん、釣り上げることも簡単そうだけどさ」
「たけ…、それも聞かせられない…」
神戸の直接的な物言いにはさすがにバーテンダーも口を閉ざしていた。
凄まじく頭を巡らせるのだが、一葉の思考はすでにいっぱいいっぱいで、話についていくことは困難と言って良かった。
知らない人間の話を聞いているだけなのだから当然なのだが、たぶん、一葉の常識の範囲を越えているのだろう。
「違うよ、新しく入った人。この前動物園で一緒にヤギにエサもあげてさぁ」
「あのバーテンっ?!ヤギ?!エサ?!野崎さんも一緒にっ?!」
「…ごめん、俺、もう想像できない…」
「ショウっ!!お店閉めようっ!!もう一回ちゃんと顔を見に行くっ!!」
「アホかっ」
社長と秘書とその恋人がヤギにエサやりなのか~と、妙にほのぼのとした光景が浮かんだ。
英人の容姿をあてはめても、安住と一緒にいる自分たちを隣に置いたところで何も不思議なことはないような気がしなくもない。
あぁ、そう、那智と高柳が一緒に来ても…である。
何故そんなに驚かれることなのか…、もしかして『野崎さん』とやらは、とても年をとったハゲたオヤジなのだろうか…。
「ねぇ、千城、今日ここに来るの?野崎さんも引っ張ろうよ。仕事なんかさっさと終わりにしろって僕から言うから」
神戸が言い終わるか終わらないかのうちに携帯電話を取り出した。
あまりにも素早い行動に、『26歳』は固まる。
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一葉、ごめんね。すっかり放りだされちゃったね…。
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