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BLの丘
おまけのおまけ (策略SS)
2009-09-10-Thu  CATEGORY: 策略はどこまでも
苦情いただいたら、速攻下げます…。
一応、無難な範囲に仕上げたつもりなんですけど…(汗
なんにもアヤシイところ、ないし…(逆に意味深すぎたかしら…???)


玄関を入っても土間続きの一軒家。靴を脱ぐのは2階に上ってからだ。1階は事務所として使用され、居住スペースの全ては2階にあった。とはいえ、広々としたLDKと寝室、ゲストルームが1部屋あるだけの普通の家。
男一人で暮らしている分には充分なスペースだった。
寝室のベッドの中で寝返りをうった中條誠(なかじょうまこと)はすぐ隣で寝そべっている安住享利(あずみきょうり)に向かい合った。

「今日、さくらちゃんに声をかけてたのって、彼氏かなぁ」
「たぶん…ね。前に一度会った時にものすごい睨まれたから」
「え!?享(きょう)ってば会ったことあるの?」
お互いを名前で呼ぶのは二人きりの時くらいだった。
高校で同じクラスになり、色々な面で親しい付き合いを続けてきた。
弁護士を生業とする安住は比較的時間に余裕がある。営業という仕事で外回りの多かった中條は、時折この家を訪ねることもあったが、最近は社内に籠ることばかりで頻繁に来るというわけにはいかなかった。

久し振りに飲みに出た先。以前取り持ってもらった取引のこともあり、社員と安住との饗宴を催すことにした。
その飲みの席に現れた、思わず目を奪われるほどの鍛えられた逞しい男。文句の付けようもないほど整えられた端正な顔立ちは、見る者を確実に仕留めていた。
だが、その男は一人の人物しか捕らえていなかった。それはまぎれもなく中條の部下であり、最近やたらと色気を増した桜庭那智だった。
あからさまに向けられる視線に、二人の間柄がどんなものであるのかと嫌でも想像させられる。

「うん、偶然ね。たぶん、さくらちゃんのことがすごく大事なんだろうね。そんな雰囲気だった」
過去を振り返った安住の瞳は優しい目をしている。
安住はいつも人の幸せを願う人物だった。こんな仕事をしているからなのだろうか。人の笑顔をものすごく重んじる。

『本当は争いなんてなければいいんだよ。そしたら、僕の職業なんて必要ない』
随分昔に、こんな言葉を聞いたことがある。
血を分けた肉親だって、厭味嫌う言葉を吐き、時にはその肉体にだって傷を入れる。
小さな争いから大きな事件まで手広く扱う安住には、どこか心を癒される空間に思えたのかもしれない。

「享ってば、さくらちゃんがお気に入りだったんじゃないの?」
同じ会社繋がりということで、桜庭と出会った日に、即座に電話を掛けてきた安住を思い出せば、嫉妬の一つも沸かないのかと、疑問の声が浮かぶ。
かといって、仲睦まじい二人の間を裂けとか、奪えとか、そういった意味は全くこめられてはいなかった。
単純に安住の好みを聞いたまでで、淡々と言い返す安住の心理を探ってみたかっただけだった。
「もちろん、気に入ってはいるよ。とっても可愛いし。けど、お互い守り合おうとしているものを壊してまで踏み込もうとは思っていないから」
自分の感情は、隣にいる彼とは違う、とふんわり笑った顔が伝えていた。狂うほど相手を追い求めているのではないと、その表情は語っている。
もともと淡白な安住は、人のものと分かるとすぐさま手を引く癖があった。心から求めていない証拠なのだろうか。

…こいつの心を焦がす奴って、出てくるのかなぁ…?…
中條は漠然と思った。
安住が独占欲を見せたことなどない。それだけに、いつかはまり落ちた相手を想像すると、どうなるのかと中條は少しの心配すらしてしまう。
逆にそういった相手に出会ってほしいと願う友人としての気持ちもあった。

「相変わらず冷静なことで…」
「誠だって、さくらちゃんのダーリンを気に入ったんじゃないの?」
まるで見透かしたように安住はクスクスと笑った。思わずしかめっ面になる。
確かに当たっている。見惚れたのは確かだが、テレビに出るアイドルに気を取られるようなものだ。安住ではないが、本気でどうこうしようと思うものではない。

「知らないっ」
感情を読まれたことを、子供のように拗ねて見せれば、笑みを続ける安住には中條の心はお見通しだったのだろう。
シーツに伏せた頭部をポンポンと叩かれた。

酔いの回った夜では、会話もそれほど長くは続かなかった。
色々な思いを巡らせながら、束の間でも目を閉じれば睡魔に襲われる。
中條は優しく撫でられる手を感じながら、闇の中に落ちた。

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コメント | | 2009-09-10-Thu 12:48 [編集]
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Re: わ~いo(^o^)o
コメントきえ | URL | 2009-09-10-Thu 15:19 [編集]
M様

こんにちは。またお越しいただきありがとうございます。
コメまで残していただきとっても嬉しいです(^o^)

> 中條さんと安住さんのSSですね!ドキドキしながら読んじゃいました(〃▽〃)続きがあれば読みたいです~2人が気になって妄想が暴走しそうです。
安住についてはどう処理しようかと悩んで、とりあえず不発弾一発落下…みたいな…。
すごく考えてこんな中途半端なものを書いてしまった次第です。
お詫びしなくっちゃ…。
私の中では『お友達』だったんですけど、かなり匂う雰囲気ですよね~。
あぁ、どうしよう…
というか、安住×中條がアリでいいのか、そっちの方が心配になっています。

ぜひまたお越しください(^O^)/
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コメント | | 2009-09-10-Thu 20:46 [編集]
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Re: お久しぶりです
コメントきえ | URL | 2009-09-10-Thu 21:11 [編集]
こんばんは、M様
ようこそおいでくださいました。

> あの~この二人ってどんな関係設定なんですか?
> 友達以上恋人未満って感じ??
はい。まぁそんなところです。
ある程度年を重ねていますしね。お互い特定の相手もいないですし…。
当初、ただのお友達だったのですが、気付いたらこんなことになっていました(…?私にも分からん)
きっと『添い寝』くらいはあたりまえにしちゃう仲だと思います。
二人の関係は私でも悩んでいます。
それでこんな曖昧な書き方…。申し訳ございませんm(__)m

コメントありがとうございました。
ぜひまた遊びにいらしてください。
中條さんと安住さんて?
コメント甲斐 | URL | 2009-10-14-Wed 17:09 [編集]
これ読んでびっくりしました。
この二人って、どんな関係?
すっかり『学生時代から仲のよかった友人』だと思ってたけど?
別の人との仲を取り持とうとしたり、気にいっちゃったり・・・。
でも、ラストの7行が意味深ですよね。
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