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BLの丘
策略はどこまでも 21
2009-07-09-Thu  CATEGORY: 策略はどこまでも
何をどう言われても、自分の気持ちを言葉に表すには躊躇いが生まれた。那智の本心を知って、重荷になられるのが嫌だった。
そばにいた長い年月、高柳のことを分かっているから、彼に対して嫌うところがないのは自分が一番良く知っている。
どこかで期待していたとしても、高柳からやがて離れる存在になると分かれば、こんな位置などいらなかった。
心の奥底にずーっと長い間隠していた何かを見透かされそうで、見下ろされる視線から反らそうと瞼を閉じる。
高柳から向けられる想いを勘違いして受け止めそうで、考えたくなくて必死に抗うのに、彼は考える間すら与えてくれなかった。

「俺を見ろ」
真上から見下ろされていることを知って、閉じた瞼を上げることが出来ずに首を横に振る。
高柳が、自分だけではない、他の人間とも同じようなことをしているのを知れば、彼らと同じに扱われることが許せない。どんなに高柳に気持ちが傾いたとしても特別になれない自分がひどく惨めに思えた。でも高柳の視線に捕まえられてしまえば、あっというまに堕ちていく自分がわかる。あの、誰をも捕らえるような双眼で見つめられたら…。
知らずに浮かんだ涙を高柳の指がすくい上げる。
いつかのようだと思った。初めてキスをされたときも同じようにボロボロと泣いた。感情なんてなくても体くらい繋げられるといった感じの高柳に翻弄される自分を知って辛かった。
どんなに言葉を重ねられたって、抱かれることを受けたくない自分がいる。誰にでも言っていたかもしれない上辺だけの睦言と思えば、素直に聞くことなどできなかった。

その他大勢と一緒にされるのが、こんなに悔しくて嫌なものだと思ってもいなかった。
そのことに気づいたのは、初めての…あのキス。分かっていたんだ。
だから那智は『親友』である位置を選んだはずなのに。
「那智、嫌なら嫌って言え。でなきゃ、間違いなくこのままお前を抱くぞ」
意志の強い言葉が舞い降りてきた。
溢れ来る涙を久志にぬぐってもらいながら、それでもこみ上げる感情を言葉にすることができない。素直に甘えて傷つくのではないかと、どこまでも脅えた感が拭えずにいる。

「俺のこと、嫌い?」
再び問われる。卑怯だ、そんな聞き方。首を縦に振れるはずないじゃないか。
那智は自分が堕ちていくことを感じながら、それでも言葉を紡ぎだすことができないまま、そっと瞳を開けると、指先で高柳の唇をなぞった。初めて触れるそこは少しの湿り気を帯びながら、でも乾いているように感じられた。
那智の指先をつかまえるとそっとシーツの上で重ねる。
狂った歯車は二度と『親友』という位置に戻してくれないだろう。

高柳の顔が降りてくるのを気配で感じる。何度目かの口付けはひどく官能的で、優しいながらも悲しかった。
全身を撫で上げる高柳の指先に神経が集まり、那智の意志とは関係なく粟立つ肌が妙に艶めかしい。
耳たぶから首筋を舐められ、時折チクッとした痛みが肌に走る。
指先がたどった後を舌先が追い、胸の尖りで移動が止まった。唇で挟まれ、舌で転がされる胸の飾りは、徐々に赤みを増し硬くなった。甘噛みをされるとジンとした痛みと共に感じたことのない刺激が背骨を貫いていく。
「…んぅ…」
同時に、漏れそうになる声を必死の思いで堪える。気を緩めれば、はしたない声が口から飛び出しそうだった。

脇腹や鳩尾、臍の中まで舐められて、那智は気が狂いそうになっていた。
高柳の愛撫は巧みだった。
僅かな時間のうちに、触れたそばから、那智の感じる場所を探り当てていく。
ビクンっと反応する場所を一か所も逃さずに観察されているようで、さらに那智の羞恥心が煽られた。
高みに追いつめられるまでに時間など掛からず、那智は自分の中に生まれる快美感に慄いていた。すでに中心は熱を帯びて形を変えようとしている。
翻弄されるばかりの体の中にもなんとか自制心を保とうとするのだが、高柳の巧妙なる技の中では太刀打ちできなかった。
白磁器のような肌が高揚から桃色に染まっていくのを、高柳は楽しんでいるようだ。

不意に高柳の手が内腿に触れ、強引に開こうとするのを感じると、さすがにじっとしていた那智も抵抗の意思を示した。
「ひっ、あ、だめ…っ」
那智の抵抗を物ともせず、力で両足を抱えた高柳は、那智の内腿の肉を口先で吸い上げた。
すでに那智の欲望を表した中心が、ふるりと震える。
一度、その場所から顔を上げた高柳は那智の唇に再び舞い降りた。
「すげー綺麗」
「…ばっ…、何言って…、んっ…」
僅かな隙間をぬって抵抗しかけた言葉は、高柳の口の中に飲み込まれた。
足を開かされた那智の中心に、高柳の屹立したものが触れた。その硬さに思わず自身も興奮するのを感じる。
触れあうだけのくちづけを繰り返しながら、高柳の手が人に触らせたことのない那智の下肢に落ちた。


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ヒサって言葉足りなすぎでしょ
って、作者が言うな?
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