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BLの丘
策略はどこまでも 26
2009-07-13-Mon  CATEGORY: 策略はどこまでも
R18でお願いします。

「那智、俺だけのもんだ」
地を這うような低音が那智の脳髄に染み込んでくる。
うん、と頷きたかった。高柳の手中に入って、より深く高柳のことを感じたかった。心の中に沸き立つ想いを素直に伝えられたらどれだけ心が軽くなれるだろう。
そして次に待つのは、いつ飽きられるのかという恐怖に脅えながら過ごす日々なのだろうか。
那智は静かに首を振った。
「い、や…。戻って。…友達に戻って…」
声が掠れる。
「那智?」
驚いたような高柳の顔が目の前に見えた。
「戻って…」

繰り返す那智の言葉に、高柳の瞳には強い光が宿った。納得いかないというように那智の頬を太い指先が撫でる。
「ダメだ。…アイツのことが好きなのか?安住ってやつの方がいいのか?」
一瞬のためらいを含んだあとに、高柳から聞かされた名前はあまりにも意外な人物だった。なぜ安住の名前が出るのかおよそ見当もつかなかったが、彼の話をしてからの高柳の態度がいつもと違ったのは確かだと思った。
安住との間を誤解されたくもなく、違うと再び首を振れば、なら何故?と瞳だけで問われる。
どう答えようか、考えあぐねて無言で時を過ごしていると、高柳の双眼が憂いを帯びたものに変わった。

「那智、待つから。俺のとこに来い」
那智は神妙に懇願する高柳の声を初めて聞いた気がした。いつも自信過剰で時に不躾な態度すら見せるほどだったのに、こんな表情など見たことがなかった。
「おまえが欲しい」
高柳の唇が落ちてくる。優しい動きを繰り返す口付けに那智は流されそうになっていた。
『絶対』なんていう言葉はどこの世界においたってあり得ないけど、時が過ぎれば確実に高柳の興味が自分から他の者へと移り変わることは目に見えていた。
高柳のこれまでの不貞は誰よりも知っていたし、その渦中に我が身を突きだせるほど気丈にはできていない。
高柳と関係のあった人間にどうやったら割り切った付き合いができるのか、その手段を教えてほしいくらいだった。
身体だけならともかく、心まで弄ばれるのかとおもう。時が過ぎたときに、どれだけ自分が傷つくのか想像の範囲を越えた。

まだ繋ぎ合ったままの箇所が熱を帯びてまた広がるのを感じる。確かめるかのように襞に高柳の指先が触れると痙攣したように那智の体が震えた。
「ヒ、サ…、ん、もう…」
この期に及んでこの行為を続ける気力がなかった。先ほどの二度の放出で充分に体力を消耗していたし、なにより高柳から施されるあの愛撫をまた受けてしまったら、今度こそ果てのない世界に堕ちてしまうと思った。
そんな那智の胸中を見透かしたかのように、掌が脇から腹へと向かって流れ、力を失った那智自身をふわりと包んだ。
那智の唇から離れた舌先が胸の硬い部分をねっとりと舐め上げる。
「ひ…っさぁ…ぁ」

更に熱を増す高柳を受け入れながら 那智は赦しを乞うように声を上げたが、聞き入れられることはなかった。
「誰のものにもさせない。この身体は俺だけのものにするから」
普段の高柳が戻ってきたと思った。強い意志で自分を貫こうとする、これがいつもの高柳。
欲しいのは体だけなのか…。

那智の裸体に与えられる甘美な情事に、再び息が乱れはじめる。
みっしりと埋め込まれた高柳が緩やかな動きを再開させた。先程よりももっと長い時間をかけて、高柳は動き続けた。
那智は気が狂いそうになっていた。いつまでたっても止められることのない行為に、限界を迎えた分身が何度も解放を求めたが、高柳はわざとそれを反らした。

「…アァ…っ、あ、……ああっっ…!!」
幾度も襲われる波の中で苦しい涙が頬を伝う。
これ以上ないというところまで追い詰められ、苦痛にも似た快感という歓喜に那智からは喘ぎ声が止まらなかった。
「ね…、も…、あ…っ…、……も、イきたい…」

際限のない刺激に耐えられずに、はしたないと思いながらも、那智から絶頂を願う甘い声が漏れれば、高柳は満足したように一度動きを止めた。
口端を少しだけ上げて、それでいいと言うように那智の額に口づけを落とした。
「俺だけを感じろ。俺だけのものになればいい」
高柳の強い眼差しに、恐怖心が湧いた。先に身体を捕られ、感情を二の次にされた扱いに、今更言葉なんて紡ぎだすことなどできない。
この痺れるような快感という狭間にはまり堕ちた身体は、求められればまた応えてしまうだろう。
どうして気持ちを確認する前に体だけが繋がってしまったのか…。
「ぁあぁ―…ッ」
激しく揺すぶられる体が戦慄く。体に与えられる悦びなど知りたくなかった。
蕾の最奥に響く衝撃と、幾度も掠めるあの場所。高柳の手の中に握りこまれた性器が痛いほど感じまくって、那智は壊れてしまうと思った。
「…ん、…ああっっ!!」
大きく身体を仰け反らせて、高柳の手の中へといざなわれる。那智の中で律動を続けていた高柳の灼熱が一際大きく膨らんで爆ぜた。
白い光が頭の中で弾けた気がした。
高柳の熱い息を耳元で受け、また自分の乱れた呼吸も整えることが出来ず、こぼれ落ちた涙を知ることもないまま、那智の意識は深くて暗い闇の中におちていった。


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