安住が作ってくれる食事はいつも失敗がなく、そして美味しい。
傍で見ていると手際の良さにも感心させられる。
居候の身となっては、色々なことをやってあげたい気分でいるのだが、こればかりは一葉が手を出すのは躊躇われる。
絶対に残飯の山だ…。材料費の無駄だ…。
ビールで乾杯をし、居酒屋顔負けの種類の豊富なおかずを食しながら、一葉は「せめて掃除くらいはしたい」と申し出た。
一葉が今まで住んでいたワンルームから比べれば、その数倍の広さがある。
仕事を持っている安住の負担を少しでも減らしてやりたかった。
「気をつかうことはないんだよ。今までだってやってきていたことだし」
「けど…。何もしないなんて嫌で…。俺、こんな料理はできないから、食事の用意とかしてあげられないけど、掃除くらいだったら…」
一葉が食い下がれば安住は小さく笑みを浮かべて一葉の”お願い”を受けてくれた。
「じゃあお願いしようかな」
それは一葉の我が儘を聞き入れた、といった雰囲気があった。
でも安住から任されたことができたようで、どことなく嬉しい一葉だったのだが。
ほどよく酔いが回ったところで、安住は「そろそろリビングに行こう」とさりげなく食事の終了を伝えてきた。
さすがに以前の失態があるので飲み過ぎは厳禁と肝に銘じていた一葉も大人しく従う。
二人並んで食器を片付けたり、今までもやってきたことなのに、どこか新鮮に感じるのは『帰る』必要がなくなったからだろうか。
一つ屋根の下で暮らすことになったのだ、と改めて実感して、やっぱり照れくささに覆われた。
リビングのソファに並んで座りお茶を飲み、しばらく雑談をした。
しばらくすると、昼間の慣れない引っ越しという肉体労働とアルコールの回りで瞼が重くなってくる。
一葉の様子に気付いた安住が「今日はもう寝ようね」と促してきて、ハッと目が覚める。
「あ、ご、ごめんなさい」
「疲れた上にお酒まで飲んだんだから自然と眠くなるよ」
船を漕いでいた一葉を責めることもなく、先に立ち上がった安住が一葉の手を取って、さぁさぁと立たせた。
一葉の部屋はリビングの隣だったから、ここを出れば安住と別れることになる。
こんな状態になりながらも、心地よく過ごせた時間が終わるようで残念な気がした。
だが睡魔は確実に一葉を襲っていたし、ベッドに入ればものの1分と経たないうちに夢の中だろう。
それに安住も今日はあれこれと手を焼いてくれた。
どちらかといえば安住のほうが手際よく物を片付けてくれたといっていいくらいだ。
きっと安住も疲れているに違いないと一葉は素直に従った。
手を引かれるまま僅かな距離を移動する。
一葉の部屋の前で二人向かい合って立てば、気恥ずかしさが生まれた。
安住がこの部屋に入ることはないと昼間言われたけど、少しでもそういった対象に見られているのだと分かれば羞恥心が湧く。
先程まで堂々と安住の顔を見ていられたのに、一葉にはもう見返せる勇気がなかった。
ふんわりと安住が笑うのがなんとなく分かった。
「おやすみ、一葉ちゃん」
そう言って安住は一葉の額にそっと唇を落とした。
またもや突然のことに一葉が硬直する。
心臓が喉から飛び出してきそうなほどドキドキと高鳴った。
「ほら、部屋に入って。ゆっくり休んでね」
部屋のドアを開けてもらい安住に背中を押され、一葉は結局安住の顔を見られずに、蚊の鳴くような声でやっと「おやすみなさい」というのが精一杯だった。
安住がもう一度「おやすみ」と言って、そのドアは閉じられた。
…こんなこと毎晩されたら、心臓が壊れちゃうよ…
ふらふらとベッドにダイブして、ドキドキが止まらない心臓をなんとか落ち着かせようとする。
これもいつか慣れる時がくるのかな…。
唇の触れた額を触れば、熱でも出たのかというくらいにあつい。
それから、ふと頭を過った。
安住が語った全てのことを思い返せば、とどのつまり、一葉から誘わない限り、一葉の心の準備ができた、と伝える手段はないってこと…???
…え?!…『誘う』…の…???
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粗大ゴミが『ゴミ置き場(友達のとこ)に行ってきてもいい?』と言うので大喜びで「朝ごはんも夕ごはんもいらないよね?(長時間お出掛けしてきなさい)」と聞いたら睨まれました(;一_一)
まぁいいや。書けたから。
それにしても…進展がなさ過ぎて余計に書く気力を失っているかもしれないこの子たちですよ…。
4、5日はお出掛けしなきゃならないので、午後、ストックが作れたらいいな~。
ってか、戻ってこないでほしいな~生ごみ。
傍で見ていると手際の良さにも感心させられる。
居候の身となっては、色々なことをやってあげたい気分でいるのだが、こればかりは一葉が手を出すのは躊躇われる。
絶対に残飯の山だ…。材料費の無駄だ…。
ビールで乾杯をし、居酒屋顔負けの種類の豊富なおかずを食しながら、一葉は「せめて掃除くらいはしたい」と申し出た。
一葉が今まで住んでいたワンルームから比べれば、その数倍の広さがある。
仕事を持っている安住の負担を少しでも減らしてやりたかった。
「気をつかうことはないんだよ。今までだってやってきていたことだし」
「けど…。何もしないなんて嫌で…。俺、こんな料理はできないから、食事の用意とかしてあげられないけど、掃除くらいだったら…」
一葉が食い下がれば安住は小さく笑みを浮かべて一葉の”お願い”を受けてくれた。
「じゃあお願いしようかな」
それは一葉の我が儘を聞き入れた、といった雰囲気があった。
でも安住から任されたことができたようで、どことなく嬉しい一葉だったのだが。
ほどよく酔いが回ったところで、安住は「そろそろリビングに行こう」とさりげなく食事の終了を伝えてきた。
さすがに以前の失態があるので飲み過ぎは厳禁と肝に銘じていた一葉も大人しく従う。
二人並んで食器を片付けたり、今までもやってきたことなのに、どこか新鮮に感じるのは『帰る』必要がなくなったからだろうか。
一つ屋根の下で暮らすことになったのだ、と改めて実感して、やっぱり照れくささに覆われた。
リビングのソファに並んで座りお茶を飲み、しばらく雑談をした。
しばらくすると、昼間の慣れない引っ越しという肉体労働とアルコールの回りで瞼が重くなってくる。
一葉の様子に気付いた安住が「今日はもう寝ようね」と促してきて、ハッと目が覚める。
「あ、ご、ごめんなさい」
「疲れた上にお酒まで飲んだんだから自然と眠くなるよ」
船を漕いでいた一葉を責めることもなく、先に立ち上がった安住が一葉の手を取って、さぁさぁと立たせた。
一葉の部屋はリビングの隣だったから、ここを出れば安住と別れることになる。
こんな状態になりながらも、心地よく過ごせた時間が終わるようで残念な気がした。
だが睡魔は確実に一葉を襲っていたし、ベッドに入ればものの1分と経たないうちに夢の中だろう。
それに安住も今日はあれこれと手を焼いてくれた。
どちらかといえば安住のほうが手際よく物を片付けてくれたといっていいくらいだ。
きっと安住も疲れているに違いないと一葉は素直に従った。
手を引かれるまま僅かな距離を移動する。
一葉の部屋の前で二人向かい合って立てば、気恥ずかしさが生まれた。
安住がこの部屋に入ることはないと昼間言われたけど、少しでもそういった対象に見られているのだと分かれば羞恥心が湧く。
先程まで堂々と安住の顔を見ていられたのに、一葉にはもう見返せる勇気がなかった。
ふんわりと安住が笑うのがなんとなく分かった。
「おやすみ、一葉ちゃん」
そう言って安住は一葉の額にそっと唇を落とした。
またもや突然のことに一葉が硬直する。
心臓が喉から飛び出してきそうなほどドキドキと高鳴った。
「ほら、部屋に入って。ゆっくり休んでね」
部屋のドアを開けてもらい安住に背中を押され、一葉は結局安住の顔を見られずに、蚊の鳴くような声でやっと「おやすみなさい」というのが精一杯だった。
安住がもう一度「おやすみ」と言って、そのドアは閉じられた。
…こんなこと毎晩されたら、心臓が壊れちゃうよ…
ふらふらとベッドにダイブして、ドキドキが止まらない心臓をなんとか落ち着かせようとする。
これもいつか慣れる時がくるのかな…。
唇の触れた額を触れば、熱でも出たのかというくらいにあつい。
それから、ふと頭を過った。
安住が語った全てのことを思い返せば、とどのつまり、一葉から誘わない限り、一葉の心の準備ができた、と伝える手段はないってこと…???
…え?!…『誘う』…の…???
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粗大ゴミが『ゴミ置き場(友達のとこ)に行ってきてもいい?』と言うので大喜びで「朝ごはんも夕ごはんもいらないよね?(長時間お出掛けしてきなさい)」と聞いたら睨まれました(;一_一)
まぁいいや。書けたから。
それにしても…進展がなさ過ぎて余計に書く気力を失っているかもしれないこの子たちですよ…。
4、5日はお出掛けしなきゃならないので、午後、ストックが作れたらいいな~。
ってか、戻ってこないでほしいな~生ごみ。
きえ | URL | 2010-05-03-Mon 13:24 [編集]
K様
こんにちは~♪
>あはは~ 『粗大ゴミ』に反応して 思わず出てきちゃいました(笑)うちは 『ゴミ置き場』もないので 羨ましい限り。でこチューでドキドキの一葉だもん、やっぱり安住さんの言う通り 段階踏まないと ダメかな?でも いつか、ー葉にだけは 自分を抑えられなくなって、戸惑ってる安住さんも 見てみたいかも… 。まだ始まったばかりの二人の生活、これからも こっそり覗き見させて下さいね!
粗大ごみの置き場所を週末ごとに考える(誘導する)私です。
こんな連休中はモロに悩みます。
(だってその日暮らし。ストック溜められないし)
今のところ、余裕の安住なのです。
一葉を翻弄させることに一生懸命(?)
階段の一歩先に何があるのかを徐々に教えていく、雄弁な教師…かぁ?!
戸惑う安住のリクは本当に多くて…。
でもまずは、この中途半端をなんとかしなくちゃって思っているんですけど。
途中で盛り込むのもいいのかなぁ…(考えは何時でも変わっています)
素早いコメントありがとうございました。
こんにちは~♪
>あはは~ 『粗大ゴミ』に反応して 思わず出てきちゃいました(笑)うちは 『ゴミ置き場』もないので 羨ましい限り。でこチューでドキドキの一葉だもん、やっぱり安住さんの言う通り 段階踏まないと ダメかな?でも いつか、ー葉にだけは 自分を抑えられなくなって、戸惑ってる安住さんも 見てみたいかも… 。まだ始まったばかりの二人の生活、これからも こっそり覗き見させて下さいね!
粗大ごみの置き場所を週末ごとに考える(誘導する)私です。
こんな連休中はモロに悩みます。
(だってその日暮らし。ストック溜められないし)
今のところ、余裕の安住なのです。
一葉を翻弄させることに一生懸命(?)
階段の一歩先に何があるのかを徐々に教えていく、雄弁な教師…かぁ?!
戸惑う安住のリクは本当に多くて…。
でもまずは、この中途半端をなんとかしなくちゃって思っているんですけど。
途中で盛り込むのもいいのかなぁ…(考えは何時でも変わっています)
素早いコメントありがとうございました。
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M様
こんにちは。
挙動不審になってしまうようなアヤシイ行動、どうかお気を付けくださいね。
ひとおもいにドキュンっといっていただきたい一葉なんですけど…。
すみません、もうすこし、じれじれの世界をご堪能(お見過ごし)ください。
うーん、自覚したから、何か反応があるのか、一葉?!
読者様のご期待を裏切らない程度に脅かしていきたいです(?)
拍手コメありがとうございました。
こんにちは。
挙動不審になってしまうようなアヤシイ行動、どうかお気を付けくださいね。
ひとおもいにドキュンっといっていただきたい一葉なんですけど…。
すみません、もうすこし、じれじれの世界をご堪能(お見過ごし)ください。
うーん、自覚したから、何か反応があるのか、一葉?!
読者様のご期待を裏切らない程度に脅かしていきたいです(?)
拍手コメありがとうございました。
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