店じまいを待つ店主とおかみさんに悪いと思いながら、中條との気さくな会話を楽しんで食事を終えた。
この後…と、まだ話してみたい気持ちを持ちつつ、夜遅くには申し訳ないだろうと腕時計をチラリと見た。
思いの外時間は経っていて、このまま帰っても寝られるのは遅くなってしまう。
連絡が取れなくなるわけではない、と自分を納得させて、二人で会計を済ませると店の外で別れることにした。
「ここで中條さんにお会いできてよかったですよ。一人の淋しい夕食にならなくて済みました」
「こちらこそお付き合いできて楽しかったです。是非また今度」
こんな会話を繰り広げても、大概は社交辞令で終わってしまう。
そうならないように、と磯部は言葉を続けた。
「朝比奈の勤めるお店のこともまたお話を伺えればと思います。私は外回りがほとんどですから時間の都合もつけやすいですし」
暗にいつでも中條に合わせられることを伝えれば、意味を掴み取った中條が口端を上げ、意味深な笑みで磯部を見返してきた。
「僕も外に出ることは結構あるんですよ」
それが仕事のためだけではないとは、勘の良い磯部には判断がついた。
もちろん、公にできることではない。
互いに秘密を持った中高生のような感覚は、より一層胸をとどろかせた。
「御都合のよい日をお待ちしております」
恭しく頭を下げれば、中條が肩に手を置いてきた。
「あまりかしこまらないでください。僕のほうが磯部さんをうやまうべきなんですよ」
柔らかく微笑む姿は、『仕事』を完全に離れている。
公私混同はしない、といった雰囲気だった。
かつて、朝比奈が御礼をしに行きながら酔い潰れて散々迷惑をかけた時のことが脳裏を横切る。
中條の言いたいことを嗅ぎ取った磯部も、一皮むいてもいいとそれとなく感じ取れた。
気遣いながらも、堅苦しくならない雰囲気。
ほんの束の間、話をしただけなのに、長年連れ添ってきたような安心感。
「私だって敬われるべき人間ではないです。歳もそう違うことはないですし、お近づきのしるしにお名前で呼んでも構いませんか?」
営業としての間合いの取り方なのか…、更に突っ込みたい人間関係なのか…。
なんとなく他人行儀な態度で終わってしまうのが悔しい。
磯部の問いに、中條は嫌な顔一つしなかった。
「もちろん。仕事先の上下関係でも取引先でもないんです。『定食屋』で出会った二人…と思えば堅苦しい言葉なんて必要ないでしょう?」
それはナンパか?!とも思える内容だったが、正面から答えられるとスッキリしたものが体を巡った。
…あぁ、本当にかなわないな…
と、磯部はまた思った。
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短いですが、すみません…。
この後…と、まだ話してみたい気持ちを持ちつつ、夜遅くには申し訳ないだろうと腕時計をチラリと見た。
思いの外時間は経っていて、このまま帰っても寝られるのは遅くなってしまう。
連絡が取れなくなるわけではない、と自分を納得させて、二人で会計を済ませると店の外で別れることにした。
「ここで中條さんにお会いできてよかったですよ。一人の淋しい夕食にならなくて済みました」
「こちらこそお付き合いできて楽しかったです。是非また今度」
こんな会話を繰り広げても、大概は社交辞令で終わってしまう。
そうならないように、と磯部は言葉を続けた。
「朝比奈の勤めるお店のこともまたお話を伺えればと思います。私は外回りがほとんどですから時間の都合もつけやすいですし」
暗にいつでも中條に合わせられることを伝えれば、意味を掴み取った中條が口端を上げ、意味深な笑みで磯部を見返してきた。
「僕も外に出ることは結構あるんですよ」
それが仕事のためだけではないとは、勘の良い磯部には判断がついた。
もちろん、公にできることではない。
互いに秘密を持った中高生のような感覚は、より一層胸をとどろかせた。
「御都合のよい日をお待ちしております」
恭しく頭を下げれば、中條が肩に手を置いてきた。
「あまりかしこまらないでください。僕のほうが磯部さんをうやまうべきなんですよ」
柔らかく微笑む姿は、『仕事』を完全に離れている。
公私混同はしない、といった雰囲気だった。
かつて、朝比奈が御礼をしに行きながら酔い潰れて散々迷惑をかけた時のことが脳裏を横切る。
中條の言いたいことを嗅ぎ取った磯部も、一皮むいてもいいとそれとなく感じ取れた。
気遣いながらも、堅苦しくならない雰囲気。
ほんの束の間、話をしただけなのに、長年連れ添ってきたような安心感。
「私だって敬われるべき人間ではないです。歳もそう違うことはないですし、お近づきのしるしにお名前で呼んでも構いませんか?」
営業としての間合いの取り方なのか…、更に突っ込みたい人間関係なのか…。
なんとなく他人行儀な態度で終わってしまうのが悔しい。
磯部の問いに、中條は嫌な顔一つしなかった。
「もちろん。仕事先の上下関係でも取引先でもないんです。『定食屋』で出会った二人…と思えば堅苦しい言葉なんて必要ないでしょう?」
それはナンパか?!とも思える内容だったが、正面から答えられるとスッキリしたものが体を巡った。
…あぁ、本当にかなわないな…
と、磯部はまた思った。
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短いですが、すみません…。
まぁ 勝敗は 関係ないんですけど、でも 中條の方が 磯部より 上?策略家?大人? って感じですもんねー
磯部さ~ん 、もう あなたは 中條に 囚われてしまった! (*>0<*)。。。キャァー。。。byebye☆
磯部さ~ん 、もう あなたは 中條に 囚われてしまった! (*>0<*)。。。キャァー。。。byebye☆
けいったん様
こんにちは。
確かに勝ち負けはないんですけどね。
こういう部門は中條の独壇場というか…。
> まぁ 勝敗は 関係ないんですけど、でも 中條の方が 磯部より 上?策略家?大人? って感じですもんねー
> 磯部さ~ん 、もう あなたは 中條に 囚われてしまった! (*>0<*)。。。キャァー。。。byebye☆
囚われの身になってしまったのかしら、磯部氏。
勝ち目ないのかな~ぁ。
がんばっていただきたい磯部なんですけど…。
コメントありがとうございました。
こんにちは。
確かに勝ち負けはないんですけどね。
こういう部門は中條の独壇場というか…。
> まぁ 勝敗は 関係ないんですけど、でも 中條の方が 磯部より 上?策略家?大人? って感じですもんねー
> 磯部さ~ん 、もう あなたは 中條に 囚われてしまった! (*>0<*)。。。キャァー。。。byebye☆
囚われの身になってしまったのかしら、磯部氏。
勝ち目ないのかな~ぁ。
がんばっていただきたい磯部なんですけど…。
コメントありがとうございました。
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