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BLの丘
策略はどこまでも 35
2009-08-03-Mon  CATEGORY: 策略はどこまでも
たぶん、久志の会社の人間なのだろう。短く刈り上げた髪と聡明な顔つき、俊敏そうな雰囲気がにじみ出ていた。
「なんだ、遠藤じゃん」(←遠藤、お忘れですよね。滝沢の同期、物流部の人間です)
久志は声をかけてきた彼に近寄った。
遠藤と呼ばれた男はチラリと那智に視線を送ってきたが、あまり気にした様子もなく、久志に話しかけていた。
那智は会社の人なのだと判断して、そっと二人の場から距離を取ろうとした。
「聞きましたよー、この前の研修の時、滝沢と一緒に寝ちゃったそうじゃないですかー」

聞き耳を立てなくても若い彼の声は充分に那智の耳に届いた。
『え…!?』
離れかけた那智が、思わず久志を振り返った。
久志の整った眉がピクンと震われ、ただでさえ鋭い双眼が見開かれた気がした。

「もう、昨日大変だったんですよぉ。黒川部長に滝沢のやつ、散々突っつかれてぇ。『研修行って、ダブルベッドルームとかありえねぇ、高柳の策略だっ』て言い張られてたし。滝沢は間違いだし何にもないって言ってんですけどねぇ。でもすっげぇ動揺してたから倉林部長(物流部部長)にまで怪しまれてェ」

那智は完全に動きを止めた。
久志が研修で一泊、どこかの都市に出向くという話は聞いていた。だが、社の人間が一緒だったなど一言だって聞いていない。
いや、聞いていなくったって良かった。あの時はまだ一々詳細まで報告するような仲ではなかったはずだから…。
だけど問題なのは、昨日だ。那智は久志に「那智だけ」が一番だと言われた…。必死にすがりくる久志を撥ねることができず、真実だとして受け止めたのに…。
研修以前からだって、久志は那智の身体を抱いていた。その隙を縫って、研修に行ってダブルベッドとか一緒に寝たとか聞かされれば、昨日久志から告げられた言葉が全て無になってしまうことを感じた。

「お…まっ…っ、何言ってんだよっ!何だその話っ」
久志がすかさず反論したが、那智がその中に動揺が含まれていると見破るのは容易いことだった。
浮かれていたはずの心が湿り気を帯びてズンズンと奥底へと押し下げられていく。
やっぱり、信じるべきじゃなかったんだ…。
暗雲がたちこめ、那智の心を薄暗いものが覆っていった。

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すいません、短くて…。
次の展開、模索中です…。
お土産(餞別)買って素直に帰るはずだったのに…。
ドシテここで遠藤なんていう人が出てきちゃったのか…(ーー゛)
終わりが見えなくなりましたっ。マズイっ。
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