久志は那智に適度な肌の滑りしか与えなかった。布越しに触れられる身体の隅々が嫌というほどに反応を示す。服の上からの、直接的な刺激がないことがこれほど辛いとは知らなかった。
久志の身体に巻きつけられた腕に、さらに力が込められた。
こんなに意地悪な久志は見たことが無い。それだけ安住とのことを疑っているのだと思えたが、感じ始めた那智の身体は反抗すらできなくなっていた。もう久志の思惑に飲み込まれるばかりだ。
「ね、ね、いや…」
あえて言葉にださなくても、それなりに態度で甘えてみせればこれまでの久志はある程度許してくれた。
なのに今は……。
久志は那智の腰を抱きあげると自分の膝の上に乗せてしまった。
すでに昂ぶりを表した久志の下半身を那智自身が感じると、耐えられずに腰が揺れた。
小さく首を振って、このままでは嫌だと促す。
久志はクスリと笑いながら那智の身体を抱き寄せた。
この先にある快楽を那智の身体は知っている。それを求めようと、きゅうっと腕に力を込めたのだが、久志は承諾しなかった。
「そんなんじゃダメ。ちゃんと言って。那智が欲しいのは何?」
わざと擦りつけられる下半身。布の上から体中をまさぐられ、那智の全てを色めきたてた。
「いや…」
身体を触れられるたびにピクピクとする。意思とは関係なく粟立つ肌が恨めしかった。
「嫌ならもうやめようか」
はっきりと物事を言わない那智に、久志がからかうように言う。この状況で久志が本当にやめるとは思えなかったが、いつまでたっても焦らされるだけの快感は那智には辛いだけのものだ。
那智はわずかに首を横に振って見せた。
「じゃあ言って。那智が好きなのは誰?」
那智はもう無理だと思った。黙っててこの辛い状態を続けられ、更に放置なんてどうなってしまうのだろう。
それなら答えてしまおうと思った。それで久志が喜んでくれるなら上等じゃないか…。
しばらく無言で躊躇いをみせてはいたものの、いつもは先に折れるはずの久志は全く懲りた様子もなく、意思が思っていた以上に硬いことを知ると那智は諦めた。
「…ひ、さ…」
那智の喉が震えながら、蚊の鳴くような声が漏れた。
「聞こえない」
意地悪な台詞が那智の鼓膜を攻めた。那智は再び躊躇いながらも、目を閉じて声を振り絞った。
「………、ヒサッ」
もうほとんど自棄だった。
久志はクスリと笑い、『良くできました』と言うように那智の頭上を撫でて触れるだけの口づけをくれた。
ちょうどその時、お風呂が沸いたことを告げるアナウンスが聞こえてきた。
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久志の身体に巻きつけられた腕に、さらに力が込められた。
こんなに意地悪な久志は見たことが無い。それだけ安住とのことを疑っているのだと思えたが、感じ始めた那智の身体は反抗すらできなくなっていた。もう久志の思惑に飲み込まれるばかりだ。
「ね、ね、いや…」
あえて言葉にださなくても、それなりに態度で甘えてみせればこれまでの久志はある程度許してくれた。
なのに今は……。
久志は那智の腰を抱きあげると自分の膝の上に乗せてしまった。
すでに昂ぶりを表した久志の下半身を那智自身が感じると、耐えられずに腰が揺れた。
小さく首を振って、このままでは嫌だと促す。
久志はクスリと笑いながら那智の身体を抱き寄せた。
この先にある快楽を那智の身体は知っている。それを求めようと、きゅうっと腕に力を込めたのだが、久志は承諾しなかった。
「そんなんじゃダメ。ちゃんと言って。那智が欲しいのは何?」
わざと擦りつけられる下半身。布の上から体中をまさぐられ、那智の全てを色めきたてた。
「いや…」
身体を触れられるたびにピクピクとする。意思とは関係なく粟立つ肌が恨めしかった。
「嫌ならもうやめようか」
はっきりと物事を言わない那智に、久志がからかうように言う。この状況で久志が本当にやめるとは思えなかったが、いつまでたっても焦らされるだけの快感は那智には辛いだけのものだ。
那智はわずかに首を横に振って見せた。
「じゃあ言って。那智が好きなのは誰?」
那智はもう無理だと思った。黙っててこの辛い状態を続けられ、更に放置なんてどうなってしまうのだろう。
それなら答えてしまおうと思った。それで久志が喜んでくれるなら上等じゃないか…。
しばらく無言で躊躇いをみせてはいたものの、いつもは先に折れるはずの久志は全く懲りた様子もなく、意思が思っていた以上に硬いことを知ると那智は諦めた。
「…ひ、さ…」
那智の喉が震えながら、蚊の鳴くような声が漏れた。
「聞こえない」
意地悪な台詞が那智の鼓膜を攻めた。那智は再び躊躇いながらも、目を閉じて声を振り絞った。
「………、ヒサッ」
もうほとんど自棄だった。
久志はクスリと笑い、『良くできました』と言うように那智の頭上を撫でて触れるだけの口づけをくれた。
ちょうどその時、お風呂が沸いたことを告げるアナウンスが聞こえてきた。
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