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BLの丘
策略はどこまでも 47
2009-08-15-Sat  CATEGORY: 策略はどこまでも
冬の空は暮れるのが早い。
久志と交わったのが夕方で、あの頃はまだ夕焼けが薄らと室内を照らしていたが、事が終わってみれば暗闇の中だった。
ベッドサイドのライトがオレンジ色の暖かな灯りを放っている。
那智は久志の胸元の筋肉を確認するように一筋ずつ手を当てた。スポーツマンらしい、無駄な贅肉などどこにもないスッキリとした体躯。昔から鍛えられているのがすぐに分かる、出来上がった硬い筋肉が掌に触れた。
とても同じ性とは思えないほど、那智とは異なる体つき。那智をすっぽりと包んでしまう広さと大きさが目の前にあった。
久志の腕に囲われて、こうして素肌を触れ合わせる日が来るなど、想像できただろうか。これまで行われた行為がまるでなかったかのように、今日初めて久志に触れた気がした。

「ヒサ…」
「ん?」
気だるい身体を投げ出し、ぼうっとしながらふと久志の名前を呼ぶと覗き込むような久志の顔が見えた。
那智は正面を向いて話すことにためらいを感じて、胸元に寄り添うように頬をくっつけた。
「…信じちゃったから、ね…。ヒサの方こそ、今度また誰かに手ぇ出したら」
「ないよ。ない。絶対にない。那智さえ居てくれれば他の奴なんてどうだっていい」
那智の言いかけた言葉を途中で遮り、久志は言い切った。那智を安心させるかのような力強い言葉が脳髄に染み込んでくる。
久志の過去はいっぱい知っている。嫌だとは思っても過ぎた過去はどうすることもできず、託すのは未来しかない。
那智の額にかかる髪をかきあげられ、唇が触れた。
「愛してるのは那智だけ。何にも心配しなくていい。ずーっと永遠に那智だけのことを想うから」
尖った顎先をつままれ上向かせられると、久志の唇が下りてきた。
…なんだか誓いのキスみたい…。那智はそんなことを思いながら久志を受け止めた。



同窓会なんて大それた名目であっても、場所が大学時代に通い慣れた駅前の居酒屋とくれば堅苦しさの一つも感じられるものはなく…。集まった連中もさすがに岩村が声をかけただけのことはあって、話がバラけることもないまとまりのある見慣れた顔だった。
那智と久志は指定時間よりも少々遅れて会場にたどり着いた。(←理由はいっぱいある)
「おそいーっ」
と一番に岩村が二人に声をかけると同時に、会場にいた面々が一斉に二人を注目した。久志の人気ぶりを思えば振り向かれるのは当然かな、と那智は思ったのだが、注目の的は辛い。
岩村は前回会った時と違って、知的な縁なしの眼鏡をかけていた。いかにも有能な人間といった印象を持たせる。
ごめんね、と肩をすくめる那智と、どこに座ればいいのかと、目で問う久志に、その場にいた連中は茫然としていた。
「決まってないから適当にどうぞ」
岩村の周りにはたくさんの人が居て、とても寄れる雰囲気もなく、那智は在学中に仲の良かった室橋当真(むろはし とうま)と飯田正則(いいだ まさのり)を見つけるとそちらに歩み寄った。二人とも会社員として働いており、学生時代の浮ついた雰囲気はなくなっていたが、二人を見比べてしまえば室橋の方が活発そうに見える。
口をパクパクさせながら、近づいてくる那智と久志を見比べている室橋に、那智は怪訝な表情を浮かべる。
「え…。おまえら、ついにまとまっちゃったの…?」
疑問形とはいえ、まるで那智と久志のこれまでを知ったかのような口調に那智の方が驚かされた。
咄嗟に久志を見上げるものの、気にした様子もなく動揺の一つも見当たらない。
人にばれてはまずいんじゃないかと、おどおどとする那智を無視して、室橋はチョイチョイと久志の袖を引っ張った。そして久志と小声で会話を始めた。
「いや、いーけどさ。…つーか、なんだよ、なっちのあの色気…」
「やっぱそう思う?」
「おまえ、光源氏? 相手がタカだって知らなかったら間違いなく喰う」
「ぶっ殺す」
「いや、…だから、たとえで…。それよりかなり狙われるんじゃないの?」
「たぶん…。けど、大丈夫だと思う。クギ差しといたから」
「クギ?」
「うん。あまりにも自覚ないからさ、この前ちょっとしたお仕置きを…」
ごにょごにょと交わされる会話は嫌でも那智の耳に届いた。
那智はこめかみがピクピクするのを感じた。

「なんの話をしてんだよ、てめーらっ!!」

到底可愛らしい顔に似合わない言葉が口をつき、顔を真っ赤にした那智は二人を睨みつけるしかできなかった。

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すみません、季節感ない、お話で…。
そしてうちの子たちは♂×♂も平気で受け入れられちゃうようなキャラばっかりだと思いますので…。
『現実としてありえないじゃん!』みたいなご意見は遠慮させてください。
あくまでも私の妄想の世界です。
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