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BLの丘
眼差し 14
2010-12-25-Sat  CATEGORY: 眼差し
至極丁寧な扱いで寝室のベッドの上に下ろされた。
抱きかかえられて歩いている間だけでも擦れる肌が痛いくらいに反応する。
人肌が心地いいなどと思ったのはいつが最後だろう。
佐貫が男であるのに、そんなことはどうでもいいくらいに、今は誰かに縋りつきたい気分になる。
これも薬物が影響しているからなのか…?

「クスリが抜けるまでにしばらく時間がかかるはずだ。ここなら疲れてもそのまま眠れる」
『疲れ』とは何が?という疑問よりも、離れて行こうとする態度に、途端に不安が生まれた。
「や…、俺、どうなっちゃうの…?」
「常習性はないはずだから安心しろ。誰かに、ここにいることを伝えておいたほうがいいヤツっているのか?」
佐貫はあくまでも身体を気遣ってくれる。
今夜は帰れないという意味か、そんなに何がどうなってしまうのかと考えれば考えるほど、未知の世界に成俊は脅えた。
日野はいちいち成俊の行動を気にかける人間でもなく、連絡はなくても問題ない。
譲原にしたって、今日のあの写真のあとですぐに成俊に連絡を取りたがるとも思えない。
首を振れば、「一過性のものだ」と安心させるかのように、やはり何も聞かない佐貫がいる。

淋しがる感情を隠すこともできずに、成俊は目に涙を溜めると、「行かないでほしい」と態度だけで訴えた。
一人にされるのは心細い。
しかし、持て余す身体があるのも事実で、その狭間でどうしていいのか自身でも分からないほど混沌としていた。
「そんな目で見るな。いくら俺でも耐えられなくなる」
佐貫の言葉の意味を理解するのに、時間がかからなかったことが、成俊には不思議なくらいだった。
この男も、”そういう目”で男を見ることができるのだと知る…。
自分がソッチ系の眼鏡にかなうこと自体驚きだったが、それが分かっても彼を拒否しようとも思えず、嫌うこともない。
今となってそういった人間がいるのだと自然と受け止められる自分がいた。

「ど、していいのか、わからない…」
今更精通もなかった頃のガキではあるまいし…と、成俊は口に出してから思ったが、洩れた言葉は確実に佐貫に届いていた。
困惑した表情の佐貫が一度静かに瞼を閉じた。
それからフッと息を吐き出される。
自分よりもずっと多くの人生を見てきた人間だ。
「自分を見捨てるな。俺は、今のおまえに付き合ってやることはできる。でもこんなことで後々後悔させるようなことはしたくない。ましてや享利の」
「親子じゃなかった…」
突然発せられた脈略のない成俊の発言に、佐貫の台詞が途切れる。
何の話か?と不思議がるのが分かるのに、説明をするよりも先に溜めていた思いが口をついていた。
佐貫からも置いて行かれそうになる、言いようのない恐怖。
佐貫はこれまでも何も聞いてこなかった。
何故自分があんな場所でチンピラに捕まってしまったのか、それ以前に、あんな場所をうろつく原因があったこと…。
誰にも言うつもりがなかったのに、口にできた理由はなんなのか成俊にも説明などできない。
ただ、初めて出会った時から佐貫は言葉を選ばず核心を突いてくれるストレートさがあった。
なのに決して否定せず貶しもしない。
成俊が言ったことが佐貫の耳に入れば当然のように譲原にも聞こえることとなるだろう。
真の親子でなかったことは自分だけの秘密にしておきたいと思うのに、呟いてしまったのは、心のどこかで誰かに縋りたい弱さがあるせいだ。
そしてきっと、佐貫は譲原に言わないという勝手な思い込み…。
道端で抱きしめられた時、ずっと耐えて燻っていたものが一気に弾けるように泣き喚けたのも、佐貫の人柄を感じ取れたからだ。

…たぶん、この男なら信じられる…。

「わかんない…よ…、もぅ…、どうしたらいいか…、わかんな…」
心にかろうじて残っていた枷が崩壊した。
同時に触れた体温にドクンと肌が粟立つ。
「はぁぁあぁぁっ…」
自分の声とは思えないような喘ぎ声なのか泣き声なのか、成俊はもう止められなかった。
気遣うように抱きしめてくれた佐貫の腕に不安が宿るのを、成俊は己の『我が儘』という力で封じ込めたかった。
こんな風に人を見たことなど、かつて一度もない。
弱みに、完全に付け込んでいるのだ…。
自分の我が儘は常に胸の奥に隠してきた。

成俊が女と結婚していることを知っている。
男など相手にしたことのない人間なのだとも気付かれている。
道を踏み外させるような気持ちが佐貫にはあるのかもしれない。
職業的な立場から、背徳感もきっと存在しているのだろう。

だけど佐貫は、成俊の感情を汲み取ってくれた。
何かを確かめるわけでもなく、無言で成り行きの行為に付き合ってくれる。
「今からのことは全て忘れればいい」
佐貫の指先がシャツのボタンにかかる。
身体が発火するように熱いせいだろうか、触れる肌が冷たくて心地よくて…、同時に纏う欲望。

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変なところで区切ったっ!\(◎o◎)/!
素敵な週末を~♪(さりげなくまた放置するらしい…)
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コメント

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No title
コメントかや | URL | 2010-12-25-Sat 10:58 [編集]
焦らしプレイの上に放置プレイですか?
きえさんSだー。
疲れとショックと薬で心身が壊れかけてますね。
人肌のぬくもりに癒されるのも、ひとつの手ですよねー。
Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-12-25-Sat 11:51 [編集]
かやさん
こんにちは~♪

> 焦らしプレイの上に放置プレイですか?
> きえさんSだー。
> 疲れとショックと薬で心身が壊れかけてますね。
> 人肌のぬくもりに癒されるのも、ひとつの手ですよねー。

焦らしてる?そうかな~(聞こえない)
放置はまぁ認めるけど…。
Sじゃないよー、私。
うちの子はみーんな身体から落っこちていきますから(///∇//)
今まで苦労してきた成俊、この辺で癒されておきなさい。て感じでいます。
癒されるんだか傷つけられるんだか知らないけど(え?!)
コメントありがとうございました。
余裕は・・・なーーーいッ!
コメントけいったん | URL | 2010-12-25-Sat 13:22 [編集]
でも でも 週末の間 妄想に妄想を重ねて 更新を 待ちますわッ!!

佐貫刑事が 素敵すぎて いいよーー(*^▽^*)
人の 話しを じっくり聞いてくれて 無駄口を たたかず 嘘のない言葉を 言える男性。。。

欲しいーー!きえ様、私に 佐貫を ちょ~だいな♪
(//0//)ゞ...佐貫ファンクラブ作ろうかな...byebye☆
Re: 余裕は・・・なーーーいッ!
コメントきえ | URL | 2010-12-25-Sat 14:49 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> でも でも 週末の間 妄想に妄想を重ねて 更新を 待ちますわッ!!

お待たせしまーす。ごめんなさい。

> 佐貫刑事が 素敵すぎて いいよーー(*^▽^*)
> 人の 話しを じっくり聞いてくれて 無駄口を たたかず 嘘のない言葉を 言える男性。。。
>
> 欲しいーー!きえ様、私に 佐貫を ちょ~だいな♪
> (//0//)ゞ...佐貫ファンクラブ作ろうかな...byebye☆

えぇ、こんなので良かったら持って帰ってくださいww
大人の男、醸し出しているでしょうか。
余計な事には口を突っ込まない、でも人柄を見ちゃう刑事。
そんなところに甘える成くん。
ファンクラブ―?!恐れ多いっ
コメントありがとうございました。
Σ(- -ノ)ノ エェ!?
コメントらぅら | URL | 2010-12-25-Sat 20:55 [編集]
かや様もおっしゃっていますが。。。
焦らしプレイの上に放置ですか?(´_`。)

佐貫~、初物を頂いちゃうくせに、
今からの事は全て忘れろって・・・
ムリでしょう。。。

成俊、これで佐貫の虜かもね(・∀・)ニヤニヤ
Re: Σ(- -ノ)ノ エェ!?
コメントきえ | URL | 2010-12-26-Sun 12:39 [編集]
らぅら様
こんにちは~。
お返事すっかり遅くなりました~m(__)m

> かや様もおっしゃっていますが。。。
> 焦らしプレイの上に放置ですか?(´_`。)

ごめんなさーいっ。

> 佐貫~、初物を頂いちゃうくせに、
> 今からの事は全て忘れろって・・・
> ムリでしょう。。。
>
> 成俊、これで佐貫の虜かもね(・∀・)ニヤニヤ

えーと、佐貫サン、どこまでやるつもりなんですかねー(ハイ?!)
なにするつもりなんですかねー。
きっと忘れられない出来事になると思います。
コメントありがとうございました。
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