R15 少々の性描写があります(?) 閲覧にはご注意ください。
成俊と佐貫との間には気持ちの隔たりがある。
成俊は精神的な安らぎの元として佐貫を求めていたが、佐貫は欲求を晴らす為の存在として見ているのだろう。
そのことは成俊にとって嘆き悲しむ現実であったが、佐貫の優しさに付け入ろうとする邪な考えがないわけでもなかった。
決して突っぱねることはしないだろうと、佐貫の弱い部分を狙っている。
自分はズルイと思う。ズルイと分かっていながら、それでも『欲しい』と願ったものなど、最近の自分にあっただろうか。
ベッドの上に横になった成俊を跨いだ佐貫が、ゆっくりと成俊の唇を食んだ。
昨夜、成俊はくちづけをしようとして躊躇いを持った。
一夜限りの、ただの慰めならば、触れてはいけない場所のように思えたからだ。
だけど今は、そんな抵抗もない。
佐貫も同じように感じてくれているのなら、嬉しいことこの上ないのに…。
上唇と下唇を交互に舌先でなぞられ、時折甘噛みをされる。
そっと忍びこんでくる舌に歯列を割られ、成俊の口腔内をまさぐられた。
こんな官能的なキスを誰かにしたこともしてもらったこともなく、たったこれだけで息が上がった。
大した時間ではないはずなのに、甘さを感じて余計に官能をくすぐられる。
経験値など、格段に違っている。
「さ、ぬ…」
「嫌か?」
昨夜のクスリがあった状態とは異なって、今の行為に嫌悪感を持ったのか?と佐貫の動きが止まった。
そうじゃない、と成俊は首を横に振った。
苦しくなって名前を呼ぶことで息継ぎをしたかっただけだ。
このまま中断されて離れて行かれることに脅えが混じる。
縋る瞳で見上げ、太い二の腕に手をかければ、状況を理解した佐貫がフッと口角を上げた。
「瞳だけで殺し文句に匹敵するな…」
それはどんな意味なのか…。
離れたくないと、成俊の方から寄り添えば、包むように抱きしめてくれる。
「ナリトシ…」
低い声で囁かれて、身体が戦慄く。
もっと…。
昨日と同じだ。
どこまでも貪欲に追い求めてしまう者…。
包み込んでくれる腕に安堵の吐息が漏れる。触られる肌がどんどんと熱くなる。
ずっと燻っていた、心の内に溜め込んだものが吐き出される瞬間。
何をしても佐貫は成俊を拒絶しないだろうという甘えが、今まで以上に大きくなって、成俊に更なる快楽を味あわせた。
お互いが生まれたままの姿になり、羞恥はありはするものの快感の波に襲われていく。
ふと、昨夜も目にした、佐貫の右肩の傷が視界に入る。
この先も、決して綺麗に消えることはないのだと、なんとなく思わせるものだった。
労わるように成俊が手を伸ばすと、佐貫はしたいようにさせてくれた。
でもその瞳の奥に宿る陰りに、薄暗い中でも成俊は気付いた。
さする指先が止まれば、佐貫の手に取られて、甲に口付けられる。
それから髪を撫でられ頬にキスを送られ、佐貫の唇が成俊の耳元を掠めた。
「おまえは幸せになれ」
佐貫が囁いた言葉は、成俊にとってあまりにも衝撃的だった。
受け入れられたと思った矢先に突き放される。
まるで触れてはいけない佐貫の傷に触れて、彼の過去を呼び覚ましたようだ。
傷に触れたことで佐貫の辛く悲しい何かを思い出させ、夢の入り口に立った佐貫まで現実に戻した…。
佐貫から、自分は決して幸せにはなれない、そう告げられているようで、成俊も愁いに覆われていく。
一番辛い時に支えてくれたのが佐貫なら、自分も彼に何かをしてやりたい。
だが佐貫は、成俊の肉体を快楽の海に落しただけで、自らの闇を見せることはなかった…。
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R必要だったんだろうか…。
佐貫、何やら謎の人に…。
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成俊と佐貫との間には気持ちの隔たりがある。
成俊は精神的な安らぎの元として佐貫を求めていたが、佐貫は欲求を晴らす為の存在として見ているのだろう。
そのことは成俊にとって嘆き悲しむ現実であったが、佐貫の優しさに付け入ろうとする邪な考えがないわけでもなかった。
決して突っぱねることはしないだろうと、佐貫の弱い部分を狙っている。
自分はズルイと思う。ズルイと分かっていながら、それでも『欲しい』と願ったものなど、最近の自分にあっただろうか。
ベッドの上に横になった成俊を跨いだ佐貫が、ゆっくりと成俊の唇を食んだ。
昨夜、成俊はくちづけをしようとして躊躇いを持った。
一夜限りの、ただの慰めならば、触れてはいけない場所のように思えたからだ。
だけど今は、そんな抵抗もない。
佐貫も同じように感じてくれているのなら、嬉しいことこの上ないのに…。
上唇と下唇を交互に舌先でなぞられ、時折甘噛みをされる。
そっと忍びこんでくる舌に歯列を割られ、成俊の口腔内をまさぐられた。
こんな官能的なキスを誰かにしたこともしてもらったこともなく、たったこれだけで息が上がった。
大した時間ではないはずなのに、甘さを感じて余計に官能をくすぐられる。
経験値など、格段に違っている。
「さ、ぬ…」
「嫌か?」
昨夜のクスリがあった状態とは異なって、今の行為に嫌悪感を持ったのか?と佐貫の動きが止まった。
そうじゃない、と成俊は首を横に振った。
苦しくなって名前を呼ぶことで息継ぎをしたかっただけだ。
このまま中断されて離れて行かれることに脅えが混じる。
縋る瞳で見上げ、太い二の腕に手をかければ、状況を理解した佐貫がフッと口角を上げた。
「瞳だけで殺し文句に匹敵するな…」
それはどんな意味なのか…。
離れたくないと、成俊の方から寄り添えば、包むように抱きしめてくれる。
「ナリトシ…」
低い声で囁かれて、身体が戦慄く。
もっと…。
昨日と同じだ。
どこまでも貪欲に追い求めてしまう者…。
包み込んでくれる腕に安堵の吐息が漏れる。触られる肌がどんどんと熱くなる。
ずっと燻っていた、心の内に溜め込んだものが吐き出される瞬間。
何をしても佐貫は成俊を拒絶しないだろうという甘えが、今まで以上に大きくなって、成俊に更なる快楽を味あわせた。
お互いが生まれたままの姿になり、羞恥はありはするものの快感の波に襲われていく。
ふと、昨夜も目にした、佐貫の右肩の傷が視界に入る。
この先も、決して綺麗に消えることはないのだと、なんとなく思わせるものだった。
労わるように成俊が手を伸ばすと、佐貫はしたいようにさせてくれた。
でもその瞳の奥に宿る陰りに、薄暗い中でも成俊は気付いた。
さする指先が止まれば、佐貫の手に取られて、甲に口付けられる。
それから髪を撫でられ頬にキスを送られ、佐貫の唇が成俊の耳元を掠めた。
「おまえは幸せになれ」
佐貫が囁いた言葉は、成俊にとってあまりにも衝撃的だった。
受け入れられたと思った矢先に突き放される。
まるで触れてはいけない佐貫の傷に触れて、彼の過去を呼び覚ましたようだ。
傷に触れたことで佐貫の辛く悲しい何かを思い出させ、夢の入り口に立った佐貫まで現実に戻した…。
佐貫から、自分は決して幸せにはなれない、そう告げられているようで、成俊も愁いに覆われていく。
一番辛い時に支えてくれたのが佐貫なら、自分も彼に何かをしてやりたい。
だが佐貫は、成俊の肉体を快楽の海に落しただけで、自らの闇を見せることはなかった…。
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佐貫、何やら謎の人に…。
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その傷跡は 単に 刑事を職としているから 負っただけのモノでは ない?
佐貫の過去に 深く関わっている。しかも 恋愛が 絡んでそう...
過去ある佐貫、ますます 私の好みですねー♪
今 問題を抱えている成俊と 過去ある佐貫、興味惹かれる設定ですね。
今後の 二人の関係には やはり”焦れ~焦れ~”が やっぱり お似合い。
楽しませて貰ってま~す(^^)ゞbyebye☆
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今 問題を抱えている成俊と 過去ある佐貫、興味惹かれる設定ですね。
今後の 二人の関係には やはり”焦れ~焦れ~”が やっぱり お似合い。
楽しませて貰ってま~す(^^)ゞbyebye☆
けいったん様
こんにちはー。
> その傷跡は 単に 刑事を職としているから 負っただけのモノでは ない?
> 佐貫の過去に 深く関わっている。しかも 恋愛が 絡んでそう...
> 過去ある佐貫、ますます 私の好みですねー♪
過去ある男(笑)
今まで佐貫が脱ぐシーンもなかったからねぇ。
もちろん、ここまで深入りしたくなった成俊のおかげで暴かれていきます(?!)
> 今 問題を抱えている成俊と 過去ある佐貫、興味惹かれる設定ですね。
> 今後の 二人の関係には やはり”焦れ~焦れ~”が やっぱり お似合い。
> 楽しませて貰ってま~す(^^)ゞbyebye☆
いろいろあるから求めあえるんでしょうか。
成俊の過去と佐貫の過去。
詳しく話を聞いてしまった時、さぁ、どうなるんでしょう(笑)(←いつもこんなこと言ってる…)
コメントありがとうございました。
こんにちはー。
> その傷跡は 単に 刑事を職としているから 負っただけのモノでは ない?
> 佐貫の過去に 深く関わっている。しかも 恋愛が 絡んでそう...
> 過去ある佐貫、ますます 私の好みですねー♪
過去ある男(笑)
今まで佐貫が脱ぐシーンもなかったからねぇ。
もちろん、ここまで深入りしたくなった成俊のおかげで暴かれていきます(?!)
> 今 問題を抱えている成俊と 過去ある佐貫、興味惹かれる設定ですね。
> 今後の 二人の関係には やはり”焦れ~焦れ~”が やっぱり お似合い。
> 楽しませて貰ってま~す(^^)ゞbyebye☆
いろいろあるから求めあえるんでしょうか。
成俊の過去と佐貫の過去。
詳しく話を聞いてしまった時、さぁ、どうなるんでしょう(笑)(←いつもこんなこと言ってる…)
コメントありがとうございました。
しばらくご無沙汰してしまったので、1話からまとめて読ませていただきました。
成俊くんあまりにもかわいそう。
はじめから何もかもが偽りだったとは思いたくないけれど、もう何も信じられないって感じです。
佐貫さんの真意はよくわかりませんが、自分では幸せにしてあげられないけど今だけは慰めてあげるからというふうに見えます。
なんだか刹那的です。
誰か虚ろな成俊の心を助けてあげてほしいです。
成俊くんあまりにもかわいそう。
はじめから何もかもが偽りだったとは思いたくないけれど、もう何も信じられないって感じです。
佐貫さんの真意はよくわかりませんが、自分では幸せにしてあげられないけど今だけは慰めてあげるからというふうに見えます。
なんだか刹那的です。
誰か虚ろな成俊の心を助けてあげてほしいです。
甲斐様
お久し振りでーす。
またお会いできて嬉しいです♪
> しばらくご無沙汰してしまったので、1話からまとめて読ませていただきました。
> 成俊くんあまりにもかわいそう。
> はじめから何もかもが偽りだったとは思いたくないけれど、もう何も信じられないって感じです。
> 佐貫さんの真意はよくわかりませんが、自分では幸せにしてあげられないけど今だけは慰めてあげるからというふうに見えます。
> なんだか刹那的です。
> 誰か虚ろな成俊の心を助けてあげてほしいです。
佐貫の本心もまだ見えず、ダラダラと前置きが長くて申し訳ないです。
今更こんなこと言われても成俊はもとに戻れないよ~って感じですね。
成俊もアレコレとなんだか不幸体質な子になっちゃって…。
そのうちきっとヒーローが…(ハイ?!Σ( ̄□ ̄;))
コメントありがとうございました。
お久し振りでーす。
またお会いできて嬉しいです♪
> しばらくご無沙汰してしまったので、1話からまとめて読ませていただきました。
> 成俊くんあまりにもかわいそう。
> はじめから何もかもが偽りだったとは思いたくないけれど、もう何も信じられないって感じです。
> 佐貫さんの真意はよくわかりませんが、自分では幸せにしてあげられないけど今だけは慰めてあげるからというふうに見えます。
> なんだか刹那的です。
> 誰か虚ろな成俊の心を助けてあげてほしいです。
佐貫の本心もまだ見えず、ダラダラと前置きが長くて申し訳ないです。
今更こんなこと言われても成俊はもとに戻れないよ~って感じですね。
成俊もアレコレとなんだか不幸体質な子になっちゃって…。
そのうちきっとヒーローが…(ハイ?!Σ( ̄□ ̄;))
コメントありがとうございました。
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