佐貫の言葉がまた途絶える。
何かを思い返している、そんな雰囲気だ。
踏み込めない過去がある気がして成俊が佐貫の胸元を掴めば、やんわりと髪を撫でられた。
「おまえの目は縋られているようで突き放せない」
「それって…」
やはりただの同情なのか…。
自分のことをどう思うのかと聞いておきながら、突き付けられた答えに愕然とするしかなかった。
情けで拾ってもらい、成俊の我が儘を聞いて抱いてもらった…。
佐貫にしてみれば、都合よく飛び込んできた性の処理できる者くらいだったのだろう…。
項垂れる成俊に「ひどいことをしているな…」と珍しく弱々しい声が届く。
だけど佐貫の胸や腕や掌から伝わってくる温かさは、拒絶されているものとは思えなくて…。
彼の闇の部分を知りたいと思ってしまう。
「佐貫さんのことを考えると、なんだか変なんだ…」
心の声が漏れると今更ながら、驚かれているようだった。
こんな風に自分が告白できる人間だとも知らなかった。
だけど、佐貫の言葉は無情に響く。
「忘れろと言ったはずだ…」
不意に涙がぽろりとこぼれた。
成俊が何故佐貫に惹かれているのか、どうしてこうなったのかと、佐貫なりに答えを出したようだ。
「今なら戻れる。俺なんかといて、いいことなんかないんだぞ」
明らかに後悔している声音に顔を上げると、車内の小さな明りに照らされた辛そうな表情が見えた。
落ちていく涙に、佐貫の指先が触れる。
謝られているようで、余計に胸が苦しくなった。
自分は負担にしかならない。
それとも男同士という、社会的に認められづらい立場がそう言わせるのか…。
成俊にはまだその世界が見えていない。
佐貫を苦しめ続けるだけなら、過去を水に流し、ここで別れてしまったほうがいいのか…。
甘えたい気持ちをまた隠さなければいけないのか…。
諦めることには慣れていたから…。
「じゃあ、最後に…」
何故その言葉が出たのか分からないけど、まるで心の扉を永遠と閉じてしまうための呪文でももらうかのように、成俊は自分の唇を佐貫に押し付けた。
『最後…』
もう会わない、と、次の約束をつけられる口実も思い浮かばなく、そう口から飛び出した。
成俊のことを気遣ってくれた存在…。
新しい道を歩けるようにと、励ましてくれたことに感謝するべきなのだろう。
受け止めてくれた唇は温かだった。
ただ触れあわせただけの…、だけど成俊が掴む掌も、抱かれる腕も、何かを隠すように力が込められていた。
包んでくれる全てが、謝罪しているかのように…。
もっと離れ難くなる…。
「行け」
突き放される感じはしなかった。
でも唇を離した途端、あごをしゃくられ車外の暗闇に促された。
後ろ髪を引かれる…。
成俊の今後を暗示するような、闇夜がルームランプの届かないところに広がっていた。
にほんブログ村
とりあえず今日の分。
チャットでも少し話したんですけどup時間変えようかと思って…。(不定時更新が今更何を言う?!ですが)
昼の12時にしようかな…と思ってます。
33← →35
何かを思い返している、そんな雰囲気だ。
踏み込めない過去がある気がして成俊が佐貫の胸元を掴めば、やんわりと髪を撫でられた。
「おまえの目は縋られているようで突き放せない」
「それって…」
やはりただの同情なのか…。
自分のことをどう思うのかと聞いておきながら、突き付けられた答えに愕然とするしかなかった。
情けで拾ってもらい、成俊の我が儘を聞いて抱いてもらった…。
佐貫にしてみれば、都合よく飛び込んできた性の処理できる者くらいだったのだろう…。
項垂れる成俊に「ひどいことをしているな…」と珍しく弱々しい声が届く。
だけど佐貫の胸や腕や掌から伝わってくる温かさは、拒絶されているものとは思えなくて…。
彼の闇の部分を知りたいと思ってしまう。
「佐貫さんのことを考えると、なんだか変なんだ…」
心の声が漏れると今更ながら、驚かれているようだった。
こんな風に自分が告白できる人間だとも知らなかった。
だけど、佐貫の言葉は無情に響く。
「忘れろと言ったはずだ…」
不意に涙がぽろりとこぼれた。
成俊が何故佐貫に惹かれているのか、どうしてこうなったのかと、佐貫なりに答えを出したようだ。
「今なら戻れる。俺なんかといて、いいことなんかないんだぞ」
明らかに後悔している声音に顔を上げると、車内の小さな明りに照らされた辛そうな表情が見えた。
落ちていく涙に、佐貫の指先が触れる。
謝られているようで、余計に胸が苦しくなった。
自分は負担にしかならない。
それとも男同士という、社会的に認められづらい立場がそう言わせるのか…。
成俊にはまだその世界が見えていない。
佐貫を苦しめ続けるだけなら、過去を水に流し、ここで別れてしまったほうがいいのか…。
甘えたい気持ちをまた隠さなければいけないのか…。
諦めることには慣れていたから…。
「じゃあ、最後に…」
何故その言葉が出たのか分からないけど、まるで心の扉を永遠と閉じてしまうための呪文でももらうかのように、成俊は自分の唇を佐貫に押し付けた。
『最後…』
もう会わない、と、次の約束をつけられる口実も思い浮かばなく、そう口から飛び出した。
成俊のことを気遣ってくれた存在…。
新しい道を歩けるようにと、励ましてくれたことに感謝するべきなのだろう。
受け止めてくれた唇は温かだった。
ただ触れあわせただけの…、だけど成俊が掴む掌も、抱かれる腕も、何かを隠すように力が込められていた。
包んでくれる全てが、謝罪しているかのように…。
もっと離れ難くなる…。
「行け」
突き放される感じはしなかった。
でも唇を離した途端、あごをしゃくられ車外の暗闇に促された。
後ろ髪を引かれる…。
成俊の今後を暗示するような、闇夜がルームランプの届かないところに広がっていた。
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とりあえず今日の分。
チャットでも少し話したんですけどup時間変えようかと思って…。(不定時更新が今更何を言う?!ですが)
昼の12時にしようかな…と思ってます。
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s様
おはようございます。
> 佐貫さ~ん!!!
> 何してるんですか?せっかく成俊くんが勇気を出したのに…。受け止めてあげてくださいm(__)m。
佐貫、意気地なし― ( -_-)ノビシ*)゚O゚)あぅ
鞭打ちの刑だ ビシビシ ノノ(☆_@;)☆
成くんは頑張っています。s様に応援してもらってるし。
問題は佐貫だ…。
受け止めるよう説得しなくちゃ(?!)
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> 佐貫さ~ん!!!
> 何してるんですか?せっかく成俊くんが勇気を出したのに…。受け止めてあげてくださいm(__)m。
佐貫、意気地なし― ( -_-)ノビシ*)゚O゚)あぅ
鞭打ちの刑だ ビシビシ ノノ(☆_@;)☆
成くんは頑張っています。s様に応援してもらってるし。
問題は佐貫だ…。
受け止めるよう説得しなくちゃ(?!)
コメントありがとうございました。
アチャーもう信じられない!ヾ(*`ェ´*)ノ
成俊の言葉を聞き 目を見れば 佐貫を どれだけ欲しているか分かるはずなのにぃーー
鍵コメs様、私も一緒に! (メ`皿´)=◯)`з゚)ビシッ
佐貫のバカァ~でも 好きなの~。・゚・(ノД`)・゚・。byebye☆
成俊の言葉を聞き 目を見れば 佐貫を どれだけ欲しているか分かるはずなのにぃーー
鍵コメs様、私も一緒に! (メ`皿´)=◯)`з゚)ビシッ
佐貫のバカァ~でも 好きなの~。・゚・(ノД`)・゚・。byebye☆
けいったんさま
こんにちは。
> アチャーもう信じられない!ヾ(*`ェ´*)ノ
> 成俊の言葉を聞き 目を見れば 佐貫を どれだけ欲しているか分かるはずなのにぃーー
佐貫ってば…佐貫ってば…(佐貫がもじもじ…)
> 鍵コメs様、私も一緒に! (メ`皿´)=◯)`з゚)ビシッ
> 佐貫のバカァ~でも 好きなの~。・゚・(ノД`)・゚・。byebye☆
でも好き…。成俊みたいです、けいったん様。
次のコメレスに続くbyebye☆
こんにちは。
> アチャーもう信じられない!ヾ(*`ェ´*)ノ
> 成俊の言葉を聞き 目を見れば 佐貫を どれだけ欲しているか分かるはずなのにぃーー
佐貫ってば…佐貫ってば…(佐貫がもじもじ…)
> 鍵コメs様、私も一緒に! (メ`皿´)=◯)`з゚)ビシッ
> 佐貫のバカァ~でも 好きなの~。・゚・(ノД`)・゚・。byebye☆
でも好き…。成俊みたいです、けいったん様。
次のコメレスに続くbyebye☆
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