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BLの丘
やすらぎ 8(最終話)
2011-03-14-Mon  CATEGORY: やすらぎ
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。

月明かりが綺麗な夜だった。
灯りをつけない部屋の中に、透かしてしまうような煌々たる光が流れ込んでくる。
シーツの上で二つの体躯が絡み合い踊っていた。
「あ…っ」
一度目の吐精を終えた身体はひどく敏感になっていた。
耳朶に押し付けられた唇が何度も「愛してるよ、望…。愛してる…」と囁く。
熱い舌先が唇を舐め、薄く開いた隙間から潜り込んでくる。
激しく口腔内を攻められる動きに息はあっという間に上がり、その求められ方に、佳史の想いが溢れているようだった。
このベッドの上で抱かれたことは幾度もあったのに、くちづけを交わしたことはなかった。
望の気持ちを汲んでくれていた佳史の配慮だったのだろう。
そして、いつも優しかった。
繊細な動きを見せる指先で身体をまさぐられ、丁寧な仕草で望を快楽の世界へと誘(いざな)ってくれた。

今はどうだろう…。
こんな抱き方をするのか、と知らされる。
これが本来の佳史であり、どれほどの欲求が佳史の中に渦巻いていたのかと刻みこまれる。
重なった唇が名残惜しそうに離れると、透明な糸が二人を繋ぎ、小さな滴が望の口端に零れた。
肩で息をする望に落ちつかせる時を与えず、濡れた唇は首筋を辿り喉仏と鎖骨を軽く吸い上げてから胸の尖りを捕らえた。
先の行為ですでに弄られていたその場所は、充分にしこっていた。
「い…っつ…っ」
口に含まれて舌先でころころと転がされると、ジンジンとした痛みが走る。
痛みはやがて快感に変わり、背中まで痺れさせていくようだった。
片方を口で嬲られ、もう片方は指先で抓まれ捏ねられている。
「やっ…め…っ、そこばっか…っ…」
胸への刺激だけで、股間は濡れそぼり、重なる佳史の体に擦りつけようと腰が浮く。
それが分かったように、空いた佳史の片手が反り立つ望の雄を柔らかく包んだ。
「だ…っめ、そんな…」
「すごい濡れてる…」
胸の上で話されてむず痒さに甘い声が漏れた。
「よ…し…」
何を望むのかなど承知の上で、まだ続けられる行為はじれったく、包まれた掌に押し付けるよう、腰が揺れた。
「佳…、も、やぁ…」
「あぁ、わかったよ…」
これ以上虐めるのは性分ではないと言いたげに、身体を起こした佳史がベッドの上に座ると、望も身体を起こされた。
彼の腿を跨ぐように引き寄せられる。
「望がして…」
一度穿たれた後孔は柔らかなままのはずだ。
佳史が双丘を両手で割り、勃起した屹立の先端を熟れた場所へ当ててくる。
望は佳史の両肩に手を乗せて、ゆっくりと体を落とした。
「あ…ぅ…ぅ…」
仰け反る首筋に佳史の唇が吸いつく。
先程体内で放たれた佳史の精液の滑りが、挿入を助けた。
狭道の中に押し入られるのは苦しい。
だが、その苦しさが今の望には心地よかった。
佳史の全てを受け入れるのだと、心底思うことができたから…。
自分が佳史にしてあげられること、してもらうこと。
ようやく一つになれる、愉悦が血肉の中から湧きあがってくる。
この喜びを誰よりも、きっと佳史自身が感じて、その想いを望に改めて教えてくれる。

…愛されて良かった…、佳史が居て良かった…と…、望自身に思ってほしいと…。

押し開かれカリの一番太い部分を飲み込んだ。
「んっっ…っっ…、はぁぁぁぁ…」
少し進めてはまた戻し…と、幾度か繰り返す。
二人の体には珠のような汗がじっとりと浮かび、お互いが荒い呼吸で酸素を求めていた。
「あ…、あっ…、あぁぁ…」
「あと、すこし…」
佳史は性急になることなく、ただじっと望の行動を待ってくれる。
望の心を確かめるように、佳史が己に言い聞かせて実感しているかのようだった。
最奥に達した時、喜悦の瞳が望を覗き、目の前の口が緩く弧を描いた。
「望…」
名を呼ばれて湿った肌を密着させる。
見下ろした先、悦びを表す形の良い唇に、望のほうからそれを押し付けた。

受け止めよう、その想いを…。
解き放とう、巣食っていた心を…。

遠回りをしてしまったけれど、辿り着くべき場所だった。
自分のために存在してくれるかけがえのない人…。
焦燥感に苛まれることなく、綿のような柔らかさで全てを包んでくれる逞しい心身。
今やっと、”やすらぎ”を手に入れた…。

―完―

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番外という形になりましたが、お付き合いくださいましてありがとうございました。
『心と魂』(『眼差し』が正しいかな)から読まないと理解できないという難文を書いてしまいましたが、読んでくださった方が多く、とても嬉しかったです。
放置してある話もありますし、そちらも書き進めていきたいと思います。
しばらく、新作の話はないかなぁ…。(まぁ、気まぐれで始めるでしょうが…)

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コメント

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No title
コメントきえ | URL | 2011-03-14-Mon 12:01 [編集]
s様
こんにちは。

>この二人の行く末が気になってました。幸せになって欲しかったので、よかったです。望もそうだけど、密かに佳史に幸せになって欲しかったので…。完結、お疲れさまでした。

紆余曲折あった二人でしたが、やっと幸せへの切符を掴みました。
苦しくて長い道でしたね~(← )
これから寄りそい、仲睦まじく生きていくことでしょう。
応援、コメント、ありがとうございました。
No title
コメント甲斐 | URL | 2011-03-14-Mon 12:09 [編集]
やっと、”やすらぎ”を手に入れたんですね
よかった
心が通じ合って身体を繋げるというのはこれまでと違う感情で感覚なんでしょう
すごーくよかったですよ、二人の睦みあいが
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-03-14-Mon 12:34 [編集]
甲斐様
こんにちは。ご一緒していたらしいですね。

> やっと、”やすらぎ”を手に入れたんですね
> よかった
> 心が通じ合って身体を繋げるというのはこれまでと違う感情で感覚なんでしょう
> すごーくよかったですよ、二人の睦みあいが

今までの慰め合うだけのものとは全く異なるでしょうね。
新たな想いを胸に抱いて、抱き合えたこと、良かったです。
感情的に走ったかな…と思っていましたが、うまく伝わってくれましたでしょうか。
コメントありがとうございました。
No title
コメントらぅら | URL | 2011-03-14-Mon 23:43 [編集]
完結お疲れ様でした。

望にとって佳史という”やすらぎ”と言う場所が出来て
(´▽`) ホッっとしています。

最後は心が通じ合って、大人らしい甘々感が
見れて(覗けて?)良かったです♪
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-03-15-Tue 08:59 [編集]
らぅら様
こんにちは~。

> 完結お疲れ様でした。
>
> 望にとって佳史という”やすらぎ”と言う場所が出来て
> (´▽`) ホッっとしています。
>
> 最後は心が通じ合って、大人らしい甘々感が
> 見れて(覗けて?)良かったです♪

終わりました~。
二人ともようやく得られた安堵ですね。
なんか、中途半端にぶった切った感がありますが…。
はい。みんな幸せに暮らしましたとさ…ってことで(笑)
コメントありがとうございました。
コメントたつみきえ | URL | 2013-01-09-Wed 12:14 [編集]
眼差し やすらぎ といっぱい読んでくれた方 ありがとうございました。
過去の作品読んでくれて 本当にうれしいです
この先も書いて行けたらいいなと思います
たしかなことはいえないけど

はげまされて
おうえんされて
頑張ろうと思います

いつもみなさまありがとう

きえちん、がんばるね

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