千城がちょうど外に出ている間、英人がリビングで寛いでいると、玄関チャイムが鳴った。
「はい?」
「宅配便でーす」
「はい」
荷物にあっさりサインをして荷物を受け取る。
依頼主に目をやると、取引先の名前が書き込まれていた。
「白壁ゆかり……。うわっ。送ってくれたんだ」
荷物は小さく軽い。
危険物があるかもしれないからと、千城は単独での開封を許さなかったが、見慣れた名前には気も緩む。
中身が何なのかは以前連絡を貰っていた英人は知っていた。
荷物と同時の時間に帰ってきた千城が、テーブルの上に乗った箱に気付く。
「何か届いたのか?」
「うん、白壁さんから」
「白壁さん?」
聞いたことがない名前だと訝しそうに睨まれた。
英人は携帯を掴むと、バタバタと寝室に入っていった。
「……聞かれて不味い相手か?」
しばらくして、戻って来た英人が嬉しそうに荷物を開封する。
「英人、なんだ、それは」
「白壁さんからのお味噌~♪めちゃくちゃ美味しいらしいんだよ。今日の夕飯、豚汁に変更しようかな」
英人が料理をすることはめったにないが、他人の手に預けたくない食材があるのだとは理解できた。
中からは味噌の他に、立派なお菓子も詰め込まれていた。
「うわー。こんなに送ってもらっちゃって、悪いなぁ」
「誰だ? 白壁ゆかりとは?」
「……? 友達だよ?」
「友達が味噌送ってくるのか?」
「欲しいって言ったら。あげるよって。太っ腹?」
「いやそうではなく…………」
「……千城、妬かなくても。白壁さん、既婚者だよ?」
合っている。千城が妬いているのは合っている。
だがその先がズレている。
「既婚者とかそういう問題じゃなくて、どういう友達なんだ? 味噌ごときでやりとりをする…、いつ知り合ったんだ?」
「……って千城、俺が他社と取引多いの、知ってる?」
「神戸関係のマニアな連中だろう?」
「そんな言い方ないじゃん。まぁそこでチャットしてるんだけど、白壁さんはそのチャット仲間」
「チャットって、ネットで会話するってやつか? 何話してるんだ? チャットで会話って何だ?!」
「仕事の話がほとんど~。納得した?」
英人の淡々とした説明に、千城はしぶしぶ頷いた。
「……一応」
千城は隣に座る英人を抱き込むと、ラグに押し倒した。
英人は千城の首に腕を巻きつけた。
唇を啄ばんで、嬉しそうに微笑む。
「ちょっと嬉しい」
「何がだよ」
「千城のヤキモチ」
それ以上英人が口を聞けないように、千城は唇を塞いだ。
「味噌なんて幾らだって買ってやる」
その晩英人が作った豚汁は格別で、千城も美味しく夕飯を平らげたのだった。
にほんブログ村
チャットでの小遊びです。
原作は佐久トモ様お片付け魔にあります。
某あるかたがお味噌を送ってくださいました。
それのお礼SSです。
分かりづらい方もいらっしゃるかと思います。すみません。自己満足の世界で…。
続けてお嬢様(別名かおる様)BL Island様とくっく様小さな愛の芽吹き様がSSを書いてくださいました。
是非そちらにも伺ってみてください。
味噌話題でここまで広がる…。
「はい?」
「宅配便でーす」
「はい」
荷物にあっさりサインをして荷物を受け取る。
依頼主に目をやると、取引先の名前が書き込まれていた。
「白壁ゆかり……。うわっ。送ってくれたんだ」
荷物は小さく軽い。
危険物があるかもしれないからと、千城は単独での開封を許さなかったが、見慣れた名前には気も緩む。
中身が何なのかは以前連絡を貰っていた英人は知っていた。
荷物と同時の時間に帰ってきた千城が、テーブルの上に乗った箱に気付く。
「何か届いたのか?」
「うん、白壁さんから」
「白壁さん?」
聞いたことがない名前だと訝しそうに睨まれた。
英人は携帯を掴むと、バタバタと寝室に入っていった。
「……聞かれて不味い相手か?」
しばらくして、戻って来た英人が嬉しそうに荷物を開封する。
「英人、なんだ、それは」
「白壁さんからのお味噌~♪めちゃくちゃ美味しいらしいんだよ。今日の夕飯、豚汁に変更しようかな」
英人が料理をすることはめったにないが、他人の手に預けたくない食材があるのだとは理解できた。
中からは味噌の他に、立派なお菓子も詰め込まれていた。
「うわー。こんなに送ってもらっちゃって、悪いなぁ」
「誰だ? 白壁ゆかりとは?」
「……? 友達だよ?」
「友達が味噌送ってくるのか?」
「欲しいって言ったら。あげるよって。太っ腹?」
「いやそうではなく…………」
「……千城、妬かなくても。白壁さん、既婚者だよ?」
合っている。千城が妬いているのは合っている。
だがその先がズレている。
「既婚者とかそういう問題じゃなくて、どういう友達なんだ? 味噌ごときでやりとりをする…、いつ知り合ったんだ?」
「……って千城、俺が他社と取引多いの、知ってる?」
「神戸関係のマニアな連中だろう?」
「そんな言い方ないじゃん。まぁそこでチャットしてるんだけど、白壁さんはそのチャット仲間」
「チャットって、ネットで会話するってやつか? 何話してるんだ? チャットで会話って何だ?!」
「仕事の話がほとんど~。納得した?」
英人の淡々とした説明に、千城はしぶしぶ頷いた。
「……一応」
千城は隣に座る英人を抱き込むと、ラグに押し倒した。
英人は千城の首に腕を巻きつけた。
唇を啄ばんで、嬉しそうに微笑む。
「ちょっと嬉しい」
「何がだよ」
「千城のヤキモチ」
それ以上英人が口を聞けないように、千城は唇を塞いだ。
「味噌なんて幾らだって買ってやる」
その晩英人が作った豚汁は格別で、千城も美味しく夕飯を平らげたのだった。
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原作は佐久トモ様お片付け魔にあります。
某あるかたがお味噌を送ってくださいました。
それのお礼SSです。
分かりづらい方もいらっしゃるかと思います。すみません。自己満足の世界で…。
続けてお嬢様(別名かおる様)BL Island様とくっく様小さな愛の芽吹き様がSSを書いてくださいました。
是非そちらにも伺ってみてください。
味噌話題でここまで広がる…。