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BLの丘
待っているよ 24
2012-06-21-Thu  CATEGORY: 待っているよ
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


15歳の時、弟ができた、と両親に告げられた。
色恋、大人の事情、どういった過程があって子供が生まれるのか、知らない歳ではなかった。
それは、世間的に、恥ずかしさもあったのかもしれない。
でも、喜ぶ両親の笑顔を見ては口は閉ざされる。
それでなくても、10歳離れた穂波がいた筑穂には、受け止めるしかない現実だった。
日に日に構ってもらえる愛情が少なくなったことは、肌で感じていた。
あからさまに弟だけに与えられる愛情に、「お兄ちゃんなんだから」と言われたことは何度あっただろう。
そして、突然消えてしまった存在…。

家族が残してくれた存在に、恨みと憎しみと、愛おしさが増した。
守っていかなければいけないのだと教えられたのは、その時だった。
…あれから三年…。
どこかで、両親を恨んだ罰なのだと、弟たちを手放さず育てることを決めた。

穂波は自分の人生を考えるようになった。
嘉穂もできるだけのことはしようと成長を見せてくれる。
そんな中で、一人、あの時の記憶のまま、頑なになっていたのは筑穂だったのだろうか…。

『もういいよ』…。
擦り寄った筑穂にそっと囁いてくれた大野城の言葉が、溜め込んできた何もかもを解放してくれる。

人の手が…肌が優しい。
人に包まれる温かさに、張り詰めた全身全霊を開放したくなる。
それを、大野城は『いいよ』と受け止めてくれた。
初めて人肌に触れた感触は、自分で弄っていたのとは違う感触と快感を残し、筑穂の『初めて』を晒した。
この歳になって…と羞恥はあるが、それすらも全て受け止めてくれる包容力がある。
少しばかりの見栄が手伝って、大人しくとはいえずためらいながら足を広げたけれど…。
大野城は強引な手をつかわず、でも官能を引き立てる技を忘れない。
湿った口先と、濡れたものを握り込む大きな手のひらにビクビクッと筑穂は体をはねらせた。
人の手…って…、誰かに弄られるって、こんなに違う感覚を残すのだろうか…。

一階と二階と、部屋は離れていたけれど、あからさまに声をあげることは躊躇われた。
両膝を立てられ、恥ずかしさに閉じようとするのも止められ、更なる這わせられる舌先の感触に全身が戦慄く。
「んっ…っ」
声を殺した筑穂を思うのか、濡れる尖端を舐め上げ、屹立を口に含むだけに抑えた大野城だった。
「はぁっ…っ」
漏れそうになる声を、伸びあがった唇が塞いでくれる。
「筑穂…」
耳元に低音が響いた。
「今日は、これだけにしよ…」
ゾクゾクッと全身をしぴらせる声。
剥き出しにされた下半身に、剛直が重ねあわされる。
二本の熱が擦り合って、筑穂は今まで感じたことのない興奮を覚えていた。
その熱を覚えこませるように、ゆっくりと動きだす腰は、徐々に何かを教え込んでくるもののようだった。
「今は残念だけど…今度は筑穂の声を聞いてあげる…」
家族を配慮した姿。
今だけ欲求に流されることなく、筑穂の全部を包んでくれようとする姿。
何よりも筑穂を優先した態度に、改めて嬉しさと安堵が湧き出た。


家族の中で一番最初に目覚めるのは筑穂だ。
夜に入れた炊飯器のタイマーの音が隣の台所から目覚まし代わりになってくれる。
大野城が隣にいたことで、家族に対しての後ろめたさも浮かんだが、いたって普通に過ごす姿に、自分がいかに子供なのかと思わされて、大人ぶった態度が出た。
誰に見られたわけでもない…。普通に過ごせば、昨夜の出来事は隠せるはずのこと…。
筑穂が起き上がるのと同時に、「もう起きるんだ…」と筑穂に労いの言葉をかけてくれた。
抱きしめられていた肌が動けば、自然と目覚めてしまうというのだろうか…。
朝日が差し込む中、肌を晒している存在がかなり羞恥心を運んできてくれたが、慌ただしい朝の景色の中に消えていく。
布団の横に投げ出された衣類を慌てて羽織り、その間に大野城は布団を片付けて跡形を消してくれていた。

まだ静かな家の中に、ガスの火をつけ、トントンとまな板を包丁で叩く音、数枚の皿を並べる音が響いた。
朝練に出向く大野城は穂波と同じ時間か、もっと早い時間に出るはずだろう。
きちんと朝食の用意をする筑穂に、「そんなに頑張らなくていいよ」と背後から声がかけられる。
それでも弟を気遣う栄養バランスをほめたたえてくれる。
「筑穂は、本当に頑張り過ぎた」
決して責めるわけではない。同じものを食べられるのだという喜びも大野城から噴き出されて、筑穂は朝から満足に見舞われた。
人に褒められるのは嫌なことではないし、一日の活力にもなる。
いい匂いが漂った頃、ダダダダッっと階段を飛び降りてくる姿がいる。
すでに身支度が整った大野城とは対照的に、寝起きの穂波の姿は…。
「津屋崎、廊下は走るなっ」
騒音と言わんばかりの音に、冷静に声を発した存在に、改めて気付いた穂波が大きく振り返って台所をのぞきこんでくる。
いつもは一人でバタバタと食事の用意を整える筑穂に、大野城が手を加えてくれることで余裕があった筑穂だったのだが…。
見慣れない光景に、寝起きのボケ頭もパッと冷めた様子だった。
「これ…。日常の光景にしたくない…」
「いいから、顔、洗って来いっ」
「先生、座っててください」
穂波は大野城にうながされ、筑穂は手伝わせていることに気後れしていた。
来客として気遣う姿なのか…、この生活にこのまま馴染んでしまおうとする図々しさなのか…。
絶対に後者だと思った穂波は、自分が家を出るべきか、居座るべきか瞬時に悩んでいた。
「筑穂の朝ご飯が食べられるなんて、幸せな連中だな」

遠くに聞こえる声は、あきらかに、今までの自分たちの生活の中になかった声音だった。
さらに、受け入れている兄の存在が…。

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勝手ながら悔しいブラコンだったりする…。

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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-06-21-Thu 00:30 [編集]
ずっと 一人で頑張ってた母ちゃんに 新しい男が!
それも よく知ってる人

母ちゃんは、まだ若いんだから 恋をしたって構わないし 恋人が出来たって オイラはOKだよ♪
頼りがいがあって 何より母ちゃんを すっごく愛していて 大切にしてくれる いい奴なんだ!
でも 父ちゃんと呼ぶには、ちょっと・・・

てな感じでしょうか?穂波の心境は~! ( ̄ε ̄〃)b

末っ子の嘉穂は、末っ子独特の感で 空気を読んで 勉強をみて貰えると喜ぶでしょうね♪
(⌒_⌒)ノ はーい先生...byebye☆
チェッ。
コメントちー | URL | 2012-06-21-Thu 04:54 [編集]
なんだあー、センセー、中途半端だなあ。やるなら一気にやっちゃえ←訳あってヤサグレ中。

ホナぁ。私もホナの味方だからね。
やだよねー?一緒に住むなんてさあ、やだよねー?

兄ちゃん。センセーより福智が良いよ!
福智って優しすぎて何もできなそうだしねー。

結局、私は兄ちゃん好き。
だと、判明。

あーん、初な兄ちゃんを返せ!
いや、だからセンセーなんだろうけど。

ブラコンホナに期待しよ(^-^)
末っ子は・・・可愛い←おいっ。
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-21-Thu 07:11 [編集]
けいったん様
おはようございます。

> ずっと 一人で頑張ってた母ちゃんに 新しい男が!
> それも よく知ってる人
>
> 母ちゃんは、まだ若いんだから 恋をしたって構わないし 恋人が出来たって オイラはOKだよ♪
> 頼りがいがあって 何より母ちゃんを すっごく愛していて 大切にしてくれる いい奴なんだ!
> でも 父ちゃんと呼ぶには、ちょっと・・・
>
> てな感じでしょうか?穂波の心境は~! ( ̄ε ̄〃)b

複雑な心境の成長期の男の子です。
父ちゃんとも兄ちゃんとも呼べない存在だなぁ…。
お互い愛し合っているなら…って認めてはいるんでしょうがね。

「毎日説教されそうだよ…(´Д`) =3 ハゥー」by穂波

> 末っ子の嘉穂は、末っ子独特の感で 空気を読んで 勉強をみて貰えると喜ぶでしょうね♪
> (⌒_⌒)ノ はーい先生...byebye☆

宿題につられる末っ子ですね。
香春とふたり、自宅で塾♪
(先生のお帰りはそんなに早くないと思いますが…。きっと帰ってくるまで待っている宿題)
コメントありがとうございました。

Re: チェッ。
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-21-Thu 07:27 [編集]
ちー様
おはようございます。

> なんだあー、センセー、中途半端だなあ。やるなら一気にやっちゃえ←訳あってヤサグレ中。

中途半端(爆)
最後までたどり着けなかったのは嬌声が家じゅうに響き渡っちゃうのを回避したかったからなんですかね。
さすがにそこは、センセー…。

ちー様、何がおありだったのでしょう…。

> ホナぁ。私もホナの味方だからね。
> やだよねー?一緒に住むなんてさあ、やだよねー?
>
> 兄ちゃん。センセーより福智が良いよ!
> 福智って優しすぎて何もできなそうだしねー。

もしかしてセンセーは嫌われているのでしょうか。
福智ね~。アイツも優しく見守ってきた人ですからね~。
筑穂のがんばりを、たぶん一番近くで見てきた人でしょう。

> 結局、私は兄ちゃん好き。
> だと、判明。
>
> あーん、初な兄ちゃんを返せ!
> いや、だからセンセーなんだろうけど。
>
> ブラコンホナに期待しよ(^-^)
> 末っ子は・・・可愛い←おいっ。

お兄ちゃん好き言ってくださってありがとうございます。
一番年取ってるくせに一番ウブだった。
性に目覚める暇もなかったのね…。
その反面、末っ子は…。
コメントありがとうございました。
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