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BLの丘
木漏れ日 23
2013-08-22-Thu  CATEGORY: 木漏れ日
食事をしながら、話しはもっぱら猫のことと、何故か先日の海に出かけた時のことになった。
若者同士のほうがいいだろうと、親たちは客間で過ごしている。
なんだか立場が逆のような気がしなくもないが、返って静かに過ごせるのかもしれない。
瀬見と八竜が並んで座り、前に鳥海と白神が腰を落ちつけた。
休日の昼間ではまず出てこない手の込んだ料理は種類も多く、豪華な気分にさせてくれる。
たぶん大量に作ってあり、残ったものが夕食に出されて、そこで母親は手を抜くのだろうが…。
大豆の五目煮やかぶら蒸し、切干し大根の煮物、魚の煮付け、天ぷらなど。メインは豚しゃぶそうめんだった。
普段であればそうめんの一品(豚しゃぶが乗っているかもアヤシイ)で済まされてもおかしくないところなのだから、どれだけ賑やかな食卓なのだろう。
バニラとビターには『プレミアムねこまんま』の缶詰をそれぞれに一缶ずつあげたら、満足したのかお昼寝場所に戻っていった。

「へぇ、貸切だったんだ」
「そう、民宿でね。他のお客さんに気を使うこともなかったし、楽しかったよ」
「ねー。海すぐ近くだったから涼やかでね」
「学生のうちはいろいろと遊ぶのもいいよ」
海でどんなふうに過ごしたのかの話をして、瀬見も面白そうだねと相槌を打ってくれると、鳥海と白神は意気揚々とアレコレと出来事を語りだす。
渋い顔を浮かべては、ビールからお茶に変わった八竜がいつものごとく口を挟んだ。
「おい、瀬見ってば変な入れ知恵するなよ。ったく、経験者は何、教えるか分かったもんじゃないからな」
「なんだよ、それ。それに俺はフツーの学生だったって」
「はぁっ?!良く言うわ。おまえの印象はいつも遊び回っていた、ってのしかないぞ」
「いいすぎだろ。健全な学生生活送ってました」
瀬見の過去の話が飛び出すと、思わず耳がダンボになってしまう。
八竜もあまり家に寄りつかなかったが、瀬見はどんなふうに過ごしたのだろう。
それより実家から通学していたのだろうか。
まだ知らない瀬見に対しての興味は尽きることなく湧いてきた。
「どの口が『健全』だっていうんだかなぁ。おまえ、とっかえひっかえ、相手変えてたもんな。よく刺されなかったと感心するよ」
『相手』という言葉にはドキリとさせられた。
それが『付き合っていた人』だとは、経験がない鳥海でも分かることだ。
瀬見ほどの容姿をしていれば、モテまくったのも納得できる。
「おまえなぁ…。誤解受ける言い方はやめろよ」
困ったように八竜を咎めるが、盛り上がり始めた話は止まることがない。
「本当のことだろ。ついこの前まで一緒にいたと思ったら、もう次に変わっているんだもんな」
「ただの友人でした」
苦笑を浮かべた瀬見の言い分はどこまで本当なのだろうか。
八竜と瀬見の攻防は容赦なく続いた。
「あっ、そう。言っとけよ。鳥海、こういうヤツに引っかかるなよ」
ブッと飲みかけた炭酸飲料を吹きかけた。
…どうしてこっちに話を振るかなぁ…。
白神がケラケラと笑う。
「可能性ありかも~。森吉くんとも仲良くやってたしね」
「藤里っ」
それこそ余計な話だ。
それを聞いては、八竜も思い出した"この前"があるのだろう。
途端に苦渋の表情に変わる。
「んっとに。雰囲気に流されるって一番悪いだろ」
「え?鳥海くん、そんなことがあったの?」
瀬見にまで問われては何と答えたらいいのだろかと気まずさが浮かぶ。
何があったのかを知る白神と八竜に今更言い訳はきかないが、瀬見に誤解だけは与えたくない気持ちが湧く。
「別に…」
俯いてしまう鳥海は何と答えたらいいのか。
あれは絶対に"海辺の魔法"なのだと言いたい。
普段とは違う空気が、どことなく気持ちを昂らせる何かがあったのだと。

「解放的になる気持ちも分からなくないけれど…」
「瀬見~っ」
やっぱり経験者なのだろうか。
分かったような発言は、またもや鳥海の味方についてくれたけれど。
そんなことは見てきた光景だと多くを語らなくてもそう伝えてくる
どうしたって尻軽な印象だけは避けたかった。
ズンと胸の奥に響いてくるものがあった。
自分のことは棚に上げても、聞きたい思いが勝ってくる。
興味がある、それだけなのかもしれないが、良くも悪くも知りたかった。

「えー、どんなことして遊んだの?」
単純に自分たちとの過ごし方と比べての発言だったが、意味ありな内容ととられたのか、瀬見には困惑の表情さえみえた。
「どんな…って。たぶん、鳥海くんたちと変わらないよ。泳いだりとかジェットもやったし」
「「ジェットぉっ?!」」
その言葉にいたく反応したのはもちろん鳥海と白神だった。
それが免許がなければ乗れない代物だとはついこの間知ったばかりだ。
自分たちでは動かせないと分かるからこそ、憧れるものがある。
いち早く白神が問うていた。
「もしかして瀬見さんって免許持ってるのっ?」
「え、あぁ、まぁ…一応…」
「なぁにが、一応…だよ。散々ナンパしまくっていたくせに。そのために取ったんだろ」
「おまえな~っ。その辺のやつらと一緒にするなよ。サークルの子、乗せてやってただけだろ」
ナンパ目的でルールも無視する連中がいるとは森吉からも能代からも聞かされていた。
そんな奴らには気をつけろとも教えられた。
一番最初、声をかけてきた連中のように…。
でも瀬見はそんな奴らとは同じではないと信じたい。

「「すごいね~っ」」
信用ならない八竜の発言は隅に追いやられた。
素直に瀬見の発言を信じて、白神とふたりして顔を合わせて、またあの爽快さを味わいたいと期待が込められた。
そういえば、話題だけで終わった、八竜の仲間と海にいく計画はどうなったのだろう。
今更ながらに、ただの社交辞令にしたくない。
また楽しみたい思いは白神も一緒だったようで、…そこはやはり遊びたい"学生身分"かもしれない。

「ねぇねぇ、また行こうよ。能代さんに頼んだら、あそこの民宿開けてくれるかな」
白神は使えるものは使う、といった感じだ。
余計な人が立ち入らない環境は、過ごしやすかったと伝える。
みんなが揃う休みがいつになるかは分からないけれど、鳥海もまた行ってみたいところのひとつに上げられる。
『貸切』だったというすでに聞いた話は、八竜と瀬見の興味を充分に惹きつけていた。
やっぱり人に気を使わなくて済む空間だろうか。
社会人だって、日常を離れたい思いは当然あるだろう。
「行く気満々だね」
瀬見に苦笑いを浮かべられて、「だって感覚忘れないうちにまたチャレンジしたいし~」と白神が言うと、鳥海もいろいろと堪能したことが肌に甦って来た。
見慣れない光景はたくさん感動を運んできてくれたのだ。
楽しそうに語る人間を見ては、どこか触発されたものも湧いたのか。
幾分落ち付いた、とはいえ、遊び歩いた兄の行脚は少なからず耳にしていた。
何も自分たちだけが制限されることはないだろう。

「八竜さん、連れて行ってくれなかったら、また鳥海、知らないところでチューしているかもよ」
爆弾発言には鳥海も顔を引きつらせる。
目の前の二人は、見事に固まっていた。
絶対に良からぬイメージを植え付けた…。
だけどそれに対して何も言われないのは、ひと夏の経験として、とらえられたのか…。
白神の発言はもう、ほとんど、脅しではないかと思うのは鳥海だけだし、ほくそ笑んでいる白神をみると、確信犯だと認めざるを得ない。
もしかして、培ったノウハウで八竜に攻め寄る気でいるのかと、強かさが漂う。
既成事実でも作る気か…。
能代と何もなかったのはすでに知るが、まさかとは思うが、彼の性格を思うと、いらぬ入れ知恵をしたのではないかと過っていった。
白神が誰に思いを寄せているのかは、はっきりと伝えられていたはずなのだから。

「是非行ってみたいところだけど、もしダメだったら違う場所に問い合わせてみようかな」
瀬見はニコニコと笑いながら、この話を現実にすることを示唆する。
年上ながら、知り合いもたくさんいるらしい。
八竜はどこに危機感を覚えたのかしらないが、鳥海と白神が「行きたい、行きたいっ」攻撃をすると、諦めたようだった。
思えば、兄弟で出かけたことなんてなかったな…と恥ずかしさも漂っていたけれど。

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夕日沈むところで、チューとかできたらいいね♪(←え?!早すぎ?!)
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コメント

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早いねえ
コメントちー | URL | 2013-08-22-Thu 05:07 [編集]
ダメ、チューしちゃ(笑)

そういや、瀬見ちゃんてばマムちゃんともキスしてたんだよねえ。
あれは、意外だったなあ。
もしかして・・・
と、書いちゃダメだよね(笑)
そこまで、進んでからにしよう。

あ、ようやく瀬見ちゃんと海~。
私達、また日焼け対策しながら監視だわね。
頑張れ、腐レンジャー!
また 白塗りしなくては!
コメントけいったん | URL | 2013-08-22-Thu 10:24 [編集]
瀬見と 海に行けるなんて やったね!(*^-')b

今回も 魔法にかえれちゃうのかなぁ~(@´゚艸`)ウフウフ

瀬見と八竜が同行するなら 鳥海と白神の事を気にしなくてもいいから
心置きなく監視員(←イケメンのね)が出来るわねー
腐レンジャーの皆さん♪
ジーッ (* ̄_ ̄) ポッ♡・・・・・(;   ̄)ゾクゾク 何だ この怪しい気は!

みなぁさま、こんにちは~
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-22-Thu 16:54 [編集]
またもや まとめレス、お許しください。

キス魔瀬見!! ←いえ、違います。
まぁ、あの時はあの時でいろいろあったんでしょうね。(分からないので逃亡)
キスのひとつは社交辞令と思っている瀬見か?!

ちーさま、なにをご想像したのでしょうね。
据え膳食わぬは男の恥???

鳥海ってばこんどはどんなマヤカシに襲われるのでしょうか。
確かに小僧のお守は気にしなくていいかもしれませんね。
腐先輩方~、望遠レンズ特大号たずさえて、監視よろしくおねがいしま~す。
空気は灼熱から緊張感漂う冷気…???
(見守る冷汗?!
)
コメントありがとうございました。
誰か
コメントさえ | URL | 2013-08-22-Thu 21:15 [編集]
船舶免許お持ちのかたはいないのかしら?
ひーちゃんにお願いしてちーちゃんちのクルーザーでも出してもらえないかしら?
あとはカメラに望遠レンズと水中カメラも用意しないと♪
シュノーケルも必要ね。

さっき表参道を仲良く手を繋いで歩いてる外人男子を発見!
すっごく楽しそうにコンビニ袋を持って歩いてたよ。
金髪くんと黒髪くんでした。
違う~
コメントちー | URL | 2013-08-22-Thu 22:21 [編集]
きえちん、外れ~(笑)
書きたいけど、もしかして万が一、きえちんの頭の中とブッキングしてたら、申し訳ないかなあって思って。

大抵、違うけど、たまにピンポンな時もあるから。
しかも、多分マムちゃんとはまだ会ってなさそうだし。
私の中の瀬見ちゃんは、基本良い人。
でも、何かあるとあんなこんな平気でしちゃうんだなあ。
ああ、聞いてみたい、きえちんにっ!


さえさん、私は普通免許しかないです。
千城さんか野崎さんに借りましょ♪
野崎さんなら何でもできます。本当に~(笑)?
みなさま おはようございます
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-23-Fri 08:58 [編集]
腐レンジャーはクルージングですか?
いいですね~。
たまには優雅なお時間を過ごされるのもいいのではないでしょうか。
きえちんも普通免許しかないなぁ。
お友達が船舶免許を持っていたので、船とかジェットとか良く乗せてもらいましたけれど。
ジェットは海外では運転したけど、…あれ?あっちは免許いらなかったのかな。

いやいや、読者様の想像力は怖いですよ。
もう脳みそを見せていただきたいくらい。

マムとはどうなんですかねぇ。
あの子も新入社員で入ってきてからの出来事だったので。
由利はもう退社しているしなぁ。
一緒にお弁当食べててもおかしくないかも?!
またそのうち誰かがゲスト出演するかもね?!
コメントありがとうございました。
コメントけいったん | URL | 2013-08-23-Fri 08:59 [編集]
瀬見に誤解されたくない!と、焦る鳥海
ただ一人 テンションが ダダ下がりの姿は、雰囲気に流された自分が悪いにしろ ちょっと可哀想

そんな鳥海に 優しい眼差しを向ける瀬見は、
まだ 鳥海に 特別な感情を持って無くて 八竜の弟としか 思ってないから?

誰にでも 分け隔てなく接する瀬見ですが、恋人には 結構な執着+独占欲を持っていたりしてねー♪
ガード!┣o(`・ω・´)ェ-`。) 誰にも 触らせないぜ♡
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