「失礼ですが榛名さんと野崎さんは業務外でもよくこのような時間を持たれるのですか?」
安住が静かに問いかければ、苦笑する英人と宮原の姿があった。
仕事つながりとは言っても聞いていることは全くのプライベートだ。
恋人を連れて寄り添う時間がここにはある。
これには千城が答えてくる。
「これも今日に限っての偶然だったんです。野崎は滅多にこの店には来ませんから」
「?」
「美琴さんは普段はうちのバーに来ているんですよ」
「宮原さんもバーを?」
「ええ。まぁ、俺は”自分の店”ではないですけどね」
宮原がさりげないタイミングで口を出してきても誰も違和感を持たない環境になっていた。
それくらいに自然とみんなでの会話が成り立っている。
ともすれば、安住のとなりの英人が口添えしてくる。
安住の穏やかな話し方に、何を話しても受け止めてくれる安堵感が英人の中にも湧いたようだった。
「俺が神戸さんに余計なことを口走っちゃったから、神戸さんが野崎さんと宮原さんを呼んだようなもの…ですか」
「そう」
「良かったら、今度うちの店にも出掛けてください」
「ちょっとぉ、ここのお客さん、とらないでよ」
「べつにいいじゃん、あそこもなかなかいいところだよ」
「まぁ、ショウも長年働いていたお店だしね」
バーテンダーに窘められては首を竦めている神戸だ。
「じゃあ一葉、今度一度お邪魔させてもらおうか」
「はい」
お互いのことをより知ろうという安住の姿勢も嫌がられず、和気あいあいとした空気がながれていた。
こうやって広がっていく空間は、那智には少し申し訳ないような気がしたけれど、一葉でも楽しく感じられた。
あんなにがちがちだった那智も、今ではだいぶ解れている。
神戸が言うように、あくまでもプライベート、と思わせる雰囲気が、肩の力を少しでも落させるのだろう。
「那智も一緒に行こうね」
一葉が囁けば、一瞬「え?」という表情を見せたが、野崎にも明るく微笑まれて「是非おいでください」と呼ばれれば頷くだけだ。
完全に『オン』と『オフ』を切り替えている取引先、そして大人の雰囲気に一葉も那智も見習うべきものが多いと感じていた。
「あ、じゃあさー、今度は水谷さんのお店で『全員集合の会』を作ろうよ。僕とショウも愉しめるし」
「長流はここでだって話してるだけだろーがっ」
「御名答だな。神戸はどこにいても口だけが動く」
「千城なんか毒舌や脅迫の繰り返しじゃない」
素早い切り返しに千城が正面を睨み上げれば、バーテンダーと宮原、野崎が知ったように笑った。
「だから似た者同士と言われるんですよ」
野崎も脅されるだけではなく、言うところはきちんというのか…と一葉はなんだか『上司』と『部下』の関係がいい感じで成り立っているのだと思った。
だからこそ、こうやって『持てる』時間なのだろう。
カウンターに並んだ全員で談笑が続いているところに、また入口のドアが開いた。
那智が何度も振り返る姿を見れば、いかに高柳を待っているのかを知る。
入ってきたのは良く知られた運送会社のユニフォームを着た男で、たぶん、誰もが、『こんな時間に集配?』と思ったはずだった。
「ちょ…っ?!ヒサってば、なんで作業着なんかで来るのっっ?!!!!」
そう、那智の声が響くまで…。
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安住が静かに問いかければ、苦笑する英人と宮原の姿があった。
仕事つながりとは言っても聞いていることは全くのプライベートだ。
恋人を連れて寄り添う時間がここにはある。
これには千城が答えてくる。
「これも今日に限っての偶然だったんです。野崎は滅多にこの店には来ませんから」
「?」
「美琴さんは普段はうちのバーに来ているんですよ」
「宮原さんもバーを?」
「ええ。まぁ、俺は”自分の店”ではないですけどね」
宮原がさりげないタイミングで口を出してきても誰も違和感を持たない環境になっていた。
それくらいに自然とみんなでの会話が成り立っている。
ともすれば、安住のとなりの英人が口添えしてくる。
安住の穏やかな話し方に、何を話しても受け止めてくれる安堵感が英人の中にも湧いたようだった。
「俺が神戸さんに余計なことを口走っちゃったから、神戸さんが野崎さんと宮原さんを呼んだようなもの…ですか」
「そう」
「良かったら、今度うちの店にも出掛けてください」
「ちょっとぉ、ここのお客さん、とらないでよ」
「べつにいいじゃん、あそこもなかなかいいところだよ」
「まぁ、ショウも長年働いていたお店だしね」
バーテンダーに窘められては首を竦めている神戸だ。
「じゃあ一葉、今度一度お邪魔させてもらおうか」
「はい」
お互いのことをより知ろうという安住の姿勢も嫌がられず、和気あいあいとした空気がながれていた。
こうやって広がっていく空間は、那智には少し申し訳ないような気がしたけれど、一葉でも楽しく感じられた。
あんなにがちがちだった那智も、今ではだいぶ解れている。
神戸が言うように、あくまでもプライベート、と思わせる雰囲気が、肩の力を少しでも落させるのだろう。
「那智も一緒に行こうね」
一葉が囁けば、一瞬「え?」という表情を見せたが、野崎にも明るく微笑まれて「是非おいでください」と呼ばれれば頷くだけだ。
完全に『オン』と『オフ』を切り替えている取引先、そして大人の雰囲気に一葉も那智も見習うべきものが多いと感じていた。
「あ、じゃあさー、今度は水谷さんのお店で『全員集合の会』を作ろうよ。僕とショウも愉しめるし」
「長流はここでだって話してるだけだろーがっ」
「御名答だな。神戸はどこにいても口だけが動く」
「千城なんか毒舌や脅迫の繰り返しじゃない」
素早い切り返しに千城が正面を睨み上げれば、バーテンダーと宮原、野崎が知ったように笑った。
「だから似た者同士と言われるんですよ」
野崎も脅されるだけではなく、言うところはきちんというのか…と一葉はなんだか『上司』と『部下』の関係がいい感じで成り立っているのだと思った。
だからこそ、こうやって『持てる』時間なのだろう。
カウンターに並んだ全員で談笑が続いているところに、また入口のドアが開いた。
那智が何度も振り返る姿を見れば、いかに高柳を待っているのかを知る。
入ってきたのは良く知られた運送会社のユニフォームを着た男で、たぶん、誰もが、『こんな時間に集配?』と思ったはずだった。
「ちょ…っ?!ヒサってば、なんで作業着なんかで来るのっっ?!!!!」
そう、那智の声が響くまで…。
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いい感じだな～
ほのぼの、のんびり、だら～んと自宅で適当に飲んでるかのような気を使わないゆったりした空気が流れてきた。
今度はあっちのバーで集合？
あちらの水谷さんは、大丈夫でしょうか
何がって、まあ、やたらめったらと手を出すとは思えませんが、かわいい子好きの水谷さんの毒牙にかかったりしないように当然保護者同伴でお願いします(遅刻もなしで)
ほのぼの、のんびり、だら～んと自宅で適当に飲んでるかのような気を使わないゆったりした空気が流れてきた。
今度はあっちのバーで集合？
あちらの水谷さんは、大丈夫でしょうか
何がって、まあ、やたらめったらと手を出すとは思えませんが、かわいい子好きの水谷さんの毒牙にかかったりしないように当然保護者同伴でお願いします(遅刻もなしで)
甲斐様
おはようございます。
> いい感じだな～
> ほのぼの、のんびり、だら～んと自宅で適当に飲んでるかのような気を使わないゆったりした空気が流れてきた。
神戸が口うるさく言った果てでございます。
こうやってのんび～り、ごろ～んっていう雰囲気でいたいんだと思います。
> 今度はあっちのバーで集合？
> あちらの水谷さんは、大丈夫でしょうか
> 何がって、まあ、やたらめったらと手を出すとは思えませんが、かわいい子好きの水谷さんの毒牙にかかったりしないように当然保護者同伴でお願いします(遅刻もなしで)
(o´艸`o)
そうですね。同伴で行かないとすぐちょっかいだされて…。
もっと大変なことになっちゃいますね。
「ちょっとこっちへおいで」とか言われて奥のお部屋へ…?!
日野はともかく、おとぼけトリオがあっという間に…?!
水谷バーでの珍騒動、書かれるかどうかは不明ですが。
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> いい感じだな～
> ほのぼの、のんびり、だら～んと自宅で適当に飲んでるかのような気を使わないゆったりした空気が流れてきた。
神戸が口うるさく言った果てでございます。
こうやってのんび～り、ごろ～んっていう雰囲気でいたいんだと思います。
> 今度はあっちのバーで集合？
> あちらの水谷さんは、大丈夫でしょうか
> 何がって、まあ、やたらめったらと手を出すとは思えませんが、かわいい子好きの水谷さんの毒牙にかかったりしないように当然保護者同伴でお願いします(遅刻もなしで)
(o´艸`o)
そうですね。同伴で行かないとすぐちょっかいだされて…。
もっと大変なことになっちゃいますね。
「ちょっとこっちへおいで」とか言われて奥のお部屋へ…?!
日野はともかく、おとぼけトリオがあっという間に…?!
水谷バーでの珍騒動、書かれるかどうかは不明ですが。
コメントありがとうございました。
＜オオトリ＞の ヒサが登場で これで オールスターが 全員揃いましたね！ ヒサが 新たに加わった事で またまた 話しが 面白い方向に なりそう♪ じめじめとした梅雨の時期に 爽やかな作品で 気分も すっきり爽快 ☆
けいったん様
こんにちは。
> ＜オオトリ＞の ヒサが登場で これで オールスターが 全員揃いましたね！ ヒサが 新たに加わった事で またまた 話しが 面白い方向に なりそう♪ じめじめとした梅雨の時期に 爽やかな作品で 気分も すっきり爽快 ☆
一応これで役者は揃った…っていうところでしょうか。
なんの話になるのか…。
気分良く過ごせていただけたら、このバーとしても嬉しい限りです。
駄文にお付き合いくださいまして感謝です。
コメントありがとうございました。
こんにちは。
> ＜オオトリ＞の ヒサが登場で これで オールスターが 全員揃いましたね！ ヒサが 新たに加わった事で またまた 話しが 面白い方向に なりそう♪ じめじめとした梅雨の時期に 爽やかな作品で 気分も すっきり爽快 ☆
一応これで役者は揃った…っていうところでしょうか。
なんの話になるのか…。
気分良く過ごせていただけたら、このバーとしても嬉しい限りです。
駄文にお付き合いくださいまして感謝です。
コメントありがとうございました。
MO様
こんにちは～。
なんだかご一緒したっぽいです。
>お互いに気になった事や、突っ込みを遠慮なく言えるのは、とっても良い関係ですよね。お仕事にも、反映されそうですね。ヒサ君の登場で、また楽しい輪が広がりそうですね♪
気楽に言いたいこと、聞きたいことを口に出せるっていいですね。
ヒサも登場して、那智も少しは心が和んで…?!
いい夜が過ごせることと思います。
コメントありがとうございました。
こんにちは～。
なんだかご一緒したっぽいです。
>お互いに気になった事や、突っ込みを遠慮なく言えるのは、とっても良い関係ですよね。お仕事にも、反映されそうですね。ヒサ君の登場で、また楽しい輪が広がりそうですね♪
気楽に言いたいこと、聞きたいことを口に出せるっていいですね。
ヒサも登場して、那智も少しは心が和んで…?!
いい夜が過ごせることと思います。
コメントありがとうございました。
K様
レス遅くなりました
>おっ ヒサは 仕事先から 慌てて作業服のまま来ちゃった？ 場違いな服装に 痴話喧嘩が始まるかもしれないけど 那智も やっと寛げますね。さあ ここからどんなお話が飛び出すのか、帰宅後も気になるし…ますます目が離せません。それから、早くも あちらのバーの話が出てますが、ほんと 覗いてみたいです！日野と英人は これまでに見知った場所だけど、一葉が水谷オーナーにつつかれるところとか 萌えちゃいそうです(≧▽≦)
隠し種はあっちのバーだったんです。
リクあったら書こうかな…くらいで。
ヒサ相当慌ててましたね。
那智も一葉も、水谷につつかれたらワタワタして何も話せないでしょうね。
あのお店に行くためには保護者が必要です。
それか、野崎サンがんばって。
(大事な取引先相手様なので身体はっていただかないと?!)
コメントありがとうございました。
レス遅くなりました
>おっ ヒサは 仕事先から 慌てて作業服のまま来ちゃった？ 場違いな服装に 痴話喧嘩が始まるかもしれないけど 那智も やっと寛げますね。さあ ここからどんなお話が飛び出すのか、帰宅後も気になるし…ますます目が離せません。それから、早くも あちらのバーの話が出てますが、ほんと 覗いてみたいです！日野と英人は これまでに見知った場所だけど、一葉が水谷オーナーにつつかれるところとか 萌えちゃいそうです(≧▽≦)
隠し種はあっちのバーだったんです。
リクあったら書こうかな…くらいで。
ヒサ相当慌ててましたね。
那智も一葉も、水谷につつかれたらワタワタして何も話せないでしょうね。
あのお店に行くためには保護者が必要です。
それか、野崎サンがんばって。
(大事な取引先相手様なので身体はっていただかないと?!)
コメントありがとうございました。
m様
おはようございます。
>全員集合(⌒～⌒)ﾆﾝﾏﾘ
揃いました～。
何、語るの～?
残り数話です。
お楽しみいただけたら嬉しいです。
拍手コメありがとうございました。
おはようございます。
>全員集合(⌒～⌒)ﾆﾝﾏﾘ
揃いました～。
何、語るの～?
残り数話です。
お楽しみいただけたら嬉しいです。
拍手コメありがとうございました。
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