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BLの丘
一番近いもの 48
2010-09-19-Sun  CATEGORY: 一番近いもの
「ホテルに部屋をとる」
日が沈む前に父はそう告げた。
同じ部屋に泊まらないとは、鳥羽に対しての考慮もあるのだろう。
「と、…さん…」
不安がる海斗に手を伸ばした父は、ゆっくりと髪と頬を撫でた。
「幸せというのは自分で掴むものだ。他人から与えてもらうものではない」
もう、抱きしめてもくれなかった。

涙をぽろぽろと零す海斗を惜しげに、「頼む」と告げたのは鳥羽だった。
二人の間に何があったのかなど、もちろん告げることなどなかったが、承知の上で海斗を観てくれると思うのだろう。
そしてたぶん、望んでいたのだ。
いつか、こうして、海斗の何もかもを抱き締めてくれる自分以外の人間を…。

「やぁ…」
「海斗っ!!」
去りゆく父の背は、こんなに小さかっただろうか…。
縋りつきそうになる体を鳥羽に止められた。
「全部守るっ!!何もかも、支えてやるからっ!!」
愛するものが何なのか、もう分かりはしない…。
ただ、一番近くにいたものが離れる、それだけは身をもって知った。
「と、…さんっ…っ」

疑うことのない、初めての『失恋』だった。
同時に手に入れた『恋情』。
鳥羽の気持ちを知って嬉しいはずなのに、離れていく温もりが心に影を落とす。
どれだけ自分は父を愛したのだろう。
そして愛されたのだろう…。

「海斗っ」
支えてくれる腕にしがみついた。
「離れるわけじゃない。いつだってあの人は海斗の傍にいてくれる」
普通なら考えられないことだろう…。
それでも、なにもかもを受け入れてくれる鳥羽に、かける言葉もなかった。
今は自らのことを考えるのに精一杯だった。
「やぁぁ…」
滝のように流れてきた時代を思い返す。
見知らぬ道を開けてくれたこと。
受け止めてくれた腕の温かさ。
新しい道に進めと突き放された孤独。

弱みに付け込む瞬間なのかもしれないと、鳥羽は思った。
それでもいい。
海斗を、手に入れられるなら…、あの父と同様、どんな手でも使うだろう。

「海斗、好きだ…、愛してる。…なにもかも、全部…、全てを守ってやるからその気持ちを預けてくれ」
初めて聞いた、”他人”からの声を、海斗は呆然と耳にしていた。

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すいません、全く書けていません…これは問題です…。
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コメント

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コメントかや | URL | 2010-09-19-Sun 14:16 [編集]
鳥羽が告白しましたね!
あいにく、海斗ちゃんは混乱中のようで、ちゃんと聞いてるかな??
進展!しますか~?

今、ちょっと酔っぱらいなので・・・。打ち間違いだらけで、普段の数倍の時間がかかってます~。
さっきから、呼び出した覚えもない機能が次々に出てくる。何をクリックしたのか、私???
先ほどは、コメントが消えました・・・。
飲んでパソコンいじるのは、ダメですね~(@@)
Re: タイトルなし
コメントきえ | URL | 2010-09-19-Sun 14:22 [編集]
かやたんちゃま
パソ開けばあなたが…。
ってか、いま、ひるまーっ!!!

> 今、ちょっと酔っぱらいなので・・・。打ち間違いだらけで、普段の数倍の時間がかかってます~。
> さっきから、呼び出した覚えもない機能が次々に出てくる。何をクリックしたのか、私???
> 先ほどは、コメントが消えました・・・。
> 飲んでパソコンいじるのは、ダメですね~(@@)

海斗はなんとなーく理解はしているんでしょうが、
まだ最愛のパパを忘れられないでいます。
鳥羽っちも一生懸命なんだよね。
こんなかやちん、可愛いね。
いーこいーこしてあげたいです。
(あ、すいません、私的なことを…)
コメントありがとうございました。
コメント甲斐 | URL | 2010-09-19-Sun 22:35 [編集]
言ったねー鳥羽
やっとですよ
お父さんの援護あっての告白ですけど
けど、考えてみれば鳥羽ってゲイじゃなかたですよね、たしか
それが、引越しの第一声が朝からの艶声だったし
男ともめたりもして
そんな海斗くんに恋して告白までするっていうのは
結構な決意がないとね
そんな迷いを吹き飛ばしてくれたおとうさんの登場で
一気に進展で来たのですから
やはりここは"父の愛”
ちゃんと守ってくれる男だと判断して託したかったんですよね
会って駄目だと思ったらきっとこのまま連れて帰ったでしょう
Re: タイトルなし
コメントきえ | URL | 2010-09-20-Mon 10:43 [編集]
甲斐様
こんにちは。

> 言ったねー鳥羽
> やっとですよ

やっときちんと言いました。
海斗を今まで見てきた感情がなんなのか分かった途端にパパ登場でしたからね。

> けど、考えてみれば鳥羽ってゲイじゃなかたですよね、たしか

こ、こまかいことはお気になさらず…(冷汗)

> そんな海斗くんに恋して告白までするっていうのは
> 結構な決意がないとね
> そんな迷いを吹き飛ばしてくれたおとうさんの登場で
> 一気に進展で来たのですから
> やはりここは"父の愛”
> ちゃんと守ってくれる男だと判断して託したかったんですよね
> 会って駄目だと思ったらきっとこのまま連れて帰ったでしょう

鳥羽もずっと海斗を可愛がってきましたから。
まさか父とは…の現実にも、海斗の将来を考えたんでしょうか。
守ってやろうってより一層思ったんでしょう。
パパも一安心?!
コメントありがとうございました。
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