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BLの丘
2011年 クリスマスツリーの下で 6
2011-12-21-Wed  CATEGORY: 『想』―sou―
ストラトスフィアタワーから見る夜景は圧巻だった。数多くのホテルが煌びやかに飾り立てているため、明りが非常に多い。
ネオンが光り輝き派手な光景を作り上げる。宝石箱をひっくり返したような、とはこのことを言うのか…。
タワーの高さがあるため、一望できるのがまたいい。
子供「きれ~っ」
神戸「さすがラスベガスとでも言うべき…?」
安住「光の海だね」
佐貫「ホテルがまたデカイからな。映えるんだろう」
雅臣「あの、みなさん。空から見学というのもありますよ(ニコニコ)」
龍太「ま、雅臣さん…、また自分が行きたいからって…(ボソ)」
雅臣「だってセレブプランを企画しなくちゃ」(その為には体験)
千城「ヘリコプター遊覧か。あれもなかなかいいものだな」
子供「行く行く行く~。乗る~っ」(大騒ぎ)
久志「…どんどん豪華になっていくんですけど…」
日野「今更何を言っても聞きはしないよ…。この人たち…。つか、雅臣さんって策略家…?」

千城の返事を確認して雅臣はこれでもかと笑顔を振りまいた(心底嬉しがっている)。添乗員は同行するのが義務だ。
雅臣「えと、『全員』参加でよろしいのでしょうか?」
一瞬なんのことかとその場の人間が固まった。行くなら当然全員だろう。今更聞くまでもない、と。
雅臣「あの、野崎さんと宮原さんにお声掛けしなくても良いのかな…と…」
「あっ」と全員、自由行動に出た人間の事を忘れていた。口うるさく言ってこない人間がいないことに心地良さを覚えていたくらいだ。
千城「野崎が知らないとは思えないが、行くとも考えられないな」
神戸「ベッドの中でまったり過ごしっぱなしなんじゃないの?」
千城「最後ぐらい同行させるか」
安住「そうですね。話をするのもいいでしょう」
鶴の一声が飛んで早速千城が野崎に連絡を入れると、なんとまぁ、今現在出発前の空港にいるのだという。
それなら必要ないとあっさり通話は切られた。
日野「野崎さんって意外とロマンチストだよな…」
久志「絶対に宮原さんが連れて行ったんだと思うけど…」
雅臣は喜々として予約確認をすることにした。千城が言った『最後』とは最終日のことであり、もちろん本日ではない。
今日は地上(?)を楽しむのだと理解できる。

龍太「では、この後どうしますか?ここからの夜景で終わりにしますか?」
まだ時間は早い。もともとこの一行の朝の出発は遅かったから、今日はこの周辺とタワーを見学しただけだった。
龍太にしてみれば早目に解放してもらえるのは嬉しいことであったけれど、見たいものがありすぎる連中が早々手放すわけがなかった。
夜を楽しむ(色々な意味で)のがラスベガス。
千城「ダウンタウンはどうだ?フリーモントストリートに行けばいい。この子たちには驚きになるだろうし」
龍太「あぁ、確かに」
二人は何やら納得し合っていた。千城と龍太は意味ありげに笑うだけで説明などは一切しなかった。
タワーからの夜景を充分に堪能し、そのあとでまた屋上のアトラクションアトラクションに乗るのだと言い出した子供たちに、神戸と日野はあっというまに行方不明になった。
それでも二人の性格を知るからここからは離れないはずだ。
あとで迷子のお知らせを響かせてやろう…と千城は内心でニヤリと笑っていたが…。

リムジンを走らせること15分ほど。
着いた場所は丸い天井のアーケード通りになっていた。人が多いのでスリなどには十分注意してくださいと、また改めて注意喚起された。
確かに一本の通りになっているため、人が集中している感がある。もちろん歩行者天国。
英人「ここ、ずっと歩くの?」
千城「そんなに長い距離ではないし、いろいろ見られるものもあるから苦にならないだろう」
何か誤魔化された気はしなくないが、両端には金色に輝くような派手な店などが並び、興味を惹かれた。
お子様たちは迷子防止のために手を繋がせて歩かせている状態だ。4人が飛び込む店には当然保護者も入っていく。
しばらく店内で見学していたら龍太が「お時間ですよ~」と声をかけてきた。
何だ?と振り返ると外に出るよう手招きをされた。理解している千城がすぐに英人の手を引いた。
神戸「え?何?僕、まだ見たいものが…」
千城「じゃあ、そこにいろっ」
神戸にはまったく目もくれず、慌ただしく対応する千城の姿に、あたりまえだが全員が続く。
英人「なんで?どうしたの?」
千城「いいから。店はまた後で入ればいい」(頭を撫でる)
心なしかストリートに立つ人間の数が増えている気がした。佐貫はすぐに勘を働かせて成俊に近づく。その姿を見て安住も一葉の背後に立った。
だけど添乗員と千城はそこに突っ立ったままで動こうとしなかった。
日野「説明なし?」(さらに背後で3人並んで)
久志「らしい…」
神戸「もう、千城ってばぁ…」
剥れる神戸を日野がまぁまぁと宥めていたら、一斉に通りの看板などの電気が消えた。次の瞬間。
眩しい光が空から降り注がれた。正確にはアーケードの天井全体が光っている。それも激しい動きを見せる映像。
全員ポカンと口を開けて見上げてしまう。
電光スクリーンは次から次へと音と映像を流した。
長く続く天井に右を見ていいのか左を見ていいのかも分からなくなる。
子供「うわっ、うわっ、うわっ」
遠くからオートバイが走ってきて頭上を抜けていったり、花火が打ち上げられたり、隕石が落ちてきたり…。
スピード感たっぷり、次々と画面を変えた。全てが光のショーなのだから技術力の高さに感心させられるだけ。
神戸「これ、…ここだったのか…」
日野「長流、知ってるの?」
神戸「何かで見たことがある。すっかり忘れてた…。いや、すごいや、この規模…」
そこはやはり、さすがラスベガス…と言うべきか…。
ショーは10分足らずで終了したが、長いこと上を向いていたために久志が「首が疲れた」と呟けば、後ろから日野の手が伸びてきて肩から首筋を揉まれる。
日野「ほんと、かてーよなぁ」
久志「そりゃ、鍛えてますから」
神戸「今回、一緒に入れる温泉がないから欲求不満なわけ?」(ため息交じり。呆れている)
日野「いや、そんなことは…」
安住「みんなが仲良くていいことじゃない」
ニコニコと笑いかけられれば、返す言葉もなくなるというものだ…。

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No title
コメント甲斐 | URL | 2011-12-21-Wed 22:43 [編集]
あー見たことありますよ
フリーモントストリート
テレビかなんかでしたけど
実際その下で見たら感動でしょうね

野崎さんたちは、いつもすれ違い生活なんじゃないですかいつもは
まじめで仕事熱心な野崎さんは、社長や会社第一で家庭(宮原さん?)は普段は放置って感じですもの
だから、二人きりでいちゃいちゃしたかったんじゃないかなーなんて思っちゃいました
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-22-Thu 07:00 [編集]
甲斐様
おはようございます。

> あー見たことありますよ
> フリーモントストリート
> テレビかなんかでしたけど
> 実際その下で見たら感動でしょうね

ご覧になったこと、あるのですね。
あれは本当にすごいです。
ラスベガスに行った時には是非訪れてください。
(ホテル巡りはしなくていいから(笑))

> 野崎さんたちは、いつもすれ違い生活なんじゃないですかいつもは
> まじめで仕事熱心な野崎さんは、社長や会社第一で家庭(宮原さん?)は普段は放置って感じですもの
> だから、二人きりでいちゃいちゃしたかったんじゃないかなーなんて思っちゃいました

瑛佑も物分かりがいいので、みこっちゃんがお仕事をがんばるのを縁の下で支えてくれています。
放置されても文句言わない、できた旦那(?)です。
ちゃんと協力もしてくれるし。
こんな時くらいね~。
社長も分かっているから放っておいてくれているんでしょう。
コメントありがとうございました。

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