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BLの丘
2011年 クリスマスツリーの下で 7
2011-12-22-Thu  CATEGORY: 『想』―sou―
みんなで仲良く過ごしたラスベガス旅行もとうとう最終日を迎える。
今夜、ホテルに泊まって、明日は飛行機に乗って帰国しなければならない。
あらかた見学し尽くした…ということで、この日ばかりは二人きりで思い思いに過ごすことにした。
とはいえ、佐貫と成俊、安住と一葉、そして那智と久志の6名は団体行動であったが…。
買い忘れたお土産がないか、欲しいものがないかなどと、あちこちのお店を回る。
この移動中、添乗員を始め、千城の英語で事なきを得ていた(他の人間が口を出す必要がなかった)から、改めて別行動になったとき、安住と佐貫の英語力の高さにみんなが驚かされたくらいだった。
この場ではどうしたって邪魔ものだろうと思った那智と久志だが、佐貫と安住に「どうせ俺たち4人は一緒の予定だったんだ」「一葉だってさくらちゃんがいてくれたら相談しやすいんだよ」と宥められた。
むしろ、野放しにする方が心配…といったところか。
確かに添乗員に預けられるより、こちらのほうが気が休む。(こっちも邪魔扱い。客だから付き合うけど龍太から嫌味たらたら言われるだろうな…と久志は思った。)
夜にはヘリコプターでの夜景観賞が予約されているので、指定時間にホテルにて集合。

そして銘々最後の一日を満喫して、全員揃い空港へと向かった。
ヘリコプターには6名しか乗れないので、グループ分けをどうしようかと雅臣が相談を持ちかけたところ、お子様は離れたがらない。
となると、後の2名を誰にするか…。
神戸「26歳組とPTAでいいじゃない」
千城「確かに一番慣れた組み合わせだ」
久志「えー、神戸さん、日野と一緒でなくていいの?」
神戸「他の人だってバラバラだし。添乗員の二人を乗せるのも可哀想でしょ」
安住「いつものメンバーということでいいんじゃないかな」
佐貫「それにどうせ、雅臣君が丁寧に説明してくれたところで、あいつらは聞いちゃいないさ」
ここまでを労い、これ以上の苦労をかけるのは申し訳ないと、あっさりと班分けが決まってしまった。

暗い夜空を舞いあがっていく。それだけで先導の一機は大騒ぎだった。(先に飛び立ちますよ)
前席2列:順に
英人「見てみて~。もうあんなにネオンが見えるよ~」
那智「どれくらい高くまでいくんだろ~」
一葉「(ドキドキ)」
成俊「ホテルがちっちゃくなってくーっ」
全員「スピードが出た~~~っっっ!!!」(大興奮)
最後尾:
久志「…(ボソ)うるせーよ、こいつら…」
日野「自分の相方だろうが…」(↑唯一のカップル搭乗)
久志「まぁ、そうなんですけど」
日野「ヒサシも景色、楽しめよ」
久志「そうだな。…ロマンチックムードにでもさせていただきましょうか」
日野「何?でも隣にいるの、俺だぜ?」(今更席がえできません)
久志「いーんでない?前であれだけ騒いでいるんだから、ここでボソボソと会話していれば」
日野「ロマンチックはいらないけど。まぁ、俺でよければ話相手になってやるよ」
久志「じゃあ、何か『ご褒美』あげないとな~」
日野「ある意味こぇぇ…」
久志「日野ってこういう乗り物は大丈夫なわけ?」
日野「たぶん…」
久志「隣にいてやるから安心しとけって」
美丈夫にふわりと微笑まれて、膝の上に置いた掌にそっと大きな手が重なってきた時、日野は緊張がふっととかれるのを感じながら、内心で「このスケコマシっ!!」と悪態をついていた。
神戸以外の男に興味はないが、那智の苦労がものすごく判った現在である。

続いて飛び上がった二機目は、いたって静かである。
前列に千城と神戸、続いて佐貫と安住、後列に添乗員だ。
雅臣の「右手に見えますのが…」と澄んだ声が機内中に響くので、大人しく説明を聞き、自分の雑学(?)として取り込んでいる。
雅臣の解説は非常に判り易く、龍太ですら「へぇぇぇ」と感嘆の息をもらしていた。
神戸「千城、この遊覧、何度目なの?」
千城「さぁ、何度目だろうな。でもヘリに乗るのは多くあることじゃない。ここまで来てもな」
安住「今頃一葉たち、にぎやかだろうね」
佐貫「あれだけの仲良しが集まって静かに乗っていたら、そっちの方が心配だろう」
全体で会話をする、というより、同級生同士の馴染んだひっそりとした声が交わされる。
こちらは大人げなくはしゃぐ、などの声を発する人間はいなかった。
全員が窓の下に広がる光景に見惚れ、時々「あ、あそこ、行ったね」などと聞こえるくらいだ。

英人「タワーだっ!!」
那智「すごいっ!タワーの上を飛んでるよ―」
久志「あったりめーだろーがっ。そんな低空飛行してどうすんだーっ」
成俊「今日もあのアトラクション、動いているね」
一葉「俺たち、もしかして、三段階夜景を楽しんじゃってるのかな~」
成俊「……!!そうだねーっ。展望台と最頂上とヘリコプタ~~~♪」
日野「…そんな記録、いらねー…」(夜のアトラクションから逃げた人)
久志「まぁまぁ。一回でも乗れたこと、褒めてやるって」
日野「ヒサシが無理矢理乗っけたんだろーがっ」
久志「いーじゃん。俺が隣にいたんだから」
日野が喚いた後の久志の台詞は、耳元で囁かれたために前方には聞こえなかった。(ちょっとだけ唇が触れたことは二人の秘密である)

帰路につき、間もなく空港に着陸するとの事。
佐貫「長いと思っていたけど、あっというまだったな~」
安住「旅行って不思議だよね。榛名さん、今回も本当にお世話になりました」
千城「いえ、こちらこそお付き合い、ありがとうございました」
神戸「千城と英人君だけだったらこんなに楽しい旅にならないよ~」
目につくものを美的感覚で捉える英人と、ビジネス面で考える千城では楽しみ方が違うと言いたいらしい。
何も知らない英人を千城の感覚で連れ回すだけになる。
それをみんなで言い合い、気付き、新たな発見を見つけられるのは大人数でいるからこそ。
千城「英人の笑顔が見られるのが一番いいんですよ」
安住「それは私もです」
佐貫「えぇ」
みんながホッと無事に旅が終わることを喜んでいた。
後席ではこちらもボソボソと会話が続く。
龍太「(雅臣に向かって)今回も迷子も事故もなくて良かったですね」
雅臣「まだ早いっ!!無事、家に辿り着くまでが『旅行』ですっ」
龍太「そうなんですけど…」
雅臣「…でも龍太いてくれて良かった…。俺、初めて来たんだもん…」(←知識人間)
龍太「(耳元で)じゃあ、今夜、『ご褒美』ね…」
空の上で唇を合わせる御苦労人たちがすること、大人は何も気付かないふりをしてくれていた。(だって大人だもん)

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次回最終話です。長々と引っ張ってすみません。
誰も浮気していませんよ~。スキンシップとっているだけで…。
ようやく私個人のラスベガス写真を持ってくることができたので、良かったら行ってやってください→別宅LV
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コメント

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No title
コメント甲斐 | URL | 2011-12-22-Thu 20:41 [編集]
とりあえずアメリカで迷子や事故も拉致事件もなく帰路に就くことができてひと安心ですね

確かに『目につくものを美的感覚で捉える英人と、ビジネス面で考える千城』では、
二人で楽しむというより、どっちかが付き合うって感じかも
で、結局は家でいちゃいちゃしてたほうがいいよねーなんて言いそう
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-23-Fri 07:24 [編集]
甲斐様
おはようございます。

> とりあえずアメリカで迷子や事故も拉致事件もなく帰路に就くことができてひと安心ですね

保護者も添乗員も胸をなでおろしているでしょう。

> 確かに『目につくものを美的感覚で捉える英人と、ビジネス面で考える千城』では、
> 二人で楽しむというより、どっちかが付き合うって感じかも
> で、結局は家でいちゃいちゃしてたほうがいいよねーなんて言いそう

そうなんですよ~。
どっちかが相手に合わせる(たぶん千城が英人に)旅になっちゃうと思います。
ワイワイする旅にはならないでしょうね。
そして早々にベッドイン…って感じです(笑)
コメントありがとうございました。
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