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BLの丘
『想』―sou― 宵よ 2
2011-12-24-Sat  CATEGORY: 『想』―sou―
久志&日野。
私の勝手な妄想です。お互い、からかっているのではなくもう一歩踏み込んだ場面になります。
どうにも我慢ならず書いてしまった…ってことで…。
地雷の方もいると思いますので、受け付けない方はこれ以上踏みこまないでください。


もう一回言います。
久志と日野です。


本編とは繋がらない、独自の世界だと思ってください。

ご理解いただけた方だけ進んでくださいね。
苦情などはお断りいたします。


長流とは違った魔性の男だと、日野は心の底で悪態をついた。
久志のグラスが空になると同時に、「おかわりする?」と問いかけると、「ホント気を配るやつだよな」と感心される。
職業病ともいえるのか、人の仕草に視線が向いてしまうのは否めない。
現に目の前で動いているバーテンダーからスタッフまで、細かい仕草が目についてしまうのだ。
苦笑で答えると、こんな時くらい力を抜けと眦を撫でられた。
学ぶことがあるのは、まぁいいとしても…。

触れてくる全てに性的な意味が込められているのを感じた。
過去の自分なら速攻で拒絶したものが、今は心地良いとすら感じる。
それは、甘えにも似たものか…。
長流との間が悪いわけではない。だけどどこかで並ぼうとした背伸びがあったのかとも思う。
久志と共にいると、気が抜けるのだ。『親友』…そんな括りになるのだろうか。
気を使わずにいられるのは休めることでもある。

伸びてきた手を払う振りをして…。だけど捕まえられて…。拒むこともなく流されると、その甲に唇が触れた。
どこのキザな野郎かと思うが、あまりにも場に似合いすぎていて、逆に見惚れる。
演出しろと言われたって、ここまで様になる人間などいないのではないか。
久志がクスリと笑った。
「日野って時々可愛いよな」
「はぁ?!」
唐突な語りかけに意味が分からないと素っ頓狂な声が上がってしまう。
生きてきた人生の中で、「可愛い」などという形容は一度としてもらったことがない。親戚の家で暮らしてきた日野にとって、「憎たらしい」という視線の方が強かった。
「なんつーか。自分の気持ちを素直に表現するとこ?おまえさぁ、色々と気ぃ使いすぎて生きてるから」
そんなつもりはない…。そんなことはないと思うのに、ぐさりと刺さってくるものがあった。
久志にしてみれば、幼い子供が興味を持ったものに寄っていく素直さがあることを褒めただけ。
他の人間には一線を引いても、久志にはベタベタと触れてくる。気遣いの無さが微笑ましいくらいだった。

「これ以上はダメ?」
久志に問いかけられる意味が何であるのかを把握するのは容易い。
一瞬の迷いを吹き飛ばしたのは、ここが異国の地ということと、人を惑わす世界だからだったのか…。
「ルーレットでも賭けるか。当たり出たら許してやるよ」
『許す』の意味を久志もすぐに理解した。言葉少なく通じる関係は、やはり心地いい。
バーでのチェックを済ませると、まだ賑やかなカジノへと向かう。
ここまでくれば言い訳の必要もないだろうと双方思うことであった。
最後の夜、この地を離れる前に遊んでいただけのこと。

「日野は?当たったら何か欲しいもの、ないの?」
久志が勝った時の商品はすでに決まっている。日野に不利はないのかと尋ねたら、「俺、ヒサシと同じに賭けるから」と半ばやる気のないような答えが返ってきた。
つまり、勝負は久志だけにさせたいらしい。
自分が不利益を持たない賢明な策でもある。
「俺だけに預けていいわけ?」
「まぁ、運でしょ」
どっちに転んでも受け入れる姿勢が見られる。この潔さには感心すらし、だからこそ求めるものなのかもしれないと久志は微笑んだ。
ディーラーが球を投げ入れ、その間に赤か黒を決めた。
久志が選んだのは…黒。
情熱より闇を選んだのは、自分たちの関係なのかもしれない。

コロコロと球が転がり落ちたところは、久志の外れを表した。
「あ~~~っ」
「残念だったねぇ」
がっくりと肩を落とす久志に、日野がホッとするとともに残念とも言えない表情で肩を叩いた。
実際、日野自身、複雑な気持ちを抱えていた。
賭けることなどなく許してもいい気持ちは奥底にあったからで…。久志なら何もかも許せた気がしていたからだ。
あとはこの男の手管を見てみたかった…興味本位。
一瞬でも溺れて、全身に纏った殻を脱ぎ捨てたかったのもあった。
長流とは別の意味で、何もかもを剥ぎ取った姿を見せても、目の前の逞しい男なら受け止めてくれるのではないか…と。

「くそ~っ。もう一回っ」
「二度目なんかあるかよっ」
軽く諌めて、帰るぞ、と促す。
立ち去ろうとする背中が、心なしか淋しそうに見えた久志は、「ちょっとトイレ寄って行こうぜ」と日野の腕を引っ張った。
ホテルのトイレはどこに行っても綺麗だった。
賑やかに響き渡る世界からも離れられる。
カジノの中にあるトイレという点では、人の往来が多い。
その個室の中に、久志は日野を押し込んだ。
「っ…?!ヒサシっ?」
「しー。何もしねぇよ。でもさ。ここまで煽った謝礼くらいくれてもいいんじゃないの?」
耳朶を甘噛みしながらの発言は腰骨に響く。
随分勝手な言い分だと拒絶したい気持ちが、目の前の色男相手に萎えていく。
何せ、自分でも望んでいた部分がある。
その心境まで読み取っていることが、駆け引きとして怖さを感じるものでもあった。
その気がなかったら、こんな態度にでることなどない。久志を煽ったのは、確かに日野自身なのだと思わされることだった。
その気があるから賭けにまで応じた裏の心まで、すっかり見透かされていた。

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