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BLの丘
『想』―sou― 宵よ 3
2011-12-25-Sun  CATEGORY: 『想』―sou―
久志&日野。
私の勝手な妄想です。お互い、からかっているのではなくもう一歩踏み込んだ場面になります。
どうにも我慢ならず書いてしまった…ってことで…。
地雷の方もいると思いますので、受け付けない方はこれ以上踏みこまないでください。


もう一回言います。
久志と日野です。


本編とは繋がらない、独自の世界だと思ってください。

ご理解いただけた方だけ進んでくださいね。
苦情などはお断りいたします。


「俺が煽ったわけじゃないだろ」
久志の硬い胸板を拳でコツコツ叩きながら、賭けに負けたのは久志、と止めるが、フワリと笑った目の前の美丈夫は腰に腕を回してきた。
「挑発には乗ったじゃん。その気はあったってことだろ?」
「勝手な解釈、してんなっ」
やっぱり分かっている…。そこのところの駆け引きのうまさは完全に上手(うわて)だ。
流されている自分もどうかと思うけど…。
「今更、いいじゃん」
「ヒサシ、昔どんだけ遊んでいたか、よーく分かるわ」
「お褒め頂き光栄です」
…まったく…と溜め息がこぼれる。嫌味を言っても悪びれていないところが神経の図々しさを物語っていた。
那智が大目に見ているのも感心するというか…。久志が甘んじているところでもあるのだろう。

久志は額やこめかみなどに軽く唇をつける。
逞しい男から醸し出される包容力は、これまでの誰からも感じたことのないものだった。男相手なのに、嫌と思わないところが不思議でもあったけれど。
こんなところに安心してしまうのだろうか。
たぶん、身近では一番頼れる存在である。恋人とは違った意味で。
夜の仕事についてから友達もどんどんと減った。いつも誰かに気をつかって生きてきた、と言われてしまえばそうなのだろ。
育った環境も影響している。甘えられる存在をどこかで求めていたのだと思う。
もちろん、長流とは比較にならないが。甘える部分がそれぞれに違っているだけだ。

日野は久志の両肩に掌を乗せると顔を上げた。掠めるように唇を合わせる。
まさか、自分よりも背の高い、しかも男にキスをする日がくるなど思ったこともなかった。一瞬、背伸びしてキスをしてきた女の気持ちが垣間見えてしまった気分だ。
一抹の羞恥さえ浮かんでくる。こういったことは日野とて、慣れたつもりでいたのに。
驚いた顔の久志が、だけど笑いながら覗きこんでくる。馬鹿にしている笑みではなく、見守る人間みたいだ。
「そんな子供だまし…」
「もういいだろ」
「じゃあお礼を」
…ダメだ…。どうしたってそっちに持っていく口上は褒めるべき点になるのか…。

最初は啄ばむように触れてくる。上下の唇を交互に食み、舌先で舐めさすってから侵入を許す。
歯列をなぞり舌が絡み合い、口腔内を的確に攻めてくる。
くちづけという日野でも慣れた行為は、互いの官能を呼び覚まそうとする攻防に変わった。
日野の中にもまだプライドは残っていたようだ。
人が出入りする物音を聞きながら、ぬちゅっという水音が響くことに、背徳感が生まれる。
だけど治まらないのは、久志の技の仕掛け方が上手過ぎるせいなのか。
…こいつ、絶対、やり手だ…。
こぼれた唾液を追いかけるように久志の舌が動いて、ふぅと一息もれる。
こんなに激しい責め立てられ方をされたのも久し振りの気がした。
その唇がそのまま首筋に落ちていくの、慌てて引き止めた。
「待て、コラッ!!もうダメに決まってんだろーっ!!」
「えー」
「『えー』じゃねぇよっ!!」
先程までの淫靡さがあっという間に蹴散らされる。あっさりと切り替えてくれるのは久志だからこそ。
お互いにほんのちょっと触れてみた…くらいにしかなっていないのが、またいいところだと思ってしまう。
久志もそれ以上の無理強いはしない。
ポンポンと頭上を叩かれれば、妙に子供扱いされている気がして納得がいかなかった。ただ、その手を温かいと感じてしまったのだけれど。

「たまには寄りかかってこいよ。あいつらの世話もだけど、弱音吐いてくれていいから」
この逞しさは伊達ではない。
共に過ごすから分かる苦労もある。
こんなふうに何かを共通にして誰かと話題づくりをすることって、最近なかったのかと脳裏を巡らせた。
親近感があるのはそのあたりも関係するのだろうか。
海外ではキスの一つは挨拶でしかない。
先程の一件もそんなふうに片付けられる。
二人とも友愛を確かめただけに過ぎない、と。

「ヒサシ、この後どうするの?」
「まだ飲んでいくかな~。今夜寝なくったって、飛行機の中で寝ればいいだろ。なんだか惜しい気がしてさ」
「あいつらに振りまわされ続けたもんな」
「大人の夜でも過ごすか」
「ヒサシが言うと意味深に聞こえるって」
「付き合うだろ?」
「おごりで」
「えーっ!?」
クスクス笑う日野だったが、結局は久志の後をついてくる。
多少絡み、絡まれるくらいが気持ち良く過ごせる距離感だと知った夜だった。

―完―

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危険地帯続編
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コメント

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No title
コメント甲斐 | URL | 2011-12-25-Sun 13:56 [編集]
なんだー結局未遂かぁ
でも、ちゅーまではしたもんね
でもこれは浮気っていうより
旅先でのちょっとしたお遊びとか悪ふざけの類かな
お互いが気の許せる友人関係の確認、みたいな
もちろんパートナーの受け止め方は違うでしょうけど

なっちゃん泣くよ~
神戸は…怒るね
あれだけしてまだ足りないのか!?って、縛られて泣くほどのきっつーいしつけ(調教?)とか
あるいは、お仕置きで半年くらい放置かな、、、ああ、それじゃあ自分が耐えられないよね、、、そしたらなっちゃんと?
おーヤバイ!ヤバイ!

たまにはいいですよね
こういうの
楽しめました
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-25-Sun 14:57 [編集]
甲斐様
こんにちは。
なんだ…ってなんだ…です…汗。

> なんだー結局未遂かぁ
> でも、ちゅーまではしたもんね
> でもこれは浮気っていうより
> 旅先でのちょっとしたお遊びとか悪ふざけの類かな
> お互いが気の許せる友人関係の確認、みたいな
> もちろんパートナーの受け止め方は違うでしょうけど

旅先ではこの程度でよかったかな~と。
那智も神戸も怒るでしょうしね。
ちゅーで充分。
旅先での悪ふざけ。そんな気になっちゃうものでしょう。旅って(←)
パートナーには内緒です。口チャックっ!!

> なっちゃん泣くよ~
> 神戸は…怒るね
> あれだけしてまだ足りないのか!?って、縛られて泣くほどのきっつーいしつけ(調教?)とか
> あるいは、お仕置きで半年くらい放置かな、、、ああ、それじゃあ自分が耐えられないよね、、、そしたらなっちゃんと?
> おーヤバイ!ヤバイ!
>
> たまにはいいですよね
> こういうの
> 楽しめました

たまにははめはずすのもいいかと。調教はまた別の場面で…。
神戸となっちゃん……←うーん。可能性ありに見えた…(ヤバイヤバイ)
読者様お楽しみいただけたなら尚更いいです。
漂う思惑はまぁさておきね。
コメントありがとうございました。
No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-26-Mon 15:58 [編集]
マル秘別宅記事をアップしました。
ご訪問の方は、こちらの記事同様、覚悟して行ってください。
管理人のみ閲覧できます
コメント | | 2011-12-28-Wed 04:41 [編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: タイトルなし
コメントたつみきえ | URL | 2011-12-28-Wed 07:13 [編集]
K様
おはようございます。

> 別宅の方でのコメントがうまくいかなかったようなので こちらにも…

お手数おかけいたしました。
不具合があったようですね。

> ヒサシ&日野編 そんなに 反響 大きかったんですか?
> いや たしかに そのまま受け取ると 凄いことかもしれないけれど… これまでの お子ちゃまと 保護者の関係にも 変化が…と考えられなくもないけど、きえ様が 本編とは関係のない 妄想の世界 のようにおっしゃってたので、本編とは切り離して楽しめましたよ。
> 私も 日野になりた~い!とか 神戸に仕込まれた日野相手に ヒサシも テンション上がったんだろうな~ とか。

割り切っていただけた方がいて良かったです。
反響っていうか、ご意見番はね…。
随分と前から私の中でくすぶっていたものがあって、なんだか勢いで吐いちゃった感じです。
日野があまえるとこと、久志の頑丈さ(?)が結びつくような気がしていました。
きれいな大人の関係(?!)ってことで(笑)

> きえ様 プライベート大変なんですね。
> それに、我が儘な読者もたくさんいることでしょう。
> でも 大好きなこの場所 BLの丘が閉鎖されませんように 願ってやみません。
> 落ち着かれたら またお待ちしています。

吐き出しちゃった原因、こんなところにも一端があるのかもしれません。
色々とご心配おかけしております。
しばらくは放置になると思います。
コメントありがとうございました。

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