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BLの丘
ホワイトデー前日
2012-03-13-Tue  CATEGORY: 『想』―sou―
イベント企画、何か考えようかな~と思いながら、こんなものしか思い浮かばなかったです。
影ながら、粉まみれになっているおこちゃまたちを脳内に浮かべてやってください。
その現実をあじわいたくないから、こんな結果になったってことで…。





お子様を眠りにつかせた後。
片付けを済ませてホッと一息ついた久志がカウンターに座ると、目の前にお菓子が出された。
菓子作りまで熟知している日野だった。当然、これも日野の手作りだと分かる。
「おーっ。あいつらに出したら取り合いになりそうだな」
「だから出さなかったんだよ。数、ないし」
それならどうして今の時間に出すのか…の疑問は黙っておくことにする。
久志は添えられたホイップクリームを絡めながら、出されたスポンジケーキを頬張った。

バナナケーキ

「でもさぁ、なんでこんなもの、作ったわけ?」
素朴な疑問が久志から漏れると、「おまえさぁ…」とあきれたようなため息混じりの声が聞こえた。
「明日、何の日か、分かってんの?」
「明日?なんだっけ。誰かの誕生日?」
ケーキと言われれば誕生日かクリスマスくらいしか思い浮かばなかった久志だった。
脳内を知って日野は頭を抱えたくなるが、そこは久志らしいと言ってしまっていいのか…。

「ホワイトデーって言葉を知ってんのか~っ?!」
「……」
しばらくの沈黙のあと、何かを悟ったらしい。でかい図体とは裏腹に、「あ…」と小さく声をあげてから、「そういやぁ、もらったなぁ」とぽつりと呟く。
義理でもらった連中はともかく、本命は絶対に浮かばれないだろう…などと心底同情を含めて思ってしまった日野だったが、もちろん、言葉にすることはない。
そんな性格まで認めてしまって許容している那智が、本当に逞しく、感心できる存在であったが…。

「じゃあ、何?これ、神戸さん用なの?」
「すぐ作れるけど。おまえにはあまりもんだよ」
あっさりと言い放たれるが、あまりにも簡単そうに言ってくれる台詞には心が惹かれる。
「日野っ。これ、作り方、教えろよっ」
ホワイトデーの存在に目覚めたらしい男を見るのは、別に嫌ではなかった。
少なくとも、他の連中にお菓子作りを教えるより、ずっとスムーズにいく現実を知る。
保護者を思っても…。
相手が一人だから余計にやり易いのだろう。好きなこと、言えるし。
久志という気心知れた存在も大きい。

さっそくまわりこんできた久志に、順序良く材料と作り方を説明してやる。
「こんな簡単なの~?!」
驚愕の声に日野は微笑んだ。
「手抜きできるとこ、全部省いたらこんなもんだって」

出掛けている人。眠っている人。
目の前に現れた時、どんな反応をされるのだろう。
それも一つの楽しみ。

こんなふうに誰かと何かを作れるのも、楽しみ。
単に義理で返すだけだったホワイトデーに、想いをこめられること。
相手がいることが良かったと、胸の中がほんわりとした。

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通常に戻っています。もうあのアヤシイ話からは頭を切り離してくださいね。
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