2ntブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
新しい家族 28
2012-02-04-Sat  CATEGORY: 新しい家族
「ひな?」
より一層肌を密着させようとした日生の動きに和紀は動揺する。
束縛させて強制させているとばかり思っていたものが、今の瞬間に違うものだと言われて心を救われそうだった。
それを確認したい反面で、改めて知りたくない日生の本心に脅える。
日生が、本当に嫌だと訴えた時、周防は何も言わずに日生を解放するだろうし、納得しても、しかし反面で日生を拘束しようとする自分がいると思われた。
頭ではどれほど理解しても、過去の恩恵や人情を逆手にとって日生を束縛するだろう。いや、したいのだ。
そんな将来が見えているはずなのに、今の日生の行動は和紀の全てを許し、受け入れるものであった。
本当に日生はそれでいいのだろうか…。
和紀の問いかけに、どうしたのかと日生が振り仰いでくる。
こんな無邪気な行動がなにより和紀を心配させるものとなっていた。
それこそ、先程問いにあらわした質問内容にかぶる。
『他の誰にも…』
他の誰にも触れさせる気はないが、果たして日生も同じように思っているのだろうか。
そっと抱きすくめた腕の中でも日生は大人しいままだった。
逆らう気すら思わせない、…意思を奪ったのは自分たちなのだろうか…。
そんなふうにはなってほしくないと思う反面で、このまま何も変わらずに自分のそばにいてほしいと願う。
自分にできることは、恩を売って日生を束縛することなのだろうか。
卑怯だとは思ってもやめられない拘束意識が働く。
「ひな…」
日頃はどうしても冷たくなってしまう動きの中、囁きたい思いを抱えながら、日生を縛るのだという焦燥にかられた。
そっと寄り添ってくる動きを感じでは、本音を晒したい気になる。
それを感じても日生はついてきてくれると言うのだろうか。

ゆるりと首筋から脇腹を通って和紀の手が日生の柔らかな白い肌を掠めた。
さすられる全てが日生にとっては心地良いものになる。
うっとりとした表情を眺めては、和紀はこの先をどう振舞ったらいいのか考えさせられる。
考えたからこそ、愛情を押し付けない冷たい態度に出てしまっていたこれまでだった。
まだ力をつけていない、掌にすっぽりと収まってしまう性器をくるむと、ぶるっと日生がひと震えした。
「あ…」
恥ずかしげに、だけど全てを委ねる態度で、日生が横向きになり顔を肩口に埋めてきた。
少し揉んでやれば、柔らかだったものは勃ちあがってくる。
「こんなことをされて嫌じゃないのか?」
今更な質問だった。ここで頷かれたら自分はどんな態度に出るのだろうか。
しかし日生は小さく首を振ってくれる。
わずかに上げた睫毛の下で、潤んだ瞳は嫌悪を表してはいなかった。
何かに追われるように、胸の奥にしまったものがこみ上がってくる。
日生の後頭部を手で押さえて、噛みつくように唇に喰らいついた。
感情や何かよりも体が先に動いてしまう。求めるものが目の前にあり、自分の意思だけでなく日生も受け入れてくれているのだと知れば、せき止めていた箍がはずれた。
小さな唇を吸い上げ、舌を絡ませて貪りつくす。こぼれた唾液が顎を伝って湯船の中に落ちていった。
「は…ぁ…」
「ひな…。好きだよ。愛してる…」
少しだけ離れた隙間で、日生は息を吸い込み、和紀は想いを吐露した。
囁いた言葉の意味が掴み切れなかったのか、驚いたように目を見開いた日生を見ると、一瞬、やはり告げるべきではなかったのかと後悔が生まれる。
だが直後、大きな瞳は明らかに分かる滴をたたえた。
「わ…き、く…」
行き場のなかった日生の腕が和紀にしがみついてきて、和紀も驚きを表した。
「ひな?」
「ほんとに?…聞けるなんて思っていなかった…」
まるで、…まるで自分のものだと言わんばかりに寄り添い抱きついてくる日生の動きに、告げておきながら瞠目する。
返ってくる言葉も態度も、日生も何かを堪えていたのだと伝えてくるようだった。
思えば、こんなふうに抱き締め、抱きしめ返されるのはいつ以来だろうか。
ずっとそれとなく避けてしまった日々の中で、日生が抱えていたものとは…?と思いが巡る。
嬉しいと思う反面でずっと与え続けてしまった苦痛を悔やむ。
自分の意思だけで、勝手に縛り付けた位置に落としていたが、本当はそれを望まれていたのではないか…。冷たく抱く中でも何も逆らわないでいたのも、それとなく納得がいく。
もちろんも自分勝手な解釈だが…。
そんな日々を送らせてしまったこと…。
最初から日生に想いを伝えていたなら、単に『抱かれる』日は違ったものになっていたはずだった。
日生の本音を聞きたくないから…、強引な手段で離れていかないようにした。
そのために冷たい態度を取り続けたこと…。
「ひな…、ごめん…」
殻を作り閉じこもったのは和紀のほうだったのかもしれない。
細い日生の体をきつく抱きしめながら、和紀は改めて日生の香りを嗅いだ。
『離れていた』時が、埋められていく…。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ 
ポチっていただけると嬉しいです。
多忙にてちょっとお休みをいただきそうです。
関連記事
トラックバック0 コメント4
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
うー
コメントちー | URL | 2012-02-04-Sat 12:12 [編集]
良かったね、ひなちゃんも、お兄ちゃんもさあ。
やっぱり、気持ちがわかってるのとわかってないのじゃねえ?
こう、なんて言うんですかね?
満たされ具合が違いますよね(笑)

きえさんも、お忙しくなるんですね。
淋しいけど、読まずにおいてある小説もあるのでお待ちしてます。

乳児園、ひなちゃんを甘やかすだけかもしれませんね。
なんて、可愛くて連れ回して親子に潰されそう(笑)


No title
コメントけいったん | URL | 2012-02-04-Sat 15:07 [編集]
言って欲しかった言葉、知りたかった想い
和紀・・・長かったよ~~p(`ε´q)ブーブー

だけど ひな、日生、良かったね♪。+゚(´▽`)゚+。女喜シ立(≠

ちーさん、乳児園を私たちで作るの!
おぉ~それは 良い考えです゚.+:。d(ゝc_,・*)゚.+:。イイ!
...ですが、ちっちゃいお子ちゃまを相手にする体力が、私にあるかどうか~アセ(。_。;)アセ

きえ様、ご多忙との事 休める時は しっかり休んでね~ノホォォン (*´ω`)旦~...byebye☆
Re: うー
コメントたつみきえ | URL | 2012-02-06-Mon 10:28 [編集]
ちー様
こんにちは。
遅レス、すみませんm(__)m

> 良かったね、ひなちゃんも、お兄ちゃんもさあ。
> やっぱり、気持ちがわかってるのとわかってないのじゃねえ?
> こう、なんて言うんですかね?
> 満たされ具合が違いますよね(笑)

気持ちが繋がっているのと一方通行じゃ、感じるものも違ってきますよね。
素直な態度に出た日生に触発されて和紀も思わず本音がポロリ…でしたが、良かった結果になりました。
そこら辺は無邪気なままに反応を見せる日生なんでしょう。

> きえさんも、お忙しくなるんですね。
> 淋しいけど、読まずにおいてある小説もあるのでお待ちしてます。
>
> 乳児園、ひなちゃんを甘やかすだけかもしれませんね。
> なんて、可愛くて連れ回して親子に潰されそう(笑)

週末はどうしてもやることが増えて、まともにPCにも向かえません。
そこに平日も雑用に追われると…。
妄想する力も弱まってしまうのです。
ご迷惑おかけします。
枯れた頭に栄養分を送らないと…。

ひなちゃんはみんなのもの~…という意識は、あの親子にはないでしょうね…。
甘やかすのは歓迎、でもいきすぎは問題扱いされそうです。
(そういえば過去に、日生を連れまわしてクビになった家庭教師がいたっけ…)
┐( ̄ヘ ̄)┌ ダミダコリャ…
コメントありがとうございました。

Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-02-06-Mon 10:32 [編集]
けいったん様
こんにちは。遅レスですみません。

> 言って欲しかった言葉、知りたかった想い
> 和紀・・・長かったよ~~p(`ε´q)ブーブー
>
> だけど ひな、日生、良かったね♪。+゚(´▽`)゚+。女喜シ立(≠

ようやく聞けました~。
和紀も言いたかったんでしょうね。葛藤していた日々があったのだと思います。
でも長かった…。
日生、一人でグルグルしていたというのに。

> ちーさん、乳児園を私たちで作るの!
> おぉ~それは 良い考えです゚.+:。d(ゝc_,・*)゚.+:。イイ!
> ...ですが、ちっちゃいお子ちゃまを相手にする体力が、私にあるかどうか~アセ(。_。;)アセ
>
> きえ様、ご多忙との事 休める時は しっかり休んでね~ノホォォン (*´ω`)旦~...byebye☆

ちっちゃいお子様の相手は大変ですよね~。
毎日が運動会です。その体力…/(゚×゚)\
ぜひぜひ頑張っていただきたいものです(←他人事

お気遣いいつも感謝です。もう体調不良起こさないように注意していきたいと思います。
コメントありがとうございました。

トラックバック
TB*URL
<< 2024/05 >>
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -


Copyright © 2024 BLの丘. all rights reserved.