新入社員歓迎会をしようと話が持ち上がったのは数日先。
そこには瀬戸の退職記念の意味も含まれていて、新入社員である千種に断れる権利などありはしなかった。
もちろん、そのような事項については吉良も寛容な態度を見せ、行かせないわけもなく別段苛立つようなこともない。
どこで宴会が開かれるのかを当然知っていたし、会社という、安全な枠が千種を包んでくれている。
飲みの席が終わる頃には、注がれて記憶もあやふやになった千種がいた。
断れなかった…、杯。その一言である。
「はぁ…ん…」
吐息の一つすら、怪しいものを醸し出すなど、本人は当然知るはずがない。
「俺、送っていきますよ。家、近所だし」
真っ先に名乗り出てくれた西春が千種のよろける体を支えてくれた。
「んっ…くぅ…。すびばせ…ん」
「いいから。乗って」
千種の車は放置である。店側が認めてくれたために、一晩の放置は構わないらしい。延長料金も取られないなんてすばらしい地域だ…、などと思える余裕が千種にあったか…。
西春の車に乗り、代行で送られた先は、言わなくても知る住居だった。
到着前に、一応吉良に電話を入れた。
すぐに出た吉良は、晩酌していたのかどうなのか、かなりしっかりした声で答えてくる。
「あ、の、ねぇ~」
千種が語ることを、微笑ましく聞いて…、いや、ちがうな。全てが訝しいものだと知ったのはマンションに辿り着いた時だった。
吉良は、エントランス前で待っていたのだ。
「あ、きぃらぁ…」
完全な酔っ払いと化した千種は、吉良の存在を認めるとそのまま腕の中に縋り寄った。
送ってきたであろう西春、彼の存在など、全く無視した形だった。
吉良は、冷静にタクシー代を支払い、現状(車の行方など)を聞く。
会社の人間だけに心配はないと思うものの、以前千種が話した、『ご近所様』だとはすぐに悟れた。
咄嗟に湧く、対抗意識だった。
千種の天然なる素朴さは、都会とは受け止め方も違う刺激のようだ。さらに、何事にも真剣に取り組もうという純情さ。
まっすぐな気持ちは、受け止めるだけでなく、時に、バラの棘のようになってほしいのだが…。
「すみませんでしたね」
吉良が千種を腕に抱えたことで、立場は理解できるのだろう。
それ以上のことを言っては来なかった西春だ。
無意識に甘えてくる存在は、何よりも可愛いものに映る。
会社の人間にそれを知らしめるのはいかがなものかと思うところはありはしても、確実に知らせることは無意味にならないだろう。
吉良は人前でも千種に対する対応を変えることはなかった。
「千種?」
「ん~…、きらぁ」
「まったく」
呆れと感激が同時に訪れてくる。
無意識とは分かっていても、縋ってきてくれる姿は嬉しいし、愛おしさを運んでくる。
「え…と、あの…?」
そっと囁かれた西春の言葉に隠しながらも事実を告げる。
千種が隠している以上、はっきりとは口に出せないが…。自分という存在を告げることはいけないことではないだろう。
いらぬ心配を与えないことも、相手のためになる。
「千種が迷惑をかけたようですみませんでした」
「迷惑だなんて…。え…と…」
「同居人ですから。千種が喜ぶようであればいつでも遊びにきてください」
完全な宣戦布告だということを相手は感じたのだろうか。
こんなところで火花が散らされているとはもちろん千種は知らないことで…。
浮気問題の原因となった一部、底を悟れたのは吉良だからだからこそだった。
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ブログ村の新記事が上がらないのはもうそれはそれでね。放っておきます。
ランキング抜けも考え…まぁ、名前だけ残しておきましょうか…状態です。
そこには瀬戸の退職記念の意味も含まれていて、新入社員である千種に断れる権利などありはしなかった。
もちろん、そのような事項については吉良も寛容な態度を見せ、行かせないわけもなく別段苛立つようなこともない。
どこで宴会が開かれるのかを当然知っていたし、会社という、安全な枠が千種を包んでくれている。
飲みの席が終わる頃には、注がれて記憶もあやふやになった千種がいた。
断れなかった…、杯。その一言である。
「はぁ…ん…」
吐息の一つすら、怪しいものを醸し出すなど、本人は当然知るはずがない。
「俺、送っていきますよ。家、近所だし」
真っ先に名乗り出てくれた西春が千種のよろける体を支えてくれた。
「んっ…くぅ…。すびばせ…ん」
「いいから。乗って」
千種の車は放置である。店側が認めてくれたために、一晩の放置は構わないらしい。延長料金も取られないなんてすばらしい地域だ…、などと思える余裕が千種にあったか…。
西春の車に乗り、代行で送られた先は、言わなくても知る住居だった。
到着前に、一応吉良に電話を入れた。
すぐに出た吉良は、晩酌していたのかどうなのか、かなりしっかりした声で答えてくる。
「あ、の、ねぇ~」
千種が語ることを、微笑ましく聞いて…、いや、ちがうな。全てが訝しいものだと知ったのはマンションに辿り着いた時だった。
吉良は、エントランス前で待っていたのだ。
「あ、きぃらぁ…」
完全な酔っ払いと化した千種は、吉良の存在を認めるとそのまま腕の中に縋り寄った。
送ってきたであろう西春、彼の存在など、全く無視した形だった。
吉良は、冷静にタクシー代を支払い、現状(車の行方など)を聞く。
会社の人間だけに心配はないと思うものの、以前千種が話した、『ご近所様』だとはすぐに悟れた。
咄嗟に湧く、対抗意識だった。
千種の天然なる素朴さは、都会とは受け止め方も違う刺激のようだ。さらに、何事にも真剣に取り組もうという純情さ。
まっすぐな気持ちは、受け止めるだけでなく、時に、バラの棘のようになってほしいのだが…。
「すみませんでしたね」
吉良が千種を腕に抱えたことで、立場は理解できるのだろう。
それ以上のことを言っては来なかった西春だ。
無意識に甘えてくる存在は、何よりも可愛いものに映る。
会社の人間にそれを知らしめるのはいかがなものかと思うところはありはしても、確実に知らせることは無意味にならないだろう。
吉良は人前でも千種に対する対応を変えることはなかった。
「千種?」
「ん~…、きらぁ」
「まったく」
呆れと感激が同時に訪れてくる。
無意識とは分かっていても、縋ってきてくれる姿は嬉しいし、愛おしさを運んでくる。
「え…と、あの…?」
そっと囁かれた西春の言葉に隠しながらも事実を告げる。
千種が隠している以上、はっきりとは口に出せないが…。自分という存在を告げることはいけないことではないだろう。
いらぬ心配を与えないことも、相手のためになる。
「千種が迷惑をかけたようですみませんでした」
「迷惑だなんて…。え…と…」
「同居人ですから。千種が喜ぶようであればいつでも遊びにきてください」
完全な宣戦布告だということを相手は感じたのだろうか。
こんなところで火花が散らされているとはもちろん千種は知らないことで…。
浮気問題の原因となった一部、底を悟れたのは吉良だからだからこそだった。
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酔っ払った千種は、素直で~可愛い~♪
吉良も内心は、してやったりのデレデレでしょう。
このダンナは、(千種限定の)器が小さい狭いったらありゃしないわε-ヽ( ̄ヘ ̄)ノ ダミダコリャ…
”村”で記事が上がらないのは、「新しい家族」が完結して 次までのお休みかと思ってました。
きえ様は、放置の姿勢の様ですが、ランキングの方のきえ様の記事がーー!
「無題」、「無題」、「無題」と連呼されていて 『何じゃコリャァ~Σヽ(゚Д゚○)ノ』と来てみれば 更新されてたので 2回目の『何じゃコリャァ~Σ ゚Д゚≡( /)/エェッ!』ですよ、私!
これからは、”村”は当てにせず来ますね!
(*'ー'*)ノ~~゚.+:。 byebye☆・゚:*:゚
吉良も内心は、してやったりのデレデレでしょう。
このダンナは、(千種限定の)器が小さい狭いったらありゃしないわε-ヽ( ̄ヘ ̄)ノ ダミダコリャ…
”村”で記事が上がらないのは、「新しい家族」が完結して 次までのお休みかと思ってました。
きえ様は、放置の姿勢の様ですが、ランキングの方のきえ様の記事がーー!
「無題」、「無題」、「無題」と連呼されていて 『何じゃコリャァ~Σヽ(゚Д゚○)ノ』と来てみれば 更新されてたので 2回目の『何じゃコリャァ~Σ ゚Д゚≡( /)/エェッ!』ですよ、私!
これからは、”村”は当てにせず来ますね!
(*'ー'*)ノ~~゚.+:。 byebye☆・゚:*:゚
けいったん様
おはようございます。
> 酔っ払った千種は、素直で~可愛い~♪
> 吉良も内心は、してやったりのデレデレでしょう。
>
> このダンナは、(千種限定の)器が小さい狭いったらありゃしないわε-ヽ( ̄ヘ ̄)ノ ダミダコリャ…
酔っ払っちゃいましたね~。
そんな姿を見て、ここぞとばかりに自分の存在を晒す吉良。
でかいくせにちっちゃい男ですね。
まぁまぁヾ(- -;)呆れないで。
> ”村”で記事が上がらないのは、「新しい家族」が完結して 次までのお休みかと思ってました。
>
> きえ様は、放置の姿勢の様ですが、ランキングの方のきえ様の記事がーー!
> 「無題」、「無題」、「無題」と連呼されていて 『何じゃコリャァ~Σヽ(゚Д゚○)ノ』と来てみれば 更新されてたので 2回目の『何じゃコリャァ~Σ ゚Д゚≡( /)/エェッ!』ですよ、私!
>
> これからは、”村”は当てにせず来ますね!
> (*'ー'*)ノ~~゚.+:。 byebye☆・゚:*:゚
私もなんじゃこりゃーでした。
良く分からない(←そう言って全て投げ出す)
難しいことに時間をかける性格じゃないんですよ~。
普段やらなきゃならないこともいっぱいあるしね。
色々な人に色々なことを聞きながらブログを維持していきます。
村に名前は残しますから安心(?)してください。
適当に訪れてくださいね~。
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> 酔っ払った千種は、素直で~可愛い~♪
> 吉良も内心は、してやったりのデレデレでしょう。
>
> このダンナは、(千種限定の)器が小さい狭いったらありゃしないわε-ヽ( ̄ヘ ̄)ノ ダミダコリャ…
酔っ払っちゃいましたね~。
そんな姿を見て、ここぞとばかりに自分の存在を晒す吉良。
でかいくせにちっちゃい男ですね。
まぁまぁヾ(- -;)呆れないで。
> ”村”で記事が上がらないのは、「新しい家族」が完結して 次までのお休みかと思ってました。
>
> きえ様は、放置の姿勢の様ですが、ランキングの方のきえ様の記事がーー!
> 「無題」、「無題」、「無題」と連呼されていて 『何じゃコリャァ~Σヽ(゚Д゚○)ノ』と来てみれば 更新されてたので 2回目の『何じゃコリャァ~Σ ゚Д゚≡( /)/エェッ!』ですよ、私!
>
> これからは、”村”は当てにせず来ますね!
> (*'ー'*)ノ~~゚.+:。 byebye☆・゚:*:゚
私もなんじゃこりゃーでした。
良く分からない(←そう言って全て投げ出す)
難しいことに時間をかける性格じゃないんですよ~。
普段やらなきゃならないこともいっぱいあるしね。
色々な人に色々なことを聞きながらブログを維持していきます。
村に名前は残しますから安心(?)してください。
適当に訪れてくださいね~。
コメントありがとうございました。
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