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BLの丘
契りをかわして 6
2012-03-11-Sun  CATEGORY: 契り
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


手にしていた缶ビールを取り上げられた。
くちづけられる唇の動き、ざらりとした舌の蠢きに翻弄される。
口から伝わる苦い味は煙草のもので…。ここ最近、自分では近付くことのなかった匂いだった。伊吹は自分が煙草をやめて以来、人の煙を嫌う『嫌煙者』になっていたはずなのに、甲賀に対しては何も感じなかった。
それどころか、忘れた味を思い出させるように強請って吸った。
伊吹の舌も伸ばされる。
「いし、べ…」
「俺の名前、知ってんだろ?」
くちづけの合間に掠れた声が響く。
「…こう…が…」
ムード作りをしようとは自分にもある。かろうじてもれた声に、また口端が上がった気がした。雰囲気を認めてくれる態度は、年下ではない…。
挑発されているのかどうなのか…。質問には咄嗟に応えることができる能力が…。
余裕が逆に恨めしい…。
誰にでもこう、対応するのかと思われてしまうところ…。
『こうが』…。その名はいつ脳内に刻まれたのだろうかと、脳裏を過った。

「伊吹…」
恐ろしく骨身に染み込んでくる声だと思った。
どうにか冷静を取り戻したかった。
伊吹は唇をはなすと、硬い胸板に触れる。指先と、濡れた唇と…。
盛り上がった硬い筋肉は、自分を包んでくれるものと、安心感が湧く。
大胆だ…と分かっていながら、その行為を止められなかったのは何故だろう。
年上…?心に余裕のあるフリを見せたかったのか…。自分を冷静にさせる手段だったのか…。
甲賀の脚を跨いで座った。
彼の逞しい胸板に指を滑らせ…。…唇を寄せる。
ぴくりと動く筋肉がなんとも心地良い。
飾りとしか思えない乳首を舌先でもてあそび、硬い腹筋を撫でて、スーと体を埋めた先。
まだ布に覆われた場所に手をかける。
甲賀も協力してくれて、すんなりと衣類は足から抜け落ちた。
硬くても柔らかな毛に覆われた場所に指先が辿り着いて、一拍の呼吸を置いてから上目遣いで見上げた。
チラリと舌先を見せると、『焦らすな』といった感じの飢えた雄の顔が見えた。
何の刺激がなくてもピクッと跳ねあがる逞しい雄は…。赤黒く筋張っていた。

伊吹は目の前の怒張に舌を這わせる。
さらさらと落ちてくる髪をかきあげながら、伊吹の口の動きを追う視線を感じた。
目一杯含めば中から刺激され頬はふくらみ、絞り出すような動きに唇が窄まる。
「いぶき…」
頭上から響いてくる低音と、撫でられる頬への欲情。

先走りの苦い味が口の中に広がり、張り詰めたものが弾けるのも間もなくか…というときに、甲賀は伊吹の両脇を支えて胸元へと引き上げた。
甲賀の腿をまたがる姿勢は変わっていない。
「…?石部さ…?」
あのまま口の中でイっても良かったのに…と疑問の声を発すると、甲賀の眉根が僅かに寄った。
「名前で呼んどけ」
顧客の我が儘に対応したことなど多々。
相手がそう、望むのなら…と、順応性が高いのは幸か不幸か。
「甲賀…」
伊吹の声に満足を得たのだろう。
伊吹の額にキスをひとつ贈ると、甲賀が動きだした。
簡単にひっくり返され、四つん這いに足を広げさせられて、バスローブの裾を捲り上げられ後ろの状態を伺われた。
それだけで、どれだけ馴染んだ人間なのかと晒すようなものだった。
慣れているとはいえ、準備まで済んでいる。孔の具合を改めて確かめられるなど…。
羞恥に顔が火照り、枕の中に顔を埋める。
もう少し自分自身に余裕ができていたと思っていたのに…。
最後の砦のようなものは残っていたらしい。
双丘をわざとらしく両手で割り、親指の腹で孔の上を撫でつける。
あの瞳が、どんなふうに見つめているのか、想像するだけで後孔が収縮するようだった。
「綺麗なピンク色」
「言うなっ!」
自分でも見ることのない場所の解説などいらない。
乾いた肌に湿ったものが押し当てられる。這わされる熱さと動きで、舐められているのが分かった。
「あ…、ん…。甲賀…」
意識した、甘ったるい声が伊吹から吐き出される。
“演じる”…。これが伊吹のセックスだった。

セックスは決して好きではない…。
妙に自分だけが冷静で、興奮している相手の意のままにされる。
気持ちいい…、確かにそんな瞬間もあるのかもしれないが、束の間のやすらぎを得たいがために身を差し出しているようなもの。
抱きしめられて、ホッとできる瞬間を求めて、色々な意味で相手に”奉仕”した。
培ってきた営業根性が、こんなところにまで発揮されるとは皮肉なものだ。
「こ…が…」
上げる声もその一つ。

甲賀が持つあの筋肉質な体に包まれたら、どれだけ安らげるだろう。
人との繋がりに疲れた体を癒してくれる存在を、伊吹はいつも求めているのかもしれない。
突然ヒンヤリとしたものが後孔から陰茎を伝わって滴り落ちた。
ローションかと思ったが、あまりのサラサラとした感触に下から覗きあげる。
黄金色の液がシーツに染みを作っていた。
「な…っ?!」
自分のものではない。分かってはいても、先端から垂れ落ちる液体は、粗相をしたようにしか見えなかった。
体をあげようとしても、がっしりと掴まれていた腰は動くことがない。
「甲賀っ?!」
「濡らさないとだろ。ヒクヒクしながらちゃんと飲んでるよ」
先程取り上げられた缶ビールを口にして、孔の中に注ぎこまれる。零れたビールは再び同じ経路をたどり、シーツに落ちた。
「やぁぁぁっ!!」
これまで感じたことのない羞恥だった。
全身に火がつく。

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更新ない、とか言いながら隠れて書いたら書けちゃったからupします。
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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-03-11-Sun 18:34 [編集]
(○´Д`)y-~~ホウホウ
ひとつ ひとつの行為が 随分と慣れてるなぁ~甲賀は。

伊吹の演技が、いつまで持つか じっくりと拝見させて頂きますね。
(¬ー¬) フフ...byebye☆



Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-03-12-Mon 09:18 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> (○´Д`)y-~~ホウホウ
> ひとつ ひとつの行為が 随分と慣れてるなぁ~甲賀は。
>
> 伊吹の演技が、いつまで持つか じっくりと拝見させて頂きますね。
> (¬ー¬) フフ...byebye☆

どんな手管の持ち主なんでしょう~(笑)
声をかけられて"お付き合い"の一環…なんて思って付いてきたのが運のツキ?!
しかし…そろそろこの、"一日目"を終わりにしないと…。
話が進まない…(-_-;)
コメントありがとうございました。

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