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BLの丘
待っているよ 31
2012-06-28-Thu  CATEGORY: 待っているよ
大野城に筑穂自身のことを言われた時も、弟のことが気になった。他人に弟の面倒を見させてしまうことは、申し訳なさのほうが強い。不安も運んでくる。
筑穂の戸惑いを福智は感じ取るのだろうか。
隣に並んだ姿が腕を伸ばしてきて、そっと筑穂の肩を抱いた。
「本当はさ…。下のヤツが手がかからなくなるまで、…そうだな、せめてあと一、二年は筑穂が頑張る姿を影ながら見守っていこうと思ってた。俺がツベコベ言ったら、逆に負担になると思ってたから。でもさ…。…先生に何言われたのか知らないけれど、明らかに筑穂狙いって分かったら、やっぱ、黙っていられないでしょ。俺だってできること、やりたいし。それに今日、一緒に過ごして、つくづく振り返ったよ。黙って見つめているのも一つの親切かもしれないけど、…筑穂は家のことは負担だとは思っていないかもしれないけど、だからこそこうして”話す”ことくらいはしてやりたい。その時間、俺のために作ってくれない?筑穂の”家族”の邪魔はしないから」
「福智…」
抱きしめられた腕の逞しさに、先日の大野城に甘えた瞬間が甦る。
比べたらいけないものだとも分かる。
福智は昨夜に、筑穂と大野城に何があったのか、すでに気付いている。あまりにも早く進んでしまった出来事、そのことを責めてくるわけでもなく、さらに自分の焦った感情を隠すこともない。
それほど追い込まれた環境、精神状態にあったこと…をみつめる。
真正面からぶつかってきてくれる性格は、いつも見ていたものだけど…。いつもとは違う、”控え目”が見られないのは、堪えていたものがあったからなのだろう。
今、筑穂が感じているものが、本当の福智だったとしたなら…。
それでも嫌うところなど一つもなかった。
それが”同僚”としてなのか”特別な相手”と位置付けてなのかは、まだ判断ができずにいる。
自分の家族の中に入ったとしても、”邪魔をしない”というのは、筑穂の家族を思う気持ち、育てていきたいという希望を汲んでくれている。
すでに良く知った性格もあるのだろうか。
踏み込んできているのに、福智なりの気遣いの在り方。

「俺にも頼ってほしい…。一日の最後の時間だけでいいよ。こうして、俺にちょうだい。…あ、もちろん、先生は抜きでっ」
最後にはきちんと欲求と、そこに含ませる軽口は筑穂を和ませた。
大野城の存在はまだ微妙である筑穂だ。
それは、昨夜の体を重ねてしまった…という点が尾を引くのか…。
本当に頼りたい、甘えたい相手であったのだろうかという疑問も、改めて考えさせてくれるものになる。
だけど、仕事が絡む以上、福智に対して万が一の時を避けたいのも確かだった。
もし、うまくいかなかったなら…。逃げる場所まで考えてしまう。
会社が居心地がいいから、余計に無駄な諍いは持ち込みたくない。
好きな仕事だからこそ…。

口を噤んでしまう筑穂に、やはり柔らかな口調で、「突然こんなこと言ってごめんな…」と気遣ってくれる。
慌てて決断するなということなのか…。
それでいながらしっかり押し進めてくる態度は消えない。
胸の中に抱かれて肌の温かさを、また感じた。
包んでくれる逞しさは、筑穂をホッとさせてくれるものだ。
昨日、初めて知って…。こういった空間があるのだと分かれば体の方が先に求めてしまう。
そこにある安らぎを…。

「福智…。まだ分かんないよ…」
「うん、知ってる。でも、筑穂は追われていたんだと思う。いきなりいっぱい起こり過ぎたんだろ?前にも言ったけど、その場の感情に流されちゃダメだって。俺、待っているから。筑穂が納得いくまで、考えて、その結果を待つから。それまで俺は、筑穂を待つから…」
大野城とは違う温かさ。
筑穂の性格を良く知った福智だからこそ、慌てさせない気持ちが漂う。
その場で何かに縋りたくなる、弱い精神のことも…。自分を頼られなかったのは悔しさなのだろうが。
筑穂の今抱える問題、そのものごと、受け止めようとしてくれる態度は、やはり、一緒に背負って行こうというものに見えた。

どちらを選んだらいいのだろう…。

グスッと鼻先を濡らしたら、「ホント、良く泣くな…」と宥められた。
眦に這わされる指先に、ここにも甘えていいのだろうかと葛藤が浮かぶ。
包まれる腕は何もかもを許してくれていた。

「筑穂…」
瞼の上に落ちる、温かな唇。それは頬を這い、唇の上に重なってくる。
触れあわせるだけの…、幼いものなのかもしれないが…。
筑穂に合わせてくれたのかどうかはわからない。でも人肌を感じられる空間は、気持ち良かった…。
「福智…」

「にぃちゃんたち、なに食べてるの~っ?!」
バタンと開かれた扉の先で、食べ物の匂いを嗅ぎつけた”育ちざかり”は、時に肝を冷やしてくれる。

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か、嘉穂…。お兄ちゃんは今、オイシイものを食べようと…(食べられようと…、←いや、それも違うケド…)
同居、大変だね…。



ここから先は、妄想です。
本編とは繋がらない、私個人の、「あ~、こんなこともあるかもね~」編です。
ちなみに嘉穂は『可愛い嘉穂系』(←なにそれっ)です。

バターンッ(扉全開)
筑穂「か、かほ…っ(汗)」
嘉穂「にぃちゃん、ぽてとちっぷす~」(テーブルの上を即座に探る)
福智「おー、持って行け。部屋で食え」
穂波「嘉穂っ、騒いでんなよっ。ほらっ、寝ろっ」(←追い掛けた人。子育て手伝う…、兄を気遣う弟)
嘉穂「にぃちゃんたち、ずるくない?」(食べ物に必死)
穂波「明日、パン買ってきてやるから…今日はこれ持って寝ろ」(お腹のすく子を治める)
福智「…(すげぇ、できた弟だな…)…」
穂波「福智さん、ごゆっくりどうぞ」
福智「おーっ(`・ω・´)ノ」
穂波「…(センコーよりマシだ…)…」(←…"より"…って…"より"って…)
筑穂「…嘉穂の宿題を考えるべきか、穂波の精神状態を優先するべきか…」
福智「ヽ(゚∀゚)ノ弟の許可、得た~~~っ筑穂~っガバッ」
筑穂「うっ…」

穂波「サササ,,,,,,,(((( ̄⊿ ̄ノ)ノ荷造り…」

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コメント

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うんうん
コメントちー | URL | 2012-06-28-Thu 04:47 [編集]
フクちゃんは、見守る人。
センセーは、行動的?な人。

私は、フクちゃん推奨だけどー。
センセーが嫌とかじゃないんですけど。
見守り隊のフクちゃんが好きです。
優しいキスの後、末っ子ちゃん登場だ♪
そんなのも含めて、フクちゃん頑張って欲しいな。
ホナは、センセーよりマシ(笑)ブラコンだから、誰になっても気に入らないよねっ、ホナ。


トゥルトゥルトゥル♪


「チューゥ チュチュチュ ナッツの・・・」

「隊長、はいセェっの!夏の・・・」

『お嬢さん~。』

「はぁい、なんですか?あ、引いてる?だって、怒鳴るからぁ。え?きえ上官鬼リピして号泣←しとらん」
「大丈夫です、隊長が夏のお嬢さん♪て、唄って『ガチャン』隊長~。」
Re: うんうん
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-28-Thu 08:01 [編集]
ちー様
おはようございます。

> フクちゃんは、見守る人。
> センセーは、行動的?な人。

少し分かれるふたりの存在ですね。
その間で揺れ動く筑穂です。
どっちも良さがあるからね。

> 私は、フクちゃん推奨だけどー。
> センセーが嫌とかじゃないんですけど。
> 見守り隊のフクちゃんが好きです。
> 優しいキスの後、末っ子ちゃん登場だ♪
> そんなのも含めて、フクちゃん頑張って欲しいな。
> ホナは、センセーよりマシ(笑)ブラコンだから、誰になっても気に入らないよねっ、ホナ。

フクちゃんに一票ですか~。
一応流れは決まっているのですが…(そこはまだ内緒で(o´艸`o))
末っ子、どこまでもマイペースです。
この家族の中でフクちゃん、やっていけるんですかね~。
穂波は『自分たちのお兄ちゃん』であってほしいんでしょう。
幸せは願うけど…、願うけど…、願うけど…。・゚・(ノД`)・゚・。他ノ人ヲ見ナイデ…

> トゥルトゥルトゥル♪
>
>
> 「チューゥ チュチュチュ ナッツの・・・」
>
> 「隊長、はいセェっの!夏の・・・」
>
> 『お嬢さん~。』
>
> 「はぁい、なんですか?あ、引いてる?だって、怒鳴るからぁ。え?きえ上官鬼リピして号泣←しとらん」
> 「大丈夫です、隊長が夏のお嬢さん♪て、唄って『ガチャン』隊長~。」

またなんだか、すごい歌が…。
イクエちゃんですか…。
隊長、唄ってくれなさそうですね…。
私はもう泣かないから大丈夫よ~♪
コメントありがとうございました。
No title
コメントけいったん | URL | 2012-06-28-Thu 10:38 [編集]
甘えたい...頼りたい...と思える存在が、こんなに身近に居たなんて♪
チキショー羨ましいぞ、筑穂!(*・ε・*)ムー

今は 穂波の事で 気持ちも不安定だし、この件が落ち着いてから 自分の事を ゆっくりと考えたらいいって!
ずっと 見守ってくれてた大野城も福智も 分かってくれるよ~(oゝД・)b ネェッ♪

『・・・夏のお嬢さん~♪!?』
『ナカナイデ~♪ナカナイデ~♪...夏のお嬢さん~♪...ナカナイデ~♪ナカナイデ~♪夏のお嬢さん~♪...((◎o◎:))~♪』
「オイ! 隊長の様子が 変だぞっ!」
「エッ?ど・如何されたんですかぁー!」
「隊長・・・?隊長~隊長~~~っ!」
---数日後---
【休養届け--最近の任務の多忙にて 過労の蓄積が酷く 暫く心身共に休養する事にしました。
隊員諸君へ、儂が居なくても 頑張ってくれ給え!健闘を祈る!】
「「「隊長~~!(号泣)」」」

チッ、弱っちい奴...( ̄、 ̄)θ ⌒ ◇|_| お片付け♪...byebye☆

Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-06-28-Thu 13:55 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 甘えたい...頼りたい...と思える存在が、こんなに身近に居たなんて♪
> チキショー羨ましいぞ、筑穂!(*・ε・*)ムー

いましたね~。ちょこちょこと、本人気付かず頼っていたところとかいっぱいあると思います。
そういう弱い所、身近な人は見詰めていたのでしょう。
…けいったん様の嫉妬を感じるけど…。

> 今は 穂波の事で 気持ちも不安定だし、この件が落ち着いてから 自分の事を ゆっくりと考えたらいいって!
> ずっと 見守ってくれてた大野城も福智も 分かってくれるよ~(oゝД・)b ネェッ♪

そう、ちょうど情緒不安定期に入っちゃった筑穂でしたね。
穂波の進路も決まったし、相手もわかったし、いっぱい話しあって、見送って、今度は自分のことを考えたらいいよね。
その手助け、ふたりともしてくれるから~。

> 『・・・夏のお嬢さん~♪!?』
> 『ナカナイデ~♪ナカナイデ~♪...夏のお嬢さん~♪...ナカナイデ~♪ナカナイデ~♪夏のお嬢さん~♪...((◎o◎:))~♪』
> 「オイ! 隊長の様子が 変だぞっ!」
> 「エッ?ど・如何されたんですかぁー!」
> 「隊長・・・?隊長~隊長~~~っ!」
> ---数日後---
> 【休養届け--最近の任務の多忙にて 過労の蓄積が酷く 暫く心身共に休養する事にしました。
> 隊員諸君へ、儂が居なくても 頑張ってくれ給え!健闘を祈る!】
> 「「「隊長~~!(号泣)」」」
>
> チッ、弱っちい奴...( ̄、 ̄)θ ⌒ ◇|_| お片付け♪...byebye☆

たいちょーっ、入院?!
お嬢さんに惑わされたのかしら…。
保険の手続きが…。

「ヽ(゚∀゚)ノ 隊長、お歳もありますし、そろそろ見直しを~♪」
『どこまで営業しているんだ、おまえは~~~ヽ(`Д´)ノウワァァン!!』

隊長、ゆっくり休んでね~。
コメントありがとうございました。

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