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BLの丘
誘われたその先に 16
2013-03-28-Thu  CATEGORY: 誘われたその先に
初めてのことに緊張感は抜けない。
寝室に連れられてベッドに横にされて。
硬くなるばかりの体に、高槻はゆっくりと首筋から指を這わせて、下がっていっては性器に触れてくる。
「和泉・・・」
何度も耳朶を噛まれた。
刺しこまれる舌先。注がれる水音に、官能の嵐が襲ってくる。

「いいのかな・・・」
改めて確認するように、覗きこまれる。
この一線を越えなければ、高槻が自分のものにならないと分かるからこそ、うなづき返す。
「高槻さんだからこそ・・・」
いつか聞いたセリフだと思った。
高槻に呼ばれた時、『和泉くんだからこそ』と口にされた。
誘われた時のセリフとは、胸の奥に残っているのだろうか。

まるで懺悔の気持ちも混じるようだった。
抱かれ方はいつも以上に増して丁寧で慎重だ。
そっとくちづけてくる。
胸の尖りを口に含まれて、背筋に走るジンとしたものを感じた。
性器を口に含まれて、動揺も走る。
「あ、っ、だ、めっ」
「いいから」
気持ち良さに体が震えて、その先を強請っていた。
揺れてしまう腰に、"させてしまう"ことの後ろめたさも浮かんでくる。
自分だけが気持ち良くなっていくような。

こんなはずではなかったのに・・・

体を戦慄かせ、涙を浮かべながら和泉は、そのまま果ててしまった。
嚥下されることに技の違いを知らしめらされる。
「いや・・・」
顔を覗かれて、恥ずかしさに首を横に向けたのだが・・・。
高槻に抵抗のようなものは全くない。

後ろの蕾を指先でなでられる。
「あ・・・」
不思議な感覚だった。
初めて触れられる場所は気持ち悪くもない。
恐怖は確かにあったけれど。
じっとして、撫でられる指触りの肌を感じていた。

性器から門渡り、後ろの孔までじっくりと舐められて、恥ずかしさともどかしさに悶絶した。
じっくりと時間をかけて解きほぐされていく。
体内に感じる圧迫感と、やがて突きあげられる衝撃に出会う。
電流のようなものはそのまま射精感に直結した。
イかせてくれそうで、たどりつかせてくれないもの。
一度イかされているだけに、辛いものが浮かんでくる。
体中を走っていく射精感は、これまで、感じたことがないものだった。
奥深いものが、"男同士"のこの奥にあるのだと教えられているよう・・・。

『メリ』っと裂けるような音がするかと思った。
それほどの激しい衝撃が、後孔に走ったのだ。
男が男を受け入れるとはこういうことなのか・・・

「あっっ」
止めようと思った発言さえ、今の高槻には聞こえていないのかもしれない。
許したのは自分だったけれど。

この痛みで高槻を寄せられるのだろうか。
涙目で見つめた先に、やはり辛そうな高槻の瞳があった。
「和泉・・・」
和泉が受け止めた代償に、全ての運命を引き受けると覚悟を決めた姿。
あの男のことはもう考えなくていいと。
悩ませてしまった後悔が、高槻にはあった。
奥深く、ドクドクと息づくものが胎内にある。

「ごめん」・・・
今度は和泉が吐き出したものだった。
そこまで、高槻を追い込ませていたのだ。
分かる・・・。こうしてつながって、満足が欲しかったこと。
ずっと耐えさせていたこと。
「ごめんね・・・」
もう一度発しては、「バカだな」と宥められた。
和泉が謝ることはなにもないのに、と。

和泉を抱くことは、高槻なりの謝罪なのだろう。
付き合っていると思っていた時ですら、他の人を抱いたのは、高槻の"脅え"だったのだろうか。
怖くて抱けなかった日々があったこと。

「もう・・・ もう・・・」
他の人を抱かないでと直接言葉には出来なかったけれど、伝わってはいたのだと思う。

開いた後ろの蕾は、何度も灼熱を呼び込んだ。
『とじさせないで』と言ったか、誘ったかはともかく。
幾度も高槻を満足させたくて、また満足してくれたらしい。

緩く 新しく 新鮮な世界に酔わされ満喫感を得た。
「和泉・・・」
声に酔う。
出会った時から、その精悍さに引き寄せられていた。

並んで横になり、優しく抱かれながら、「バカだな」ともう一度囁いてくれた。
迷わなくていいのだと。
抱かれてその温かさにおぼれた。
何も心配がないと、不安も抱かない心に出会った。



身体を開いたからこそ、全て高槻に与えたのだと思っていた。

大人と子供との違いなのか、全ては異なっていたのだ。
経験の違いは明らかなこと。
一度で済むはずがなく、そばにいればいいというものでもなく。
和泉は一度の性交で満足したものがあったが、求められるものはまた違っている。

一人の人を想う・・・
それは高槻と和泉との間では感覚が違ったのだろう。

あれから高槻は外で働いていて、知らぬところで、まだ和泉以外の男を抱き続けていたことを後に知らされた。
あの男がまた姿を見せるまで、和泉は愛されていると信じ続けていた。
甘えていた証拠を突きつけられるように。
マンションの前に、現れた人物に声が失われる。
「うそ・・・」
「おまえ、ばか・・・?」
呆然とする和泉に男の言葉が降り注がれる。
いつまで高槻に甘えているのかと。
おまえなどすでに相手にはされていない。
単に気まぐれで手を出してみただけだと。
そう告げてくる。
蔑む声はとても低く響く。
真実なのかどうなのか、発されることに呆然とした。

そのことを高槻に告げられず、また悩む姿を心配されながら、何も言えずに時が過ぎた。

落ち込む日々を過ごし、でも高槻の家の前まで送ってきてくれた東成が、三度目の"高槻の相手"を見て、何もかもを悟ったように頭を抱えた。
「もう、やめろ」
東成は和泉を包んでくれる。
支えてくれるその姿にやすらぎもあった。
人目憚らず、その場で和泉は東成に抱きしめられていた。


東成との抱き合う光景を写真にとられているとは思ってもいなかった。
映ったそれは、『恋人同士』に見えて、高槻に誤解を与えるには充分だった。
探偵を雇っていたとは知らなかった。
ずっと様子がおかしかった和泉を疑ったのか。
東成と抱き合う姿。
高槻もまた、信じていた気持ちがあった関係だからこそ。
和泉は『ノーマル』だと思っていた高槻にとって、その光景は、衝撃はあまりにも大きすぎたのかもしれない。


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ぼちってしてくれるとうれしいです。
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コメント

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拍手コメさま
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-31-Sat 17:11 [編集]
> なんかついて行けません。

すみませんでした~m(__)m
遅いけれど、いろいろと手直ししていきます。
コメントとご指摘ありがとうございました。
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