「分かっているのかな」
和泉が返したセリフに、これ以上続けることの危険さを匂わせる。
和泉では想像しえない世界が待ち受けているのだと。
だけど"嫌いにはなれない"、それは確かなことだった。
静かな空間に、打ち寄せる波音だけが響いてくる。
高槻の言い分は分かっているようで、だけどまだ理解に苦しむところがあるのかもしれない。
和泉の心はどこかを彷徨っていた。
不安げに見つめ返した先。
高槻の脅えを含んだ眼差しはみたことがなかった。
いつも自信にあふれて、人を引き付ける毅然とした態度でいたのに、今は違っている。
これが、高槻が持つ、本音なのだと思う。
正直に吐露してくれるのも、高槻の人柄なのか・・・。
真正面から向き合ってくれる姿勢はこれまでと変わらない。
隠し事は好きではないという彼が、ここまで打ち明けた心境は、いかがなものなのだろうか。
嫌いにはなれない、そうつぶやいたセリフでさえ高槻には違った意味でとらえられている。
期待をもってしまう、だからこそ、それ以前に避けたかったのだと。
しかし、和泉にとって失うことだけは考えられなかったのだ。
何故か和泉は必死だった。
「俺、俺っ、まだ子供かもしれないけれどっ、高槻さんと会うのは嫌じゃないしっ、嬉しいこともあるしっ」
連れていってもらったレストランはもちろん、輸入雑貨を扱う店は異国情緒あふれていて新しい世界を見た気がしていた。
見せてもらった世界は、今までの学生生活では目にするものではなかった。
取引や、駆け引きなどではなく、高槻という一人の人間として向き合いたい。
だけど意味合いは違うのだと語られるように、高槻に首を振られた。
和泉は"兄のように慕って"いたが、高槻は"恋人として"見ていたことだったのだと。
それが、別れるか、別れないかの話になっている。
男同士のナニカはまだわからない。
『もう会うのをやめよう』と言われては大きな動揺が走る。
心を寄せた人が離れていくのは、なんだって辛い。
即座に過ったことは、自分は高槻のために何ができるかということだった。
スッと手が伸びてくる。
手のひらで頬を包まれた。
身じろぎひとつせず、和泉は次の動きを大人しく待っていた。
「わかっているのかな」
もう一度確かめるように高槻が言葉を繋いだ。
ゆっくりと近づいてくる精悍な顔がある。
全ての行動は、"こういうことをしたいんだよ"という思いの溢れだった。
抵抗する気にもなれなかった。
全く嫌だとは思わない。
そっと瞼を閉じると同時に、唇に温かいものが触れる。
口づけられることが、まるであたりまえのことのように、受け入れることができていた。
それは、高槻の気持ちまで包み込むものとなっていた。
唇を重ねられて、和泉は返事をするかのように口を開いた。口腔に差し込まれるもの。
高槻という男に酔わされていく。
女性を相手にしては、リードすることに気遣っていたものが、高槻を相手にしては無にされて、逆に安らぎすら与えられているようだった。
強く抱きしめられる腕の強さも、心地よく感じられるくらいに・・・。
一人の人として欲しい。
もう、訳がわからなかった。
わき上がってくるもの。
『好きだ』と思った感情はあとからついてくる。
相手を思い、"付き合う"という形に変わった瞬間だった。
***
どこでなにをしていようが、どうでもよかったはずなのに・・・。
気付けばメールのひとつに気をとられている。
彼に寄る一人が気になる。
自分とはこんな人間だっただろうか。
和泉は、過去の彼女たちに抱かなかった感情に焦ってもいた。
過ごしている空間が違うのだから、気にかけても仕方がないのだけれど。
どんな働きをしているのか、どんな人付き合いがあるのか、追いかけたらきりがない。
それが分かったように、会う回数を増やしてくれた高槻だった。
スケジュールも出来る限りの範囲で教えてくれたし、自宅のマンションにも招かれた。
高層階にある住居は、階違いに姉の住まいもある。
家の中に羽衣の姿を見かけた時もたびたびあった。
羽衣もすっかり和泉になついてくれて、それも嬉しさが増す。
打ち解けていく・・・。
それでもまだ、一歩を踏み出せない和泉だったのかもしれない。
高槻は、黙って待っていてくれたけれど。
キスや、簡単なスキンシップはあったが、最終的な"繋がる"ことまでは辿りつけていなかった。
他の男にされて、気持ち悪いと思うものでも、やはり高槻は特別だったのに、恐怖心ははびこっている。
「今のままでいいよ」と高槻は待ってくれていた。
それにも甘えていたのだろうか。
まだ仕事が終わらない時間だと分かっている。
高槻のマンションに先に足を踏み入れた時、入れないエントランスの前に立つ人物を目にした。
高槻と年齢が変わらないだろうと思われる人には、どこか見覚えがあった。
たぶん、店に来たことがあるだろう。
「あの・・・」
警戒した声に薄笑で迎えられる。
「最近、生野のまわりをうろつく子ネズミがいるって聞いていたけれど。おまえか」
辛辣な口調は動揺を運んできた。
「抱かせてもやらないって?欲求不満かかえていつも俺のところにくるけれど。受けられないなら、さっさと消えろよ」
更に聞こえたセリフには耳を疑った。
「俺と生野、身体の相性、いいから」
すでに繋がっている関係なのだと、また、今でも関係性があること。
見開いた瞳の先、冷静に告げてくる動揺のなさに、深いものを知る。
「うそ・・・」
高槻が男を相手にする人間だとはすでに教えられていた。
過去に何があっても受け入れられる心はあったつもりだが・・・。
この男が発するところは、和泉と付き合いがあったなかでも、"関係"があったということだろう。
そのことを隠しもしない。それどころか敵対心で向かってくる。
『抱かせてもやらない』・・・
和泉の中に深く突き刺さった。
にほんブログ村
ぼちってしてくれるとうれしいです。
和泉が返したセリフに、これ以上続けることの危険さを匂わせる。
和泉では想像しえない世界が待ち受けているのだと。
だけど"嫌いにはなれない"、それは確かなことだった。
静かな空間に、打ち寄せる波音だけが響いてくる。
高槻の言い分は分かっているようで、だけどまだ理解に苦しむところがあるのかもしれない。
和泉の心はどこかを彷徨っていた。
不安げに見つめ返した先。
高槻の脅えを含んだ眼差しはみたことがなかった。
いつも自信にあふれて、人を引き付ける毅然とした態度でいたのに、今は違っている。
これが、高槻が持つ、本音なのだと思う。
正直に吐露してくれるのも、高槻の人柄なのか・・・。
真正面から向き合ってくれる姿勢はこれまでと変わらない。
隠し事は好きではないという彼が、ここまで打ち明けた心境は、いかがなものなのだろうか。
嫌いにはなれない、そうつぶやいたセリフでさえ高槻には違った意味でとらえられている。
期待をもってしまう、だからこそ、それ以前に避けたかったのだと。
しかし、和泉にとって失うことだけは考えられなかったのだ。
何故か和泉は必死だった。
「俺、俺っ、まだ子供かもしれないけれどっ、高槻さんと会うのは嫌じゃないしっ、嬉しいこともあるしっ」
連れていってもらったレストランはもちろん、輸入雑貨を扱う店は異国情緒あふれていて新しい世界を見た気がしていた。
見せてもらった世界は、今までの学生生活では目にするものではなかった。
取引や、駆け引きなどではなく、高槻という一人の人間として向き合いたい。
だけど意味合いは違うのだと語られるように、高槻に首を振られた。
和泉は"兄のように慕って"いたが、高槻は"恋人として"見ていたことだったのだと。
それが、別れるか、別れないかの話になっている。
男同士のナニカはまだわからない。
『もう会うのをやめよう』と言われては大きな動揺が走る。
心を寄せた人が離れていくのは、なんだって辛い。
即座に過ったことは、自分は高槻のために何ができるかということだった。
スッと手が伸びてくる。
手のひらで頬を包まれた。
身じろぎひとつせず、和泉は次の動きを大人しく待っていた。
「わかっているのかな」
もう一度確かめるように高槻が言葉を繋いだ。
ゆっくりと近づいてくる精悍な顔がある。
全ての行動は、"こういうことをしたいんだよ"という思いの溢れだった。
抵抗する気にもなれなかった。
全く嫌だとは思わない。
そっと瞼を閉じると同時に、唇に温かいものが触れる。
口づけられることが、まるであたりまえのことのように、受け入れることができていた。
それは、高槻の気持ちまで包み込むものとなっていた。
唇を重ねられて、和泉は返事をするかのように口を開いた。口腔に差し込まれるもの。
高槻という男に酔わされていく。
女性を相手にしては、リードすることに気遣っていたものが、高槻を相手にしては無にされて、逆に安らぎすら与えられているようだった。
強く抱きしめられる腕の強さも、心地よく感じられるくらいに・・・。
一人の人として欲しい。
もう、訳がわからなかった。
わき上がってくるもの。
『好きだ』と思った感情はあとからついてくる。
相手を思い、"付き合う"という形に変わった瞬間だった。
***
どこでなにをしていようが、どうでもよかったはずなのに・・・。
気付けばメールのひとつに気をとられている。
彼に寄る一人が気になる。
自分とはこんな人間だっただろうか。
和泉は、過去の彼女たちに抱かなかった感情に焦ってもいた。
過ごしている空間が違うのだから、気にかけても仕方がないのだけれど。
どんな働きをしているのか、どんな人付き合いがあるのか、追いかけたらきりがない。
それが分かったように、会う回数を増やしてくれた高槻だった。
スケジュールも出来る限りの範囲で教えてくれたし、自宅のマンションにも招かれた。
高層階にある住居は、階違いに姉の住まいもある。
家の中に羽衣の姿を見かけた時もたびたびあった。
羽衣もすっかり和泉になついてくれて、それも嬉しさが増す。
打ち解けていく・・・。
それでもまだ、一歩を踏み出せない和泉だったのかもしれない。
高槻は、黙って待っていてくれたけれど。
キスや、簡単なスキンシップはあったが、最終的な"繋がる"ことまでは辿りつけていなかった。
他の男にされて、気持ち悪いと思うものでも、やはり高槻は特別だったのに、恐怖心ははびこっている。
「今のままでいいよ」と高槻は待ってくれていた。
それにも甘えていたのだろうか。
まだ仕事が終わらない時間だと分かっている。
高槻のマンションに先に足を踏み入れた時、入れないエントランスの前に立つ人物を目にした。
高槻と年齢が変わらないだろうと思われる人には、どこか見覚えがあった。
たぶん、店に来たことがあるだろう。
「あの・・・」
警戒した声に薄笑で迎えられる。
「最近、生野のまわりをうろつく子ネズミがいるって聞いていたけれど。おまえか」
辛辣な口調は動揺を運んできた。
「抱かせてもやらないって?欲求不満かかえていつも俺のところにくるけれど。受けられないなら、さっさと消えろよ」
更に聞こえたセリフには耳を疑った。
「俺と生野、身体の相性、いいから」
すでに繋がっている関係なのだと、また、今でも関係性があること。
見開いた瞳の先、冷静に告げてくる動揺のなさに、深いものを知る。
「うそ・・・」
高槻が男を相手にする人間だとはすでに教えられていた。
過去に何があっても受け入れられる心はあったつもりだが・・・。
この男が発するところは、和泉と付き合いがあったなかでも、"関係"があったということだろう。
そのことを隠しもしない。それどころか敵対心で向かってくる。
『抱かせてもやらない』・・・
和泉の中に深く突き刺さった。
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ぼちってしてくれるとうれしいです。
まだ 和泉が、本質的な同性の恋愛事情を分かっていないからでしょう。
高槻氏は 拒否されると思ってた自分の思いを受け入れてくれただけでも「良し」として
今の所は 大人の余裕を カマシてますね!
でも 内心は どれだけ悶々を隠しているのやら~(笑)
とうとう宣戦布告ですか、もぅーくんパパ!
それも 和泉に途轍もない衝撃を食らわす内容を~!
この内容が 本当なら 高槻氏って ほんと サイテーな男だわ(((○( ̄∇ ̄メ)oプルプル 許せない!
『うーの にっき』
さいきん いーちゃんが きません。
「うー、さびしい」と いったら
ママが 「うーが いーちゃんの部屋に 遊びに行けば いいのよ♪」と、いつもと ちがう えがおで いいました。
でもね、いーちゃんは あの おみせのオニイタン いずみちゃんが いると、うーを みても ちっとも うれしそうじゃないの!
アタチ、 いーちゃんが、うーをオジャマムシって いうの きいたんだ。
どんなムシなんだろう?
いずみちゃんは、やさしいオニイタンです。
だから うーが、いっぱい あそんであげるの♪
もぅーくん、オジャマムシって どんな ムシか しってる?
きれいなのかな~?かわいいのかな~?
それとも ゴキさんみたいなムシなの!
そうだったら うーは ないちゃう(´;д;`)
さえさん、デートだったのね。
いいなぁ~うらやましいなぁ~
さえさんの彼氏って どんな感じの男性かしら♪(∇ ̄〃)。o〇○ポワァーン♪
高槻氏は 拒否されると思ってた自分の思いを受け入れてくれただけでも「良し」として
今の所は 大人の余裕を カマシてますね!
でも 内心は どれだけ悶々を隠しているのやら~(笑)
とうとう宣戦布告ですか、もぅーくんパパ!
それも 和泉に途轍もない衝撃を食らわす内容を~!
この内容が 本当なら 高槻氏って ほんと サイテーな男だわ(((○( ̄∇ ̄メ)oプルプル 許せない!
『うーの にっき』
さいきん いーちゃんが きません。
「うー、さびしい」と いったら
ママが 「うーが いーちゃんの部屋に 遊びに行けば いいのよ♪」と、いつもと ちがう えがおで いいました。
でもね、いーちゃんは あの おみせのオニイタン いずみちゃんが いると、うーを みても ちっとも うれしそうじゃないの!
アタチ、 いーちゃんが、うーをオジャマムシって いうの きいたんだ。
どんなムシなんだろう?
いずみちゃんは、やさしいオニイタンです。
だから うーが、いっぱい あそんであげるの♪
もぅーくん、オジャマムシって どんな ムシか しってる?
きれいなのかな~?かわいいのかな~?
それとも ゴキさんみたいなムシなの!
そうだったら うーは ないちゃう(´;д;`)
さえさん、デートだったのね。
いいなぁ~うらやましいなぁ~
さえさんの彼氏って どんな感じの男性かしら♪(∇ ̄〃)。o〇○ポワァーン♪
逞しい男の子がいっぱいいる~(/ー\*)
きたよ、きたー、ライバル。
ということで(←)大人の余裕もはじけ飛んでいます。
高槻もモーパパも冷静さなんてないですね。
最低な男か、高貴な男か。
いい男なのは確かかもしれませんが。
和泉、大丈夫かな。
『もものにっき』
さいきん うーちゃんのおじさんがきません
パパはさみしそうです
でもときどきうーちゃんときてくれます
きてくれないりゆうに 『いずみちゃん』っていうオジャマムシがいるそうです。
パパのためによくない。
なので、うーちゃんと はいじょ ほうほうを考えるのです。
いずみちゃんはうーちゃんがあそんでくれるっていうから・・・
ボクは『トーセー』のおにいちゃんにしようかな
ついてきた岬おにいちゃんもかっこよかった。
ファッションのあれこれとか 女の子のあつかいとかおしえてくれたよ。
パパといっきー(生野)は仲良しになれるかな。
きたよ、きたー、ライバル。
ということで(←)大人の余裕もはじけ飛んでいます。
高槻もモーパパも冷静さなんてないですね。
最低な男か、高貴な男か。
いい男なのは確かかもしれませんが。
和泉、大丈夫かな。
『もものにっき』
さいきん うーちゃんのおじさんがきません
パパはさみしそうです
でもときどきうーちゃんときてくれます
きてくれないりゆうに 『いずみちゃん』っていうオジャマムシがいるそうです。
パパのためによくない。
なので、うーちゃんと はいじょ ほうほうを考えるのです。
いずみちゃんはうーちゃんがあそんでくれるっていうから・・・
ボクは『トーセー』のおにいちゃんにしようかな
ついてきた岬おにいちゃんもかっこよかった。
ファッションのあれこれとか 女の子のあつかいとかおしえてくれたよ。
パパといっきー(生野)は仲良しになれるかな。
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