調べればいいのだろうけれど、面倒くさいので(←)適当に書きます。
三男の嘉穂が小学校に入学するとき、まだ両親はいた。
母親がマメにキルト生地を切ったり縫ったりしているのを、21歳になった筑穂は遠くから眺めていた。
自分も同じように、作ってもらったものだ。
弟のためになるのなら・・・と近づいては、母親がミシンの使い方を教えてくれる。
料理も掃除も、自然とこうやって、筑穂は覚えていった。
入学式の日は朝から大騒ぎだった。
「嘉穂っ、ほらっ、ちゃんとシャツ、いれてっ」
21歳になった筑穂は、一丁前にブレザーなんてものを着こんだ弟に手をかける。
15歳も年が離れていれば、いつも『半子育て』状態だった。
「にぃちゃん、うるさい~」
「嘉穂、お兄ちゃんの言うこと、ちゃんと聞きなさい」
化粧に、髪型にと、せわしなく動く母親は、嘉穂を放ったらかしだ。
男、3人目ともなればこんなものなのだろうか。
そのうち、玄関のチャイムが鳴る。
「かほくーんっ」
近所に住む鞍手香春は、今日のこの日を待っていたかのように飛び込んできた。
「かわらっ、迎えに行こうと思っていたのに」
そんな機敏さがどこにあったのかと疑いたい思いはのどの奥にしまった筑穂だ。
「もぉねえ、香春ったら、『早く行こう』ってうるさくてねぇ」
「すぐ支度、終わりにしますからね。筑穂、お茶入れてあげて」
「あらあら、おかまいなく」
親同士のやりとりはいつものことだし、今更気を使うほど他人行儀ではない。
実際、香春の両親と筑穂も年が近いことで、『親』という概念がどこか外れていた。
「かわらっ、らんどせる~」
「嘉穂っ、ふりまわすんじゃないっ」
「兄貴、うるせぇよ・・・」
お揃いのランドセルを自慢げにかざす弟を咎めれば、ようやく起きてきた次男の穂波がブツブツと文句をこぼす。
こちらもまだ小学生のくせに、もう身長は筑穂に並んでいる。
穂波も始業式の日だ。
「穂波っ、顔、洗えっ。ごはん、食えっ。一緒に行けっ」
ほとんど筑穂に追い出される形で、一家(?)は家をあとにした。
体育館で行われる入学式。
じっとしているはずがない嘉穂は初日から担任に目をつけられていた・・・とは、兄は知らなかった。
~~~
「かわら、同じクラスになれたね」
「かほくんとおなじ、うれしいよ」
「たいいくかんばきふくろ おかあさんがつくってくれたんだ」
「かほくんちのママ、じょうずだよね」
「かわらとおそろいにしてもらおうか」
「うんっ♪かほくんとおそろい~♪」
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三男の嘉穂が小学校に入学するとき、まだ両親はいた。
母親がマメにキルト生地を切ったり縫ったりしているのを、21歳になった筑穂は遠くから眺めていた。
自分も同じように、作ってもらったものだ。
弟のためになるのなら・・・と近づいては、母親がミシンの使い方を教えてくれる。
料理も掃除も、自然とこうやって、筑穂は覚えていった。
入学式の日は朝から大騒ぎだった。
「嘉穂っ、ほらっ、ちゃんとシャツ、いれてっ」
21歳になった筑穂は、一丁前にブレザーなんてものを着こんだ弟に手をかける。
15歳も年が離れていれば、いつも『半子育て』状態だった。
「にぃちゃん、うるさい~」
「嘉穂、お兄ちゃんの言うこと、ちゃんと聞きなさい」
化粧に、髪型にと、せわしなく動く母親は、嘉穂を放ったらかしだ。
男、3人目ともなればこんなものなのだろうか。
そのうち、玄関のチャイムが鳴る。
「かほくーんっ」
近所に住む鞍手香春は、今日のこの日を待っていたかのように飛び込んできた。
「かわらっ、迎えに行こうと思っていたのに」
そんな機敏さがどこにあったのかと疑いたい思いはのどの奥にしまった筑穂だ。
「もぉねえ、香春ったら、『早く行こう』ってうるさくてねぇ」
「すぐ支度、終わりにしますからね。筑穂、お茶入れてあげて」
「あらあら、おかまいなく」
親同士のやりとりはいつものことだし、今更気を使うほど他人行儀ではない。
実際、香春の両親と筑穂も年が近いことで、『親』という概念がどこか外れていた。
「かわらっ、らんどせる~」
「嘉穂っ、ふりまわすんじゃないっ」
「兄貴、うるせぇよ・・・」
お揃いのランドセルを自慢げにかざす弟を咎めれば、ようやく起きてきた次男の穂波がブツブツと文句をこぼす。
こちらもまだ小学生のくせに、もう身長は筑穂に並んでいる。
穂波も始業式の日だ。
「穂波っ、顔、洗えっ。ごはん、食えっ。一緒に行けっ」
ほとんど筑穂に追い出される形で、一家(?)は家をあとにした。
体育館で行われる入学式。
じっとしているはずがない嘉穂は初日から担任に目をつけられていた・・・とは、兄は知らなかった。
~~~
「かわら、同じクラスになれたね」
「かほくんとおなじ、うれしいよ」
「たいいくかんばきふくろ おかあさんがつくってくれたんだ」
「かほくんちのママ、じょうずだよね」
「かわらとおそろいにしてもらおうか」
「うんっ♪かほくんとおそろい~♪」
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津屋崎家の朝の慌ただしい ひとコマ
両親も居て 誰もが 屈託ない笑顔の幸せだった時ですね
この頃から 香春は 嘉穂を誘いに来てたんだぁ
ホント 仲が良くて 羨ましい♪
筑穂も 今と同じで 相も変わらず 弟の世話で 大変そうだしね
そう言えば 津屋崎家の母の「生声」を聞いたのは 初めてかな?
きえちん、またまた リクを聞いて下さってありがとう♪
我が家の前の道は 小学生の通学路で 毎朝 集団登校の小学生を見られます。
新一年生が 高学年の子に 遅れまいと必死に早足で歩く姿が 微笑ましいですよ。
ピカピカの~一年生~♪ヾ(´ェ`ヾ)))マッテ~・・・
両親も居て 誰もが 屈託ない笑顔の幸せだった時ですね
この頃から 香春は 嘉穂を誘いに来てたんだぁ
ホント 仲が良くて 羨ましい♪
筑穂も 今と同じで 相も変わらず 弟の世話で 大変そうだしね
そう言えば 津屋崎家の母の「生声」を聞いたのは 初めてかな?
きえちん、またまた リクを聞いて下さってありがとう♪
我が家の前の道は 小学生の通学路で 毎朝 集団登校の小学生を見られます。
新一年生が 高学年の子に 遅れまいと必死に早足で歩く姿が 微笑ましいですよ。
ピカピカの~一年生~♪ヾ(´ェ`ヾ)))マッテ~・・・
うちの前も、通学時間、帰宅時間、ボランティアで見回り部隊してくださいって回覧板来ていました。
地域みんなで見守る・・・ということのようでした。
うん、新しい命、そうやって出会うことで、信頼もできますよね。
何かあったら飛び込んでおいでねって。
まだ、ういういしい小学生の登場ですね。
香春はいつから狙いを定めていたのか・・・
筑穂ママの登場は初めてでしたね。
まさか今頃になって出てくるとは。
はたちを過ぎた息子を持っては、もう開き直りの部分もあるのかもしれませんが。
このとき 筑穂21歳 穂波11歳 嘉穂6歳ですからね。
やんちゃ息子3人かかえて、ママも大変だったかと。
面倒見が良い筑穂がいて本当に良かったね。
地域みんなで見守る・・・ということのようでした。
うん、新しい命、そうやって出会うことで、信頼もできますよね。
何かあったら飛び込んでおいでねって。
まだ、ういういしい小学生の登場ですね。
香春はいつから狙いを定めていたのか・・・
筑穂ママの登場は初めてでしたね。
まさか今頃になって出てくるとは。
はたちを過ぎた息子を持っては、もう開き直りの部分もあるのかもしれませんが。
このとき 筑穂21歳 穂波11歳 嘉穂6歳ですからね。
やんちゃ息子3人かかえて、ママも大変だったかと。
面倒見が良い筑穂がいて本当に良かったね。
たつみきえ | URL | 2013-04-10-Wed 19:22 [編集]
はくしゅこめ Kさま
いつもありがとうございます
その他の皆さまもいつもよませてもらって ほんとうにうれしいんですけれど
なかなかコメレス書けなくてみません
> かほ君のはしゃぎっぷりが目に浮かびます。ほのぼの~。
はい、もうおおはしゃぎの入学式でしたね。
筑穂兄も(この時は いたママもパパも)あきれていましたでしょう。
入学式、筑穂も、張り切ったんでしょうね。
いっぱい、お祝い事とおもって。
春の日差しはいろいろと祝辞を運んでくれます。
いつもありがとうございます
その他の皆さまもいつもよませてもらって ほんとうにうれしいんですけれど
なかなかコメレス書けなくてみません
> かほ君のはしゃぎっぷりが目に浮かびます。ほのぼの~。
はい、もうおおはしゃぎの入学式でしたね。
筑穂兄も(この時は いたママもパパも)あきれていましたでしょう。
入学式、筑穂も、張り切ったんでしょうね。
いっぱい、お祝い事とおもって。
春の日差しはいろいろと祝辞を運んでくれます。
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