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BLの丘
春が来てくれるなら 4
2013-04-24-Wed  CATEGORY: 春が来てくれるなら
R18 ちょっとだけ性描写があります。閲覧にはご注意ください。

韮崎が過去に抱いた数は、大月が相手をした数と変わらないか、多いほうだろう。
そんなことを比べる気にもなれなかったが。
きっと兄の明野も知っている範囲だ。韮崎のことも、大月のことも。

ただ、もてあそばれているのではないかと思える兄に同情はしていた。
自分のように開き直って受け流すことができる性格ではないと、弟ながらに知る。
信じている部分があると分かるからこそ・・・。
自ら告げたくないのは、兄の傷を深めたくないからだろう。
どんな形であれ、韮崎が明野を想っていることは、端々で感じられた。
それは、大月には向けられるものとは違っている。
それなのに、平気で他人に手を伸ばせる韮崎の精神状態は、理解しがたい。

その半面で裏切っているのは自分だとも理解しながら、危険なぬかるみに足をとられている。
韮崎が本当に欲しいものは何だろうか。

兄にバラしてもいいだろう。
韮崎が何をたくらんでいるのか、父や兄が聞いたなら、間違いなく罵倒するはずだ。
明野が入社する際に引き寄せた存在は、恩を返すように動いてきた。
今では、この組織の中で、大きくなりすぎてもいた。

大月、一人など、自由に扱えるほど。

大月が韮崎の魂胆を口にしなかったのは、同情にも似た、父と兄を守るためだったのかもしれない。
韮崎が会社自体に危害が及ばないように動いていることも知っていたから、ある意味、自由にさせていた。
無駄口をたたかなければ、守ってくれるだろうということを大月なりに理解していたのだ。
どれだけ嫌っても、やはり家族は大切にしたかった。
また、どんなことをするのか、興味の対象でもある。

『会社』という中に収まりたくなかった大月にとって、次々と繰り広げられるものは、リスクを負うほどに興奮するものでもあった。
順風満帆。そんな言葉は長続きしないと、胸の内でつぶやく。


週末の夜。
韮崎は大月の部屋にいる。
共に暮らす兄の明野に、どのような言い訳をしているのかは知るところではない。
過去の奔放な、また、韮崎の人間関係を思っても、一泊や二泊の外泊は、容認できる範囲なのだろうか。

ベッドのシーツに背を預けて、抱いてくれる人を迎える。
特別な言葉などなにも必要としていなかった。
お互い、単に欲求をはらす、存在なのだろう。
韮崎に抱かれて、恋人の気分になる人もいたが、それは韮崎が認めていない。
ただ、韮崎に『抱いてもらった』ということは、ひとつの自慢になるらしい。

バカバカしい、と大月は思っていたが・・・。
それほど魅力的な男なのだとは、否定できないだろう。

韮崎は幾度も大月を求めてくれた。
後腐れない存在だと理解しているからかもしれない。
他の人間なら、『その気』になる危険性があるからだろうが。

大きく足を開いて、後孔に忍び込んでくる指に、続けられる快楽を求めていた。
何もかもを投げ出して、ひたすら、悦楽を味わえる。
「あっ・・・」
敏感な部分を擦られて全身が震える。
分かったように、韮崎の口角が上がった。
「相変わらず、イヤラシイ身体だな」
悔しくても反論できない疼きに襲われていた。

「巨摩・・・」
こんな時でしか呼ぶことのできない名前を口にすると、さらに満足げに微笑まれた。
「挿れるぞ」
「あぁ、うん・・・」
灼熱が秘部に当てられる。

抱きついて、受け止めてくれる腕があること。
単なる欲求不満の解消だけではない違いがここにはあって、そこにも溺れていたのかもしれない。
でも、韮崎は明野の恋人であって、今の時間は気分転換でしかないことも理解している。
『危険な橋』を渡ってみたかった、それだけだ。
その危険度が、また興奮を産んでくる。

きっと、韮崎も同じ感覚だろう。

体内を擦られる激しさに、大月は気付かずに射精していた。
週末の夜はそうやって、腰がたたないほど、翻弄される。
気付けば、韮崎は部屋を出て、"自宅"に帰っていた。

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