2ntブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
春が来てくれるなら 34
2013-05-18-Sat  CATEGORY: 春が来てくれるなら
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


あまりにも慌ただしい日々だった。
勝沼は半ば呆然とした。
部署が変わったこともあったが、いざ同じ仕事を預けられた時に、これらを全てこなしていたのかと、韮崎の能力はもちろん、大月の実力まで知らされた。
明野は「まぁ、適当にやっていれば」と鷹揚だったが。
そうはいかないのが現実だろう。

今更大月に聞くのも癪にさわるが、かつて関わった仕事のことは経験者に頼るしかない。
「あぁ、面倒なのは誰かにやらせちゃえばいいんだよ。『俺、分からないんで、お願いします』とでも言えば」
その発言が出来るのは大月だったからだろう…とは口に出せなかった。
"立場"を知らない人間ほど、強いものもいない。

忙しさに負けて、すぐに寝てしまうこともある。
逆に落ちついたのは大月のほうか。
病む心配がなくなれば、求めるものもできてくる。
もし自分が相手をしてあげなければ、他人に走るのではないかという不安。
韮崎は「そんな心配はない」と言いきってくれたが。

大月は、最近隣に寝ても体に触れてこない勝沼を知っていた。
仕事など変わった環境があるのは自分も一緒だが、それにしても放っておかれ過ぎだろう。
浅ましさを晒すようで、誘うのはどうかと思っても、疼くものはある。

「双葉…」
ある日の夜、手を伸ばせば勝沼は分かったようだ。
タイミングは勝沼もうかがっていたのだろうか。
「ヤりたくなった?」
改めて聞かれれば恥ずかしさはあっても、恥らう時はすでに過ぎてしまっている。
「抱いてくれなかったら、明日の朝にでもどこかに行く」
「ふざけんなよ」
他人を遠ざけてくれることが、何故か大月には嬉しいことだった。

もう起ちあがった性器を感じては、喜ばしくもなった。
そっと衣類をはぎ取った。
先にむき出しにされた身体を、大月はいじりまくる。
「ちょっ…っ、じかにさわられるって…」
焦ったような勝沼の声に笑みまで浮かんできた。
どうしたら"男"が感じるのかを、分かりきっているからこそ、半分イジメのような行為になってしまう。
焦らされた仕返しだろうか。

「双葉。そのままでいて…」
身体をずらした大月は、手にしていたモノに口を寄せた。
「あ、大月…っ」
寝ていたはずの上半身が起きあがる。
どうされているのかが良く見えると勝沼はじっくり視線をこらしたし、見られていることが分かった大月は、更なる動きに出ていた。
舌使いも目線も、なにもかもが勝沼を煽るように動くのは、"体験"がものをいうのだろうか。
「ヤバイって…。エロすぎ…」
頭上から響く声が、褒められているようで気分を良くする。

「大月っ、ダメ。マジで、出しちゃうからっ」
張り詰めた怒張の行く末は分かっている。
「いいよ。中?それとも顔射?」
しゃぶりながらつぶやいたことは、それこそ勝沼には意外だったようだ。
「おまっ、どんな"プレイ"してたんだよっ」
遊び歩いた結果はそんなところにも出る。
お互い、楽しむためなら…、合意の上なら、何でもできるとは、大月の持論なのかもしれない。
極端な話、SMプレイというのも、信頼があるから行えるものだ。
それがなくなったら、ただの拷問で、犯罪になるだろう。

「双葉になら、縛られてもいいや」
その言葉の直後、耐えきれなかった勝沼は、大月の口内に射精していた。
煌々とした大月の表情があまりにも卑猥で、同時に征服欲にかられた。
「飲めよ」
上だと思っていた人間が"下"になる瞬間。
別に責めたいわけではないが、社会的な鬱憤というものがそこにあったのだろうか。
勝沼の欲望を、自分の欲求に変えた大月に、やはり、懐の大きさの違いを感じる。
「抱いてくれ」と、大月は隠さなかった。
抱かれることで、自分の存在がある、淋しさすら見えた。

ふたりの性関係は、この時から変わった。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ 
ポチってしていただけると嬉しいです(〃▽〃)

関連記事
トラックバック0 コメント1
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
恋人なら…
コメントけいったん | URL | 2013-05-18-Sat 10:33 [編集]
地位や年齢など 背負っているものは色々あって そこに 自然と上下関係が成立するのも 仕方がないこと
でも 恋人になったら 対等な存在で あって欲しいし、なりたい。

大月の行為に 勝沼の中のSスイッチが入ったようですね
いつも何所かで 気兼ねや遠慮していた恋人が 良い意味で変わったのは 喜ばしい!(o^^o)ふふっ♪

先陣を切ってドンドン突き進む切込み隊長韮崎と その後方に控え戦法を広く視る大将明野ような関係になるには まだまだ先だけどねー


ここ数日の晴天に洗濯機はフル回転で 次の水道代の請求が 怖いわぁ~(苦笑)
関西は 「もうすぐ梅雨入りか」と、気象予報士さんが言ってました。
癖毛で暑がりの私の嫌いな季節が やって来る~きっと来る~~!
そろそろ矯正パーマしなきゃ…il||liどょーん(´・ω・`【憂鬱】il||li
トラックバック
TB*URL
<< 2024/05 >>
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -


Copyright © 2024 BLの丘. all rights reserved.