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BLの丘
木漏れ日 10
2013-08-12-Mon  CATEGORY: 木漏れ日
「ほらっ、出かけるんだろっ」
八竜に叩き起こされた時、鳥海と白神は鳥海の部屋のベッドの中で寄りそって寝ていた。
歩いた記憶がないことで、飲んでいた席から無事に送り届けられたのだと悟る。
両親も兄も鳥海の部屋の出入りは勝手にしていた。
「ったく、似たもん同士だなぁ」
つぶやきは昨夜からの一連の行動を物語ってくれる。
酔っては正体をなくし、寝相までそっくりだと呆れた声は、それでも安堵がある。
寝ぼけた頭をかいて、モタモタする動きをけしかけられながら、森吉が迎えに来るまでに支度を整えられた。
「忘れ物、ないか?」と問われることを鳥海はウルサイと思っていたし、白神は優しいねと陶酔していた。
家の前に横付けされた森吉の車に乗るまで見送った八竜は、いつものように「何かあったら連絡しろよ」と声をかけてくる。
森吉から直接行き先を聞いて、八竜も安心したことだろう。(小細工を使って嘘がばれた時の恐ろしさは鳥海が一番良く知っているので逆らわないことに決めている)
幼い頃から繰り返されたことに、また「うん」と頷く姿は変わらない。

大型のRV車にはもう一人、能代千畑(のしろ ちはた)がいた。
熊みたいな大きな男で、寝起きらしく、無精髭を生やしたままだった。
後部座席に乗る鳥海たちに助手席から振りかえられる。
「おーっす。おまえら、朝っからさわやかだねぇ」
「能代さんがムサいだけでしょー」
「鷹巣~っ、テメーっ」
すかさず森吉が言葉を発しては、じゃれていた。
能代は浪人したそうで、歳は一つ上である。
能代も海辺で育ったため、森吉とは何かと気があっていた。こんな集まりの時はほぼ確実に二人がセットになってやってくる。
一通りの挨拶を済ませてから車は動き出した。
「今日は何人くらい来るの?」
鳥海が話しかけると「何人だ?」と言うようにふたりは視線を合わせた。
森吉がうーんと唸ってから答えを出す。
「15…6、人だっけ?増えて20人になったとか、誰かが言ってたけど」
「はぁ?また大所帯になったもんだなぁ。最初10人くらいじゃなかったっけ?」
誰でも声をかけた結果だろうか…とは飲み込んだ。
人数が増えても対応できているのであれば別に問題はないけれど、というのも心の声だ。
総じて取り仕切っているのがこのふたりなのに、この曖昧さはいかがなものなのだろう。
とはいえ、過去の経験もあって"お任せ"していた鳥海と白神は、やがて肩を寄せ合って眠ってしまった。
「このふたりは良く似てんなぁ…」
後ろを振り返った能代のつぶやきは夢の中で聞いた。

もう二台の車と合流して9名が揃ったが、あとは現地集合になるらしい。
途中休憩を入れて3時間ほど走った海岸に着いた。
海水浴場として有名なところから少し離れた場所に民宿が建っている。
目の前の階段を下りていけば砂浜に出られる好立地で、場所柄、他の客もほとんど足を踏み入れてこない。
「わー、海だ海~」
「今日は穏やかだな。先にひと泳ぎしてくるかぁ」
晴れ渡った青空とキラキラ光る海を前にはしゃぐ白神と、眩しい眼差しで見つめる能代がそれぞれに確認をとる。
車から荷物を下ろしながら森吉が振りかえった。
「能代さ―ん、部屋割り、どうしますぅ?」
「ごろ寝でいいじゃん。勝手に出入りするだろ。あとは自己責任」
アバウトな回答に慣れた連中も、グループを作ってはそれぞれ消えてっいった。
二階建ての建物は、二階に4部屋あるそうだ。ある意味早いもの勝ちである。
大声の一つもあげれば、全ての人に響き渡るところは、イタズラも仕掛けられない良さかもしれない。。
昼食は浜でバーベキューをするから、という連絡事項を受けただけで、解散になった。
鳥海と白神は森吉たちにくっついて同じ部屋に入った。

「五城目たち、どうするの?泳ぎに行く?」
10畳の畳部屋に長方形のテーブルがあるだけの質素な作りを見渡し、部屋の隅に荷物を置くと森吉が話しかけてくる。
二人はすでに荷ほどきをしていて、「一緒に行くか?」というお誘いだった。
ここにいても仕方がないと首を縦に振る。
「下にシュノーケルのレンタルセットがあっただろ」
「こいつら、バケツとスコップのセットのほうが似合っていそう」
クスクスと笑われ、鳥海と白神は同時に唇を尖らせていた。
ここまで来て砂遊びでもしていろというのか…。

ザッと勢いよくTシャツに手をかけた能代はそのまま全裸になってしまった。
「「わぁぁっっ」」
隠すべきところを隠さない振る舞いも立派だが、目に飛び込んできた鎮座する龍も立派だった。
兄のだってこんな間近で見たことはない、と慌てる。
鳥海と白神は視線をそらしているつもりでしっかり見入ってしまった。
「あぁ?」
何だ?と言うように、能代は気にした様子もなく黒のサーフパンツを穿いていく。
声を失っている鳥海たちとは反対に、森吉は笑っていた。すっかり見慣れた光景のようだ。
「せめてタオルでも用意しろって?」
「そんな面倒癖ぇことしてられるかってぇの」
「後ろを向くとかさぁ」
「窓の外に見せてどうするんだよ。そっちのほうが犯罪だろ」
何を言っても能代の態度は変わることがないようで、逆に「早くしろ」とけしかけられる。
ワイワイとじゃれあってくれる二人はいいのだけれど…。
目のやり場に困る…とは鳥海と白神の無言の訴えだ。
なんだがいきなり"洗礼"を受けた気分で、鳥海たちは角の隅で背を向けたが、背後では「コソコソしてんなよ」とデリカシーのない能代の言葉が投げかけられる。
…そんなこと言ったって、"お披露目"できるほどの筋肉も分身も持ち合わせていないのだ…。
鳥海はネイビー地に大きなドッド柄の、白神は赤地に白のボーダー柄のサーフパンツをそれぞれ身につけて振りかえる。

「鳥海の水玉って大きいね」
「藤里のも明るくていいな」
お互いの感想を言いあい笑うと、能代と森吉が明らかに眉をひそめた。
ふたりの視線が瞬時に交わされて、一拍の後、大きなため息が吐かれた。
「おまえら、上に何か着とけよ…」
「海に入るのに?」という疑問は無視された。
「日に焼けるから、かね?」
鳥海と白神は互いの肌の色と、傍らに立つ体躯の良い人間の焼けた肌の違いを見ながら、「日焼け止め、塗らなくちゃかな?」と明確な答えをもらえないことに首を傾げる。
その後の「アイツら、人前に出せねェよ…」とボソボソと困惑する能代と森吉の会話は鳥海たちには届いていない。

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コメント

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わかるー
コメントちー | URL | 2013-08-12-Mon 05:03 [編集]
なぜ、男の子なのに見てはいけないような気になるのか。いるんですよね、そういう子が・・・
私の大好きな子がまさにそうです。
水着の写真見ていて、ダメでしょ?って(笑)
なんで、鳥海くんと藤里くんコンビの水着姿がリアルに想像できちゃう。

日焼けするからTシャツでも着なさいね。
(〃艸〃)ムフッ♪
コメントけいったん | URL | 2013-08-12-Mon 08:54 [編集]
親しい中の森吉と能代が心配になるくらい 鳥海と白神の裸体は 危険なのね!
きっと きめ細かい白い肌に ビーチクはピンクで…(∇ ̄〃)。o〇○ポワァーン♪

Tシャツ着用で 危険が回避できるのかな?
ピチピチTシャツは 濡れると 透けて 余計にエロいし、
ダボダボTシャツは 庇護欲の可愛さ倍増だし…
ント・・(。´・_・`)ゞ 
どっちも 危険だよ~~ぁゎゎ(´・д`・;)

みなさま こんにちは~♪
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-12-Mon 11:03 [編集]
楽しい海上ライフ(?)の始まりです♪
身にまとうものは極々少なめに…。
危険物体が見えたなら隔離が一番かと…(o´艸`o)

端っこで…
森吉「ちくび見た?ピンク…」
能代「ありゃ、透けるな…」
森吉「白T着せたの、能代さんでしょ」
能代「こっちのを見た礼に…とかないかな」
森吉「見た…っていうか、見せたっていうか…」
能代「縋るところがない所に連れていけば言うこと聞くだろ」
森吉「…(どんな、言うこと???)…」

暑くて脳みそがとけだしそうです。
ちゃんとした判断ができなくなる思考力の低下も暑さだからですよね~。
コメントありがとうございました。
管理人のみ閲覧できます
コメント | | 2013-08-17-Sat 12:32 [編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: タイトルなし
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-17-Sat 15:44 [編集]
はじめましてコメさま こんにちは~♪

> はじめまして。このお話しの名前が、ほとんど私の地名の地名なんですが…偶然でしょうか?

いや(^_^;) たぶん偶然ではないと思います…。
私の趣味(?!)で、できるだけ集中するようになりましたので。(過去作品はそんなにではないんですけれどね)
本編(原色の誘惑)から入ると、余計にお分かりいただけるかと思います。
そんなところで遊んでいる書き手もあまりいないかと思いますが、お楽しみいただけたらもっと嬉しいです。
(私は出かけるたびに、あ~、ここに誰がいる~とひとりほくそ笑んでいますが…←暗いっ)
コメントありがとうございました~。
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