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BLの丘
木漏れ日 50
2013-09-11-Wed  CATEGORY: 木漏れ日
本日2話目です。

R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


最初に動いたのは瀬見だ。
「ごめん…」とはっきりと後悔を滲ませていた。
悲痛な面持ちで鳥海に向き合ってくる。
「俺、ホント、どうしようもない…」
呟いては鳥海を抱き寄せ、一度洗ったはずの髪についた泡を手のひらでよける。
もう一度洗い流さないといけないのは一目瞭然だった。
それに体中の泡も…。
「鳥海…。嫌わないでくれよ…」
乞うような声音に鳥海はブンブンと頭を横に振った。実際には瀬見にホールドされていたので仕草が伝わっただけだ。
「瀬見さん…」
こんなに狼狽する様子の瀬見も見たことがなかったが、それすらも鳥海にはすんなりと入ってくるものとなった。

「瀬見さん…、あのね…」
鳥海はおずおずとしながらも、そっと瀬見の背中に手を伸ばして抱くように触れた。
「ごめんなさい…。オレ、初めてのことで、分かんなくて…」
瀬見が嫌だったのではないと、はっきりと告げておきたい。
またこんなことで誤解が生まれて遠のくのは嫌だ。
鳥海が謝ると、それこそ瀬見が痛そうに顔をゆがめて、「バカだな…」とくちづけてきた。
「分かってる。そんなこと、俺が一番分かっていなきゃいけないことなんだ。鳥海が謝る必要なんてないから。いきなりこんなことされたら驚くのが普通だろ。悪いのは全部、俺」
そのセリフは、なんだか瀬見自身に言い聞かせているようでもあった。

それからまた一呼吸置いて、瀬見は二人の体についた泡を流し落とす。
興奮度MAXにあったお互いの性器がなんとなく萎えた気がした。
…これって…、やっぱり自分が雰囲気をぶち壊しにした証拠だろうか…。
我が儘を言っては八竜を困らせたことまで脳内を過っていった。
鳥海は後悔も纏わせていた。
伏せ目がちになる鳥海を、瀬見は抱きしめることで宥めようとしていた。
「鳥海…、君に夢中なんだよ。見境ないくらい。…鳥海の体温を感じたくて、自分のものだって体に刻みたくて、鳥海には俺がいるんだって言い聞かせたくて…。…、あぁ…、俺、こんなに独占欲、強かったっけ…」
最後は鳥海に聞かせるというよりも、瀬見自身に問うているようだった。
その発言は、また鳥海の中にストンと落ちていく。
自分を隠すことなく見せてくれる姿…。

「瀬見さんが嫌でなかったら…。もう、オレ、我慢するから…」
鳥海が恥ずかしさがあっても答えると、今度は瀬見が頭を振った。
「我慢なんかしなくていい。嫌なら嫌と言えばいい。言ったろ?鳥海が待てというのなら、いつまでだって待つって」
それが本音であると信じたかったけれど。
逆に焦ったのは鳥海のほうだった。
「や、やだよ。そんなことしたら、瀬見さん、どっかに行っちゃいそうだもん…っ」
瀬見の過去に何があったのかは知らないが、簡単に誰にでも手をかけられる人間だという感覚はまだ鳥海の中に残っていたらしい。
何よりも、誰に言い寄られてもおかしくないほどの人間性を見せられてきた。
その中に好みのタイプがいたなら…。
それはたとえ鳥海と付き合ったとしても、今後も心配する部分なのだろうが。
鳥海が発した言葉の意味を、充分なほど理解できたのは瀬見のほうだろう。
それこそが、本当の意味での瀬見の後悔だった。
大きなため息と、抱きしめてくる力の強さ。
瀬見の気持ちを体中で感じながら、不安がひしめくのは、『待つ』という言葉が逆に鳥海を必要としていないものとされているようだったのだ。

瀬見はまた鳥海の前髪を全てかきあげると、額をコツンと合わせてきた。
間近にある眼差しを束の間交差させて、瞼を閉じて、静かに囁きだす。
「鳥海…。信じてもらえないかもしれないけれど、俺はもう鳥海以外の人間に目を向けることもないし、誰かに声をかけられたとして、そいつの望みを叶えることもない。一生かけて、鳥海の信用を取り戻すことを胸に刻んで生きていく。だから、今のこの場の勢いだけで、自分を差し出すようなことはやめてくれ。体さえ明け渡せばそばにいるような人間だと思われたくない」
咄嗟に発した言葉を、どこかで意味を取り違えられていると気付いたのは、追い掛ける鳥海と、受け止める瀬見の構図が浮かんだからだった。
更に、瀬見の人間性を侮辱するものでもあった。
本当の意味で必要とされること…。
駆け引きや何かではなく、鳥海が欲しているのだと言わなければいけなかったこと。
鳥海はプルプルと首を振る。
「そんなんじゃない…。瀬見さんがオレ見て、…その…、あの…」
なんと表現したらいいのかが思い浮かばなくて、鳥海の手が瀬見の下肢に伸びた。
「…嬉しかったんだ…」
そのセリフと共に瀬見に触れた。

まだ硬い感触が残っていて、それも心を穏やかにしてくれた。

簡単な気持ちで瀬見に体を委ねようなんて思っていなかった。
だから遊園地での思い出も、思い出として封印しようとした。
これ以上関わってはいけないと、これも本能が伝えたから、今日も一度は逃げようとした。
瀬見の吐露する言葉を信じたいと思う。

瀬見がビクッと体を震わせて、小さな呻き声をあげた。
「鳥海…、君って子は、本当に…」
苦いものを吐きだすような少々困惑した声音だ。
自分から動いたとはいえ、あまりにも大胆すぎる行動を後悔しても、離そうとした手は瀬見に捕まえられ、鳥海の手のうえからくるむように、一緒に握らされた。
「あ…」
ドクドクと息づくものが手の中に響いてくる。
瀬見は額にくちづけ、鳥海を覗きこんでは苦笑いを浮かべた。
「あまり、煽らないでくれるかな…」
「あ、あおってなんか…」
どこに視線を向けたらいいのだろう。
彷徨わせても声が追い掛けてくる。
「どう?」
瀬見が尋ねる。
そんなことを聞かれたって答えようがなく、口を閉じてしまう。
…どう、…って、大きい…、とかってこと…?
自分のモノとは明らかに違う質量感をどう表現したらいいのかも分からない。
俯く視線は、だけど下まで下ろせず、胸元で止まった。

「鳥海の手、あったかいね」
「せ、瀬見さんのだって、熱いよ…」
…熱い…。そう、熱い…。

束の間沈黙が漂ったが、どうにもいたたまれなくなって先に口を開いたのは鳥海だった。
「瀬見さん…」
火照って潤んだ瞳で見上げると、それが合図になった。
瀬見がもう一度鳥海を抱きなおして、耳元に唇を寄せてくる。
「鳥海…。絶対に痛くしないから…」
「…痛いの…?」
そのセリフにはビクンとなってしまうが。
瀬見の指が湿った肌を這って、尻の谷間に入ろうとした。
「鳥海が協力してくれるなら…」
低くて切羽詰まった声音に、鳥海は無意識にでも頷く。
この先に何が待ち構えているのか分かりはしないけど。
瀬見に委ねる覚悟など、とっくにできていたと思う。

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あれ? いつまでこんなこと続けているんだか…。
すでに息切れ状態なのに、前前戯がこれだったら、前戯、本番、後戯はどこか端折りたいゾ…(ーー゛)
ドテッ! ミ(ノ;_ _)ノ =3
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