「野崎さんも、ほいほいって引き受けるからいけないんじゃないの…?千城には一回『それはできません』ってぴしゃりといってやったほうがいいって…」
100万円のチョコレートと聞いた神戸が頭を抱えた。
野崎は苦笑いだ。
「ええ。分かるんです。分かるんですけど、何を言っても聞かない社長の性格は御存知でしょう?私が断ったところで、勝手に手配をされて後始末だけが回ってくるんです。こちらは状況も分からず確認作業だけでも二度手間になるので、それなら最初から把握していた方が時間の無駄になりませんから」
「できた秘書さんだよね…。後始末なんて本人にとらせればいいのに」
「それこそ、仕事を放棄されますよ。あれこれと理屈と言い訳を並べ立てるのが得意な人ですから」
日野は分かるような気がした。
千城に口で勝てる人間がどこにいるのだろうか…。
睨み下ろすような威圧感だけだって充分に人を追従させる。
一度英人から、千城と野崎の言い争いの現場を見たと聞いたことがあったが、それはそれは恐ろしいものだったと語っていた。
英人の性格を思えば全てが「恐ろしい」なのだろうが…。
結局千城は思い通りに事を進めたらしい。
日野には、千城に逆らう野崎の姿など想像もできなかったが…。
色々並べ立ててはいるが、結果をみれば千城を甘やかしているのは野崎だって一緒だろう。
「仕事なんてもともと放棄しているようなものじゃない。千城って何の仕事をしているの?ぜーんぶ野崎さんに押し付けているようにしかみえないけど」
「社長の指示がなければ私は動けませんよ」
「随分、たててくれちゃって」
神戸ははいはいと溜め息をこぼした。
他人からみれば、気心知れた夫婦よりも近い存在にしか感じられない。
そして感心すべきは野崎の態度だ。決して千城に対しての愚痴も文句もこぼれないのは人間性なのか…。
日野は空いたグラスを新しい物に代えながらひたすら感心した。
神戸ではないが、野崎の言動には敬意を表する。
あの『我が儘王子』に就いて行けるのは野崎ぐらいだろう。
他の人間なら1日、いや1時間で辞表を出しそうだ。
「あ、そうそう。お取り寄せのついでにベルギー産のチョコレートを私も頂きましたから、一口いかがですか?日野さんもどうぞ」
野崎は思い出したように、コートと共に隣のスツールに置いた小さな箱を取り出した。
中には6粒の親指大ほどの小さな固まりがある。
「ちなみに…これ、いくらなんですか…?」
貧乏性と取られるかもしれないが、食べる前に聞きたい日野だった。
その価値を味わいたいのかもしれない。
「これはそれほど高くありませんよ。日本円で2万円くらいでしょうか」
「一粒が?!」
「一箱が?!」
相変わらず淡々と答える野崎に、日野の驚きと神戸の呆れが同時に零れる。
「あ…、一箱が…」
日野と神戸から同時に責められるような形相に、一瞬たじたじとなった野崎がおずおずと真相を明らかにした。
「あー、それくらいなら…」
納得したような神戸の返事に日野は『それくらいならぁ?!』と心の中でツッコミが入っていた。
…だめだ…この連中にはついていけない…
にほんブログ村
…だめだ…おわんない…どぼじよ…
続きはまた明日っていうことで…。いつまで続くんだ?!バレンタインっ!!…のびのびでごめんね(平伏)
続きを期待する方はぽちってして。
うち、ぽち少ないんで、続きを考えちゃうんです…
100万円のチョコレートと聞いた神戸が頭を抱えた。
野崎は苦笑いだ。
「ええ。分かるんです。分かるんですけど、何を言っても聞かない社長の性格は御存知でしょう?私が断ったところで、勝手に手配をされて後始末だけが回ってくるんです。こちらは状況も分からず確認作業だけでも二度手間になるので、それなら最初から把握していた方が時間の無駄になりませんから」
「できた秘書さんだよね…。後始末なんて本人にとらせればいいのに」
「それこそ、仕事を放棄されますよ。あれこれと理屈と言い訳を並べ立てるのが得意な人ですから」
日野は分かるような気がした。
千城に口で勝てる人間がどこにいるのだろうか…。
睨み下ろすような威圧感だけだって充分に人を追従させる。
一度英人から、千城と野崎の言い争いの現場を見たと聞いたことがあったが、それはそれは恐ろしいものだったと語っていた。
英人の性格を思えば全てが「恐ろしい」なのだろうが…。
結局千城は思い通りに事を進めたらしい。
日野には、千城に逆らう野崎の姿など想像もできなかったが…。
色々並べ立ててはいるが、結果をみれば千城を甘やかしているのは野崎だって一緒だろう。
「仕事なんてもともと放棄しているようなものじゃない。千城って何の仕事をしているの?ぜーんぶ野崎さんに押し付けているようにしかみえないけど」
「社長の指示がなければ私は動けませんよ」
「随分、たててくれちゃって」
神戸ははいはいと溜め息をこぼした。
他人からみれば、気心知れた夫婦よりも近い存在にしか感じられない。
そして感心すべきは野崎の態度だ。決して千城に対しての愚痴も文句もこぼれないのは人間性なのか…。
日野は空いたグラスを新しい物に代えながらひたすら感心した。
神戸ではないが、野崎の言動には敬意を表する。
あの『我が儘王子』に就いて行けるのは野崎ぐらいだろう。
他の人間なら1日、いや1時間で辞表を出しそうだ。
「あ、そうそう。お取り寄せのついでにベルギー産のチョコレートを私も頂きましたから、一口いかがですか?日野さんもどうぞ」
野崎は思い出したように、コートと共に隣のスツールに置いた小さな箱を取り出した。
中には6粒の親指大ほどの小さな固まりがある。
「ちなみに…これ、いくらなんですか…?」
貧乏性と取られるかもしれないが、食べる前に聞きたい日野だった。
その価値を味わいたいのかもしれない。
「これはそれほど高くありませんよ。日本円で2万円くらいでしょうか」
「一粒が?!」
「一箱が?!」
相変わらず淡々と答える野崎に、日野の驚きと神戸の呆れが同時に零れる。
「あ…、一箱が…」
日野と神戸から同時に責められるような形相に、一瞬たじたじとなった野崎がおずおずと真相を明らかにした。
「あー、それくらいなら…」
納得したような神戸の返事に日野は『それくらいならぁ?!』と心の中でツッコミが入っていた。
…だめだ…この連中にはついていけない…
にほんブログ村
…だめだ…おわんない…どぼじよ…
続きはまた明日っていうことで…。いつまで続くんだ?!バレンタインっ!!…のびのびでごめんね(平伏)
続きを期待する方はぽちってして。
うち、ぽち少ないんで、続きを考えちゃうんです…
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野崎さんには被害者同盟の会の正会員にはちょっとふさわしくないかもしれませんね。
だって、ちっとも嫌がってないし、むしろ喜んでる?
仕事を円滑に進めるために時には叱ったり宥めたりしながらも、嬉々として後始末やら面倒ごとの手配をしているって感じです。
そうだ、彼は根っからのMなんです。(それも千城限定で)
というわけで、端から見れば被害者だけど自覚がないので準会員でお願いします。
だって、ちっとも嫌がってないし、むしろ喜んでる?
仕事を円滑に進めるために時には叱ったり宥めたりしながらも、嬉々として後始末やら面倒ごとの手配をしているって感じです。
そうだ、彼は根っからのMなんです。(それも千城限定で)
というわけで、端から見れば被害者だけど自覚がないので準会員でお願いします。
きえ | URL | 2010-02-17-Wed 06:19 [編集]
S様
おはようございます。
いつもいつもすぐにコメいただきましてとても嬉しいです。(でもレスは遅い…)
>続き楽しみにしてま~す♪一箱2万円のチョコもらったら食べてみたいなぁ~。でも自分じゃ絶対に買わな~い。さすが千城です。
私も絶対に買わない"チョコ"です。
きっと普段のお礼っていうことで千城はあげたんじゃないでしょうか。
「ついでだ。ポイッ」って感じで…。
終わらないです…
なんでこんなに長くなっているのか…
無駄に長い気がしています。
コメントありがとうございました。
おはようございます。
いつもいつもすぐにコメいただきましてとても嬉しいです。(でもレスは遅い…)
>続き楽しみにしてま~す♪一箱2万円のチョコもらったら食べてみたいなぁ~。でも自分じゃ絶対に買わな~い。さすが千城です。
私も絶対に買わない"チョコ"です。
きっと普段のお礼っていうことで千城はあげたんじゃないでしょうか。
「ついでだ。ポイッ」って感じで…。
終わらないです…
なんでこんなに長くなっているのか…
無駄に長い気がしています。
コメントありがとうございました。
甲斐様
こちらにもどうもありがとうございます。
> 野崎さんには被害者同盟の会の正会員にはちょっとふさわしくないかもしれませんね。
> だって、ちっとも嫌がってないし、むしろ喜んでる?
> 仕事を円滑に進めるために時には叱ったり宥めたりしながらも、嬉々として後始末やら面倒ごとの手配をしているって感じです。
> そうだ、彼は根っからのMなんです。(それも千城限定で)
> というわけで、端から見れば被害者だけど自覚がないので準会員でお願いします。
被害者ではなさそうな野崎ですね。
「これが私のお仕事です」と俄然はりきっている姿が浮かびます。
千城も野崎の性格を分かっていじめたおしているんだからお互い様です。
SとMが揃いました。
あ、でも千城限定のM…。
野崎には今後もがんばってお仕事をしてほしいのでチョコレートをあげました。
コメントありがとうございました。
こちらにもどうもありがとうございます。
> 野崎さんには被害者同盟の会の正会員にはちょっとふさわしくないかもしれませんね。
> だって、ちっとも嫌がってないし、むしろ喜んでる?
> 仕事を円滑に進めるために時には叱ったり宥めたりしながらも、嬉々として後始末やら面倒ごとの手配をしているって感じです。
> そうだ、彼は根っからのMなんです。(それも千城限定で)
> というわけで、端から見れば被害者だけど自覚がないので準会員でお願いします。
被害者ではなさそうな野崎ですね。
「これが私のお仕事です」と俄然はりきっている姿が浮かびます。
千城も野崎の性格を分かっていじめたおしているんだからお互い様です。
SとMが揃いました。
あ、でも千城限定のM…。
野崎には今後もがんばってお仕事をしてほしいのでチョコレートをあげました。
コメントありがとうございました。
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