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BLの丘
策略はどこまでも 番外ヒサ編 2
2009-07-18-Sat  CATEGORY: 策略はどこまでも
久志が勤務するのは、物流会社の中でもトラックと乗車人間を管理する運行部だった。
とはいえ、ルートは100からを数え、車は200台以上、人間は300人を越える。業界の中でも大手となるので、支社数もかなりの数がある。

事務所…とはいっても支社ビルの中にある一室、中を仕切る壁もない。
50畳ほどの中に事務机が8つ並ぶだけの部屋に入っていくと、黒川部長がお昼時間だというのに仕事真っ最中で、午後出勤の久志を嫌味っぽく見てきた。

黒川は年の頃50前後といった感じだが、普段から構内に出向き肉体労働をこなしたり、あちこちの課に顔を出し若い子のエキスを感じているせいか、年齢よりも体つきも気持ちも若く見えた。

「お疲れ様です」
「おそうございますだな。なんだ、朝帰りかぁ?今度はどこのいい娘ひっかけたんだよ」

普段ならスーツで勤務しているところを、いたってラフな格好で登場した久志に、椅子の背もたれに身を預けながら聞いてくる。

決して嫌味な話し方ではない。
こちらの事務所はどちらかといえばかなりオープンなところで、事務員の女の子・石田貴代美(23歳)や大友主任(もうすぐ40歳になろうというお局様)たちとも平気で下ネタを繰り広げる。
さすがに、石田が「彼氏のヤり方がね~」という話題には黒川が渋い顔をしながら止めたものだが。

「いや、俺、身持ち堅いんで」
「ありえないわよね~ぇ」
机同士が並んでいるので、当然会話は筒抜けだ。机にカバンを置きながら答えると、手をパタパタと振りながら大友が笑った。
すでに食事を終え、コーヒーカップを手にくつろいでいたところらしい。

「えー、でも高柳さんって、想った人にはすごく優しそうじゃないですかぁ」
「相手の子は高柳君がいつ浮気するかって気が気じゃないでしょうね」
石田と大友が好き勝手に話を進めていくのを、久志は苦笑しながら聞いていた。どちらの言い分も当たっていそうで少し違う気がする。

カバンを置くと、着替えてきますと言い残して事務所を出た。建物の廊下をさらに奥に進めば、更衣室兼休憩室兼物置(要は何にでも使われている)に突き当たる。
作業服の支給はあったが、一日の大半を事務所で過ごす身。現場で忙しなく動く人たちになんだか申し訳なく思えて、若手ということで現場に駆り出される時以外は滅多に着ることもない服を取り出した。
他の課でも内勤の人間がほとんどスーツだったので自然と久志もそれにならった。ロッカーに仕舞いっぱなしだった作業服を取り出すと、着替えを済ませて事務所に戻った。

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