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BLの丘
夢のような吐息 18
2010-04-28-Wed  CATEGORY: 吐息
薄い寝間着は簡単に剥ぎ取られた。
肌同士が重なってお互いの体温が感じられる。
何度も口づけられる行為に、野崎の思考も朦朧としてきた。

ひどく気持ち良かったのだ…。

「もう、こんなこと、誰にも許すなよ。すっげー悔しい。こんな簡単に誰にでも預けるのか?!ありえねーだろっ」
「んっふ…っ…」
状況に応じて過ごした一夜はどれほどあったのだろうか。
愛情とは別のただの性欲処理だった。
思いが募れば相手の行動に文句の一つも言いたくなるのだろう。
そんな面倒臭い関係が嫌だったのかもしれない…。
だが、味わえば心地良いものなのだろうか…。
安心して休める巣…。
千城の気持ちが何となくわかりもする。
分かるが、自分がその立場に堕ちるとなればまた話は別だ…。

「みや…」
「瑛佑。俺の名前呼んで。美琴さん。もうこのまま俺に溺れてよ。許してよ。どこまでも頑なに自分を作り上げるの、見ていたくないから…」
宮原に再び口付けられて彼の熱さを体に染み込まされる。
崩れて行きたくないと頭が抵抗するのに、身体は逆の方向へと向いていた。

「抱いてもいい?」
確実に反応している身体を知りながら尋ねてくる宮原を意地悪だと思う。
この場に流されているだけという状況ではいたくないのだと、彼の気持ちは伺えた。
一度だけ抱いて終わりにする気はなく、すべてを始めるための確認だった。
肌の上を撫でていく掌は止まることがない。
ただ追い込まれていくだけの自分が、今更やめてくれと言いだせないようにされている。
溜めていたものがあるから尚更身体の反応は顕著に表れた。

「はぁ…」
吐息だけがこぼれる。
どう返事をしたらいいのだろう…。
身体だけの関係で終わりにしてくれというのも、浅ましいようで避けたい。
強引にコトを始めてくれれば諦めもつくのに、宮原はあくまでも野崎の言葉を待つようだった。

「瑛、佑、さん…」
昂った身体を放置されるのも辛いと承知の上で宮原は動こうとしなかった。
「どうしてほしい?」
啄ばむようなキスを何度かされ、耳元で囁かれる。
暗闇の中、感じるのは相手の息づかいと肌の温度。
それらが余計に想像させ、興奮を煽ってきた。

返事をする代わりに宮原の頬に手を伸ばしてみた。
勘の良い彼ならその意味を理解するだろう。
続くことはない一夜の流れ。野崎にとってはそれで充分だと思うのに許しはしない男が目の前にいる。

野崎の手は宮原に掴まれ、手の甲に口づけられる。
「俺のものになって…。今はまだ無理でも、いつか気を許してくれるようになってくれればいいから。とにかく始めてみない?」

頷いた…のだろうか…。
落ちてきた唇は重なったまましばらく離れようとはしなかった。
口腔を蹂躙される動きに息が上がっていく。
「あ、…えい…」
「美琴さん…」
聞きなれた名前が脳髄にまで染み込んでいく。

自分の名前を呼ばれることに嫌悪感を持たなくなったのはいつの頃からだろう…。
たぶん、その時から宮原を受け入れていたのだと実感した。
多くを語らなくても理解しあえる彼の存在は、今日の一日で充分なほど知らされ、またその時間が非常に心地よかったのを身体のほうが認めていた。
ただ野崎の意識だけが頑なに抵抗を続けているだけだった。

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ここまできているのに、はじまらない…。
(始まんなくてもいいですかね…書けない言い訳) ※別宅記事あげましたぁ。※
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コメント

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いつか気を許してくれるようになってくれればいいから。
コメント甲斐 | URL | 2010-04-28-Wed 23:07 [編集]
っていうわけで、やっぱりカラダからなんですね。
強く求めているとか、心を解放しているとは程遠いけれど、とにかく始めてみよう。
悪いようにしないから、気持ちよくしてあげるから・・・。(あ、それは言ってないけど)
ちょっとちょっと!
これじゃあまるで、えろーいおじさんがイタイケナ少年を堕としたい口説き文句じゃない!?
だけど、なんだか心地いいし、やわかーく包まれて、流されてもいいかなーって気分にさせる宮原氏のテクニックでした。。。。。。。

もう一息!!
Re: いつか気を許してくれるようになってくれればいいから。
コメントきえ | URL | 2010-04-28-Wed 23:43 [編集]
甲斐様
こんばんは。
ご一緒していたみたいですね。

> っていうわけで、やっぱりカラダからなんですね。
> 強く求めているとか、心を解放しているとは程遠いけれど、とにかく始めてみよう。

野崎が感じちゃったんでこんな展開です。
一応気遣いはある宮原のようですけど、一番手っ取り早い方法?!
(うちはこんな連中ばっか)
野崎が頑固すぎるんです…。

> だけど、なんだか心地いいし、やわかーく包まれて、流されてもいいかなーって気分にさせる宮原氏のテクニックでした。。。。。。。
>
> もう一息!!

はい、あともうちょっとで…。
コメントありがとうございました。
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