R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。
「…そ、ば、に…、いて…」
口づけられ、揺らぐ身体の反応を見ながら、喘ぎ声の合間に聞こえた掠れる声に一瞬動きが止まった。
美琴が発したものとは思えなかったが、性行為だけで浮かぶのではない、濡れた表情は美琴の内心を晒している。
瞠目したのは瑛佑だったが、全ての根源が何処にあるのかを察知するのに時間はかからなかった。
先程振り返ってしまった、”自分の過去”だ…。
不安にさせたのだと激しく後悔した。
振り切ったはずの過去でさえ、美琴の中では燻っていた。
死に別れた恋人とは、”永遠に越えられない壁”と何かで聞いたことがある。
思い出は美化され、より良い方へと変化を遂げる。
見えてくる”今”は辛いこともあるし、喧嘩もするし、時には相手を蔑むこともあるだろう。
美琴が何に脅えているのかが肌を通してあまりにも良く伝わってきた。
これまで一度として心など許したことのない人間が、僅かな隙をぬって自分に信頼をおいてくれたことは嬉しかったが、彼自身、まだ戦いの中にいたのだ…。
安らいでも、寛いでもいない。
決して『超える』ことができないと思われる相手と比べられるとはどんな苦痛の日々だったのだろう…。
瑛佑にその気がなくても、美琴の中では充分なほど苦しめられる材料にしかならなかった。
みせかけの虚像を、今でも作ろうとしているのが分かって、その姿に心が痛んだ。
何故、自分は気付いてやれなかったのだろう。
もうそんなことをする必要はないと、散々言っておきながら、美琴の本心に巣食っていた躊躇いを見逃していた。
いつだって美琴の中には”瑛佑の過去”が渦巻いていたのだ。
ほんの少しだけ見えた、美琴の本心…。
なにもかもが表れた、この瞬間。行為。
一緒に出掛けたのが、墓参りだけだったということも美琴の中で大きな衝撃になっていたのだろうし、今度また出掛けようと話を切り出したことが、”あの日”を振り返させた。
過去を”過去”と割り切りたい美琴に思い出させてしまったことが悔やまれてならない。
美琴の性格を考えればそれくらいの分別は簡単にできるはずだった…。
甘えていたのだと思った…。
瑛佑の一瞬の心の迷いだって、見透かしてしまうくらいの洞察力を備えている人だから、もっと気遣うべきだったのだろう…。
瑛佑を引き留めようとする願望がこれまでの態度に表れていたのかと感じれば、それは嬉しさと愛おしさ以外の何にも代えられなかった。
見慣れない表情や態度…。
なにもかもが美琴の本心を映し出しているようだった。
「いるよ…。ずっと、ずーっと美琴さんのそばにいるから…」
支えてやりたい…。抱きしめてやりたい…。もうこれ以上の『がんばり』などしなくていいから…。
一人で立っていることの辛さは良く分かる。
かつての自分と重ねるような強いのに脆い危うさ。
今一番の”素”を晒したこの姿のままで、どうか俺のものになってほしい…。
この全てを捧げるから…。
美琴の身体の一部でも床に着かないようにと膝を抱えて背を抱いた。
抱きあげトンと下から突き上げれば、より一層深く潜った熱棒に苦しそうな喘ぎ声が響いた。
「好きだよ…、愛してる…」
囁いた言葉に返してくれたのは熱の籠ったくちづけだった。
…不安にさせてごめん…
心の中で呟いた言葉を、肌越しにたぶん感じてくれたのだろう。
乱れる美琴の全てが、瑛佑だけのものなのだと幾度も教えられた。
そして、「アソコを舐めたのは初めてなのだ」と小さく訴えられた時、瑛佑の中にかろうじて残っていた理性は完全に吹き飛び、翌日の美琴の出勤に大きな衝撃を与えた。
つまり、瑛佑を自分のものにしたかったのだという美琴の願いは実行されたわけだ…。
にほんブログ村
次回最終話です。
甘くなったかなぁ…。
たった一日の出来事をこんなに長々と続けてしまってすみませんでした。いつものことなんですけど…。
楽しんでくれた方、いらっしゃいましたかね…?????
美琴とエイ(←さかな?)のリクに答えたような企画でしたが…。えち企画の野崎編はこれにてご満足頂きたいです…(まぁ今更投票数は追い付かないし。つーか、結果をみるのが怖いです。でも書くから安心して投票してください。)
「…そ、ば、に…、いて…」
口づけられ、揺らぐ身体の反応を見ながら、喘ぎ声の合間に聞こえた掠れる声に一瞬動きが止まった。
美琴が発したものとは思えなかったが、性行為だけで浮かぶのではない、濡れた表情は美琴の内心を晒している。
瞠目したのは瑛佑だったが、全ての根源が何処にあるのかを察知するのに時間はかからなかった。
先程振り返ってしまった、”自分の過去”だ…。
不安にさせたのだと激しく後悔した。
振り切ったはずの過去でさえ、美琴の中では燻っていた。
死に別れた恋人とは、”永遠に越えられない壁”と何かで聞いたことがある。
思い出は美化され、より良い方へと変化を遂げる。
見えてくる”今”は辛いこともあるし、喧嘩もするし、時には相手を蔑むこともあるだろう。
美琴が何に脅えているのかが肌を通してあまりにも良く伝わってきた。
これまで一度として心など許したことのない人間が、僅かな隙をぬって自分に信頼をおいてくれたことは嬉しかったが、彼自身、まだ戦いの中にいたのだ…。
安らいでも、寛いでもいない。
決して『超える』ことができないと思われる相手と比べられるとはどんな苦痛の日々だったのだろう…。
瑛佑にその気がなくても、美琴の中では充分なほど苦しめられる材料にしかならなかった。
みせかけの虚像を、今でも作ろうとしているのが分かって、その姿に心が痛んだ。
何故、自分は気付いてやれなかったのだろう。
もうそんなことをする必要はないと、散々言っておきながら、美琴の本心に巣食っていた躊躇いを見逃していた。
いつだって美琴の中には”瑛佑の過去”が渦巻いていたのだ。
ほんの少しだけ見えた、美琴の本心…。
なにもかもが表れた、この瞬間。行為。
一緒に出掛けたのが、墓参りだけだったということも美琴の中で大きな衝撃になっていたのだろうし、今度また出掛けようと話を切り出したことが、”あの日”を振り返させた。
過去を”過去”と割り切りたい美琴に思い出させてしまったことが悔やまれてならない。
美琴の性格を考えればそれくらいの分別は簡単にできるはずだった…。
甘えていたのだと思った…。
瑛佑の一瞬の心の迷いだって、見透かしてしまうくらいの洞察力を備えている人だから、もっと気遣うべきだったのだろう…。
瑛佑を引き留めようとする願望がこれまでの態度に表れていたのかと感じれば、それは嬉しさと愛おしさ以外の何にも代えられなかった。
見慣れない表情や態度…。
なにもかもが美琴の本心を映し出しているようだった。
「いるよ…。ずっと、ずーっと美琴さんのそばにいるから…」
支えてやりたい…。抱きしめてやりたい…。もうこれ以上の『がんばり』などしなくていいから…。
一人で立っていることの辛さは良く分かる。
かつての自分と重ねるような強いのに脆い危うさ。
今一番の”素”を晒したこの姿のままで、どうか俺のものになってほしい…。
この全てを捧げるから…。
美琴の身体の一部でも床に着かないようにと膝を抱えて背を抱いた。
抱きあげトンと下から突き上げれば、より一層深く潜った熱棒に苦しそうな喘ぎ声が響いた。
「好きだよ…、愛してる…」
囁いた言葉に返してくれたのは熱の籠ったくちづけだった。
…不安にさせてごめん…
心の中で呟いた言葉を、肌越しにたぶん感じてくれたのだろう。
乱れる美琴の全てが、瑛佑だけのものなのだと幾度も教えられた。
そして、「アソコを舐めたのは初めてなのだ」と小さく訴えられた時、瑛佑の中にかろうじて残っていた理性は完全に吹き飛び、翌日の美琴の出勤に大きな衝撃を与えた。
つまり、瑛佑を自分のものにしたかったのだという美琴の願いは実行されたわけだ…。
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次回最終話です。
甘くなったかなぁ…。
たった一日の出来事をこんなに長々と続けてしまってすみませんでした。いつものことなんですけど…。
楽しんでくれた方、いらっしゃいましたかね…?????
美琴とエイ(←さかな?)のリクに答えたような企画でしたが…。えち企画の野崎編はこれにてご満足頂きたいです…(まぁ今更投票数は追い付かないし。つーか、結果をみるのが怖いです。でも書くから安心して投票してください。)
カラダだけのお付き合いはいろいろあっても、恋愛は初心者なみこっちゃん、初めて心を許し傍にいることを願ってしまったときにふと不安になってのでしょうね。
なんだか信じられないくらい素直で可愛いです。
なんだか信じられないくらい素直で可愛いです。
甲斐様
こちらにもどうもです。
> カラダだけのお付き合いはいろいろあっても、恋愛は初心者なみこっちゃん、初めて心を許し傍にいることを願ってしまったときにふと不安になってのでしょうね。
> なんだか信じられないくらい素直で可愛いです。
随分と変身してしまったみこっちゃんです。
ハリネズミの姿が見えなくなってしまいました。
心を許してしまったから余計に離れられることに脅えたんですかね。
今が心地いいって知っちゃったし。
瑛佑、いい仕事をしたなぁ。
コメントありがとうございました。
こちらにもどうもです。
> カラダだけのお付き合いはいろいろあっても、恋愛は初心者なみこっちゃん、初めて心を許し傍にいることを願ってしまったときにふと不安になってのでしょうね。
> なんだか信じられないくらい素直で可愛いです。
随分と変身してしまったみこっちゃんです。
ハリネズミの姿が見えなくなってしまいました。
心を許してしまったから余計に離れられることに脅えたんですかね。
今が心地いいって知っちゃったし。
瑛佑、いい仕事をしたなぁ。
コメントありがとうございました。
アオイトリ | URL | 2010-05-12-Wed 12:32 [編集]
すみませんっ!
リクエストしておいて音沙汰なしってどういうことだ!…ですよね
いきなり虫垂炎で入院するハメになりまして。。。毎日読んではいたのですが痛みで頭が働かずコメントができませんでした、ホントすみません
美琴さんのラブラブリフォーム大作戦も、エイくんが『5秒だけ待って』なんて翻弄されてるところも、初々しいカップルっぽくて可愛かったです。
エチ投票ももちろんこの二人に入れましたが、あの票のひらきっぷりに早々と諦めましたので(笑)大丈夫です。
というか、むしろ1位カップルよりも先に読ませて貰ったことに小躍りしたい感じです^^
リクエストしておいて音沙汰なしってどういうことだ!…ですよね
いきなり虫垂炎で入院するハメになりまして。。。毎日読んではいたのですが痛みで頭が働かずコメントができませんでした、ホントすみません
美琴さんのラブラブリフォーム大作戦も、エイくんが『5秒だけ待って』なんて翻弄されてるところも、初々しいカップルっぽくて可愛かったです。
エチ投票ももちろんこの二人に入れましたが、あの票のひらきっぷりに早々と諦めましたので(笑)大丈夫です。
というか、むしろ1位カップルよりも先に読ませて貰ったことに小躍りしたい感じです^^
アオイトリ様
こんにちは。
> すみませんっ!
> リクエストしておいて音沙汰なしってどういうことだ!…ですよね
お体は大丈夫ですか?
こんなものを読んでいるから余計に具合が悪くなったのではないでしょうか。
ゆっくり休まれてください。
> 美琴さんのラブラブリフォーム大作戦も、エイくんが『5秒だけ待って』なんて翻弄されてるところも、初々しいカップルっぽくて可愛かったです。
美琴リフォーム大作戦、素敵なタイトルをつけていただきました。
二人ともなにかと強情というか強気なんですけど、あらゆるところで翻弄されています。
特にこのえっちの場では予想外な動きがたくさんあるようで…。
> というか、むしろ1位カップルよりも先に読ませて貰ったことに小躍りしたい感じです^^
夢吐息の続編としてはいつか書きたいところがあったのでいいタイミングでリクエストをいただけたような気がします。
あと1話ですが、最後までお付き合いくださればなぁ…と思います。
コメントありがとうございました。
こんにちは。
> すみませんっ!
> リクエストしておいて音沙汰なしってどういうことだ!…ですよね
お体は大丈夫ですか?
こんなものを読んでいるから余計に具合が悪くなったのではないでしょうか。
ゆっくり休まれてください。
> 美琴さんのラブラブリフォーム大作戦も、エイくんが『5秒だけ待って』なんて翻弄されてるところも、初々しいカップルっぽくて可愛かったです。
美琴リフォーム大作戦、素敵なタイトルをつけていただきました。
二人ともなにかと強情というか強気なんですけど、あらゆるところで翻弄されています。
特にこのえっちの場では予想外な動きがたくさんあるようで…。
> というか、むしろ1位カップルよりも先に読ませて貰ったことに小躍りしたい感じです^^
夢吐息の続編としてはいつか書きたいところがあったのでいいタイミングでリクエストをいただけたような気がします。
あと1話ですが、最後までお付き合いくださればなぁ…と思います。
コメントありがとうございました。
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