通話を終わらせるなり、激しい溜め息の中に美琴はいた。
「ねぇ、どうしたの?」
心配げに瑛佑が美琴の顔を覗き込んだ。
英人に『親戚』と伝えた連れが、千城の頭の中でその言葉通りに通っていないなどすぐに理解できる。
千城に見せるのが嫌なのではない…。
「先程の方ですが…」
「あぁ、あの美人?今朝聞いた声と同じだったからピンときたけど、社長の、ソレ、だろ?」
「…ん…」
小指と親指を「どっち?」と交互に立てる瑛佑の表情もどうでもよいように感じられた。
瑛佑に『美人』と言われて益々美琴の心は落ちていった。
誰だって惹かれる、分かる、理解できる、それだけの要素を持っている…。
おまけに人とは比べられない独特な芸術性の高さまで身につけている。
千城のそばにいることで、姿身も整えられた。
内側から綺麗にされる栄養素と、外見を整える麗しさ。
一般市民の自分とはかけ離れた”飾るべき人形”のようなものと比較されているのだと、自身を蔑んだ。
『会わせろ』と言った千城の言葉がひどく怖いもののように思えた。
千城だけにあわせるのはいい。だが必ずついてくる隣の人間が何よりの脅威。
瑛佑は美琴が黙って言葉をつなげない理由を理解したようだった。
硬い心まで溶かしてしまうような甘い声が聞こえてくる。
「何、心配してんの?俺には美琴さんだけだって前にも言ったじゃん」
「でも今『美人』って…」
「綺麗なものは綺麗って素直にいうけどさ。比べるのは間違ってる。美琴さんには美琴さんなりのいいとこ、いっぱいあるんだよ。それとも何?俺が心変わりでもすると思った?それくらい俺を愛しちゃった?」
この男に聞いたのがそもそもの間違いだったと後悔した。
当たっているだけに返す言葉もないのだが、認めたくもない。
瑛佑の穢れの無い素直さがどんどんと染みてくる心が嬉しさを表していた。
それは同時に失いたくない感情へと直結していく。
そう…。『失いたくない』し、『他へと移られる』のも怖いのだ…。
英人、という特殊な人間に出会ったことで、その思いは強くなった。
あの、カタブツだった千城が堕ちた人間だ…。
初めて、『会わせたくない』人間がいることを知った。
『恋心』と言うのだろうか。それに値している。自分は瑛佑に恋している…。
人前という状況でありながら、瑛佑は美琴の身体を包んだ。
「嫉妬しているんだ。それがどれほど嬉しい状況か分かる?」
耳元で囁かれた言葉に体中の血が沸きそうだった。
もう一度会って、話をして…、それでも同じ台詞を吐いてくれるのか…?
『ヤギ広場で待っている』と言った千城の台詞が、やっぱりこわい…。
にほんブログ村
あと1話で終わりにしたいっ!!!
「ねぇ、どうしたの?」
心配げに瑛佑が美琴の顔を覗き込んだ。
英人に『親戚』と伝えた連れが、千城の頭の中でその言葉通りに通っていないなどすぐに理解できる。
千城に見せるのが嫌なのではない…。
「先程の方ですが…」
「あぁ、あの美人?今朝聞いた声と同じだったからピンときたけど、社長の、ソレ、だろ?」
「…ん…」
小指と親指を「どっち?」と交互に立てる瑛佑の表情もどうでもよいように感じられた。
瑛佑に『美人』と言われて益々美琴の心は落ちていった。
誰だって惹かれる、分かる、理解できる、それだけの要素を持っている…。
おまけに人とは比べられない独特な芸術性の高さまで身につけている。
千城のそばにいることで、姿身も整えられた。
内側から綺麗にされる栄養素と、外見を整える麗しさ。
一般市民の自分とはかけ離れた”飾るべき人形”のようなものと比較されているのだと、自身を蔑んだ。
『会わせろ』と言った千城の言葉がひどく怖いもののように思えた。
千城だけにあわせるのはいい。だが必ずついてくる隣の人間が何よりの脅威。
瑛佑は美琴が黙って言葉をつなげない理由を理解したようだった。
硬い心まで溶かしてしまうような甘い声が聞こえてくる。
「何、心配してんの?俺には美琴さんだけだって前にも言ったじゃん」
「でも今『美人』って…」
「綺麗なものは綺麗って素直にいうけどさ。比べるのは間違ってる。美琴さんには美琴さんなりのいいとこ、いっぱいあるんだよ。それとも何?俺が心変わりでもすると思った?それくらい俺を愛しちゃった?」
この男に聞いたのがそもそもの間違いだったと後悔した。
当たっているだけに返す言葉もないのだが、認めたくもない。
瑛佑の穢れの無い素直さがどんどんと染みてくる心が嬉しさを表していた。
それは同時に失いたくない感情へと直結していく。
そう…。『失いたくない』し、『他へと移られる』のも怖いのだ…。
英人、という特殊な人間に出会ったことで、その思いは強くなった。
あの、カタブツだった千城が堕ちた人間だ…。
初めて、『会わせたくない』人間がいることを知った。
『恋心』と言うのだろうか。それに値している。自分は瑛佑に恋している…。
人前という状況でありながら、瑛佑は美琴の身体を包んだ。
「嫉妬しているんだ。それがどれほど嬉しい状況か分かる?」
耳元で囁かれた言葉に体中の血が沸きそうだった。
もう一度会って、話をして…、それでも同じ台詞を吐いてくれるのか…?
『ヤギ広場で待っている』と言った千城の台詞が、やっぱりこわい…。
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あと1話で終わりにしたいっ!!!
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みこっちゃん、ホントにかわいくなっちゃって。
恋をすると人って変わりますものね。
今まで知らなかった『独占欲』とか『嫉妬』とか、新たに辞書に加わるのでしょう。
そんなみこっちゃんから見ると、ひーちゃんはそれほど脅威に感じられる存在なんですね。
『ヤギ広場』へGO→
恋をすると人って変わりますものね。
今まで知らなかった『独占欲』とか『嫉妬』とか、新たに辞書に加わるのでしょう。
そんなみこっちゃんから見ると、ひーちゃんはそれほど脅威に感じられる存在なんですね。
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きえ | URL | 2010-05-15-Sat 09:53 [編集]
M様
こんにちは。
>ヤギをバックに4人がどんな会話をするのか楽しみです(≧∀≦)美琴さん頑張って!
4人の男が並んでヤギにえさとかやっているんですかね~。
奇妙な光景です~。
みこっちゃんに応援、ありがとうございます。
コメント感謝です。
こんにちは。
>ヤギをバックに4人がどんな会話をするのか楽しみです(≧∀≦)美琴さん頑張って!
4人の男が並んでヤギにえさとかやっているんですかね~。
奇妙な光景です~。
みこっちゃんに応援、ありがとうございます。
コメント感謝です。
甲斐様
こんにちは。
ほんと、すっかりかわいいキャラになっちゃいました。
> 今まで知らなかった『独占欲』とか『嫉妬』とか、新たに辞書に加わるのでしょう。
> そんなみこっちゃんから見ると、ひーちゃんはそれほど脅威に感じられる存在なんですね。
> 『ヤギ広場』へGO→
いろーんな感情がみこっちゃんに降りかかってくる今後だと思います。
お人形さんみたいな英人ですからね。
やっぱり若くて可愛い子のほうがいいんじゃないかな~って心配なんでしょう。
まぁ、瑛佑は年上好みみたいだから大丈夫だと思うんですけど。
ヤギ広場、誰でも入れますから、ぜひ甲斐様も餌を持って遊びに行ってやってください。
コメントありがとうございました。
こんにちは。
ほんと、すっかりかわいいキャラになっちゃいました。
> 今まで知らなかった『独占欲』とか『嫉妬』とか、新たに辞書に加わるのでしょう。
> そんなみこっちゃんから見ると、ひーちゃんはそれほど脅威に感じられる存在なんですね。
> 『ヤギ広場』へGO→
いろーんな感情がみこっちゃんに降りかかってくる今後だと思います。
お人形さんみたいな英人ですからね。
やっぱり若くて可愛い子のほうがいいんじゃないかな~って心配なんでしょう。
まぁ、瑛佑は年上好みみたいだから大丈夫だと思うんですけど。
ヤギ広場、誰でも入れますから、ぜひ甲斐様も餌を持って遊びに行ってやってください。
コメントありがとうございました。
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