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BLの丘
想―sou― 一夜物語 1
2010-06-10-Thu  CATEGORY: 『想』―sou―
『ちょうどいい~』がかけなくて、こんなものが上がっています。(しかも続きはいつか分からない状況…冷汗)
今回、あちこちのお話がくっついています。

本編とは全く繋がりのない番外という形で書きたいので、つながりを読みたくないという方は足を踏み入れない方がいいと思います。

リクエストはS様です。
『一葉と英人をお友達にしてっ!!』と頂いて、何故か今頃…。それも一葉も書き終わっていないこんなとき。
気まぐれでupしていること、お許しください。




那智に紹介してもらったバーは一葉の中でもお気に入りとなっていた。
一人で訪れれば、さりげなく会話を引き出してくれるし、連れが一緒なら必要以上のことを言わないバーテンダー。
大人っぽい雰囲気を纏わせるバーテンダーに、画廊で接客をするようになった一葉もどこか見習いたいところはあった。
そのタイミングのうまさ、というのか、さりげなさにいつも感心させられる。

絵など全く興味がなかった一葉だったが、画廊という場所に勤めたせいか、壁に飾られる絵にどことなく惹きこまれた。
それも一葉を虜にする原因の一つなのだろう。
『榛名英人』という画家は篠原も知っていた。

『手に入れたいけど、なかなかね…』と以前呟いていたのを思い出す。
ということは、この店にはどれくらいの価値が眠っているのだろう…と庶民的な考えが頭を巡っていた。
もちろん、見て回ることを誰も咎めない。

那智と待ち合わせをしたのは夕刻…というより、夜の時間だ。
似たような職についていたから、多少の時間の変動は覚悟の上だった。
約束の時間、バーのカウンターに座った一葉の元に、「ごめん、少し待って」と断りのメールが入れば、忙しいのだな…と判断がつく。
酒に弱いと分かるから、ジュースのような飲み物を頼んだ一葉に、時間があるのだと分かるからか色々と話相手になってくれるところがある。
彼は決してプライベートには触れようとしなかった。

が、隣にいる少し派手目の男は違った。
今日も洗いざらしの髪を軽く梳いただけで、身丈に合う、桜色のシャツを、一見だらしなさそうに上からひとつふたつみっつとボタンを外している状態で気崩し、当たり前のようにカウンターの中にいた。
だけど何度か訪れて、ここで仕事をしている人間ではないのだとすでに知っている。

バーテンダーが愛する相手であって、その仕事を少しでも担いたいのだとは男からも伝わった。

「ねぇねぇ、いつになったらカレシ連れて来てくれるの?」
「長流、そういうこと、聞くもんじゃないから」
バーテンダーに咎められて『長流(たける)』と呼ばれた男はぷぅと頬を膨らませて中のカウンターを出てきた。
「今日はお客になるよ。そこにいるといつも小言言われてさ。『お客さん』と楽しい会話も楽しめない」
「余計なことを言うって分かっているから制しているんだろうがっ。長流の”常識”は一般市民、特に、こんな可愛い子には”毒”なんだよっ」
「"毒”?!そこまで言う?!」
「指導、とか、伝授、とか絶対に余計なお世話!! こっちにいろって」

一葉の隣に座った『たける』に対して、文句ブーブーなバーテンダーが声を荒げる。
客に対しての失礼な言動を控えたい気持ちが何よりも伝わってきたが、同時に”嫉妬”という言葉もそれとなく感じた。
一葉に寄り添うように座った態度が気を荒げるのだろう。

カラン…と来客を示すウェルカムベルがドアから響いてきた。
那智?と振り返った一葉に、那智とは全く異なる色香を漂わせる男が入ってくる。
那智も相当な美女(じゃない、美男)だったが、それをはるかに上回ると思った。
那智が可愛い系と揶揄されるなら、この男は美人系なのだろう。
髪の生え際から足の爪の先まで洗練されたような、全てを磨かれたといっていい人間…。
こんな人間はテレビの世界でだって見たことがないと一葉は内心で思う。

「英人君じゃない。どうしたの、こんな時間に」
隣に座った『たける』が瞬時に首を巡らせた。
『ヒデト』と呼ばれた男は声をかけられて、同時に安堵の息を吐いた。
悩みがあるのはその姿ですぐに分かる。
物ありげな状態に足を踏み入れてしまったようで、一葉の方が縮まった。

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コメント

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友達の友達は皆友達
コメント甲斐 | URL | 2010-06-10-Thu 13:59 [編集]
いらっしゃ~い英人くん。
私も一葉ちゃんにいいオトモダチ作ってあげほしいなって思ってたから嬉しいです。

日野ちゃんも言うようになりましたね。こんな口の利き方する相手は一人しかいないけどお互いいいポジションでうまくいっていることがわかります。

英人くん、今日はお悩み相談室の患者さんでしょうか。
あるいは何かから逃げてきたのか・・・。
Re: 友達の友達は皆友達
コメントきえ | URL | 2010-06-10-Thu 18:46 [編集]
甲斐様
こんにちは~。
つまらないものにご招待した気分でいます…。
なのにこちらにもコメありがたいです。

> いらっしゃ~い英人くん。
> 私も一葉ちゃんにいいオトモダチ作ってあげほしいなって思ってたから嬉しいです。

英人がお友達っていうのもどうなのかな…と思いながら書いてます。
あっち方面の話題になったら、照れる箇所は一葉とは温度差があるんでしょうね。
神戸も知っちゃっているし、びしばし言うし。

> 日野ちゃんも言うようになりましたね。こんな口の利き方する相手は一人しかいないけどお互いいいポジションでうまくいっていることがわかります。

ええ。もう年下でもなんでもないですね。
良きパートナーとして成り立っています。
神戸センセを操れる人間となってきたんでしょうか。

> 英人くん、今日はお悩み相談室の患者さんでしょうか。
> あるいは何かから逃げてきたのか・・・。

そのための鳥籠なんですよっ!!
本来の目的を忘れていましたが、もともとここは、英人が逃げるための"巣"だったんです。
神戸と日野の"巣"になっちゃっていますけど。
え?!二人の巣なの?!私が勘違い???!!!!
ハリケーンが訪れたときのシェルターかと…(それもなんか違う…ゴニョゴニョ…)
どんな展開になるのか私も分かりませんが(←オイ)お待ちいただければと思います。
コメントありがとうございました。
No title
コメントきえ | URL | 2010-06-11-Fri 09:10 [編集]
MO様
こんにちは~。

>大好きな「想―sou―」でのお話、とっても嬉しいです♪ 英人を悩ませるのは、やっぱり彼でしょうかね?  英人と一葉の出会いは、どんな展開になるのか、とっても楽しみです。ゆっくり お待ちしていますね~。

悩みの種は常にあの方です。
今度はどんな意味難解な事件が勃発したのやら…。
普通では想像できない"何か"を言ってくる人…。
さぁ、楽しい夜の始まりです♪
その一夜が何日続くのか…。(皆様すみませんね)
お待ちいただきたいです。
コメントありがとうございました。
 
No title
コメントきえ | URL | 2010-06-11-Fri 09:18 [編集]
さーちゃん、こんにちは~♪

>あの、あのっ、間違いじゃなければ、私の一言でしょうか?きゃ~♪舞い上がりました~。ちょー嬉しい(*^□^*) って騒いでおいて違ったらどうしよう(;^_^A 絶対、一葉ちゃんと英人くんは仲良くなれると思うのです♪楽しみです。あ~私も想に飲みに行きたいです!

はい!もう間違いなくあなた様のリクエストです。
飲みに来るだけではなくて、舞い上がったついでに、カウンターの上で小躍りを披露とかどうでしょう。(神戸が浴びたスポットライトありますし(新装開店参照))。
どうやってお友達になるかは、まぁ今後の展開にご期待いただくとして(書ききれるか不安ですが)、めっちゃ込み入った内容にはなると思います。
ご期待通りにいくかな~と心配しつつ、筆(指)をすすめますね。
コメントありがとうございました。
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