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BLの丘
囁きは今日も明日も 16
2010-10-09-Sat  CATEGORY: 囁きは今日も明日も
「ばかっ!!」と突然言われても磯部にはその真意が見えない。
ただ、抱きつかれた身体を受け止めてやるだけだった。
「まこ?」
「もっとはっきり言ってくれていいのにっ!確かにみっちゃんや享とのことを心配されるのは筋違いだけどさ。少しでも言葉にされれば気にしてもらえているんだっていう自信にもなるのにっ。そんな、なんにも言えない仲なわけ?!」
言葉にならず押し黙ったことが逆に中條の気に障ったのか、辛辣な発言は磯部の胸を叩いていた。
「ごめん…。そうじゃなくて…」
磯部は自分の不甲斐なさを感じていた。
中條は寄り添おうと努力してくれているのに、自分は狭い心でうだうだと考えているだけだ。
友人である存在にまで嫉妬していることを、情けないとかプライドとかで隠そうとしている。
昨日の行動もそうだが、正面から当たってくる中條に翻弄され惹きこまれていることの何が”恥ずかしいこと”になるのだろう…。
それが返って中條を不安にさせる…。
やっと気付いたような気がする。

「ほんと、まこには敵わないや…。俺、こんな情けない自分が嫌になってくるし…」
「言いたいことがあるなら言ってよ。そんな簡単に傷つく性格じゃないから」
「強がり。今のこの状況だって不安になっているんだろ?」
昼の太陽が高い時間だというのに、ためらいもなく飛び込んでくる中條を愛おしいと思う。
抱きしめ返してやって、額に唇を寄せ、…躊躇いを払拭するように、中條が磯部の唇にそれを押し当ててきた。
軽く触れるだけのことに物足りなさがわく。

「仕事、終わったら連絡する」
「あぁ。うちに帰ってこい」
別れ間際の言葉は、これからもずっと続いていく愛情を表していた。
離れ難いが、「仕事に遅れるぞ」と中條を促して、磯部は助手席を降りた。
ずっと燻っていた気分が嘘のように晴れていた。


後日、連絡を取った佐貫は色々と忙しいらしく、滅多にない休み、と言う日に磯部が自宅を訪ねると、提案する車種を快く契約した。
価格のことはもちろんあったが、佐貫の体格を考えれば小型車は苦痛だろうとも思う。
佐貫は車種などには全くこだわりがないようだった。
「俺もあまり時間が取れる人間じゃないし。何度も足を運ばせるのは磯部さんにとっても時間の無駄になるだけでしょう。車がないのは何かと不便なんですよ。一番早く納車してくれるやつでいいですから。はい、ハンコ」
見積もりを持って現れた磯部に、あっさりと契約書を取り出させ、即納車日の確認がされる。
この豪快な性格には絶句させられるだけだ。
世の客がこんな人間ばかりだったらどれだけラクだろう…とも思ってしまった。

淹れてもらったお茶をすすりながら、話は仕事から離れた。
「誠はね、しっかりしているようでかなりの我が儘だし甘えん坊なんですよ」
ふいに振られた話題に磯部が口を閉ざした。
二人の仲を知られているのは分かるが、何を言われるのかと思った。
「まぁお互いこんな歳だし、過去の云々を聞かせる気はないし口にしたくもないですけど、それとは別に誰かに常に寄って行こうとするところがある。それが俺であったり享利であったりするのかもしれないです。でも磯部さんが心配するようなことは決して起こらないし、誠にもそんな気はないですよ。俺たちはね、同級生でありながら、どこか”兄”なんです。あいつが幸せになってくれることは望むけれど、不幸にされるのは我慢ができませんからね」
磯部が抱えていた嫉妬や不安を、洞察力の高いこの男は見透かしていたのだろうか。
人間の心理を追うのも刑事の仕事の一つか…と磯部の胸の中で吐息が一つ漏れる。
同時に、『ただの友人』という立場を強調され、また中條を思う友情と自分に向けられる立場の重さを知らされた。
そして、中條がいかに自分を想っていたのかと言うことも…。

「初めて出会った時から、惹きこまれていく感覚があったんです。磁石のプラスとマイナスがくっついていく感じですか。今までにも数多くの人と出会ってきましたけど、これほどまでに自然と気を使わず、安らげたのは初めてでしたね」
磯部にも穏やかな笑みが浮かぶ。
素直に吐露してしまえば、背中を後押しされるような力を感じた。
それを見て、佐貫の頬も上がった。
「何かあった時には手錠をもって伺いますから」
「刑事さんと弁護士さんに囲まれたら返す言葉は一つも見つかりませんね」
たとえどんな状況であれ、応援されているのは分かる。
それは中條が告げる『愛情』に繋がるのだろう。
堂々と晒された事実に、磯部が嫌う要素はどこにもなかった。
お互いから漏れる笑いに、二人の壁は『顧客』から『友人』へと変わるのを感じた。
中條がどれほど良い友人関係を築いているのかが良く分かる。
そしてその中に入れたのだとも。

「仕事サボって享利の店に来るのはいつものことだから。時間を作って磯部さんもきたらいい」
頂いたアドバイスには素直に頷いてしまう。
定食屋で会う以外に、『安住家』という喫茶店が加わるのもどうかと思うが…。
中條は絶対に気にしないのだろうな。

ジョークで流してくれる間柄は磯部にとっても親しみやすいものだった。
それは少しでも中條に近付けたような気がする。

磯部が知らない中條を他の人間に告げられて嫉妬するのは筋違いだと思った。
知らないことはこれから知っていけばいい。
これから先の時間を全力で当たれと、佐貫に言われているようでもあった。
未知の世界を何と全部教えてくれるのだろう。
そして『知れ』といわれるのだろう。
幸せを願う友人として。

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大変お待たせいたしました~。
この二人の登場です。
秋企画に阻まれ、『熱い時期』は過ぎているよって言われそうですが。
こちらも間もなく終わりにしたいと思います。
週末更新、かなりアヤシイです。
何にも書けていない。
何もなかったら「あ~ぁ」って溜息ついて立ち去ってください。
(でもチャット会には参加する気でいる(`・ω・´)ノぷぅ…)(←イク気っすっ!!)
宿題、そっちのけで遊び歩くらしい。
夢は叶うんだろうか…。
誰か粗大ゴミの回収をお願いいたします。
また無理なことを…。
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囁きは今日も明日も 17
2010-10-11-Mon  CATEGORY: 囁きは今日も明日も
後半R18です。性描写があります。閲覧にはご注意ください。

夜、家に帰ると、マンションの自室に明りがあるのが分かった。
昼間、合い鍵を渡しておいた中條が、早速訪れているのだと分かった。
それだけで一日の疲れが吹っ飛ぶのだから不思議なものだ。

玄関を開ければ、香ばしい匂いが漂っている。
まるでこの展開が分かっていたように、連絡も何もなかった。
ひとつ間違えれば外食ですませる、一人だけの夕食になっていまいかねないのに、空腹のまま家に辿り着いたのは、奇跡か呪いか。

キッチンルームに入った磯部を、当たり前のように「おかえりなさい」と迎えてくれる姿がある。
初めてのことなのに、長年連れ添った夫婦のような自然な感じが空気を震わせていた。
「ただいま…」
出迎えてくれる人間がいる状況など、これまでにはなかった。
それが余計に感動を運んでくる。
「チキングリルの香草焼きを作ってみたんだ」
ためらいもなく、調理用品を引っ張り出している堂々とした姿には、感心してしまうがそれ以上に感動の方が高かった。
今更家の中のなにかをあさられて恥ずかしがる歳でもない。
それを承知で鍵を渡したのだが…。
中條も気にしていないのがわかる、この態度。

抱き締めた身体から自分が使用しているボディソープの香りが鼻をついた。
遠慮なく使いこなしてくれていることに尚更近さを感じる。
「悪い。先に風呂に入ってくる」
磯部が汗臭い身体を気にすれば、「うん」と中條は頷いた。
食事を楽しむよりも身体を楽しむ方が先だ、と中條も気がついたらしい。

外で出会うことはあっても、身体を重ねるまでの行為にはなかなかたどりつけない。
焦らされた挙句の『鍵渡し』だったのかもしれない。
分かったように中條は、今、ここにいる。

慌ただしく身体を洗い、入浴というよりは掛け流す行動をとった磯部だった。
言い訳を考える間もなく、すでに腰に巻いたタオルは、男らしい形を見せて出っ張っている。
身を隠すものを腰に巻くタオル一枚だけで、キッチンに入った磯部を驚愕の表情が迎えた。
「もう出たの?」
「洗うところは全部洗った」
中條は使った調理器具を洗っているところのようだった。
そんなものはいい、と取り上げて身体を包み込む。
顎に手をかけて口付けを落とせば、小さく身じろがれた。
「ここで…?若くないからだめだよ。身体がついていかない…」
ベッド以外でのシチュエーションは確かにそそられるが、本人が抵抗し萎えるようなら無理はさせたくない。
磯部はまっすぐに寝室に向かうことを決定した。
そしてひょいっと中條を横抱きにする。
と、驚いた中條が悲鳴のような声を上げた。
「僕っ、重いしっ!!」
「気にし過ぎだって前から言っているだろう。まこは太っても肥満でもなんでもない」
むしろ細すぎるくらいだ、とも思う。

暴れて揺り動けば余計に負担がかかると分かるからなのだろうか。
きゅうっと首筋に抱きつき、身体を大人しくさせる中條の全てがただ愛おしいという、その感情にしか辿り着かなかった。
ベッドに横たえて、かぶさりながら一応謝罪だけはしておく。
「せっかく夕食、作ってくれたのに。ごめん。まこを先に食べたくて仕方ないんだ」
「ご飯は温め直すことができるから…。この熱を放置させたら食なんて味わってなんかもらえないよ」
すすっと股間を触ってきた掌には思わず腰が引ける。
中條も待っていてくれていたのだとは簡単に悟ることができた。
忙しい毎日。

「かなわないよ、ほんと…」

磯部の奥の底まで、黙っていても分かってくれる人。

交わす唇の熱さと触れてくる指先の熱さに我を忘れていく。
『鍵』を渡した意味を分かるのだろう。
そして迎えてくれた肉体。
「まこと…」
耳元で囁けばピクンと身体が跳ねる。
それが嬉しくてなんども肌の上に口付けを落とした。
熱をはらんで疼く肉棒をさり気なく押し付けられる。
「まさ…」
声がまるで媚薬だ。

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囁きは今日も明日も 18
2010-10-12-Tue  CATEGORY: 囁きは今日も明日も
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。

指先で身体のラインを確かめるように肌を撫でれば、くすぐったかったのか「んっ」と身体を捩じらせた。
「その力加減、やだ…」
そうは言われても本心からではなく、感じてしまうからなのだとも理解できる。
そして磯部もその反応を愉しんでいた。
「舐めまわされるのもやだって言われて、じゃあどうやってまこの身体を味わえばいいんだよ」
「舐めまわす…って、この前のはしつこすぎだったじゃん。触るんだったら掴むくらい強く撫でられたほうがじっとしてられる…」
「おもしろくない」
有無を言わせず、両手首を頭上に掴み上げてひとつにまとめ、首筋から鎖骨、胸へと唇を這わせていく。
同時に脇腹を片手で先程のように撫で上げれば、幾度もピクピクと跳ねた。
両手を押さえられている現在、磯部の動きを止めようとすることも出来ずに、噛み殺すような喘ぎ声が磯部の鼓膜に響き、加虐心を煽った。
一人よがっているようで声を上げることに羞恥心を感じるのだろう。
もっとも本当に嫌がられれば、そこまでして弄びたいわけではない。

中條が快感の波に襲われているのは、硬くなった性器を見れば良く分かる。
胸の尖りを舌先だけで突いてから円を描くように舐めて吸いつき、ツンとしてくれば甘噛みをしてやる。
「ぃやぁ…ん…。あぁぁ、んん…」
その声が聞きたくて思わず続けてしまう。
大して弄ったわけでもないもう片方も硬さを増しているのだからおもしろいものだった。
下へと降りていくのに拘束していた手を離し、両脚を抱えて太腿からふくらはぎへと、また舌を伸ばせば、目の前で性器がふるふると震えた。
先端からたらたらと蜜が零れるのも視界に入ってくる。
中條の身体はどこもかしこも触れれば感じるようで、それを見ているだけで磯部も熱くなる自分を抑えきれなくなる。
戦慄く身体を堪能して中心に手を伸ばせば、ぬるりとした液体が掌に包まれた。
「あぁぁぁぁ…」
切ない啼き声が磯部の下半身を直撃してくる。
見上げた中條の表情は瞳にうっすらと涙を湛えていて魅力を引き出しており、とても扇情的だった。
その瞳と強く絡まる。
両手を伸ばしてきた中條に両頬を包まれて引き寄せられ、僅かに上背を持ち上げた中條が磯部の唇にそれを押し当ててきた。
磯部が肌の温かさと質感を味わっていた時、時々はこうして中條も触れたかったのだというのが、切ないほど知れた。
吸われる唇と、吐き出される熱い吐息。
磯部のことを思って耐えて黙っていてくれたのか…。
二人の繋がりはまだ多くはない。
お互いが行為の最中に、どうしたいと熟知しているほど交わりはない。

「まこ…」
背中をシーツに戻してやりながら、自分の身勝手さを思わされた。
小言を言われれば口で封じてやった方が中條には良さそうだ。
「ごめん、俺だけ楽しんでいたみたい…」
抱きすくめ耳元で囁く。中條は小さく首を振った。
「ううん…、よくしてもらった…。たまにはこういうのもいい…」
磯部はもう一度中條と唇を合わせると、今度は深く貪るようなくちづけを交わした。
触れる位置で何度も「愛している…」と囁きながら…。

指を伸ばし触れた中條の蕾はすでに柔らかかった。
たぶん、シャワーを浴びた時に自分で準備してしまっていたのだろう。
中條がどれだけ待ち侘びていたのか痛いほど感じる。
どれだけ早く繋がりたかったかと…。
求めあう間隔が開き過ぎるから、少しでも早く一つになりたいと願う。
潤滑剤で滑りを良くしながら自分の指でまた広げ、中の熱さを知れば磯部も我慢などきかなかった。
それでも傷だけは付けたくないから慎重になる。
「も、いいよ…っん…」
「あぁ…」
滾った磯部の分身からもとろりとした体液がわいていた。
両膝の裏をもちあげ、肉塊を秘部に押し付ける。
ゆっくりと開き奥へと進め、狭さと熱さで零れてしまいそうになる自身を何度も押し殺す。
互いを抱き寄せあいながら全てを挿れ終わった時、苦痛と快楽の狭間を行き来する中條に磯部は一つの提案を口に乗せた。

「まこ、引っ越してくるか?」

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20話で終わるかなぁ…
ぽちってしていっていただけると励みになります。
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囁きは今日も明日も 19
2010-10-13-Wed  CATEGORY: 囁きは今日も明日も
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。

「引っ越してくるか?」と尋ねた磯部に、圧迫感に眉根を寄せていた中條が、何を言われたのか?と瞼を上げた。
愛しいと思うから少しでも長く傍にいたいと思う。
だが、今の自分たちの仕事を考えれば、時間の制限が多くあり過ぎ、とても望むような生活を手に入れるのは難しい。
今はまだ中條のほうが幾らか時間の余裕はある方だが、それも将来は分かったものではない。

『同じ家に帰る』

二人の望むものを手に入れるには、そうするしかないように思えた。
もちろん性欲処理のためではない。
遠く離れそうになる心を、ここにある、と繋ぎたいのだ。

「でも僕…、家でも良く…仕事、しちゃうよ…」
息もまだ整わない中、掠れるような声で返してくる。
「かまわない。顔を見られるだけでもいい」
「家事は、折半、でなきゃ、やだよ…」
「嫁に来いなんて言ってないさ」
「休み…の日に、一日中、映画見てても、怒んない?」
「まこが休みの日は大概俺は仕事だろ?それともそんな理由を並べ立てて、ここには来たくないか?」
「まさ…」
「まこがどれだけ我が儘かなんて今に知ったことじゃない。それ以上にまこの方が気を使ってくれるのも知っている。そんなまこだから俺は惚れているし、ずっとそばにいてほしい」
あれこれと並べたてられて、不安になったのは磯部の方だ。
繋がる時を待たれても、共に生活したいとまでは思われていなかったのだろうか…。
一過性の”付き合う相手”に留めたくないと思っていたのは自分だけだったのだろうか…。

自分一人がいつも突っ走って、勝手に物事を進めているような気がして不安が襲った。
磯部の本心を晒し出せば、中條の目の端からツーと涙が一つ零れていった。
両手が磯部の首に強く巻きつき、二つに折れた身体がさらに密着する。
声にならない喜びが聞こえた気がした。
黙る中條に磯部はたたみ掛けた。
「俺は自分の人生がすでに折り返し地点に来たように思っている。この先何年まこと一緒にいられるかも分からない。だけど残りの人生を共に過ごしたいと思ったのはまこが初めてなんだ」

きゅぅぅと孔が締まって、それが中條の返事のように思えた。
「くうっ…」と思わず磯部の喉奥が鳴ってしまう。
「ま、さ…ぁ…」
「愛してるって何度でも言う。傍にいてくれ」
小さく頷くのを確認した。

ひとつのくちづけを落として、「動くぞ」と磯部は中條を極みまで連れて行くことを考えた。
自分だってびっちりと埋めた内壁の中で爆発する一歩手前だ。
この話はまた後ですればいい。
「あ、あぁっ!まだっ…!!」
「そんなに締められたら俺が待てないよ」
飲み込まれたうねる肉筒の動きに、磯部自身も動きを速めていった。
喘ぐ声は一層磯部を追いたててくる。

「はっ!あぁぁぁ――っっ、やぁっ!!…っっ!!、まっさぁぁー」
締めつけてくる内壁を辿り、嫌でも触れてしまう胡桃大の塊を切先で擦りながら、激しい抽挿を繰り返す。
「すっげー、気持ちいい。まこもいいなら、いいから、イケよっ」
自分が先に果てるのが悔しいから、言葉で煽り、とにかく中條を気持ち良くしてやりたいだけだった。
扱いてやった中條の雄は、ぶるぶるっと痙攣するように全身を戦慄かせて白濁を噴き出して彼は達した。
きつい収縮に磯部も耐えられなく、顔をしかめ、うめき声を上げて、中條の中に射精した。
久し振りの強烈な快感を感じ、また、幾度もこれを味わっていたいと思う。

離れたくないから抱きしめあう。
お互いをもっともっと知りたいからどんなことだって話しあって決めていきたい。
全てが同じ考えの人間なんてまずいないのだからどこかで妥協し合わなければならないのは、これまで生きてきた人生で承知している。
それらを乗り越えてでも、共に生きたいと思った人。
磯部は汗で湿った髪を梳いてやりながら、愛しさをこめて、またくちづけを贈った。

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次、お、お、終わるかなぁ…(疑問)
ぽちってしていただけると励みになります。
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囁きは今日も明日も 20
2010-10-14-Thu  CATEGORY: 囁きは今日も明日も
深夜になってしまった夕食に、中條は体型を気にかけていたが、10代や20代の乙女じゃあるまいし、と一喝して共にダイニングテーブルに座る。
磯部としては『もっと太れっ!!、体力をつけろ』と言いたいくらいだ。
磯部は着なれたスエットを着こんでいたが、中條は準備まで万端だったのに、肝心の”寝るため用”着替えを忘れていて磯部のTシャツを着ていた。
ベッドに連れ込むまでに来ていたYシャツは『明日の仕事用』というのだ…。
着るものがなかったから、それを羽織っていたらしい。
もともと裸で寝る気だったのか…。
太腿まで隠れる磯部のシャツは、返って磯部の下半身をまた復活させる要素にしかならなかった。
が、自分が帰ってきてから数時間行った行為に、『またか?!』と言われるようで、一応控え目にテーブルについてみる。

中條が作ってくれた料理はどれも舌をうならせた。
磯部が作る、その場限りの適当なものとは雲泥の差があるようで、『家事は分担』と約束したことを今更ながらに後悔したくらいだった。
自分が早上がりだったとして、また、休みだったとして、果たしてこれだけのものが(しかも数品ある)作れるのだろうか…。

甲斐甲斐しくお茶のおかわりなど、淹れてくれる中條に磯部は正直に吐露した。
「俺、こんないい料理作れないぞ」
「僕だって、普段、こんなの、作らないよ。たまごかけごはんと漬物で終わったりするし」
「じゃあ、なんで今日、こんな…」
しっかりしたものを…と付け加えそうになって咄嗟に噤む。
全ては中條の愛情の表れだ。

中條の顔が少しだけ歪んだ気がした。
「”何で”…?って、それ聞いちゃうんだ。今日、ここの鍵、もらったこと、どれだけ嬉しかったか分かる?僕にとってはお祝だったんだよ。こんなもので”お祝”も失礼だけど」
せっかく作ってくれた料理を蔑むように口にして、つとめて明るくふるまう中條だが、この時をどれほど待っていたのか改めて知らされた。
『付き合う』という言葉を残したまま、恋人らしい行動などほとんどないに近い。
メールや電話でのやりとりなど、”友人”だって普通に行うだろう。
中條にとって、『鍵渡し』がどれだけ『トクベツ』だったのか…。
「ごめ…。俺、ホント、そういうの疎かった…。なのに気付かないで普通に残業とかしてたし…。まこのこと、いつもすごく待たせてばっかりで…」

「バリバリ働く所長さんだって分かっているから大丈夫。僕は待たせてもお客さんは待たせないでよ。それが仕事でしょ?」
同じ”営業”という職の中で分かってくれる部分も大きい。
あまえたがりのくせに、強がり…。
そんなところも、非常に愛おしい。
「あぁ、まこがリストラにあっても食わせていけるくらい稼いでやるよ」
「日付変更線越えて2時間たっても帰ってこなかったら名義変更するからね」
憎まれ口を叩けば返ってくる言葉も辛辣だ。

このマンションの部屋は自分名義の購入物件であって、すでにあと10数年を残すローンがあるだけだ。
中條が頼む『敏腕弁護士』に依頼されれば、何かしら理由をつけ、磯部が一文なし、どころか、借金を負うだけの生活になるのは目に見えた。
ヘタをすれば仕事も失う。
とんでもない奴を捕まえてしまったものだ……(と、内心で思ったか思っていないか…)。
…やっぱり敵わない…。
強く激しく、その権威を知る。
なんだか、一生頭の上がらない、そして天下無敵の”配偶者”を手に入れた気分だ。
それなのに『嬉しい』と思う自分はマゾか?!

でもめげない磯部である。
「お互いやりがいのある仕事と、ヤリがいのある生活を持てるっていいことだろ?」
「もうっ!!なにっ、このオヤジ発言っ!!」
「かわんねーだろーが、自分だって!!」
「僕、そんなこと、言わないもんっ!!」
「今度まこがどんなことを言っていたか朝比奈に聞いてやる」
「一葉ちゃん、手玉にとるってずるくない?」
「まこは”享さん”を手玉に取っているようなもんだろ?」
「だって享は友達だもん」
「朝比奈は部下だもん」
「"元”部下だもんっ」
「…」

なんというみみっちい会話が続いているのかと思ったくらいだ。
しかし子供が繰り広げるような会話ですら楽しい。
お互いに顔を見合わせて噴き出す。
この部屋に笑い声が響く日も遠くないだろう。
磯部は改めて『ありがとう』と囁きたいくらいだった。

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すみません、終わっていません…。あと1話くらいで…(汗)

磯部ちーんΣ(||||  ̄□ ̄;)
今頃気付いたのか…。
完璧尻に敷かれたな…。(今更)
ぽちっていただけると次の励みになります。
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