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BLの丘
契りをかわして 13
2012-03-18-Sun  CATEGORY: 契り
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


逞しい胸。力強い腕。包んでくれる全てが、伊吹を虜にしてしまう。
帰らなければ…。そう思うのに離してくれない体に酔いしれて…。溺れていく。
「甲賀…」
「伊吹…」
囁けば返ってくる、体をしぴらせる音が鼓膜に響く。
「甲賀っ」
どれほど強い力で抱きしめても、何の違和感もなく伊吹を包んでくれた。抱き締めて、普段の人付き合いの苦労を「もういい…」と言うように宥められた。
人間関係に疲れていた時に、優しく包んでくれる力は、あまりにも強すぎて…。だからこそ伊吹は離れられない。
信楽は見守ってくれているけれど…。今では感じられなくなってしまった肉体。
どれほど甲賀は強くて、逞しくて、期待を持たせるものなのか…。

誘われて、抱きしめられて、溺れて…。
だけどこの先に何があるのだろう…。
自分はどこに帰るべきなのか。
待つ信楽を知る。気まぐれに呼びよせる甲賀も知る。
危険な火遊び…。ただ、それだけなのかもしれないと、幾度思ったことか…。

濡れる下肢を見つめて…、届けられる熱を感じて…。
初めて感じた”気持ちいいセックス”を味わって、伊吹は自分がどこに向かっていいのかが分からなくなる。
こんなことがいい結果を生まないなど、嫌でも知れたことだった。

朝帰り…。もうその言葉も言えない昼帰りになった。
二度目…というのか、数度目、甲賀に求められて伊吹は逆らえなかった。
まだ濡れたままの後孔はすんなりと侵入を許し、快感の渦へと落とされた。
絶え間なく襲ってくる刺激に翻弄され、だるかった体はそれ以上の享楽を求めて蠢く。
「甲賀…っ」
包んでくれる体が愛おしい。包まれている体が悲しい。
どちらも想いを告げることのないまま、余韻だけを残して、今日の逢瀬も幕を閉じた。

聞く、聞けない…。脅えているのはどちらなのだろうか…。

帰りついた部屋には、黙っている信楽がいた。
リビングのソファに座り、濃いコーヒーを飲みながら、伊吹を待っていたのか、仕事の合間だったのか、濁らせた雰囲気がある。
信楽のことは好きだった。幾度も抱かせるほど…。
だけど今は…。力の強さの違いを感じてしまっている。
他の男に走った時、普通の人間なら怒り、許しはしてくれないだろう。
それなのに、黙っていてくれている信楽。
…それほどまで、伊吹を手放したくない証拠なのだろうか…。

「伊吹」
リビングで姿を確認してから逃げ出そうという伊吹の背後にかけられる言葉は冷たい。
もう本当に、嫌われたのかと、呆れられたのかと思った。
「飲みに誘われて…、遅くなってごめん…。眠いから…」
いつもであれば言い訳の言葉を信じて見逃してくれたはずの信楽の態度が、この日は違った。
「伊吹、全部脱げ。全部脱いでここで四つん這いになれ」
信じられない言葉が漏れた。
こんなふうに伊吹に命令するような人ではなかったのに…。しかも、日が差し込んでいる昼日中…。
求められたことはあまりにも酷い…。
信用のなさを完全に与えた。
「信楽さん…」
抵抗の意味も含めて発した言葉に、信楽の言葉は更に冷たく響く。
「ただ飲みに出ているだけだと?!証明しろっ。その体が全てを物語るだろうっ?!」
信楽の中にあったうっぷんが弾けた。
夜明け前にこっそり帰ってくる控え目は許されても、日の高くなった時間は、許されなかったらしい…。
堂々と繰り返された、『朝帰り』…。

いやだ…。そんなことはしたくない…。
真っ先に訪れた感情に、すぐに首が横に振られる。
伊吹の態度をみて、ますます不機嫌になるのは、信じた人に対しての裏切り、と言っていいのだろうか…。
「伊吹っ」
「…や、だ…」
「何も見せられないと?!」
甲賀に抱かれた直後、日のあたる場所で裸体を晒すなど…。
ある程度のプレイは引き受けてきたかもしれないが、今だけは…、これだけは頷けなかった。
足を広げたら確実に分かる後孔の柔らかさ。いくらでも反応してしまいそうな、まだ余韻を残した乳首や性器。
信楽に触れられるのとは違う魂が眠っている。
それを目の前にした時、信楽はどんな態度に出るのか…。
「伊吹」
近付いてきた信楽が冷たい表情のまま、伊吹の衣類を剥がしにかかった。
こんな信楽は知らなくて、伊吹は恐怖も混じって大人しくなってしまう。
これまで与えた精神的な苦痛も分かるから…。なすがままに流された方がいいのだろうか。
引っかかったワイシャツの袖は伊吹の腕を拘束する。
引き抜かれたネクタイが、伊吹の片足首と手首を結んだ。
簡単に組敷かれるほど、伊吹の体は軽く、華奢だった。

流されて何もかもを受け入れるべきだと思っても…。それで許しを得ようと思っても…。
「信楽さんっ」
さすがにこの態勢はいただけない。
焦る伊吹の声は届いているはずなのに、完全に無視して、…見えたのは実物として見たこともない、男性器を模したバイブレーターだった。
…いつの間に…?!
最大の疑問が脳裏を滑っていく。
だけどその思考を止めてしまうように、冷淡な信楽の指が敏感な部分を撫でた。
まだ萎えた部分。ひくついた後孔。
「し…っ」
「伊吹。悪い子だね。こんなに柔らかくして。どこの誰にどうやって可愛がってもらったの?」
完全にバレた瞬間。
冷汗と共に萎えたはずなのに濡れてしまった先端がある。
「伊吹、こういうの、好きなの?」
反論する隙すら与えられなかった。器具を使われるなんて…。滅多にあることではない。
「やめ…っ」
「美味しそうに飲み込んでいく…」
「ぁあっっっ」
差し込まれたバイブレーターを肉筒が包んだ。
激しく揺れ動く塊に、信楽とも甲賀とも違う動きを感じてしまう。
じっくりと見られている、それも羞恥と悲しさを運んでくる。

動かせない腕。押し付けられて吐き出せない後孔。
そして極めつけは…、性器の根元を締め付けてくる紐があった。普段信楽が使っているデジタルカメラのストラップだった。
「カシャ」っと一つの音がする。
どこを撮影されたのかすぐにでも知れた。
「やだぁぁぁぁっっ」
「伊吹。僕はいくらだってこの痴態を公表できる場所にいるからね」
こんな羞恥は…っ。
それ以上は言わない。
それ以上言われなくても、何を望まれているのか悟った。

無言の圧力だ。甲賀と別れて来い…と。
今なら、まだ許すと…。

「しぃ…ら…」

生活に必要な全てを整えてくれた人…。
「好き」と最初に言ったのは…。
逃れられない運命を感じて、甘えている自分も感じて…。
「信楽…」
日が差し込むリビングの中で、羞恥の中、呼んだ声に満足を表してくれる姿がある。
ゆっくりと抜かれるバイブレータのあと、潜ってきた信楽の耐えた分身。
抱きしめられて、抱きしめて…、だけど肉体の大きな違いを伊吹はまざまざと感じてしまっただけだった。

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日頃の短さにお詫びを申し上げて。長くしてみました。
続きは相変わらずアヤシイ…。
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コメント

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おー
コメントちー | URL | 2012-03-18-Sun 00:47 [編集]
後でコメしようとしたら、新しいのが!
しかも、伊吹さん。可哀想と言うか自業自得と言うか。
あのね、男の嫉妬ほど怖いものは無いんだよ。
しかもさあ、あんな写真撮られて。
信楽さんも本気何だよ。あー、伊吹さん。
きえさんのお子さま達より厄介かも。
保護者一同に怒られてみる?あ、同年代か(笑)
Re: おー
コメントたつみきえ | URL | 2012-03-18-Sun 09:20 [編集]
ちー様
こんにちは。

> 後でコメしようとしたら、新しいのが!
> しかも、伊吹さん。可哀想と言うか自業自得と言うか。
> あのね、男の嫉妬ほど怖いものは無いんだよ。
> しかもさあ、あんな写真撮られて。
> 信楽さんも本気何だよ。あー、伊吹さん。
> きえさんのお子さま達より厄介かも。
> 保護者一同に怒られてみる?あ、同年代か(笑)

書けないはずが何故か書けています。
って自慢することじゃないけど…。(その、時期的なものなんですけど。書けるか書けないか。)
男の嫉妬は、怖いですね~。
大人しいはずの信楽がこんな態度に出るとは伊吹も思っていなかったんじゃないですか。
だからこそ、衝撃が大きかったというか…。
嫉妬の大きさを感じてしまう…。

保護者とは同年代ですね~。
見た目若いだけ(←)の伊吹ですが、並んでいる年代は変わりません(笑)
本能のままに生きていることは、お子様と変わりませんがねぇ。
もう、厄介な生き物ですよ~。
どうしよう、この先…。
コメントありがとうございました。
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