信楽に対する思い、甲賀に寄せる想い。そして信楽の感情。
甲賀と連絡を絶つ前に何が起こったのか、信楽に何をされたのか、そこまで全てを語ってしまえば、甲賀は目を見開いて「もう帰らせねぇよ」と呟いた。
いらただしそうに新しい煙草に火をつける。大きく吸いこんで、煙を吐き出しながら言葉が漏れてくる。
「伊吹。そんな、昔世話になったから、なんていう気持ちで付き合い続ける関係、やめろ。今は仕事もして、出ていけないわけじゃないだろ。誰かにそばにいてほしかった伊吹の気持ちが分からなくはないけど…。これ以上続ける必要、ねぇから。うちに来い。写真まで撮って脅すなんて、それが愛情か?本当に好きなら、伊吹を苦しめることなんてしねぇよ。さっさと別れてくれってんだ」
「でも、あんな写真、どこかに出されちゃったら…」
「本気で出すと思うか?伊吹への思いが残っているんだったら、そんなことしねぇと俺は思うけど。だって確実に伊吹は傷つくんだぞ。自分がダメなら、他で幸せになってくれって言うべきだろ」
「けど…」
「いいよ、俺が話つける。それに伊吹から直接言われれば納得もするだろ。物分かりのいい大人だろ?俺の言いたいこと、理解してくれるんじゃね?」
「そんな簡単に…」
焦る伊吹に甲賀は言い聞かせてきた。それから一旦煙草を灰皿に置いて、伊吹の隣にまわりこんでくる。
厚い胸板に額を押しつけられ、背中を抱かれた。
このぬくもりをずっと求めていた…と嫌でも体が感じてしまう。長いこと、信楽に抱かれながらどれだけ甲賀を願ったか…。
「守ってやるよ」
耳元で囁かれて、触れてくる体を感じて…。不安だった心がひどく落ち着いていく。
体に包まれるだけで、これほど安心してしまう自分はいままでいなかった。他の男の体は一体何だったのかと思ってしまうほど…。
更に言葉で愛されては、頷くことしかできない。体だけではない、心まで預けられる人をずっと待っていた。
「甲賀…」
久しく触れていなかった唇が降りてくる。
求めるように、伊吹のほうから合わせた。
甲賀の煙草の香りが鼻腔を撫でる。それすら刺激になってすぐに伊吹の唇が開かれた。
差し込んだ舌先、差し込まれる舌が激しく絡まり合う。
燻っていた二人の思いを、舌上に乗せているようだ。
水音を立てて吸い上げられ、あっという間に息があがった。
「はぁ…、ん…」
「伊吹…」
このまま…、そう思った矢先、透明な糸を作って甲賀の唇が離れていった。
フッと口端を上げた表情が見える。
もう一度、チュッとくちづけられて、でもそれはすぐに解かれた。背中をポンポンと叩かれる。
「善は急げ、だ。伊吹んちに連れていけ。ちょっと着替えてくる」
「え?」
「そんな状態にある状況、放っておけるかよ。待たされるの、俺、嫌いなんだって。気にかかることはさっさと片付ける」
甲賀の性格が顕著に現れた。
どちらにしても、本音を甲賀に知られた今、甲賀に期待するものは大きい。
信楽がどう反応するのか、怖い点でもあるけど…。
部屋を出ていく甲賀の背中を見送って、伊吹も現在の格好ではどうしようもなく、もそもそと動きだす。
タクシーの中、甲賀は勇気づけるように手をつないでいてくれた。
少しでも触れるぬくもりが心地良いし、心強い。
玄関をくぐり、「ただいま」の声の後に「お邪魔します」の声が響くと、慌てた様子の物音がして、すぐに仕事をしている部屋から信楽が姿を見せた。
ここに伊吹が誰かを連れてきたのは初めてのことだ。
玄関に立つ二人の存在に、信楽はあたりまえながら気付く。
「伊吹、お客さん?」
一瞬にして甲賀を確認した信楽の声は訝しさを含んでいた。
伊吹の好みを信楽は熟知している。ここしばらく信楽のそばで大人しくしていた雰囲気をみせても、その前に頻繁に出掛けていたことも承知されている。
特定の相手が存在しているとは、何も言われなかったが気付かれていたはずだ。
だからこそ、陽が高くなってから帰ったことを激しく怒られた。信楽なりに危機感を持ったのだろう。伊吹はいつも帰ってくることはしたけれど…。
きまぐれに、たまにつまみ食いしているのとは違うと…。
「こんばんは。実はあなたにお話があって」
「俺に?」
早速本題に入る甲賀に、伊吹は不安と緊張を隠せなかった。培ってきた営業としての余裕など微塵もない。
逆に甲賀は珍しく淡々とした調子だった。
「伊吹と別れてほしいんです」
「…、穏やかな話じゃなさそうだね。まぁ、ここじゃなんだから奥へどうぞ」
甲賀の台詞に、信楽の目がまっすぐに伊吹を睨んできた。普段の見守ってくれる表情は全く見られない。
過去の伊吹の行動を思えば、睨まれて当然のことをしてきたはずだ。
信楽に寄り添いながら、陰で別の男を探していた…。
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甲賀と連絡を絶つ前に何が起こったのか、信楽に何をされたのか、そこまで全てを語ってしまえば、甲賀は目を見開いて「もう帰らせねぇよ」と呟いた。
いらただしそうに新しい煙草に火をつける。大きく吸いこんで、煙を吐き出しながら言葉が漏れてくる。
「伊吹。そんな、昔世話になったから、なんていう気持ちで付き合い続ける関係、やめろ。今は仕事もして、出ていけないわけじゃないだろ。誰かにそばにいてほしかった伊吹の気持ちが分からなくはないけど…。これ以上続ける必要、ねぇから。うちに来い。写真まで撮って脅すなんて、それが愛情か?本当に好きなら、伊吹を苦しめることなんてしねぇよ。さっさと別れてくれってんだ」
「でも、あんな写真、どこかに出されちゃったら…」
「本気で出すと思うか?伊吹への思いが残っているんだったら、そんなことしねぇと俺は思うけど。だって確実に伊吹は傷つくんだぞ。自分がダメなら、他で幸せになってくれって言うべきだろ」
「けど…」
「いいよ、俺が話つける。それに伊吹から直接言われれば納得もするだろ。物分かりのいい大人だろ?俺の言いたいこと、理解してくれるんじゃね?」
「そんな簡単に…」
焦る伊吹に甲賀は言い聞かせてきた。それから一旦煙草を灰皿に置いて、伊吹の隣にまわりこんでくる。
厚い胸板に額を押しつけられ、背中を抱かれた。
このぬくもりをずっと求めていた…と嫌でも体が感じてしまう。長いこと、信楽に抱かれながらどれだけ甲賀を願ったか…。
「守ってやるよ」
耳元で囁かれて、触れてくる体を感じて…。不安だった心がひどく落ち着いていく。
体に包まれるだけで、これほど安心してしまう自分はいままでいなかった。他の男の体は一体何だったのかと思ってしまうほど…。
更に言葉で愛されては、頷くことしかできない。体だけではない、心まで預けられる人をずっと待っていた。
「甲賀…」
久しく触れていなかった唇が降りてくる。
求めるように、伊吹のほうから合わせた。
甲賀の煙草の香りが鼻腔を撫でる。それすら刺激になってすぐに伊吹の唇が開かれた。
差し込んだ舌先、差し込まれる舌が激しく絡まり合う。
燻っていた二人の思いを、舌上に乗せているようだ。
水音を立てて吸い上げられ、あっという間に息があがった。
「はぁ…、ん…」
「伊吹…」
このまま…、そう思った矢先、透明な糸を作って甲賀の唇が離れていった。
フッと口端を上げた表情が見える。
もう一度、チュッとくちづけられて、でもそれはすぐに解かれた。背中をポンポンと叩かれる。
「善は急げ、だ。伊吹んちに連れていけ。ちょっと着替えてくる」
「え?」
「そんな状態にある状況、放っておけるかよ。待たされるの、俺、嫌いなんだって。気にかかることはさっさと片付ける」
甲賀の性格が顕著に現れた。
どちらにしても、本音を甲賀に知られた今、甲賀に期待するものは大きい。
信楽がどう反応するのか、怖い点でもあるけど…。
部屋を出ていく甲賀の背中を見送って、伊吹も現在の格好ではどうしようもなく、もそもそと動きだす。
タクシーの中、甲賀は勇気づけるように手をつないでいてくれた。
少しでも触れるぬくもりが心地良いし、心強い。
玄関をくぐり、「ただいま」の声の後に「お邪魔します」の声が響くと、慌てた様子の物音がして、すぐに仕事をしている部屋から信楽が姿を見せた。
ここに伊吹が誰かを連れてきたのは初めてのことだ。
玄関に立つ二人の存在に、信楽はあたりまえながら気付く。
「伊吹、お客さん?」
一瞬にして甲賀を確認した信楽の声は訝しさを含んでいた。
伊吹の好みを信楽は熟知している。ここしばらく信楽のそばで大人しくしていた雰囲気をみせても、その前に頻繁に出掛けていたことも承知されている。
特定の相手が存在しているとは、何も言われなかったが気付かれていたはずだ。
だからこそ、陽が高くなってから帰ったことを激しく怒られた。信楽なりに危機感を持ったのだろう。伊吹はいつも帰ってくることはしたけれど…。
きまぐれに、たまにつまみ食いしているのとは違うと…。
「こんばんは。実はあなたにお話があって」
「俺に?」
早速本題に入る甲賀に、伊吹は不安と緊張を隠せなかった。培ってきた営業としての余裕など微塵もない。
逆に甲賀は珍しく淡々とした調子だった。
「伊吹と別れてほしいんです」
「…、穏やかな話じゃなさそうだね。まぁ、ここじゃなんだから奥へどうぞ」
甲賀の台詞に、信楽の目がまっすぐに伊吹を睨んできた。普段の見守ってくれる表情は全く見られない。
過去の伊吹の行動を思えば、睨まれて当然のことをしてきたはずだ。
信楽に寄り添いながら、陰で別の男を探していた…。
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信楽VS甲賀!
勢いに乗って 行きますね~甲賀♪
特攻をかけられた信楽が、どんな対応をするのか見物だわ!||部屋||ョ・ω-) チラッ♪
甲賀のこんな行動を見せられたら 伊吹も いつまでも ウジウジ・ウロウロ・ヨレヨレしてる場合じゃないよ~!
シャキ━━ヽ(`・ω・´)ノ━━ン!byebye☆
勢いに乗って 行きますね~甲賀♪
特攻をかけられた信楽が、どんな対応をするのか見物だわ!||部屋||ョ・ω-) チラッ♪
甲賀のこんな行動を見せられたら 伊吹も いつまでも ウジウジ・ウロウロ・ヨレヨレしてる場合じゃないよ~!
シャキ━━ヽ(`・ω・´)ノ━━ン!byebye☆
けいったん様
こんにちは。
> 信楽VS甲賀!
> 勢いに乗って 行きますね~甲賀♪
> 特攻をかけられた信楽が、どんな対応をするのか見物だわ!||部屋||ョ・ω-) チラッ♪
突撃!隣の晩…(←ちがうっ)
ハイ、勢いのまま進む甲賀です。
待てない性格が、もうモロに出て…。
これまで見守ってきた信楽、どう出るんでしょうね。
けいったん様っ、そこは"押し入れ" ||部屋||ョ・ω-) チラッ♪
ってところですよ~~(いつのまに潜り込んでいるんだ、この人は…笑)
> 甲賀のこんな行動を見せられたら 伊吹も いつまでも ウジウジ・ウロウロ・ヨレヨレしてる場合じゃないよ~!
> シャキ━━ヽ(`・ω・´)ノ━━ン!byebye☆
伊吹、いい加減覚悟(?)を決めろってところですね。
甲賀がここまでしてくれているんだからさ~。
信楽に対してもハッキリしないとね。
コメントありがとうございました。
こんにちは。
> 信楽VS甲賀!
> 勢いに乗って 行きますね~甲賀♪
> 特攻をかけられた信楽が、どんな対応をするのか見物だわ!||部屋||ョ・ω-) チラッ♪
突撃!隣の晩…(←ちがうっ)
ハイ、勢いのまま進む甲賀です。
待てない性格が、もうモロに出て…。
これまで見守ってきた信楽、どう出るんでしょうね。
けいったん様っ、そこは"押し入れ" ||部屋||ョ・ω-) チラッ♪
ってところですよ~~(いつのまに潜り込んでいるんだ、この人は…笑)
> 甲賀のこんな行動を見せられたら 伊吹も いつまでも ウジウジ・ウロウロ・ヨレヨレしてる場合じゃないよ~!
> シャキ━━ヽ(`・ω・´)ノ━━ン!byebye☆
伊吹、いい加減覚悟(?)を決めろってところですね。
甲賀がここまでしてくれているんだからさ~。
信楽に対してもハッキリしないとね。
コメントありがとうございました。
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