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BLの丘
契りをかわして 21
2012-03-27-Tue  CATEGORY: 契り
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


甲賀の家に着いて、先程までいた部屋ではなく、ベッドがある寝室へと連れられた。
隣の部屋が十畳あるならこちらは六畳もないくらいだろう。
奥の壁側にセミダブルのベッドがあり、反対側に室内用の物干しに干された洗濯物がぶら下がっていた。
並んで衣類ケースなどが置いてある。
読みっぱなしの雑誌も床の上に散らばっていたりして、片付いていた信楽の部屋とは雲泥の差だったが、この汚さ(失礼)が返って居心地の良さを生んでしまう。
かっさらうように詰め込んできたバッグを、とりあえず部屋の隅に置かせてもらう。
興奮を纏った体は疼いたままでいたが、最後まで顔を見せなかった信楽の事が頭から離れることはなかった。
それを認めた甲賀が背後から抱きしめてくれる。
優しく包み込むようなあたたかさがじんわりと背中に染み込んできた。
今だけは、強引に奪っていく強さが感じられないほど、雰囲気が柔らかい。
「伊吹…、勝手なことをして悪かったと思ってる…」
「違うよ、甲賀のせいじゃない…」
胸の前にまわってきた腕に伊吹は手のひらを重ねる。甲賀も自分のためにと動いてくれただけだ。
責めるべきは、いつまでもはっきりしなかった伊吹であり、演じ続けることで責任を負おうとした自分自身。
それだけで充分信楽を傷つけた。
甲賀はその性格通り、まっすぐに進んだだけ。
「伊吹、あの人は分かってくれている。今はこんな状況かもしれないけれど、いつか分かりあえる日が来るはずだから。…それに、伊吹が言うだけの良い人なら、すぐに次の相手が見つかるって」
気休めかもしれない。甲賀なりの励ましかたなのだと思う。
伊吹がもっと早くに別れていたなら、信楽はもっと早くに本当に似合った人に出会えていたのではないだろうか…。
そんなことまで脳裏を過った。
明らかな事実を突き付けられた時の信楽のショックはいかがなものだったのだろうか…。

「見送ってくれたあの人の気持ちを尊重してやろうよ」
甲賀の言葉に頷いて見せる。自分のことで甲賀にまで負い目を感じてほしくない。
伊吹はクルリと腕の中で体勢を変える。硬い胸板に強請るように額を押しつけた。
今は何もかもを忘れさせてくれと…。
背に回った腕の強さが、伊吹を惹きつける。
「伊吹…」
耳元で囁かれる、脳髄まで響くような低音が伊吹の思考を止めてくれる。
「甲賀…っ」
縋りつく細い体をやすやすと受け止められ、悲しむ心まで抱きしめられる。
この強さは、他の何にも代えがたい。

甲賀の首に両腕を強くきつく巻きつけると、伊吹の腰にあった腕が軽々と抱き上げて、ベッドの上へと下ろされた。
伊吹を跨いだ甲賀が啄ばむようなくちづけを施しながら、器用に伊吹の衣類を剥がしていく。
時折肌の上を掠めていく、指の腹の硬い感触さえ刺激となる。
「あ…っ、…こぅ…」
「久し振りだからってがっつくなよ」
口端を上げて笑った甲賀の表情が懐かしかった。
貶されているわけではない。あちらこちらに茶化すことで反らそうとする甲賀の気遣いを感じる。
他の人間であれば伊吹のほうが何事にも気を回し、進めていたはずのセックスが、ここにはない…。
そのことも、いい…。
言われて思い出したようなところがある。
信楽の件があって気が削がれていたけれど、この体に抱かれたくて、我を忘れてここまでやってきたこと…。
ただの体だけの関係だと思っていたものが、今は違う。
寄せられる愛情を感じて、自分の感情も吐露できる状況になって…。

ふたりとも一糸纏わぬ姿になって、重なる体が熱い。
素の自分を晒せる時…。安堵できる肉体に身を委ね、全ての迷いや考え込んでしまう現実から逃避させてくれる空間…。
ずっとそこに惹かれた。
日頃の仕事での、人間関係のストレスまで剥ぎ取ってしまう、それが甲賀だった。
憧れていたもの、望んだもの、願ったものを目の前にされて、諦められることなんてできなかった。

耳朶を甘噛みされる。舌先を差し込まれて濡れた音が鼓膜を振動させた。
「あ…」
「伊吹…」
吹きかけられる低音は血となり体中を巡っていく。
「こ…が…」
あやされるように一度軽く合わされた唇が喉仏を辿った。
鎖骨の上で止まり、強く吸いつかれてチクリとした痛みが走る。
痕を残されることは多々あったけれど、今ほど嬉しく感じた時などありはしなかった。
お互いの想いが通じ合っての行為は、今まで以上に敏感にして、快感へと誘(いざな)っていく。
見上げた先、いつものように、フッと口角を上げた甲賀が薄い胸の乳首を指先でいじった。
「あっ」
感じたと分かった甲賀はそのままもう片方を唇で食み、舌先を伸ばして湿らせた。
彼の短髪に手が伸びたのはその時だ。
まるで厭らしく強請る娼婦のようだったが、演じるわけでもなく、本能のままに動いた結果だった。
感じすぎて首を仰け反らせるたびに、大きく喘ぐ胸が甲賀の口元に差し出されていた。

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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-03-27-Tue 14:07 [編集]
甲賀と信楽の話し合い(って言うのかなぁ?)は、完膚無きまでに 信楽を叩き落とした様で!
いつも浮気で済むで 自分の許に 必ず帰って来てた伊吹
だけど 今回は 本気だったのを知って 愕然!呆然!だったでしょうね~゚+.○o。.( ゚ ρ ゚ )ノ【・・・】

最後まで 冷静で大人な信楽、甲賀の様な 情熱を見せれば変わってたのかな?
伊吹のド・ストライク・タイプの甲賀には どんなに足掻いても 敵う訳ないか...

伊吹と甲賀は 熱い時間を過ごしていると言うのに 信楽は・・・さみぃ~~
立て! 立つんだ信楽~♪ p( φ ・)q {{(T-T)}}ブルブル...byebye☆


Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-03-27-Tue 16:24 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> 甲賀と信楽の話し合い(って言うのかなぁ?)は、完膚無きまでに 信楽を叩き落とした様で!
> いつも浮気で済むで 自分の許に 必ず帰って来てた伊吹
> だけど 今回は 本気だったのを知って 愕然!呆然!だったでしょうね~゚+.○o。.( ゚ ρ ゚ )ノ【・・・】

話し合い…だったんですかねぇ。
でも甲賀の完全勝利でしたね。
信楽にしてみたら、まさか、まさか~?!の展開だったかもしれません。
過去のこともあったし、最後の最後で伊吹が考え直すんじゃないかとか、いろいろ巡ったことでしょうね…。
無理だったようですが…。

> 最後まで 冷静で大人な信楽、甲賀の様な 情熱を見せれば変わってたのかな?
> 伊吹のド・ストライク・タイプの甲賀には どんなに足掻いても 敵う訳ないか...

伊吹にとって、信楽は物足りない大人だったのかもしれません。
もっと野性的なタイプが…。
甲賀はど真ん中だったんでしょうね~ぇ。
ばっこんばっこん突っ込んでくるし(あ、精神的にね)、理想通りの肉体はあるし、同等な関係でいられるところとか。
甲賀、年下って全然感じさせないもんね。
うん…、信楽にはどっち向いても敵わなかったかも…。

> 伊吹と甲賀は 熱い時間を過ごしていると言うのに 信楽は・・・さみぃ~~
> 立て! 立つんだ信楽~♪ p( φ ・)q {{(T-T)}}ブルブル...byebye☆

信楽に応援ありがとうございます(*^_^*)(なんか、テーマソングが走ってますが…)
頑張ってたちあがってほしいです。
甲賀が言うように、きっといい人が現れるはずです。
いつか伊吹と甲賀と4人で食事でもできるくらいになってほしいです(その時は経費で伊吹に清算してもらいましょう 笑)

コメントありがとうございました。

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