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BLの丘
ふたり 41
2012-05-23-Wed  CATEGORY: ふたり
R18 少しの性描写があります。閲覧にはご注意ください。


疲れた体を温泉で癒して…。部屋に戻ると食事の用意がされた。
他の場所に移動せずに済むのはありがたいことでもあった。
懐石料理は順を追って次々と運ばれてくる。料理の説明をされ、頷き感心しながら舌鼓をうつ。
なんでも片っ端から口の中に放り込んでいく旭とは違って、信楽は落ち着いた仕草で素材の良さを味わっているようだった。
質より量…。そこは信楽に言わせるところの”若さ”らしい。
だけど咎めるようなことはもちろんしない。
「見ていて気持ちいいよ」
信楽はふわりと微笑んでは、旭の食べっぷりを褒めてくれた。

食事のあとを片付けてもらい、その場所に布団が敷かれる。
食後の休みを入れたあと、今度は部屋の露天風呂に浸かった。
ふたりで入るのにちょうどいいくらいの大きさの浴槽だ。漂う風が心地良く、少し浮かせては肌を冷やしてくれる。
庭園が一望できるロケーションも、野外にいるような雰囲気を持たせてくれた。
宿泊客がいる時間帯に、庭園に人は足を踏み入れないとは聞いた話だが、どこかから、誰かに覗かれているのではないかという緊張感がある。
べつにやましいことをしているわけではないのだが…。
裸、それも一般の成人男性とは違う部分があるせいか、”見られる”緊張は旭から抜けなかった。
湯の中に潜りまくる旭に、「のぼせないでね」と信楽が微笑みかける。
風呂の縁に腰を上げた信楽は、「明日はお茶碗を買いに行こう」と次の話題をふってきた。
『お揃い』と望んだのは旭だ。
信楽の家に、徐々に増えていく”自分”という存在を示すものは喜びでしかない。
「うんっ」
元気よく返事をすれば、その無邪気さを気に入ってくれているのか、また笑みがこぼれた。

脇にある木製のチェアに座らせられた。
ひじ掛けの場所に両脚を抱え上げられて、庭に向かって恥部を晒している体勢だ。
誰も来ないとは分かっている。分かっているけれど、そのまま何もされずにじっとしているように言われて、旭は”放置”された。
見ているのは信楽だけのはずなのだが、誰かが来るのではないかという緊張が、また旭を昂らせるものになった。
厭らしい人間だ…と体に覚えさせられているようだ。
そしてこんなことができるのは信楽の前で、だけなのだと…。
信楽は湯に入りながら、ひくつく旭の後孔や性器をながめている。
大人しく信楽の注文を受け入れる旭を、信楽はただ褒めてくれた。
従順であることが信楽にとっての喜びなのだろう。
「そろそろ冷えちゃうかな。旭、一度温まったら布団に行こう」
肌は風にあたって冷め始めているかもしれないが、体の奥から湧きあがる熱は沸騰直前だ。
ぷくりと溢れた体液を軽く洗い流されて、湯船の中に浸かった。
固まっていた体がほぐれるようでもある。
「旭…」
「信楽さん…、好き…」
冷えた肌を抱きしめられて、幾度も啄ばむようなくちづけを贈られて…。旭はうっとりと時間を共にできることへの感謝を口に乗せた。
共に歩んで行けるふたりの存在…。


翌日の朝はゆっくりだった。
前日、早くの出発だったからか、夜の営みで疲れたせいか、旭はぐっすりと眠りにおちた。
朝食は別の会場で用意されるということだったが、個室に分けられているおかげで周りに気を使う必要もなかった。
品数も多く、バクバクとご飯のおかわりまでして平らげていく旭に、いつものように信楽は微笑んでいる。
「本当に見ていて気持ちがいいくらいだね。返って食べられない時、すぐに体調の変化に気付けそうだ」
信楽が用意してくれるご飯だって充分に美味しい。
これまで、残す、ということをしたことがないだけに、食欲がなくなった時の体調はいち早く見破られることだろう。
そうやって気遣ってくれるのも嬉しいものであるが、迷惑をかけないように、自身でも管理はきちんとしたいと思えた。

満腹になった体を、部屋にまだ敷かれたままの布団の上で横たえた。
出発までにはまだ時間がある。今日は一件の取材が入っているだけで、特に急ぐこともないようだ。
信楽は「一風呂浴びてくる」と、露天風呂へと体を向けていた。
陽が照る下で見る信楽の体格は、見慣れたものとまた違っているようにうつった。
背の高さ、筋肉のつき方、よどみなく動く仕草…。
ヌードというものが、普段と違う世界にいざなっていく。
庭園をバックにして、堂々と振舞うすべてが、目を釘づけにしてくれた。
動きの全てを追っていることに気付くのだろう。
「そんなふうに見られるのは照れくさいんだけれど…」
信楽は、「おいで」と旭を呼んだ。
太陽が降り注ぐ真下で抱き合う行為は、本当の”野外プレイ”だと、頭の隅っこで思っていた旭である。

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次回こそ最終回に…なる…かなぁ…(汗)

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