部活後の帰り道、店に寄ることが日課となった。
空腹の体を心配してくれるからなのか、売れ残りのパンを持ってきてくれる。
店の片付けを終えて、近くの公園で雑談をしたり、浮羽の部屋に上がり込むこともあった。
共に生きていきたいと告げたことで、浮羽の気持ちもどんどんと傾いてきてくれているようだった。
寄り添ってこられることが自分の存在価値を更に高めてくれる。
今日はお父さんが自治会の会合があると言って出掛けて行った。
店からすぐ近くにある自宅に、浮羽と共に向かう。
穂波が暮らすのと同じような、築年数の経った一軒家だった。
その生活感ある中に入ると、不思議とホッとしてしまうのは、自宅に近い雰囲気があるからだろうか。
より一層、身近に感じられるものがある。
居間にはちゃぶ台と言えそうなテーブルがあり、ここで暮らす人の少なさを知らされるようだった。
穂波の家は、もともと五人家族だったから、その名残で、全てが大きい気がした。
筑穂が全てを残して、家族の繋がりを大事にしたから、ある意味、”繋がり”の深さをいつも伝えてくる。
突然消えてしまった人の、あまりにもあっけなさを…。
しかし、ここは親近感が浮かぶ空間でもある。寄り添っていると思わせてくれるような…。
なにもかもが”近い”。
居間でお茶を出してもらい、少しの空腹を埋めた。
「ホナ、進学先、決まったの?」
浮羽の問いに束の間無言の時間が流れた。
自分の夢はあっても、まだ筑穂に話せていない。
自分のことは自分で決めるべきだという思いがあっても、やはりここまで面倒を見てくれた兄の許可が必要だろうと漠然と思っていた。
その期待を裏切るようで、また反対されるだろうことが分かるから、口に出せずに日々が過ぎている。
争いはできるだけ避けたかった。
目の前に座った浮羽が、その戸惑いを感じ取って、瞳を伏せた。
「ホナ…」
「兄貴のことは…っ。ちゃんと言うっ。俺からちゃんと言うからっ。浮羽さん、何も心配しないで待ってて。俺、絶対に実力つけるからっ」
乗り出すような穂波の態度に、控え目ながら、「うん」…と頷いてくれた。
だけどどこかで、信用がなさそうなのは、『捨てられそう』なのを意味しているようでもある。
歳の差を考えたら不安になるのも当然。
自惚れだが、それなりの見目の良さは校内でも噂がたつ。部活をやっているから、尚更目立つのか…。
他になびくことはないのだと、その全てを払拭したかった。
「浮羽さん…」
手を伸ばせばすぐそこにいる。
自分の腕の中に崩れてきてくれる存在がある。
どんなことがあっても守ってやりたいと、寄り添われるたびに強く胸に刻む。
「大事にするから…。信じて…」
囁く言葉に頷いてくれるのは、自分の性格を認めてくれているからだろうか。自惚れが渦巻いていく。
穂波の唇が額や瞼、頬をすべり、唇へと辿り着いた。
微かに粉のついた、パサついた感じがあるのは、さきほどまで食べていたパンのせいだろうか。
それらを掬い取るように舌を動かして、舐めとった。
奥へと忍ばせれば、分かったように答えてくれる。
もう幾度か交わした”くちづけ”は、穂波にもっと確かなものがほしいと訴える。
年上の勘なのか…、理解したように、「来て…」と唇を離した先で囁かれる。
手を繋がれ、引かれるまま、浮羽の部屋へと向かう。
料理本が多く並んでいる部屋だった。
勉強を惜しまない姿勢が、努力する姿と重なってくる。
いつでもどこでも頑張る姿は…、やはりずっと見ていた人に似すぎていた。
誘うようにベッドに座りこんだ浮羽に、今更隠せない事実を告げる。
「俺…、初めてだよ…」
「うん…。いいよ…。…ホナは優しいもん。酷いことはしないでしょ?」
それは、”裏切らない”という意味も込められているのだろうか。
欲望に逆らえずシーツの上に押し倒しても、重ねた唇は拒まれていなかった。
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空腹の体を心配してくれるからなのか、売れ残りのパンを持ってきてくれる。
店の片付けを終えて、近くの公園で雑談をしたり、浮羽の部屋に上がり込むこともあった。
共に生きていきたいと告げたことで、浮羽の気持ちもどんどんと傾いてきてくれているようだった。
寄り添ってこられることが自分の存在価値を更に高めてくれる。
今日はお父さんが自治会の会合があると言って出掛けて行った。
店からすぐ近くにある自宅に、浮羽と共に向かう。
穂波が暮らすのと同じような、築年数の経った一軒家だった。
その生活感ある中に入ると、不思議とホッとしてしまうのは、自宅に近い雰囲気があるからだろうか。
より一層、身近に感じられるものがある。
居間にはちゃぶ台と言えそうなテーブルがあり、ここで暮らす人の少なさを知らされるようだった。
穂波の家は、もともと五人家族だったから、その名残で、全てが大きい気がした。
筑穂が全てを残して、家族の繋がりを大事にしたから、ある意味、”繋がり”の深さをいつも伝えてくる。
突然消えてしまった人の、あまりにもあっけなさを…。
しかし、ここは親近感が浮かぶ空間でもある。寄り添っていると思わせてくれるような…。
なにもかもが”近い”。
居間でお茶を出してもらい、少しの空腹を埋めた。
「ホナ、進学先、決まったの?」
浮羽の問いに束の間無言の時間が流れた。
自分の夢はあっても、まだ筑穂に話せていない。
自分のことは自分で決めるべきだという思いがあっても、やはりここまで面倒を見てくれた兄の許可が必要だろうと漠然と思っていた。
その期待を裏切るようで、また反対されるだろうことが分かるから、口に出せずに日々が過ぎている。
争いはできるだけ避けたかった。
目の前に座った浮羽が、その戸惑いを感じ取って、瞳を伏せた。
「ホナ…」
「兄貴のことは…っ。ちゃんと言うっ。俺からちゃんと言うからっ。浮羽さん、何も心配しないで待ってて。俺、絶対に実力つけるからっ」
乗り出すような穂波の態度に、控え目ながら、「うん」…と頷いてくれた。
だけどどこかで、信用がなさそうなのは、『捨てられそう』なのを意味しているようでもある。
歳の差を考えたら不安になるのも当然。
自惚れだが、それなりの見目の良さは校内でも噂がたつ。部活をやっているから、尚更目立つのか…。
他になびくことはないのだと、その全てを払拭したかった。
「浮羽さん…」
手を伸ばせばすぐそこにいる。
自分の腕の中に崩れてきてくれる存在がある。
どんなことがあっても守ってやりたいと、寄り添われるたびに強く胸に刻む。
「大事にするから…。信じて…」
囁く言葉に頷いてくれるのは、自分の性格を認めてくれているからだろうか。自惚れが渦巻いていく。
穂波の唇が額や瞼、頬をすべり、唇へと辿り着いた。
微かに粉のついた、パサついた感じがあるのは、さきほどまで食べていたパンのせいだろうか。
それらを掬い取るように舌を動かして、舐めとった。
奥へと忍ばせれば、分かったように答えてくれる。
もう幾度か交わした”くちづけ”は、穂波にもっと確かなものがほしいと訴える。
年上の勘なのか…、理解したように、「来て…」と唇を離した先で囁かれる。
手を繋がれ、引かれるまま、浮羽の部屋へと向かう。
料理本が多く並んでいる部屋だった。
勉強を惜しまない姿勢が、努力する姿と重なってくる。
いつでもどこでも頑張る姿は…、やはりずっと見ていた人に似すぎていた。
誘うようにベッドに座りこんだ浮羽に、今更隠せない事実を告げる。
「俺…、初めてだよ…」
「うん…。いいよ…。…ホナは優しいもん。酷いことはしないでしょ?」
それは、”裏切らない”という意味も込められているのだろうか。
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ホナが大人に!
兄ちゃんより早かったのかあ。
(いや、兄ちゃんは彼女くらいいたよね。)
ウッキーがまた積極的ですねえ。
大人だから?
ホナの気持ちがわかったから。だよね。
二人はきっとうまくいきますね。
あ、イメージ画像見ましたよ。
ホナのイメージ。
東方神起のチャンミンに似てますね。
あー、チャミがホナかあ。
背も高いしねえ。
兄ちゃんと末っ子ちゃんは、へーと思って見てました。
兄ちゃんより早かったのかあ。
(いや、兄ちゃんは彼女くらいいたよね。)
ウッキーがまた積極的ですねえ。
大人だから?
ホナの気持ちがわかったから。だよね。
二人はきっとうまくいきますね。
あ、イメージ画像見ましたよ。
ホナのイメージ。
東方神起のチャンミンに似てますね。
あー、チャミがホナかあ。
背も高いしねえ。
兄ちゃんと末っ子ちゃんは、へーと思って見てました。
ちー様
おはようございます。
> ホナが大人に!
> 兄ちゃんより早かったのかあ。
> (いや、兄ちゃんは彼女くらいいたよね。)
大人になっちゃうようです(笑)
お兄ちゃんより、はるかに早い成長ぶりでしたね。
きっと、筑穂は今の穂波の年の頃は、機械に埋もれていたはずです。
『機械が恋人~♪』(さ、さみしい…(- -;))
> ウッキーがまた積極的ですねえ。
> 大人だから?
> ホナの気持ちがわかったから。だよね。
> 二人はきっとうまくいきますね。
ウッキー(爆)も穂波を虜にしようと頑張っているんですかねぇ。
かっこいい年下君♪
真面目だし、一途だし…ってすでにお付き合いで感じていることでしょう。
> あ、イメージ画像見ましたよ。
>
> ホナのイメージ。
> 東方神起のチャンミンに似てますね。
> あー、チャミがホナかあ。
> 背も高いしねえ。
>
> 兄ちゃんと末っ子ちゃんは、へーと思って見てました。
あくまでも私のイメージなので、ぶち壊したしまったならごめんなさいm(__)m
チャミ、似てますかねぇ。
うん、運動神経はとっても良いですからね。
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> ホナが大人に!
> 兄ちゃんより早かったのかあ。
> (いや、兄ちゃんは彼女くらいいたよね。)
大人になっちゃうようです(笑)
お兄ちゃんより、はるかに早い成長ぶりでしたね。
きっと、筑穂は今の穂波の年の頃は、機械に埋もれていたはずです。
『機械が恋人~♪』(さ、さみしい…(- -;))
> ウッキーがまた積極的ですねえ。
> 大人だから?
> ホナの気持ちがわかったから。だよね。
> 二人はきっとうまくいきますね。
ウッキー(爆)も穂波を虜にしようと頑張っているんですかねぇ。
かっこいい年下君♪
真面目だし、一途だし…ってすでにお付き合いで感じていることでしょう。
> あ、イメージ画像見ましたよ。
>
> ホナのイメージ。
> 東方神起のチャンミンに似てますね。
> あー、チャミがホナかあ。
> 背も高いしねえ。
>
> 兄ちゃんと末っ子ちゃんは、へーと思って見てました。
あくまでも私のイメージなので、ぶち壊したしまったならごめんなさいm(__)m
チャミ、似てますかねぇ。
うん、運動神経はとっても良いですからね。
コメントありがとうございました。
こんにちはー。
きえさんが、チャミ知ってるなんて嬉しいです。
私の頭の中で、別な兄ちゃん、フクちゃん、パン屋さん、末っ子、センセーまで変換しちゃいました。
むしろ萌えをありがとうです。
きえさんが、チャミ知ってるなんて嬉しいです。
私の頭の中で、別な兄ちゃん、フクちゃん、パン屋さん、末っ子、センセーまで変換しちゃいました。
むしろ萌えをありがとうです。
ちー様
こんにちは~。
> こんにちはー。
>
> きえさんが、チャミ知ってるなんて嬉しいです。
>
> 私の頭の中で、別な兄ちゃん、フクちゃん、パン屋さん、末っ子、センセーまで変換しちゃいました。
>
> むしろ萌えをありがとうです。
チャミ知っているっていうか…。
そちら様の音楽、ドラマもかなり見ている方です…(静かに告白)
私の萌え~(/ー\*)
ちー様の脳内のぞきたいっ!!
どんなだったのでしょう。
(裸エプロン?!)…(←←←ちがーーーーーーうっっっ)
コメントありがとうございました。
こんにちは~。
> こんにちはー。
>
> きえさんが、チャミ知ってるなんて嬉しいです。
>
> 私の頭の中で、別な兄ちゃん、フクちゃん、パン屋さん、末っ子、センセーまで変換しちゃいました。
>
> むしろ萌えをありがとうです。
チャミ知っているっていうか…。
そちら様の音楽、ドラマもかなり見ている方です…(静かに告白)
私の萌え~(/ー\*)
ちー様の脳内のぞきたいっ!!
どんなだったのでしょう。
(裸エプロン?!)…(←←←ちがーーーーーーうっっっ)
コメントありがとうございました。
東方一家で変換ですよ。
あ、秘コメにしとこ。
私の頭の中。
兄ちゃん ジェジュン
フクちゃん ユノ
ホナ チャンミン
パン屋さん ユチョン
末っ子 ジュンス
センセー チソン
かわらちゃんにピッタリな子もいるんだけどねー。他グループだしダメなんですよー。
あはは。バラシてしまった。
あ、秘コメにしとこ。
私の頭の中。
兄ちゃん ジェジュン
フクちゃん ユノ
ホナ チャンミン
パン屋さん ユチョン
末っ子 ジュンス
センセー チソン
かわらちゃんにピッタリな子もいるんだけどねー。他グループだしダメなんですよー。
あはは。バラシてしまった。
ちー様
おはようございます。
> 東方一家で変換ですよ。
> あ、秘コメにしとこ。
>
> 私の頭の中。
>
> 兄ちゃん ジェジュン
> フクちゃん ユノ
> ホナ チャンミン
> パン屋さん ユチョン
> 末っ子 ジュンス
> センセー チソン
>
> かわらちゃんにピッタリな子もいるんだけどねー。他グループだしダメなんですよー。
>
> あはは。バラシてしまった。
すごいっ!!
一家になっているとは(笑)
あー、なるほどねぇと私も脳内変換してしまいました。
香春は入れなかったのか…。
楽しいお話ありがとうございました。
おはようございます。
> 東方一家で変換ですよ。
> あ、秘コメにしとこ。
>
> 私の頭の中。
>
> 兄ちゃん ジェジュン
> フクちゃん ユノ
> ホナ チャンミン
> パン屋さん ユチョン
> 末っ子 ジュンス
> センセー チソン
>
> かわらちゃんにピッタリな子もいるんだけどねー。他グループだしダメなんですよー。
>
> あはは。バラシてしまった。
すごいっ!!
一家になっているとは(笑)
あー、なるほどねぇと私も脳内変換してしまいました。
香春は入れなかったのか…。
楽しいお話ありがとうございました。
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