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BLの丘
待っているよ 41
2012-07-08-Sun  CATEGORY: 待っているよ
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


大野城と比べようなんてもうなかったけれど…。
なすられる…あたえられる全てが快楽だ。
震えてしまう体が、快感を認めて更に求めていく。
「ふく…、ふくち…」
もどかしげに開く口から発される声を、しっかりと掴み取ってくれた。
「気持ちいい…?」
その言葉には、正直に答えられそうにもない。
浮遊感はあったが認めるのはとてつもなく恥ずかしく…。
聞くまでもなく知った態度は福智のほうがずっと良く理解しているのではないか…。
狭い場所を、広げていく上手さ…は…、経験値の違いなのか…。
今更嫉妬も浮かばなかったけれど…。
過去に何があったとしても、今は、これからは、自分を見てくれるのだと分かるから…。
それどころか、未熟な自分に、もどかしい申し訳なさすら浮かんだ。
福智が言う『嬉しい』は筑穂にしたら『恥ずかしい』の一言だ。

「ふくち…」
もう一度囁いたなら、『分かった』と言いたげな唇が筑穂の囁きを止めた。
唇を塞がれて、広げられた足元に寄せられる分身に、また新たな羞恥がこみ上がってくる。
今から『繋がる』のだという行為…。
湧きあがる欲望に勝てず、更なる何かを求めてしまう。
この快楽は、大野城に教えられたものとは違っていた。
『気持ちいい』…。
過去とは違う”ソレ”も、はっきりと分かってくる。
後ろの孔をまさぐられて、与えられるものの圧迫感。
大野城が何を教え、何を与えなかったのか、違いをはっきりと浮かばせてくれるものがある。
最後まで筑穂の意思を尊重して、”大事”にとっておいた場所。
福智だからこそ…。痛みよりも感じさせてくれる全て…。
大野城がくれなかったものも福智は持っている。
わざと残した最後の”砦”。
明らかに、違うと分かる体が求めるもの。重なる体温の熱さに思考はかすんでいく。
「福智…」
そっと囁いた声に、覆いかぶさってくる唇がある。
その優しい動きに、尚更福智の見守ってくれる精神の強さを感じた。
ずっと、自分を見てきてくれた人…。

小さな蕾の上を、滴を零した性器が擦りつけられた。
「ちょっと苦しいかな…。でもこれ以上の”待て”は、俺は無理だよ…」
冗談半分に語りながら、筑穂の緊張を解こうとしてくれる。
要所でいつも堅苦しさを解きほぐしてくれる優しさが、こんなところにも表れた。
待たせたと分かるからこそ、筑穂も頷き返す。
大野城と感じたこととは違う”ナニカ”があるのはすでに理解できていた。
福智だからこそ、許せる今…。
覚悟は決めた…。決めたけれど…。
拓かれる痛みと差し込まれる大きさに、声も息も止まった。
「…っんっ…っ!!」
先端を潜らせただけで、福智の動きが制止した。
苦しそうな声が、福智からも零れてきた。
「ちく…っ…。筑穂っ」
「あぁぁぁっっっ」
こんな苦しみがあったなどとは…。
何故に大野城が家の中での最終段階を拒んだのか、頭の隅で理解できるくらいだった。
声は抑えようもない。
筑穂を思ったのか家族を思ったのか、今後を心配したのかは、もう分からないが…。
異物を吐き出そうと、ぎゅっと力を込めるその場所に、容赦なく突っ込まれてくる存在がある。
苦しいのに、埋められる快感があった。
根元まで、奥まで、全部を飲み込んでしまうと、今度はその形を確認するかのように、収縮が止まらなくなった。
「あ…、筑穂…。筑穂…っ」
肩に顔を埋めてきた福智が苦しそうに名を呼び、収めた熱棒をピクピクと蠢かせた。
萎えることのない筑穂の先端からも、続く悦楽が欲しくて滴が零れる。

…『もっと気持ちいい瞬間』…。

それは誰に教えられたものなのだろう。
二人で味わえる時は何にも代えがたいと漠然でも知るからこそ、福智を求め、なにより、福智と共に感じたい思いが湧いたのかもしれない。

しばらく二人は動きをとれずにいた。
痛みと満腹感を味わう筑穂と、包まれる快感に溺れる福智。
重なり合う体から感じられる熱をそれぞれの体に刻ませようとする。

「ふくち…」
ようやく発せた声を”馴染んだ”と伝えるかのように…。
囁いた先で、判り切ったように頷いては認めた、欲に濡れた姿がある。
自分に対して、欲望を滾らせてくれる姿が、思われているのだと知らせてくれるもの…。
「一緒に…」
福智に促されて、全てを晒した。
恥ずかしさも今はなくなる。
掠れたようにあげられる声も…。福智がのぞんでくれるのであれば…。
他に誰も聞く人はいないから…。
今も未来も、自分が考える全ても…。

滾る熱が吹きあがるように下腹部に集中してくる。

自分を満たす、力強い熱棒。包んでくれる肉体。染み込んでくる声…。
一人ではないのだと、共に生きるのだと支えてくれる全てに、何もかもを預けた。

窮屈だと思われる場所に、”ソコがいい”というように、抽挿が繰り返され、また筑穂にも悦びが与えられて、我を失う瞬間が訪れた。
内壁を擦られるのと同時に、性器も扱かれて、意識が真っ白に吹き飛ぼうとしていた。
「筑穂…、いい…。もっと…」
囁かれた言葉に微かに取り戻した思考も、飛び放とうという白濁を前に、それすら吹っ飛んだ。
「あぁぁぁっっっ!!」
「んっっ…あっ…」
吐き出す筑穂の飛沫がある。最奥に当たる福智の熱も感じられる。
苦しそうに吐き出した福智の息が…、そして力が抜けていく性器が、コトの終わりを告げていた。

互いの熱を感じる…互いの生きている吐息を感じる…互いの求めるものを…自分も欲した。

汚れた…と分かる体であるのに、なんの躊躇いもなく密着させてきた。
触れあえる、そのことが嬉しさにかわっていく。
「そばにいる。…そばにいるよ、筑穂…。筑穂の不安はまだ多いかもしれないけれど…、家族の一番になれなくてもいい。でも待ってる。筑穂の家族に入れてくれる時、待ってるから…」
この気持ち良さを、永遠と分かち合ってくれる人…。
その近さは、誰にも代えられることなどないだろう。
まだ待たせるのか、どれくらい待たせたのか。
今更時間は気にしないという福智に、はっきりとした返事だけは送ってやりたかった。
もう充分、待たせただろう。
「毎日…、帰ってきてくれることを、待ってるから…」

ここに住んで…と願う気持ちが…。
何よりも大事にする”家族”の繋がり。
最大の祈り。
その中に福智を入れたこと…。
理解してくれた福智はぎゅっと筑穂を抱きしめてきた。
「筑穂…」
囁かれる声が…本当に温かい。
触れあえるこのぬくもりが…。生きているのだと分かって何より嬉しい…。

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コメント

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ついに
コメントちー | URL | 2012-07-08-Sun 00:47 [編集]
兄ちゃん、フクちゃんと。
辛い思いも乗り越えて、頑張ったね、兄ちゃん(と、きえさんが(^ー^))

フクちゃんの一番じゃなくて良いから、待ってるから。
ジーンと来ました。
本当に兄ちゃんをまるごと、弟たちの事も含めて全部ひっくるめて包み込もうとしてるんだね。

兄ちゃんも、帰って来るの待ってるって。
タイトルはこんなところに隠されてたのかぁ。
はぅっ。奥が深いにゃー。


「うー、兄ちゃんがついにフクちゃんと~。隊長、兄ちゃんがフクちゃんにやられちゃったよー。(酷い言い様)隊長、いつ復帰するのかな?電話できないじゃん。淋しいよー。あ、ウッキーはクリーム使ったのに、フクちゃんたらっ!次回からちゃんと用意してねっ!伊吹からくすねとけば良かったなあ。さてと、飲みに行こうっ!先輩達、ベロベロだしね( ̄ー ̄)」


Re: ついに
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-09-Mon 08:21 [編集]
ちー様
おはようございます。レス遅くなりました。

> 兄ちゃん、フクちゃんと。
> 辛い思いも乗り越えて、頑張ったね、兄ちゃん(と、きえさんが(^ー^))

がんばりました(`・ω・´)ノ
あ、もちろんお兄ちゃんもね。
ちゃんと状況を受け入れられました。

> フクちゃんの一番じゃなくて良いから、待ってるから。
> ジーンと来ました。
> 本当に兄ちゃんをまるごと、弟たちの事も含めて全部ひっくるめて包み込もうとしてるんだね。
>
> 兄ちゃんも、帰って来るの待ってるって。
> タイトルはこんなところに隠されてたのかぁ。
> はぅっ。奥が深いにゃー。

フクちゃん、えらいねぇ。
本当にお兄ちゃんの事を、よーく、よーく考えてくれているんだぁ。
弟たちをないがしろにはしません。
タイトルはねぇ…。もう適当です(冷汗)
こんなタイトルだったから、この辺に意味がありそうな言葉を入れておこうか…って程度です。
弟たちと同じように、フクちゃんのことも見守っていきたいお兄ちゃんなんです。
だから家で会おうねってことで…『待っているよ』と…(こんなところで解説するな)。

> 「うー、兄ちゃんがついにフクちゃんと~。隊長、兄ちゃんがフクちゃんにやられちゃったよー。(酷い言い様)隊長、いつ復帰するのかな?電話できないじゃん。淋しいよー。あ、ウッキーはクリーム使ったのに、フクちゃんたらっ!次回からちゃんと用意してねっ!伊吹からくすねとけば良かったなあ。さてと、飲みに行こうっ!先輩達、ベロベロだしね( ̄ー ̄)」

隊長、復帰してくれるといいね。
ちー隊員、淋しくても♪泣かないで~♪
兄弟して思い思いに愉しんでいるようで~。
ちー様も飲み過ぎないようにね~。
コメントありがとうございました。


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