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BLの丘
想いを確かめて 1
2012-07-14-Sat  CATEGORY: 想いを確かめて
遅くなりましたが、リクエスト企画です。
アンケートで頂いた一位千城と英人編、そしてhit様も千城と英人だったので、…すみません、横着して一発でイキタイと想います。
ただ、hit様のご期待にこたえられるでしょうかね。
添えない結果になったとしてもどうかお許しください。
なるべく頑張ります。
こいつら、書くのも、久し振りすぎて…。
アンケートまで貼って…こんなもので本当にごめんなさい。
では…お楽しみいただければ幸いです。





父親である湯沢雄吾(ゆざわ ゆうご)は日本に来るたびに、必ず母親の墓へと寄った。
その墓は、英人の母親である『暮田家』の実家が用意してくれた無縁仏だ。
今後の繋がりを持たせないようにと、遺産の放棄も含めて、英人に提示されたものだった。
生きてきた過去、良くは思わなくても、母の墓の一つくらい、用意してやりたい気持ちがあったから、英人は無条件で受け入れた。

榛名英人(はるな ひでと)は何も分からず、また言いくるめられたのかもしれない。
だけど、母を埋めてくれた場所があったことは、息をつけることでもあった。
父が帰国するたび、英人は”墓参り”に同行した。
“付き合った”…というと変だろうか、
滅多に訪れる場所ではなかったけれど、そんなところで親子の絆をはかれる。

アメリカに生活拠点をおく父と、普段の接触はない。
それは”榛名”という立場に名を置いた息子のことをおもうからなのかも…。
やたらな行動はマスコミに叩かれる。
一つの綻びは、榛名家の失脚を招くものにもなる。
力をつけた現在、一つくらいのゴシップは揉み消してしまうのだろうが…。
万が一…は避けたい父親の愛情も含まれた。
同じ…、”情報”を扱う人間として…。

湯沢が買ってきた大きな花束を添えて、墓前に挨拶をした。
同じように倣って、英人も手を合わせる。
父親に出会わなかったら…、千城から真実を聞かされなかったら、今でも英人は、母親を蔑んだままだっただろう。
生かしてくれた命を…、好きに生きさせてくれた影の苦労も知らないまま…。

腰を上げて振り返った時、目を見開く老女と視線があった。
彼女も向かうところは同じなのだと分かる。
葬式の時以来、会うこともなかった祖母だとは、英人はすぐに気付いた。
同じように、現実を把握できない、灰色のワンピースを着た老女は、その場を見回していた。
その視線を追って…、湯沢がやはり瞠目し、大人しく頭を下げた。
「ご無沙汰しております…」
「あ…、なた…っ。何でここにっ。英人っ!!あなた、連絡を取っていたのっ!?」
声には恨みの方が強い。
娘を奪って、挙句には好き放題の生活をして、捨てたも同然…。
憤る祖母の言葉に、父親は何一つ反論しなかった。

英人も祖母と連絡を取ったことはない。
ただ、こうして墓参りをしてくれていることが、不思議で喜びだった。
見捨てた…かもしれないけれど、やはり、血の繋がった『娘』だったのだ。
地元の世間体など、考えることはたくさんあったのだろう。
どうしても同じ墓に入れられなかったしがらみなど…。

「英人とは偶然画廊の方で出会った…、それだけです。朝子のことは、その時に私が無理矢理聞きだしました…」
どこまでが真実か…。
湯沢は英人を守ろうという態度にでる。
英人に言葉を挟ませず、嘘を真実として語る。
そして頭を上げることなく、震える祖母の次の言葉を待っていた。
どんな叱責も受けようという覚悟が見える。

「画廊?」
不思議そうな声を上げたのは祖母の方だった。
英人の生活など、詳しく聞いたことがないのだから当然と言えば当然…。
訝しげな視線が英人へと移ってくる。
葬式をあげてもらって、もう、出会うことはないと思っていたのに…。
それくらい希薄なものだと思っていた。
見える面影は母にとてもよく似ていると感じた祖母の表情が心配げに歪む。
見放されたわけではないと思わせてくれるようなもの…。

声を出せないでいる英人の隣で、肩を抱いた千城が、「初めまして」と頭を下げた。
「榛名千城(はるな ちしろ)です。英人の…おばあ様でいらっしゃいますか?」
状況を把握しつつも、確認を求める千城の声はよどみない。
「なに…?」
状況を全く理解できない祖母に、千城の声が冷淡なくらいたたみかけられた。
「英人の身を預からせてもらっております。榛名グループ次期当主。今はまだ、タダの一社長でしかありませんが」
皮肉をたっぷりと込めた言葉は、どこまで理解されたのだろうか…。
聞きなれた名前と、役職は、改めて湯沢の身も震わせるものになった。
堂々とした立ち振舞いは、一朝一夕で身に着くものではない。
威厳を存分に纏わせた姿に、その場の全員が言葉を発せず、かたまった。
「ちし…」
「血縁を持つ方に対して、お話しておかなければならないことがありますが…。お時間はいかがでしょうか?」
有無を言わせない態度は相変わらずだった。
湯沢もすでに知ること…。
無縁墓地を用意しても通ってくれる愛情の深さを感じては、このまま勝手に済まされない内容なのだとは、千城のほうが感じたのだろうか…。
英人はもう、『暮田(くれた)』の姓ではない…。
勝手に決めたことを怒られはしないだろうが…。血を繋ぐものとして曖昧にはしたくなかったのだろう。

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コメント

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久しぶり~
コメントさえ | URL | 2012-07-14-Sat 00:10 [編集]
ちーちゃんとひーちゃん保育園以外では久しぶりだね~。
会いたかったよ~(>_<)
No title
コメントけいったん | URL | 2012-07-14-Sat 00:49 [編集]
英人と千城が、アンケ1位は知っていましたが、
hitされた方も リクされてたとは!

やはり 根強い人気がありますね、このCPは。
楽しみ~♪ヾ(@^▽^@)ノbyebye☆
Re: 久しぶり~
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-14-Sat 11:45 [編集]
さえ様
こんにちは。

> ちーちゃんとひーちゃん保育園以外では久しぶりだね~。
> 会いたかったよ~(>_<)

久し振りですね~。
保育園編では散々登場していましたが…。
まともなものを書いてなかったので、この先が少々不安です。
喜んでもらえてうれしいです。
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-14-Sat 11:48 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 英人と千城が、アンケ1位は知っていましたが、
> hitされた方も リクされてたとは!
>
> やはり 根強い人気がありますね、このCPは。
> 楽しみ~♪ヾ(@^▽^@)ノbyebye☆

このCPは…。
ありがたいことでもありますが。
なんでこんなに人気なのかは私も分かりません(←ほんとに…)
こんなにお気に入り(?)に入れていただいているとは感謝感激です。
アンケももちろん、hit様にもリクいただいて、できるだけ書いていきたいと思います。
コメントありがとうございました。

No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-14-Sat 13:28 [編集]
秘コメち様
こんにちは。

>待ってましたよ~!かわいい英人を希望です(*^^*)

かわいい…、かわいいかぁ???
まぁ、なんにせよ、園児じゃないことは確か…。
(園児編が長すぎて書けなくなってるよ(-_-;))
無事書いていきたいです。
コメントありがとうございました。
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