2ntブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
乱反射 2
2012-10-08-Mon  CATEGORY: 乱反射
ふたりにしてやりたい…と瀬見はいうけれど、帰ればベッタベッタしているのだろうからいいのではないかとあつみは思ってしまう。
だけど仕事の最中の”息抜き”と考えれば納得もできた。
落ち込んでいた時、嬉しい時、分かち合ってくれる人がいたなら、気分転換にもなるだろう。
特に由良に関しては、我慢強く耐えてしまおうとするクセがある。
瀬見を頼ったとしても、丸ごと甘えてくることなどしないのだから、そこを萩生に任せたいのかもしれない。
そういったことはふたりきりのほうが察しやすいし、話しやすい。
後輩思いの気配りの良さには頭が下がるというものだ。

「瀬見んとこの新人は?」
そちらの現場はどうなっているのかと尋ねると、あっさりと「別の人間が見ている」と答えが返ってきた。
「もっとも、『教える』なんてもっと上の人間がやってるよ。由良の時だって、直接的な指導なんてあまりしなかったんだから」
「えっ?そうなの?」
お互いの部署内がどうなっているのかなどは知る由もないが…。
いつもひっついていたイメージがあったあつみにとって、意外な答えだった。
「考えてもみろよ。由良が一年生の時、俺二年生だよ。そんな、エラぶれないって」
むしろ、自分の方がまだまだ教えられる立場にある、と付け足されてしまった。
確かにそう言われればそうなのだが…。
瀬見の配属先は在庫管理室で、日々膨大な数字に追われているらしい。
直接商品を手にすることはなくても、数字だけで取引が成り立っていく。
新商品だ、モデルチェンジだと、常に移り変わる世界で、それらを掌握するのは一朝一夕にはいかないだろう。
要するに歳が近く、似たような立場もあって、ささやかなアドバイスをするくらいの存在でいたというわけか…。
その控え目さにも脱帽だ。
あとは観察力か…。早くに由良の性格に気付いて気にかけていたのだと推測がつく。

「瀬見っていいやつだよなぁ」
思わず本音が漏れて心底褒め称えれば、ニヤッと滅多に見せない意地悪い笑みを浮かべた。
「だろ?惚れ直すだろ」
悪魔的な微笑にあつみはガックリとしそうになる。
どんな自信過剰な奴か、二重人格か…。
真面目に褒めてジョークで返され、しかもあつみには通用しない誘惑的な微笑み付きときたものだ。
こういった変化が、お相手となった人物にしてみたらたまらない魅力に化けるのだろうな…などと内心で悪態をついていた。
なんとなく由良と性格が似ているような気がして、それで気があったのか…とまで脳裏を過った。
外見と内面が違うことを心に刻む。

話題はもっぱら共通の同僚のことだった。
由良と萩生がくっついてしまったのだから、仕方ないとしても…。
半分は本人たちに聞かせられないようなことばかり。
もちろん、お互いを信用しているから零せる内容だったりする。
「萩生ってば由良と一緒になったとたんに、デレデレで、今までの『先輩ぶり』はどこに消えたんだか…」
「由良も気が強い割に弱いところ、持ってるからね。そのギャップがいいんじゃない?」
「瀬見って由良とユーリだったらどっちがタイプなの?」
「えー、どっちぃ?…由良は絶対あり得ないし…、かといって本荘君っていうのもねぇ…。極端すぎるんだよ、あの二人は。…で、湯田川はどうなの?」
「あー、まぁ…。かろうじてユーリかなぁ…。でも事あるごとに由良に泣きつかれたらキレそうだな…」
あくまでも参考に出してみた人物だったが、結局のところ、共にタイプではないことが判明してしまった。
やはり自分を頼ってほしいという願望がある。
由良は簡単に蔑ろにするし、由利は逃げ道を絶対に確保しておくタイプだ。
性格が分かっているからこそ、対象にならなかったということだろう。
アスパラの肉巻きを焼き鳥の串で刺した瀬見が、「湯田川って今まで何人と付き合ったの?」と突っ込んだ質問をしてきた。
そこはアルコールを含んだ、どこかネジが一本飛んだ状況なのだろうか。
お互いを感じられる、親しくなれる空間は嫌いではない。
現在フリーだとはすでに知られた話でもある。
「たぶん新庄サンの半分以下だと思います」
詳しい数を言うのも癪というか、瀬見の過去も分からないだけに本音で答える気がないと誤魔化せば、「ふーん。ってことはゼロだねぇ」とやっぱり冗談だと分かる返答がある。
この瀬見に対して、それはないだろうっと、思わず内心でツッコミが入った。
「うそつけ、うそを~っ」
「いや、なんつーか…。頼まれて付き合った奴は、『付き合った』数に入れないことにした」
「はぁ?なんだそれ?」
「好きになった人は一人だけだったってコトです」
意外にも真面目な答えで返されて、一瞬、どうリアクションを取ったらいいのかと考えてしまう。
しかし直後には、「モテ男の自慢か~っ」と嫌味が吐き出された。
“頼まれて付き合った奴”は一体何人に上るのだろう…。
まあ、あつみも、決してゼロではないことは確かだけれど…。

「あーあ…。俺も相手ほしいなぁ…」
ポツリと呟かれたあつみの台詞には、瀬見にフッと笑われて流された。
切実な…というか、淋しい心の表れである。
同僚などの知れた人間と過ごす時間も好きだったが、なんとなく取り残されたような侘しさが胸の内にこみ上がってきた時の本音だった。
たぶん、萩生の存在が大きいのだろう。そして退社していった由利のことも…。

一頻り話しこんで飲んで、瀬見とは店の前で別れた。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ 
ポチってしていただけると嬉しいです(///∇//)
関連記事
トラックバック0 コメント4
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
あっちゃん
コメントちー | URL | 2012-10-08-Mon 03:38 [編集]
えー、せみちゃんたら案外、たらしなの?
(モテるとも言うか)
まあ、若い上に観察力があり頭も良く性格良し(表的に)見た目良しじゃあねえ。
男女ともに惹かれちゃうわね。

あっちゃんがモテない訳じゃなく。
きっと、その開けっ広げな性格のせいで迷っちゃうんだろうね。みんなに優しいの?自分だけ?好きかもって思っても他の人とも仲良くしてて、あ、勘違いだ。みたいな感じかな?
あっちゃん、ちょっぴり損してるかも(笑)


電話だよ、由利から電話だよ♪

「ユーリー?元気?←夕べも電話してた」
『うん、由良はぁ?』
「俺は変わらないよ。ユーリも昼休み?」
『そう。ね、お昼何?』
「今日は、親子丼だよ。萩生がデザートにプリン買ってくれた(買わせたが正解)」
『わ、僕も親子丼なのー。一緒だぁ」
「マジ?やっぱり今日は親子丼って感じだよね?」

テレビ電話でイチャイチャする双子。
そして、表面上では余裕ぶる彼氏達。

「ユーリ、早く食べな?お昼休み無くなるぞ?じゃ、切るからな」

『高畠さん!』「萩生!」

ブチッ!
強制終了するのは下僕のお役目・・・
決して嫉妬心からではありません。


「焼きもち焼いちゃってるくせにー。ね、師匠」
「だな、ちー。それより、あそこに可愛い子がいるっ」
「はっ、あれは師匠、例の子では?」
「接近する?」
「ゴーですよ。ゴー!ハギーと由良はセミアツに任せましょ♪」

あれ、今回はあっちゃんが主役なのに(笑)
Re: あっちゃん
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-08-Mon 07:15 [編集]
ちー様
おはようございます。

> えー、せみちゃんたら案外、たらしなの?
> (モテるとも言うか)
> まあ、若い上に観察力があり頭も良く性格良し(表的に)見た目良しじゃあねえ。
> 男女ともに惹かれちゃうわね。
>
> あっちゃんがモテない訳じゃなく。
> きっと、その開けっ広げな性格のせいで迷っちゃうんだろうね。みんなに優しいの?自分だけ?好きかもって思っても他の人とも仲良くしてて、あ、勘違いだ。みたいな感じかな?
> あっちゃん、ちょっぴり損してるかも(笑)

少しずつ脇役だった人たちの性格が暴かれていきます(笑)
これまでのイメージが変わっていってしまったのなら申し訳ないところですが。
瀬見はモテるんでしょうね。
あつみは控え目さが足りないのか…。
相手のことを思う気持ちはあるんだけれどね。
だから高畠みたいな性格の、物分かりの良い人がぴったりいくかもね。

> 電話だよ、由利から電話だよ♪

↑由良の着信音かっ?!(爆)

~省略~

あー、もう、毎日こんな感じでしょうね。
暇さえあればメールとか電話とか…。
何かあって相談事でもできたら、即、まずは兄弟に連絡!!
下僕は悲しくなっちゃうよね。
そりゃ、強制終了しますよ。
色々言い訳をつけて…。

> 「焼きもち焼いちゃってるくせにー。ね、師匠」
> 「だな、ちー。それより、あそこに可愛い子がいるっ」
> 「はっ、あれは師匠、例の子では?」
> 「接近する?」
> 「ゴーですよ。ゴー!ハギーと由良はセミアツに任せましょ♪」
>
> あれ、今回はあっちゃんが主役なのに(笑)

可愛い子発見ですか?!
あっちゃん、脇に追いやられているの?
いやいや、ハギーと由良は放っておいて大丈夫だし(笑)
さあ、どうなるでしょうか。
コメントありがとうございました。
新庄と湯田川でコンビ結成!?”攻メンズ”
コメントけいったん | URL | 2012-10-08-Mon 10:22 [編集]
「俺も相手が欲しいな」と、ポツリと言葉がもれる程 淋しいの、あっちゃん?
セミは 受け流せる程 余裕って事は 相手が居るのね!?

居酒屋での 攻メンズの会話で知れた互いの様子
淋しいあっちゃんは、どんな人と恋をするのでしょうね♪

「ちー(敬称略)、接近するのはいいけど そのカメラは目立つんじゃないの? 」
「えっ、でも どアップで撮りたいんですもん!」
「この距離で 望遠ってかぁ~~!」
「はい♪」
☆。.:*☆パシャッパシャ☆*:.。☆Σ[ ◎ ]}・ω・〃)ポッ...byebye☆
Re: 新庄と湯田川でコンビ結成!?”攻メンズ”
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-08-Mon 14:13 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> 「俺も相手が欲しいな」と、ポツリと言葉がもれる程 淋しいの、あっちゃん?
> セミは 受け流せる程 余裕って事は 相手が居るのね!?
>
> 居酒屋での 攻メンズの会話で知れた互いの様子
> 淋しいあっちゃんは、どんな人と恋をするのでしょうね♪

瀬見ちゃん、いるんですかねぇ。
まぁ、モテ男ですから、困ってはいない(何に?!)状況でしょうが。
あっちゃんは、周りがどんどんとラブラブになっていくもので、取り残されている気分になっているのです。
構ってもらえなくなっちゃった~的なものもあるんですかねぇ。

> 「ちー(敬称略)、接近するのはいいけど そのカメラは目立つんじゃないの? 」
> 「えっ、でも どアップで撮りたいんですもん!」
> 「この距離で 望遠ってかぁ~~!」
> 「はい♪」
> ☆。.:*☆パシャッパシャ☆*:.。☆Σ[ ◎ ]}・ω・〃)ポッ...byebye☆

どんなでっかいレンズ…(爆)
戦○カメラマンほどのゆったりさはないだろうし、
○場カメラマンが行く場所ほどの危機感漂う雰囲気でもないだろうし。

隊員A「隊長、我々もそろそろ新備品が…」
隊長『青田買いツアーの宿泊費で大金を使ったんだ.・゜゜・(/□\*)・゜゜・』
隊員B「だから言ったのに…」

コメントありがとうございました。
トラックバック
TB*URL
<< 2024/05 >>
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -


Copyright © 2024 BLの丘. all rights reserved.